アットウィキロゴ

師匠シリーズ

登録日:2026/01/26 (日曜日) 18:40:47
更新日:2026/07/17 Fri 23:25:32
所要時間:約 60 分で読めます




奇妙なもの、恐ろしいもの、気持ちの悪いもの、悲しいもの。

そのどれも、僕らの日常のほんの少し隣にあった。

「じゃあ、行こうか」

彼が僕を振り返り、そう言うとき、日常のほんの少し隣へと通じる扉が開く。

人生で一度しかない僕の大学生活のすべてが、そんなもので彩られていった。

それは、彼の失踪まで続くのだ。


概要


師匠シリーズとは2003年4月の2ちゃんねるのオカルト板への投稿を端に発する洒落怖シリーズ。
エピソードの数は100を優に超え、現在も「丘陵研究会へようこそ」という名称で同人誌が発行されたりカクヨムに掲載されたり等、未完。
漫画版や書籍が発行されたり、ラジオドラマが配信されたりとメディア展開も活発。
「僕」こと作者をモデルにしたであろうウニが語り部となり、大学で出会った強い霊感を持った怪人物、「師匠」とのオカルトをめぐる思い出が描かれる。

当初はウニ氏が体験した個別の実話怪談という体裁で投稿されていたが、物語が進むにつれて、それぞれの話の裏側で一つの重厚なストーリーが並行して展開されるようになった。
特徴として、投稿順と物語の時系列が異なり、語り部も話の時系列によって変わることがある。
話によって読むのに要する時間も大きく変わり、数分で読める掌編から「怪物」「未」といった読破に数時間は必要とする超大作まで幅広い。

本筋の壮大さに加え、個性豊かで魅力的なキャラクターたち、ウニ氏による文学的で美しい文章、新たな切り口からオカルトを解釈することで生まれる純粋な恐怖と哲学的なテーマ性、長編において際立つ上質なミステリーや謎解き、緻密に貼られた伏線、物語が大きく進展する際に感じられる冒険譚としての高揚感、そして全体を包む切なく儚い雰囲気等その魅力を挙げれば枚挙に暇がない。

この記事には多くのネタバレが含まれている。
未読の方は、まずご自身で本家様の作品をぜひ読んでほしい。
検索すれば、まとめサイトやウニ氏の pixiv・カクヨム作品がすぐに見つかるはずだ。
この記事は一度読んだ方の情報整理として利用してほしい。

ちなみに、舞台のO市は岡山市。
O大学はウニ氏の出身大学である岡山大学をモデルにしたものと思われる。

登場人物


現代編



そうして君は最後に優しくなる。

「あのバカ」

そう。あのバカに。

ウニが語り部を務める話が属する。
特徴として本筋に直接関連する話が他の章と比べ少なく、代わりに身近にいるような怪異をテーマとして取り扱っている作品が多い。
話の長さも比較的短いものが多々を占める(ただし、「田舎」など例外あり)。
時系列では1997年から2002年の話が属する。

  • ウニ

死ぬとこみてえ

本名不明。1978年生まれ。
現代編の語り部にして主人公。高知県出身。
視力がかなり悪く眼鏡をしている。多少の霊感を持っており、霊の一部を見ることができたり、怪異に遭遇すると耳鳴りを感じたりする。
サークル(漫画版では文芸サークル)で「師匠」と出会い、霊感とオカルトへの興味を気に入られて、なし崩し的に師弟関係を結ぶ。
ちなみに彼の師匠に対しての感情は敬意半分、バカにする気持ち半分といった感じ。
師匠と共に行動をする以外も京介と共に行動したり、「灰の夜明け」はもちろん「ピーチロア」という別のオカルトフォーラムにも参加したりする等やはりオカルトへの探究心は強い。

当初は臆病な性格で、師匠にからかわれたり、問題が起きると泣きついたりといった情けない描写が目立っていた。
しかし時系列的に後半に位置する話になると、彼自身が主体となって怪異に立ち向かう姿が描かれるようになる。(今のところ詳細は描かれていないものの後述する音響たちと共に、底知れない存在とされた角南真悟との因縁に決着をつけたそう。)
またそれに伴い純粋な性格もどんどんとスレていき、大学の授業をサボって麻雀やパチンコ、MMO RPGに明け暮れ3回生で2回留年してしまう等怠惰な一面も強調される。
また「跳ぶ」の話からどんどん師匠と疎遠になって行くような描写も目立っておりこの頃から話的にも加奈子中心の物語が続くようになる。
また、当初の一人称は「僕」だったのが「俺」へと変わっている。
また、「溶接」では後述する伊丹からメスの白猫を譲り受け、ユキと命名し飼っていることが判明する。
後述する京介に淡い恋心を抱いていた。物語の後半では後述する音響の師匠となる。

