登録日:2025/02/22 (土) 09:10:00
更新日:2025/03/05 Wed 08:34:50
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コミックボンボンにて2006年8月号から2007年11月号まで連載されていた漫画。作者は「平成のつげ義春」の異名をもつ漫画家・いましろたかし。
2024年には続編『化け猫あんずちゃん 風雲編』がコミックDAYSに連載された。
突然の劇場アニメ化
コミックボンボンが休刊し、この作品も忘れ去られてしまうのかと思われたが、
この漫画が劇場アニメとして公開される事が発表された。
既になくなった漫画雑誌の、しかも末期に連載されていた作品がこんな形でアニメ化されるだなんて、当時のボンボン読者としても寝耳に水だっただろう 。
製作は
シンエイ動画とフランスのMIYUプロダクションによる日仏共同。
監督は久野遥子 と山下敦弘による共同制。脚本はいまおかしんじ。配給はTOHO NEXTで、2024年7月19日に公開。
第77回カンヌ国際映画祭「監督週間」、アヌシー国際アニメーション映画祭2024長編コンペティション部門に出品。ファンタジア国際映画祭にも参加し、そちらでは最優秀長編アニメーション映画賞「観客賞金賞」を受賞。
アニメ化が実現したのは偶然に偶然が重なって出来たという奇跡としか言いようがない理由 であり、
山下氏の事務所にたまたま本作の単行本が置いてあったのを、助監督の目に止まった事がきっかけ。実際に読者だったらしい。ホントに偶然だな。
作画はロトスコープを採用。撮影した映像を元にアニメーションとして作画を落としているのだが、本作のウリは担当キャラクターの声を演じる人物が動きをそのまま演じているところ。そのため、実写映画の側面もある。 また、声は再録せず撮影した元の映像をそのまま流用している。
原作のキャラクターはちゃんと出て来るものの、設定はかなり改変されている上ストーリー展開もオリジナルとはほぼ別物となっている。
主題歌は佐藤千亜妃が歌う「またたび」。本作のために書き下ろされた楽曲だとか。
あらすじ
南伊豆の海沿いに位置する町「池照町」。その一角で嵐の夜に一匹の子猫が捨てられていたのを、草成寺のおしょーさんが見つける。
その子猫はおしょーさんに保護された後、あんずと名付けられ大事に育てられていった。
しかし、あんずちゃんは20年経っても30年経ってもピンピンしており、普通の猫ならとっくに死んでいるのに死ぬ気配がまったくないまま時が過ぎていった。
何故ならあんずちゃんは、普通の猫ではなく……人間の言葉を喋り、人間みたいな生活をする化け猫だったのだ!
登場人物
●あんずちゃん
CV: 森山未來
主人公。長生きし過ぎて知らない間に化け猫になってしまった元捨て猫。
年齢は32歳だが、劇場版では37歳になっている。そのせいか一挙手一投足がおっさんくさい。
猫らしく(?)気ままに生き、細かい事は気にしないが、自分を拾ってくれたおしょーさんをはじめとした草成寺の一家への恩は30年以上経っても忘れておらず、自分からやり出した事は最後までやり遂げるなどの律儀な面も。
池照町では有名人なのか、ほとんどの住民と顔見知り。按摩のアルバイトをやっており、移動手段はスーパーカブ。
原作終盤で
買った宝くじで3億円を当ててしまった。
前述通り劇場版では森山未來氏があんずちゃんの声と動きを担当しているが、後者は
かつて舞台で猫役を演じた経験を生かしてか
付け耳を装着して撮影に臨んでいる。
●おしょーさん
CV:鈴木慶一
草成寺の住職で、あんずちゃんを拾った人。後継者問題に頭を悩ませている。
鈴木慶一氏は今作の音楽も担当。
●おかみさん
住職の奥さん。劇場版では何故か故人。
●哲也
CV:青木崇高
おしょーさんの息子。原作では回想のみの登場で、プロレスラーを目指して上京したっきり音信不通になっている。
原作では長らく消息不明だったが、『風雲編』で漸く登場した。
劇場版では喧嘩別れによる家出に変更されている。しかも借金を抱えており金の無心をしていた。
●井上&林
