漫画

登録日:2018/10/02 Tue 14:01:45
更新日:2023/07/09 Sun 15:15:09
所要時間:約 7 分で読めます




漫画とは、本来は「戯画」とほぼ同義語であり風刺や皮肉を込めて笑いを取るために描かれた絵のことである。
だが、現代では「絵と台詞の組み合わせでストーリーを展開するイラスト物語」という意味合いで使われることが大多数である。
また、戦後昭和初期辺りまでは子供向けアニメを指して「テレビマンガ」とも呼んでいた。

ちなみに、一部の海岸で「マンガ禁止」の看板を見ることがあるが、これは貝を取るための道具のこと。長柄の熊手とも万能鍬ともとれる様な形状の道具である。
「潮干狩りをする際にマンガを使うと取れすぎてしまって他の人に迷惑だから使うな」という意味であって、決して漫画を読むことを規制している厳しい海岸というわけではない。

なお、漫画を作るに当たって重要になるのが漫画としての構成。
一枚絵はそれだけで完結していればよく、アニメでは一連の流れが繋がっている。
しかし、漫画は絵と吹き出しだけで流れをイメージできるような構成が必要となってくる。
ストーリーとしての出来が良くてもその切り取り方が悪かったり、絵がきれいでも前後の繋がりが破綻しているようであれば、漫画としての評価は著しく下がる。
逆に、多少流れが無理があったり絵が汚くても、綺麗に話が進んでいればそれだけである程度好感触を得られたりする。まあ、全部いいに越したことはないが。


▽目次

漫画の歴史

漫画の元祖は日本の鳥獣戯画である。

……というのは有名だが、基本的にはジョークのようなものである。
動物を擬人化して描く程度のことなら世界中どこでもやっていたことである。
少なくとも一般人に広く読まれていたものではないし、文化的に大きな価値はあるが日本人全体に漫画を広めた立役者と言うには少々厳しいと言わざるを得ないだろう。
一応「現代の漫画に近い技法が一部で使われている」という意味では「元祖」と言うのは間違いではないが、「これが先祖だ!」と主張するのはやはりおかしい。

現代の漫画に直系となる先祖は、新聞などの風刺画であろう。
歴史の教科書で各国を擬人化して国際情勢を皮肉るような絵を見たことがないだろうか?
これらの人気からイギリスでは1841年に風刺漫画雑誌「パンチ」が創刊された(今でも一部で使われる「ポンチ絵」という呼び方は「パンチ絵」が訛ったものである)。

その後も主に風刺絵として徐々に漫画は庶民の間に広まっていくが、特に20世紀に入るとアメリカでコミック雑誌が隆盛を極めるようになっていく。
世に言う「アメコミ」の誕生である。
「超人的な能力を持った主人公が奇想天外な大冒険を繰り広げる」というストーリー展開の漫画が一気に数を増やしていった。

そして日本では、外国から輸入された風刺画などが広まった後、「のらくろ」などから子供向け漫画というものが広く受け入れられるようになった。
敗戦後、1950年代には「なかよし」「りぼん」「マガジン」「サンデー」等の少女・少年漫画雑誌の創刊もあって漫画は一気に国民的な娯楽に発展。
さらにご存じ「漫画の神様」こと手塚治虫や、トキワ荘に集った漫画家達などにより、子供向けギャグ漫画が主体だった漫画界に更に多彩なジャンルが生まれるようになっていった。
「少女漫画」「青年漫画」「成年漫画」など、少年向けに限らずあらゆる年代に向けた漫画が出版されるようになり、今や漫画を読まない日本人はほぼ皆無となったと言ってもいい。
このような日本独自の漫画の発展により、現在では「漫画」は「カートゥーン/cartoon(戯画)」とは異なる「MANGA」として世界に知られるようになった。



代表的な漫画の種別

形式別

  • 1コマ漫画
ストーリー性はなく、単発の絵だけで状況を説明するタイプの漫画。
伝統的な風刺画に近い形式。
欧米の「カートゥーン/cartoon(戯画)」もこれにあたる。

起承転結の形式で4コマでストーリーを説明する漫画。
最近は連作形式の4コマも増えている。

一話完結型の漫画。本来は別の意味。

  • 連載ストーリー漫画
現在では最も一般的なタイプの漫画。
それぞれのエピソードのストーリーが連続しており、続けて読むことが前提になっている漫画。

正確には漫画の種別ではないが、漫画の同人誌が最もメジャーだろう。
素人が描いた漫画を少数印刷し販売するタイプの漫画。

  • Web漫画
最近増えているタイプの漫画。Web上で公開されている漫画。
pixivなどで発表されていることも多い他、電子書籍の漫画も増えている。

近年では韓国を中心に発達した縦読み式かつ基本フルカラーでの連載となる「Webtoon」と言った文化が大きくヒットを飛ばしている。

対象別

  • 少年漫画
漫画としては最も伝統的。概ねグロ描写のないバトル漫画か、わかりやすいギャグ漫画が中心。

  • 少女漫画
いわゆる「お目目キラキラ」な漫画。別にそればかりというわけではないが。
基本的には恋愛描写が中心となることが多い。それ以外だと何気ない日常を描くタイプのものも多い。
またマセた子には大人の愛憎ドロドロ系の需要も高い為かガチホラーの比率が結構高め。