  • 師匠(ししょう)

こんな暗闇のどこが怖いんだ。
目をつぶってみろ。
それがこの世で最も深い闇だ

本名不明。1972年生まれ。
シリーズの代名詞とも言える存在であり、ウニのオカルト道の師匠。
強い霊感を持ち、ウニには見えない霊の姿をも見通す。
ウニが入学した当初は仏教美術を専攻する大学院生であり、その後は大学の図書館司書として就職した。

周囲からは「あいつは人を殺している」と囁かれるほど破天荒で常識離れした怪人物であり、自身のあくなき好奇心を満たすためなら手段を選ばずに行動する。(例として霊に「殺すぞ」などと叫び霊を怯えさせるなど。)
頭も切れ、その行動力は桁外れだが、過去編に描かれる特徴を踏まえると、後述する加奈子をエミュレートして振る舞っていた可能性が高い。
実際、「そうめんの話」以降は一人称が元の僕に戻り過去編の雰囲気を感じされるようになる。

その心の根底には加奈子への恋慕と崇拝が入り混じった異常に強い想いと執着があり、それが彼の全ての行動原理になっていることが度々描写される。
また、「先生」にて語られた「それでも、どうか目を閉じないで。」という言葉にも多大な影響を受けている。
一方で、過去の出来事を懐かしみ、とても大切な思い出として胸に抱き続けながらもそれをすでに終わったこととして切り離し、時に諦観を漂わせる場面もある。(実際に服部とは「猫」まで長らく接触していなかった。)
怪異に対しては仏教や神道といった宗教的枠組みにとどまらず、幅広い知識を基に多角的かつ独創的な解釈を示す。
また、ウニに「オカルトの方がよっぽど役に立たないでしょ」と問われ役に立たないものは、愛するしかないじゃないかと答えるなどオカルトへの愛はやはり深い。

刀に関しては一定の知識を持ち、剣道の有段者でもあるがベースは居合道。
将棋は強いが麻雀は不得意であり、催眠術も多少は使える。仏像を嗜むなど専攻にも根ざした趣味を持つ。
また浮気性でありそのせいで度々自分の首を絞める羽目になる。
なぜか絵が嫌いで、「絵なんてようするに、すごく汚れた紙だ」「見るくらいにしか役に立たない」と語る。
親族との関係は良好とはいえず父親からは半ば見捨てられており、ある占い師の親戚からは「死相が出ている」と告げられ、またある大夫からは「魔物」とまで称されるなど、その周囲には常に謎がつきまとっている。

最終的には心の闇に呑まれ、狂気に陥った末に失踪してしまう。

オカルトフォーラム『灰の夜明け』


ウニがよく顔を出していたネット上のオカルトフォーラム。地元のオカルト好きが集まり、定期的にオフ会も開催されている。

  • 京介(きょうすけ)

これはノー・フェイトかも知れない

本名は山中ちひろ。1976年生まれ。
フリーターで師匠の過去編でも登場する喫茶店ボストンでバイトをしている。
また、双子の妹、まひろがいる。
BOØWYやB’zを好み、ハンドルネームも『氷室京介』に由来する。
ショートヘアとおよそ172cmという高身長が特徴の美人。
性格はサバサバとしていながら常に冷静で、強い正義感と揺るがぬ芯を備えた男女両方からモテる女性。
その雰囲気に反して多くの動物を飼っており猫一匹に犬二匹、ハムスター二匹に九官鳥を一匹を家で愛でる動物好きな一面も。
ウニからは、時に師匠以上に頼りにされている姉貴的役割を担っており、彼女が語り部となって高校時代のことを語るエピソードも多々ある。
師匠とは犬猿の仲だが、よくウニが二人が鉢合わせするように謀るので共に行動することも多い。
師匠同様剣道の有段者だがその実力は師匠を圧倒するほどであり、オカルト観は西洋魔術をベースにしている点なども対照的。

後述する間崎京子とは複雑な因縁と奇妙な友情で結ばれており、まるで双子のように意識して避けようとしないと自然と似通っていってしまうと語る。

彼女に関連する怪異として、悪夢を喰らい災厄を招く「ネムラヌウオ(にび色の鱗を持つ魚のような悪魔)」と、常に彼女に付きまとい行動を模倣するドッペルゲンガーがある。
京介は夢を見ないと語り、ネムラヌウオの性質を考えると彼女は悪夢しか見られないことが示唆される。(おそらく「怪物」で産み落とされて、京介に取り憑いた。)
また家以外では眠らないと公言し、悪夢への強い警戒心を覗かせていた。
後に「雨上がり」にて、この二つの怪異は間崎京子の手に渡り、京介は解放されたことが示唆される。