CV: 平野絢規(井上)、戸井田竜空(林)
池照小の悪ガキコンビ「あまのじゃく」の二人組。
あんずちゃんを見て舎弟にしてほしいと押しかけてきた。
世の中に逆らうをコンセプトにしているが、意外とビビリ。
『風雲編』では中学生に進級している。
●吉田
CV:佐藤宏
あんずちゃんが鮎を狙う川鵜退治のバイトで知り合った男性。通称「よっちゃん」。3頭身。
変なテンションだが、これは本人曰く「勉強し過ぎて馬鹿になってしまった」との事。
貧乏神に取り憑かれており、そのせいで就活で失敗ばかり続いている。
●貧乏神
CV: 水澤紳吾
名前の通りの貧乏神で、よっちゃんの就活が失敗しまくっている元凶。
説得すらまともに聞く気がない程の無気力で自堕落。
見過ごす事ができないと判断したあんずちゃんによって勝負を持ちかけられて、敗北する。
敗北後は、二度とよっちゃんには関わらないという条件を呑み、池照町から出ていった。
でもそれって他人に不幸を押し付けてるだけじゃあ……
●春川
過度な期待を押し付けてくる父親に悩む中学生。家に帰るのが怖くて夜遅くまで歩き回っていたところをあんずちゃんと知り合う。
あんずちゃんに背中を押されて髪をモヒカンにし、初めて父親に反抗するも、その後にヤンキーに因縁つけられて殴られてしまう。
そして、自分の身の丈に合った生き方をした方が良いと判断し普通の高校を目指すと言い残して去るが、父親との確執が解消されたのかについては不明。
教育虐待を彷彿させると思われたのか劇場版には登場せず。
●春川の父
名前の通り春川の父親。息子のストレスの原因であり、無闇に東大を推す、帰りが遅いだけで怒鳴る、テストの点数が低いと殴るなど、毒親に片足を突っ込んでしまっていると言わざるを得ない様な振る舞いばかり。しかし、本人にその自覚は一切ない。
あんずちゃんに「東大なんて飯の食い方もまともに知らないような連中が行くところ」と偏見丸出しな 実態を突きつけられても一蹴したくらいだし。
劇場版には春川共々登場せず。
●ピーピーちゃん
CV:大谷育江
あんずちゃんが拾ってきた4匹の謎の生命体。あんずちゃんは初見でウズラではないのかと思っていた。
保護当初は雛鳥の様な姿だったが、5日でずんぐりとした体に短い手足が生えた奇妙な姿に成長(?)する。その正体は森の精霊だった。
●カエルちゃん
CV: 吉岡睦雄
その名の通りカエルの妖怪。地中に住んでおり、穴掘りが趣味。
ピーピーちゃん達に引っ張られる形で住処に入ってきたあんずちゃんと知り合う。
●かりんちゃん
CV: 五島希愛
劇場版オリジナルキャラクター。哲也の娘。
大人の前ではいい子だが、猫かぶりで世の中を斜に構えてみている。
草成寺に預けられた後、柚季の命日になっても哲也が帰ってこない「お母さんに会いたい」と願うようになるが、これが現世と地獄を巻き込んだ大騒動の発端となる。
●柚季
CV: 市川実和子
劇場版オリジナルキャラクター。哲也の妻で、かりんちゃんの母親。
登場時点で既に故人。
追記・修正は宝くじで3億円を当ててからお願いします。
- 映画は王様のブランチで紹介されたりしたが、興行収入ランキングでは結局TOP10圏外だったのは惜しかった…評価はどうだったんだろう? -- 名無しさん (2025-02-22 10:41:08)
- 末期の迷走してた時期の作品だったのか…なんかボンボンっぽくないて青年誌感があると思った(というか記事内に連載時期書いて欲しかった) -- 名無しさん (2025-02-22 11:28:31)
- 毎回大したオチもないのに何故かそこがクセになりたまに読み返したくなる個人的な名作だがボンボン読者はまあ読まないだろうなと。あと春川じゃなくて春山な -- 名無しさん (2025-02-22 13:03:19)
- ↑2ですが追加してくれた方ありがとうございます!(人任せっぽくなってごめんなさい…) -- 名無しさん (2025-02-22 14:26:55)
- 宝くじで3億円を当てたけど根本的に金銭欲が無いという -- 名無しさん (2025-02-22 23:06:34)
最終更新:2025年03月05日 08:34