愛犬ロボ「てつ」

登録日:2024/12/22 Sun 00:00:00
更新日:2025/04/19 Sat 19:18:14
所要時間:約 5 分で読めます





今日は、見ているだけでも癒やされる

愛犬ロボ「てつ」のご紹介です!


愛犬ロボ「てつ」とは、2006年にイワヤ株式会社*1が販売していた玩具である。
正式名称は「こっちにおいで 愛犬てつ」。


概要


いわゆるペットロボットの系統であり、てつ発売の数年前くらいに登場したソニーの犬型ロボット「aibo」(アイボ)にあやかったものなのだろう。
要するに二番煎じである。

デザインは両耳周辺が茶色い白毛ので、赤い首輪を装着している。
必要な電池は本体が単二乾電池4本で、リモコンはLR44ボタン電池2個となっている。
…リモコン?

具体的な性能については、日本直販テレビショッピングでの説明をもとに解説してゆく。



性能


見ているだけでも、心が癒されるらしい。
リモコンが付属しており、これで操作することができるという。

真ん中の「ついてくるボタン」を押すと、「真っ直ぐに」自分のところへ近づいてくる。


接触センサーがあり背中や頭、左右の耳をなでると、様々なリアクションを見せる。ちゃんと瞬きもする。
また、光センサーと音センサーも付いているので近づくと反応する。


ただ吠えるだけではなく、左上の「Tボタン」を押すとなんと言葉を話す。
あそぼうよ!
“約”20種類の言葉を収録している。”約”なので実際は何種類あるのか不明。

更に、左下の「Kボタン」を押すとなんと関西”風”の言葉も話す。
あそばんか?
こっちも約20種類ある。

そして右下の「♪ボタン」を押すと、体を揺すりながら歌を歌う。
歌は『東京ブギウギ』と『上を向いて歩こう』の二種類。
これで飼い主を飽きさせない。


実際にてつを購入したお婆ちゃんは、

「子供たちが家を離れさみしかった我が家ですが、このブツてつが来てからは、毎日の生活が楽しくなり、ペット同様に可愛がってます。」

とコメントしている。


お子様へのプレゼントや、住宅事情でペットが飼えなかった方に最適だという。


心和む癒しのパートナー「愛犬てつ」は、お値段9800円+送料930円とお値打ち価格。(北海道・沖縄はお問い合わせください。)

お申し込みの番号は0120-666-666。みんなもぜひ買ってね!
























     *      *
  *     +  一部うそです
     n ∧_∧ n
 + (ヨ(* ´∀`)E)
      Y     Y    *



















ツッコミどころ


…と、一見するとまあまあよさげな商品なのだが、正直言うと性能が圧倒的に足りていない。


ついてくるボタンなのだが、ついてくるとは銘打っているものの、実際は「真っ直ぐに」しか進めないのである。
ちょっとでもズレたら素通りである。


また、犬なのに人間の言葉を話すということに違和感や嫌悪感を覚える人もいる。ペットロボットとは… まあ現実だと有り得ないからね。

Kボタンで喋る言語は関西”風”と描かれているが、俗に言うエセ関西弁に近いものとなっている。
あえて関西風と表記することで、エセ関西弁と非難されることを避けたのだろうか…
歌う歌も妙に古い(それぞれ1947,1960年の歌)ので、若い世代はそんなに盛り上がらないだろう。

リモコン右上の犬の顔が描かれたボタンについてはCM中では一切説明がなくスルーされているが、これを押すと犬語を喋る。
要はただ単に鳴き声を発するだけのボタンであり、総じて人間語のほうが音声バリエーションが多いという愛犬ロボットの定義が疑われるような性能になっている。

あと、「てつ」なんていうからかと思いきや声は女性である。
いや、女性でもてつこさんっているけどさ。

そしてこの性能にもかかわらず、9800円+送料と現在の基準で考えれば強気にも程がある値段設定。
アイボは軽く10万~20万近くするのでそれに比べれば当然圧倒的に安いが、ついてくることと決まった音声を話すことしかできず、リモコン駆動でAIも搭載されていない機械としてはあまりに可愛くない価格である。
こちらは日本直販のCM全般に共通する要素で「てつ」に限った話ではないが、「666」を二つ重ねた悪魔のような電話番号と、商品名がかわいらしいフォントなのに対して値段表記は鋭いフォントなのもシュールである。

実際に使用していると思われるお婆ちゃんのコメントに対しても、自分の子が独り立ちした後の日常の寂しさ*2この程度の性能の愛玩ロボットで生活が楽しくなるほど紛らわせるのかと根本的な問いを投げ掛けたくなる。
本物のペットより手間や費用がかからないので、これで満足できれば安い買い物なのだろうが…普通にすぐ飽きそうだが


ペットロボットという観点に目をつけたことは間違っていなかったのだが、如何せん性能が足りなさすぎた。
デザインもそれなりに可愛いので残念であるが、あくまでもペットロボット風の玩具だったのだろう。

…がそれ以上にネタにされたのは、てつをまるでアイボに匹敵する性能であるかのように宣伝した日本直販のテレビショッピングであった。
その後、日本直販は民事再生法適用を申請し倒産。
消費低迷やアマゾン・ジャパネット等の通販新興勢力との競争激化が倒産の理由だが、当時の東スポWebの記事の見出しは「日本直販『愛犬てつ』で倒産」と書かれていた。
いくらなんでも風評被害もいいところである。
ちなみにこちらのCMに使われていたBGMはNash Music LibraryのNSF-329-18「Baby Face」。

ちなみに後継機は様々な機能がアップグレードされており、てつの雪辱を果たしたという。
ついでに言えば一般の小売店やネットショップでも購入可能だった。

余談ながら『魔改造の夜』に登場してしまっ魔獣キングスパニエル素材改造元は同社のあまえんぼスパニエルである。
こちらは子供向けでしゃべらない歌うみたいだけど


ニコニコ動画


とまあ、あんまりにもツッコミどころが多かったので、ニコニコ動画に目を付けられMADのベースにされてしまった。
その勢いは凄まじく、一時期ニコニコ市場の関連動画数があの初音ミクを僅差で抜いて1位になるほどだったという。

基本的にてつの顔面にキャラクターの顔を貼り付けただけの雑コラな動画がほとんどで、それに加えてしゃべる台詞や楽曲をそのキャラクターにちなんだものに変更することで視聴者の腹筋を破壊した。



ちなみに「ファミレス戦士プリン」という全年齢向け漫画のAVに、このてつが登場していた。
実写映像に登場する玩具というある種の名誉ではあったのだが、出演したのはよりによってAVのOPだった…
しかも監督が自腹で買ったとか。


路上をついてくるボタンで歩いていたところをヒロインに助けられた。危なすぎる。



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最終更新:2025年04月19日 19:18

*1 1940年代から「ROCK VALLEY TOY」ブランドのシンバルを打つ猿のおもちゃで有名なアルプス商事の主要工場だった岩谷製作所が1980年代に直接販売を始めて改名した会社

*2 映像では旦那さんの姿が確認できないので独居している可能性がある。