彼女がオカルトに満ちた日々を送る理由は主に上記の二つの怪異への防衛策を身につけるという意味合いが強く、ただ興味本位で怪異と接触する師匠のスタンスが気に食わない理由でもある。(もっとも中高時代は占いなどを純粋に趣味として楽しんでいたようだが。)
それらから解放されもうオカルトに触れる意味も無くなった彼女は、最終的に一度も幽霊を見たことをなかったこととウニたちの街を出て上京することを告白。
街を離れた後はそこで結婚、一児の母となる。その際、名前も多田ちひろに変わった。

  • 茅野(かやの) 歩く(ありく)

文字がね、口に入ってくるのよ

本名は倉野木綾。1976年生まれ。小柄で青白い顔立ちをした無表情の美人。
上述のペンネーム「茅野歩く」を名乗る前は「カヰ=ロアノーク」と名乗っていたこともありどちらも本名のアナグラム。
ネット上では「koko」「coco」「colo」「geko」など複数のハンドルネームを使い分けている。

師匠の恋人であり、「追跡」「田舎」では師匠のことで嫉妬を見せる一方、「デス・デイ・パーティー」では彼からの「おめでとう」という一言に初めて笑みを浮かべるなど、彼への想いが本物であることがうかがえる。
ただし、その立場にありながら京介とも親しくしている。
「すまきの話」では、初めて会った時に師匠が持っていたアルバムに自分の写真を見つけて何かに気付いた様子を見せていた。

性格はいわゆる不思議ちゃんで、基本的に寡黙。
口を開いても意味不明な言葉が多いが、ウニからは「頭は半端じゃなく切れた」と評され、さらに師匠でさえ「俺よりすごい」と認めるほどの本物の超能力者である。

最大の特徴は予知夢をみる体質であり、その的中率は極めて高く作中で明確に外した場面はない。
特に重大な事象に関しては数年単位で遡って夢に見ることもある。た
だし、一度見た夢の詳細はすぐに忘れてしまい、その出来事が現実に近づくにつれて夢の記憶が鮮明になる、いわば「未来を思い出す」という独特の体験をする。
「すまきの話」では、それが単なる予知夢ではなく、現実の書き換えや巻き戻しである可能性が示唆されるが、真相は不明。
また、催眠術にも精通している。

「デス・デイ・パーティー」時点では残りの寿命が十五年だと自身で予言していることが判明した。
ウニが大学3回生になるタイミングで県外に就職が決まりウニや師匠たちの前から去ってしまい、その後、音信不通になったことが語られる。
作者への質問では「歩くさんについて一言」と問われ「ご冥福を祈ります」と答えるなど彼女の顛末に関しては不穏。
師匠に殺されたもとい生贄されたとの説もあるが、果たして。

  • みかっち

1976年生まれ。よく喋る明るい女性。
ウニと同じ大学で美術コースを専攻している。
『灰の夜明け』の常連で結構話にも登場する。
京介を筆頭に『灰の夜明け』メンバーのほとんどからよく軽く扱われる。(もっとも、それだけ周囲と打ち解けているともいえる。)
不思議な事象に遭遇するとワー、キャーと叫ぶがその後、すぐにケロッとする逞しさも併せ持つ。
「デス・デイ・パーティ」では京介に阻まれたため真偽は不明ものの、歩くの出した数学パズルを解け答えようとしていたといっており、算数得意とも自称している。(ウニと同じ国立大学の生徒のため、普段の言動とは裏腹に確かにかなり賢いはずではある。)
前述の通り美術コースを専攻していることもあり絵画の関わる「絵」や「人形」では結構彼女が重要な役割を果たす。
ウニ氏への質問コーナーでは「嫌味のない、いい人です」と肯定的な評価を得ている。

  • 山下

サラリーマンとして働く『灰の夜明け』のメンバーの中では三十代後半にあたる最年長組の人物。
神経質で繊細な一面を持つ一方、霊感はかなり強い可能性が高いとされている。作中では、「怪物」や「死滅海遊」において街の異変をいち早く察知し、現場へ駆けつけた人物と風貌や性格が似通っていることから同一人物との説も根強い。
「四つの顔」では、不気味な事件の顛末を経て消息を絶ってしまう。

  • 和気

『灰の夜明け』管理人で創始者。

  • 伊丹

1976年生まれの男性で、商科大の三年生。ウニに猫を譲った。「溶接」では彼を中心に物語が展開される。

  • 沢田

看護師。山下の彼女だった。山下の失踪に伴い、街を去り実家に戻ったことが語られる。

その他の関連人物


  • 音響(おんきょう)