  • 青年漫画
表現技法から区別して「劇画」と言われることもある。
比較的現実的な描写に基づく人間ドラマが中心。

  • レディースコミック
「レディコミ」とも。少女漫画よりも対象年齢高めの女性向け漫画。別に女性のヤンキー向け漫画ではない。
恋愛系漫画が中心であるが、全体的に かなり描写が過激 であり、少女漫画との境目が曖昧であることが問題視されることもある。

  • 成年漫画
18禁漫画と一緒くたにされやすいが、別にエログロ限定という訳ではない。
実際はそれ等以外にも「現実と錯誤し易い表現が多い架空の創作物」「政治的主張を描いたアジテーション本」「アングラ系」だったり、ゴシップ情報暴露本や「本当に有った~」系の人間関係トラブル実録物なども含むジャンル。
こちらは18禁漫画と違って法的な閲覧制限は無いが表現がエグかったり一方的な偏向情報などが普通に載っているので、
鵜呑みせず中立的な責任判断能力がある大人になるまでは読ませない方がよい。

  • 18禁漫画
児童は読んではいけない性描写を主に取り扱う物。
法律により、年齢による購買購読制限が掛かっている。
成年漫画的な内容も含んでいるケースが多い。

ジャンル別

  • ギャグ漫画
最も古典的で典型的な形式。
戯画化されたイラストと台詞の妙で笑わせることが目的となるタイプの漫画。

  • バトル漫画
「戦い勝利すること」が目的となるタイプの漫画。
「友情・努力・勝利」のジャンプ三原則に最も則ったタイプと言える。
ファンタジー系の設定を最も入れやすいため、作風の幅は広い。

  • スポーツ漫画
スポーツをメインにした漫画。
たまに(頻繁に?)バトル漫画以上の超常現象が巻き起こる。
競技によっては大量の登場人物を作り動かさなければならないため、作者の技量が問われ案外ヒットが難しいジャンルである。

  • 推理漫画
いわゆる「ミステリー」。
「週刊少年ジャンプでミステリー漫画が長続きしない」ジンクスは有名(デスノートはどちらかというとサスペンス)。

  • ホラー漫画
恐怖描写が主体の漫画。少女漫画・ウェブ媒体で出ることが割と多い。
ジャンルの性質上、残虐表現などが有る。

  • 恋愛漫画
異性(たまに同性)との恋愛描写と周辺の人間関係が中心の漫画。
恋愛にまつわる喜劇を主体に描くならラブコメ漫画になるし、シリアスな悲恋ものもある。
前述の通り少女漫画に比較的多い。

  • 歴史・伝記漫画
「学校で読んでも怒られない漫画」。いわゆる学習漫画。
先生や親からしても、「漫画だろうが歴史に興味を持ってもらえればいい」ということでwin-win。
基本的には歴史上の史実や偉人の物語をそのまま漫画にしただけだが、たまに作者が暴走してエライことになることも。
存命中の人物に取材したタイプのものもある。

なお執筆時に一般的な情報*1を基にする為、後年に判明した歴史の誤り等に関しては増刷・改定時に修正や注釈が入る事もある。

料理を主題にした漫画。詳細は項目参照。

  • 日常漫画
サザエさん始め、「日常系」と言われるタイプ。ジャンルとしてはギャグに近い。
また、本当に作者の日常を描いている「コミックエッセイ」というものも多い。

  • ホビー漫画
玩具やゲーム等の特定の「ホビー」を前面に押し出す漫画。販促の一端を担う事が多い。
内容は対象年齢に合わせて子供向けである事が多い。
但しストーリーの方は、たまに(頻繁に?)超常現象だのバトル漫画顔負けの対戦だの、世界征服に対抗するだのといった、ぶっ飛んだ物になる事も。


漫画害悪論

新しく発展したメディアにはありがちなことだが、漫画もまた「子供の発達にとって害悪である」とする批判に長く晒され続けていた。

特に有名なのは1954年のアメリカの「コミックス・コード」。
確かに当時のアメコミは低俗で下品で性的な表現が完全に野放しになっており、「良識ある」人々が目をひそめるような惨状だった。
それに対し業界側が自主的に制定した独自基準が「コミックス・コード」。これに合致する漫画でない限り実質出版が許されない状況だったのだ。
これにより、エログロ系のホラー漫画は一気にその数を減らし実質絶滅状態に。 でも少年犯罪率は一向に減少しなかったけどね!
この規制により、「健全なスーパーヒーローもの」以外のアメコミは完全に息をしていない状態に押しやられた。

一方日本でもPTAを始めとした教育関係の人々から度々批判されていた。
オウム事件の頃は「東大生が漫画を読んでいる!」ことがニュースになったこともある。それぐらい「頭のいい人は漫画を読まない」のは一部の人にとって常識だったのだ。
あの手塚治虫ですら、「荒唐無稽なことを書くな!」と焚書運動の的にされていたことがある。

尤も漫画を見て育った世代が大人となり、社会を担うようになった現在では、アニメも合わせてこのような批判は滅多に起こらなくなり、多くの世代に親しまれるようになったと言えるだろう。




追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 漫画
  • アメコミ
  • 鳥獣戯画
  • comic
  • カートゥーン
  • マンガ
  • ギャグ漫画
  • バトル漫画
  • 恋愛漫画
  • 学習漫画
  • 料理漫画
  • スポーツ漫画
  • 推理漫画
  • MANGA
  • 創作
  • ニンニンコミック
  • 少女漫画
  • 少年漫画
  • 青年漫画

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年07月09日 15:15

*1 一部主張者が存在する程度レベルの情報は反映しないケースが多い