ウソ泣きでした

1982年生まれ。本名は音田響花。
初登場時は14歳で全身真っ黒なゴスロリ服というインパクトの強い格好の少女。
外見は可愛いとよく評され、大学のミスコンで2位に輝くほど。(もっとも本人にとっては不満だったようで、それ以来ゴスロリスタイルをやめている。)
ちなみに七緒という妹がいる。詳細は後述。

黒い手から逃れたウニに対し興味を抱くようになり、半ばからかいでウニを師匠と呼ぶようになる。
中高一貫校出身で、高校時代にアメリカへ語学留学した経験から英語は流暢。加えて大学でフランス語、趣味でスペイン語を学ぶなど非常にバイタリティが高い。
ウニたちの通う国立大学にも「余裕で合格できる」と公言し、実際にそれを成し遂げるほど学力も優れている。
その明晰な頭脳が発揮されるのは学業に限らず、服部調査事務所が請け負った様々なオバケ案件をバイトで解決していると語られており、「落とし物」ではそのウニを優に上回るオカルト絡みの卓越した推理力は多くの人が後述する加奈子の面影を投影していると評されている。
その一方で加奈子や師匠のような死者への冒涜に片足を突っ込んだある種の狂気とは違い、ただ純粋にオカルトへの好奇心がとても強く行動力が伴った印象を受ける。
その肝の胆力と洞察力はウニとどっちが師匠か分からない。(とはいえ、ウニも「鋏」「本」で彼女の期待に応えて師匠としての最低限の面目は保っている。)

後述する瑠璃とは昔ながらの友達で、ウニと協力して見えざる悪意の最後の標的である彼女を守り抜いたことが語られる。

「丘陵研究会へようこそ」では今度は彼女が冬馬の師匠となる。


  • 瑠璃(るり)

The king stays here, The king leaves here.

1982年生まれ。本名はSophia(ソフィア) Lazurite(ラズライト)
外国人で銀髪と少し紫がかった青く輝く瞳を持つが、普段は緑色のカラコンを着用している。
過去編にも登場し、「怪物」「毒」「本」では、夜中に限ってO市限定で発動するテレポーテーションに近い不可思議な能力を披露している。
その挙動から本名は「ヨルノサンポシャ」と評されることもある。
経緯は不明だが、音響とは古くからの友人関係にあり、瑠璃が日本語を喋れないこともあり作中では音響が彼女の通訳役を担っている。
「毒」および「本」では詳細は明かされていないものの、O市に渦巻く見えざる悪意や、後述されるゾディアックと敵対していたことが示唆されており、ウニや音響と共にそれらと戦っていたらしい。
その後、ニューヨークへと帰国した。

  • 角南舞衣

1978年生まれ。
ウニの同期で同じバイト先の女性で今どき珍しいくらい艶のあるショートの黒髪がトレードマークの美人。
天然で奇抜な言動が特徴のフレンドリーな性格が特徴。
実は後述する角南グループの令嬢。
「丘陵研究会へようこそ」では夢だったアパレル専門店を持ったことが明かされた。

京介編



怖い夢を見ていた気がする。

高校時代における京介と間崎京子との因縁などが描かれる。
特徴として作品の根幹を成す重要な設定に関連する話が多く、後述する師匠の過去編と時系列が一部被っている。

  • 京介(きょうすけ)

この章の語り部にして主人公。
性格は現代編と大きくは変わらないが彼氏がいる。
正義感は強いもののタバコを吸う、授業をサボるなど不良少女然とした姿が語られている。
このときはロングヘアー。

  • 間崎京子(まざききょうこ)

血で占うのよ

1975年生まれ。
「スラリとした長身。ショートカットの髪が耳元に揺れる。切れ長の涼しい目。透き通るような白い肌。」など作中屈指の容姿端の麗さが強調される妖しい美女
よく生物部の部室を根城にしている。京介曰く別格の五色地図のタリスマンを持っていることからゴシキチズと呼ばれることも。
没落した名家の令嬢で彼女の祖父が様々な仕掛けを仕組んだ巨大な洋館に住んでおり、船医を務める父が呪物収集を趣味としている。
その名を口にするだけで呪われるという噂がまことしやかに囁かれ、師匠をして「その女には近づかないほうがいい」「その女はヤバイ。」と言わしめ、京介も「あいつにだけは関わらないほうがいい」と警戒を隠さない。
その噂は根も葉もないものではなく、実際に彼女の周囲では不可解な事故が相次いでいる。

占いを通じて事件の真相を誰よりも早く見抜き、遠隔で人々を監視したり、ウニの視界をジャックする、さらには自身の目玉を飛ばして過去を覗き見るなど、特に「視ること」に関しては人智を超えた怪物的な力を示す。
高校時代には自ら中心となってカルト的な集団を形成し、信奉と畏怖の両方の対象となっていた。
占いの儀式では人間の血を用い、それを好んで飲んでいたことから、作中ではしばしば吸血鬼になぞらえられる。
京介は、京子の根底には「変化」への異常な憧憬があると分析している。
料理は得意だが、意外にも絵の腕前は本人の自信の割に京介に「ひっくり返りそうになった。」「ギャグで言っていたのか。」に評されるレベル。(もっともこれは京子の絵が極めて前衛的で京介にそれが理解できなかった可能性もあるが。)

これらの情報だけを見ると、京子は京介の宿敵のように見えるかもしれない。
だが実際には、彼女は京介に強い好意と執着を抱いており、決定的に対立したことは一度もない。(もっとも考え方の決定的な溝はあるが。)
むしろ京介が事件に巻き込まれた際には、直接的な協力こそ少ないものの、忠告やヒントを与える助言者として振る舞うことが多い。
時には、より強大な存在と対峙する場面で京介と共闘するなど、基本的には味方陣営に位置しているといえる。

「館」では、幼少期に地震に巻き込まれ、気がついたときには星の配置がすっかり変わっており、周囲の誰に尋ねても「地震など起きていない」と言われた、という不思議な体験を語っている。
彼女はその際、自身の星座を「くじら座」と明かした。(この「くじら座」は作中全体を通して重要なキーワードとして繰り返し登場する。)
また、この出来事をきっかけに、彼女は占星術というものをあまり好まなくなったとされる。

「雨上がり」では最初で最後にウニの前に現れ、その五色地図のタリスマンをウニに授けた。

  • 奥陽子

京介が数少ない心を許せる友人。
名字に反して、性格は良くいえば明るく、悪くいえば少しバカっぽく馴れ馴れしい。
京介とは席が近く、入学初日から自然と距離を詰めて接してきた。最初こそ京介は困惑していたが、次第に心を開き、友達作りが苦手な自分に寄り添ってくれたことに感謝を抱くようになる。
ハムスターにアレルギーがあり苦手としている。

その本性は狡猾さに満ちたクズ。
京介が不良だという噂を意図的に流布し、自分と常に行動を共にさせるよう仕向ける一方で、小学生時代にいじめて窃盗を強いたことのある高野志穂と島崎いずみに対しては、それを脅迫のネタに利用。
苛烈な暴行を加え、金を巻き上げてはブランド品を買い漁った。
その結果、高野志穂は一時的に不登校となり、島崎いずみは自殺未遂にまで追い込まれている。
また脅迫の際には、普段から自分と行動を共にしていた顔立ちの怖い京介を利用し、「逆らえば本物の不良である京介に“売り”をさせられる」と吹き込み、恐怖で縛り付けるなど、表向きの性格とは反対に悪知恵は相当に回る。


  • 高野志保

バレーボール部に所属する、京介のクラスメート。
眼鏡をかけた地味な印象の人物で、京介も当初は目立たないタイプだと感じていた。
「天使」で初登場した際は、島崎いずみと行動を共にしており、京介に対しても怯えるような態度を見せていた。
背景には、陽子から執拗ないじめを受けていた事情がある。
しかし、京介がそのいじめの実態を暴いたことをきっかけに、彼女は京介に心を開き、以後は交流を持つようになる。
「怪物」では、京介の力になろうとして積極的に協力を申し出る場面が描かれる。
また「館」では、京介が「クラスで唯一の友達」と語るほどの関係にまでなり、二人で京子の館へ乗り込むことになる。

  • アンダ朝岡

占い師として生計を立てている、50歳前後の女性。
小太りの体格で世話好きな性格をしており、周囲の人間を自然と和ませる柔らかな雰囲気をまとっている。
「怪物」にて京介と出会い、彼女を可愛がりながら占いを教えるいわゆる京介の師匠となる。地元の情報誌には占いコーナーを持ち、さらに「アンダのキッチン」という、占いと軽食を提供する店を経営している。
地域ではそこそこ評判。占いのスタイルは西洋占星術を主軸としつつ、タロットなども扱っており、その知識と経験は京介をはるかに凌ぐ。
数年前に夫と死別しており、さらに自分自身の死についても占いの中で既に読み取っている。
そのためか、物事を達観したような落ち着きを見せる一方で、ふとした瞬間に拭いきれない寂しさを覗かせることも。

加奈子編



戻れない過去はなぜこんなに優しいのだろう。

師匠が自らの大学一年生から二年生にかけての思い出を回想する形式で語られる。
冒頭が「師匠から聞いた話だ」から始まる作品は、必ずこの章に属している(ただし、この一文がなくても同章に含まれる場合がある)。
物語の根幹に関わる設定に迫る内容が多く、ストーリーに一貫した連続性があり必然的に長編となることも多い。
現代編のように怪異の正体を曖昧なままに留めるのではなく、その正体や本質を解き明かそうとする構成の話が多いことも特徴である。
時系列は1991年から1992年で、京介の過去編と被っている。

小川調査事務所


小川が所長を務める零細興信所。高谷総合リサーチの市川からたらい回しにされてくる「オバケ案件」、すなわち非現実的で不可思議な依頼を大きな収入源としている。その性質ゆえ同業他社からは半ば嘲笑の対象となっているが、意外にも「オバケ案件」に関する依頼数は多く、一定の需要を集めている。

  • 師匠(ししょう)

ご存じ、我らが師匠。
しかし過去編に登場する師匠は、現代編のようにスレた人物ではなく、初期のウニに近い純朴で、少し臆病で、心優しいちょっと霊感があるだけのごく普通の青年として描かれることが多い。
実際に霊感も現代編と比べて弱いそう。
オカルト絡みの騒動では、いつも加奈子に助けられてばかりで、ほとんど戦力にならない情けない姿を晒すこともしばしば。
現代編の冷静で達観した師匠とはまるで別人のようである。
加奈子とは、彼女の弟子であると同時に、「同じ釜の飯」と評される兄妹のようでもあり、仲間のようでもある関係だったと振り返っている。
彼女の奔放でいい加減な性格に呆れたり、時にはドン引きしたりしながらも、オカルト道の師匠としての尊敬と、異性としての好意の入り混じった複雑な感情を抱いていた。(もっとも、現代編の師匠の加奈子に対するあの異常なまでの盲信に近い感情は、彼女の死後に形成されたものであるらしい。)
また、もともと加奈子とコンビを組んでいた夏雄には、恋敵としてのわずかな敵対心を(夏雄に限らず加奈子が男と仲良く話していると僻む描写が多々ある)、得体の知れない服部にはかすかな恐怖心を抱いている。
作中では、小川調査事務所で「オバケ」絡みの奇怪な案件を扱う加奈子の手伝いとして「坂本」という偽名を使って働き、スズメの涙ほどのはした金をバイト代を受け取っていた。
「刀」にて脇差を手にする。

  • 浦井加奈子(うらいかなこ)

じゃあ、行こうか

1967年生まれ。師匠のさらにオカルト道の師匠にして、作中における初代師匠。
ニット帽がトレードマークの女性で、左頬の下に古傷があり、興奮するとその傷跡が赤く浮かび上がって痒くなるという癖を持つ。
師匠が大学に入学した当時はすでに院生であり、あらゆる学部のキャンパスを自由に出入りするその神出鬼没ぶりから、「妖精」のあだ名で呼ばれていた。

オカルト絡みの事件においては、師匠すら凌駕するほどの霊感・知識・推理力・行動力を備えており、ほとんどの事件を単独で解決してしまうほどの実力者である。
性格は唯我独尊。
他者や時には死者に対して思いやりを見せる一方で、自らの好奇心を満たしたり、自身を陥れた者に報復するために苛烈で悪趣味な手段を取ることもあり、その危うさと人間味が同居した二面性が魅力でもある。

師匠からは「天性の人たらし」と評され、実際に作中では多くの人々を惹きつけ、無意識のうちに自分を助けさせてしまうような強いカリスマ性を持つ。
もっともその交友関係の多くが(まともな大学教授や資産家、刑事などもいるものの)奇人変人が大多数を占めるが。

多趣味かつ器用で、稲川淳二を「お笑い」として楽しむ一方、喫煙家でもあり、ホーミー、手品、俳句、写真、紅茶やスコーン作りなどに夢中になるなど、好奇心の方向に一切の節操がない
「バーガーがある風景」という謎のテーマで写真を撮りまくったり、自作で霊道を構築したりと、その行動範囲は常軌を逸している。絵も上手く、何をやらせても一通りこなしてしまうタイプである。
スポーツに関しても例外ではなく、野球・プロレス・水泳・登山・ビーチバレー・短距離走など、思いつく限りの競技に手を出し、どれも「観る」より「やる」派。
その運動神経とバイタリティは常人離れしており、特に足の速さは一級品。ただしその特技が発揮されるのは主に逃げ足としてであり、逃げる野良猫を追い抜いたり、警察に追われて全力疾走している姿を目撃されたりしている。
野球に関しては、かつて少年野球チームで男子に混じって活躍していたそう。
現在も公園で野球遊びをしている少年たちに一方的に本格指導を始めるなど、もはや通報寸前の情熱を見せる。
ちなみに阪神ファン。
また、幼少期の夢は宇宙飛行士で今でも天体などには関心がある模様。
蜘蛛は幼少期のトラウマで意外にも苦手としている。そのほかにもヤクザ嫌いで後述する松浦たちには悪態をつく。

基本的には面倒くさがりでありつつもどこか子供っぽさもあり陽気でよく笑う人物として描かれるが、映っているものすべてを無価値と見るような冷徹な眼差しを覗かせたり、「死んだあとの方が面白そうだ」と語るなど、人生そのものをどこか諦観しているような一面も見られる。
小川調査事務所で「オバケ」といわれる不可思議な依頼を請負い解決するというバイトをしている。(偽名は中岡)
しかし、その稼いだお金は趣味の呪物蒐集(ただし、蒐集する呪物の効果はどれもお墨付きレベルのもので怪異を撃退したり、災害のようなもの、国宝級の祟り神と称されるとんでもないものまである。)に向けられ、拾い食いするレベルの貧乏生活を送っている。
一応他人に食べ物をたかるときは一応料理を作ってくれるらしくその腕も悪くないものの、ムニエルばっかり作ると語られている。

幼いことに「天狗(アマキツネ)」という存在の肉を食らったことでナイトセルという特異体質持ちを獲得する。
これは簡単にいうと死に直結するような怪我を負っても元通りに回復できる超再生能力
彼女を示す言葉として「ぐそうむどい」という言葉がたびたび登場するが、これは沖縄の方言で、ぐしょうむどぅい(後生もどり)。つまり、黄泉返りを意味しナイトセルを保持する加奈子の体質を表していると思われる。
ただし、その効果も何度でも使えるわけではないようで、前述の左頬の下の古傷から光の粒子が漏れ出るという奇妙な事態を師匠は時折目撃しているが、これはナイトセルの機能が弱っていることを示すものだと語られている。

最終的に師匠が「死んだ」と明言している。
死が近づくにつれ目が見えなくなっており、死の直前は病室に臥していたそう。
「田舎」では、彼女を思わせるキラキラと光る粒子という記述が確認でき、師匠に憑くみこがみという守護霊のような存在となった可能性が示唆されている。


  • 小川

小川調査事務所の所長。
姉は後述する夏雄の母・春子であり、夏生の叔父にあたる。
ネクタイをほどく癖を持つゆるい服装に身を包んだ砕けた印象の大人で、人あたりが良く、初対面の相手の緊張を自然に和らげるような人物である。
しかしその外見とは裏腹に、実は元刑事であり、県警本部刑事部捜査第一課の強行犯係という、いわゆるエース部署に所属していた過去を持つ。
巡査部長にまで昇進していた実力者であったが、当時の捜査第一課長であった高谷が警察内部の腐敗に失望して退職し、のちに高谷総合リサーチとなる興信所を開業したことをきっかけに、高谷に引き抜かれる形で警察を辞めた。
その後、高谷総合リサーチでエースとして活躍後退職し、自身の事務所である小川調査事務所を立ち上げ、現在に至っている。

普段は掴みどころのない態度を見せる一方、元エリート刑事としての資質は健在であり、特にヤクザが関わる案件になると一転して短く的確な指示を飛ばす。
情報屋の田村昌幸からは「凄い探偵だ」と評されるなど、切れ者としての一面も随所で描かれている。
具体的な時系列は不明だが、高谷の娘である律子と結婚し、息子の冬馬を授かった。
律子のことは「りっちゃん」と呼び非常に大切にしており、彼女に関わることになると、普段は見せない余裕のなさを露わにすることがある。
律子は事故により右足が不自由となり、杖をついて生活している。

また、田村の兄とはかつてコンビを組んでいたが、律子が前述の事故で大怪我を負ったことをきっかけに解散したとされる。
その後、田村の兄は自動車事故で死亡しており、詳細な経緯は明らかにされていない。
不破刑事とは警察学校時代の同期であり、飄々とした小川と元暴走族の不破という正反対の気質ながら、なぜか馬が合い、配属先が分かれた後も何かにつけて行動を共にしていたと語られている。
小川が刑事を辞めたことで一時は絶交状態となったが、近年は交友関係が復活しており、愛息子の冬馬を交えて付き合うこともある。
もっとも、小川本人は、冬馬がガサツな不破にやたらと懐いていることをぼやいている。

なお、前述の通り冬馬は実子ではなく養子であり、夏雄が親戚筋にあたることを理由に引き取られた子どもである。その事実は周囲には伏せられている。
最終的に高谷がタカヤ総合リサーチの所長の地位を譲り受け、「服部調査事務所」と名前を改めた小川調査事務所のオーナーという立ち位置になった。

  • 服部

小川調査事務所で小川の助手としてアルバイトをしているフリーター。
扱うのはオカルト絡みではない、いわゆる「普通の案件」が主。
無愛想で無口、いつも事務所の人間に対して(特に加奈子に対して)嫌悪感を示すような冷たい視線を向けており、師匠は職業柄この対人スキルで大丈夫かと心配していた。(とはいえ、実際に嫌悪感を向けているかどうかは明らかではなく、まれに加奈子の実力を認めるような発言も。)
常に物静かで存在感が薄く、加奈子からは苗字も相まって「ニンジャ」と呼ばれからかわれている。
一方で、その影の薄さゆえに尾行の技術は卓越しており、小川からは「あいつはあれだけで食っていける」と評されるほど。

また、何故か立光会の複数の構成員と繋がっている。
後に小川調査事務所を引き継ぎ、自ら「服部調査事務所」を設立する。

小川調査事務所の協力者、関連人物


  • 黒谷夏雄

カルト的人気を誇るパンク系アマチュアバンド「モーター・サイクル・ダイアリーズ(MCD)」でドラムを務める男。
小川の甥でもある。一応師匠や加奈子と同じO大学の学生のようだが持ち前の放浪癖でふらりと中国に行ったりしてキャンパスにはほとんど姿を見せない。
加奈子からは「強姦殺人前科一犯って感じのやつだよ」と評されるほど、鋭い目つきと威圧感を放つ筋肉質の大男である。演奏の際には、なぜか常に上半身裸でステージに立つ。

寺の息子で霊感が強く、かつては師匠の前に加奈子とコンビを組んでいた。腕っぷしは常人離れしており、幽霊を威嚇して追い払ったり、ヤクザを一方的に叩きのめしたり、壁に拳一つで穴を開けるほどの怪力を持つ。
無口で攻撃的な性格であり、寺に持ち込まれるお焚き上げ品を横流しするなど、倫理観に乏しい一面も見られる。
しかし、妹のアキに対しては優しく、その体調を気遣うなど兄としての情を見せることもある。


  • 写真屋

本名は天野。
メロンソーダが好物。
薄汚くこじんまりしたマンションの一室を写真現像のための仕事場にしてそこに住んでいる。髪は伸び放題で見るからに不健康な肥満体型、風呂にも入っていないような不潔感のある男。
喋る時に変な笑い声のような音を出す癖があり、師匠から生理的な嫌悪感を抱かれている。
小川調査事務所に浮気調査に関する証拠写真などの現像で協力することも多々。
少々アングラな特殊な写真屋でも現像してくれない、本当にアンダーグラウンドな写真を、さらにその数倍の料金を受け取ってそれを現像することを生業としている。
自身もグロテスクな写真の収集を趣味としている。時折、加奈子に歪んだ好意を見せる。

  • 不破刑事

西警察署の刑事で、ヤクザなどに対応する刑事第二課二係主任(階級は巡査部長。)
よく加奈子とつるんでいる不良刑事。
短く刈りそろえた頭に、周囲を威圧する鋭い目つき。右目の眉の上には刃物でついたらしき古傷があるという厳ついビジュアルをしており、師匠からはどう見てもカタギの人には見えないと評される。
前述の通りとは警察学校時代の友人。冬馬に懐かれており、彼も冬馬を可愛がっている。
「丘陵研究会にようこそ」ではかつて加奈子に好意を抱いていたことが明かされた。

  • 野村

O大学附属病院の循環器科で看護婦長を務める、五十歳前後の女性。
かつて加奈子が入院していた際、根気強く世話をしたことがきっかけで親しくなり、その縁は現在も続いている。
加奈子のことを実の娘のように大切に思っており、「心霊写真」、「巨人の研究」では口では文句を言いながらも、実際には献身的に協力してくれる存在である。
もっとも、加奈子の側もその善意をしたたかに利用している節がある。

なお、加奈子と初めて出会った当時、彼女は産婦人科に勤務していた。
出会いのきっかけは加奈子の出産であったと考えられており、鹿田に加奈子を引き合わせたのも彼女である。

  • 鹿田実

O大学の元医学部部長。現在は故人。
鷲鼻で彫りの深い顔立ちをした長身の老年男性で、物腰や口調はあくまで紳士的だが、どこか人を圧する威圧感を滲ませている。
鹿田総合病院を擁する医療法人・鹿鳴会グループ会長の娘婿という立場にあり、かつてはO大学病院と強く癒着していた角南グループ傘下企業・ヤクモ会と激しく対立。
O大学病院の主導権を巡る権力闘争の末、最終的に勝利を収めた。
その経歴から現在もヤクモ会や角南グループと現在も敵対している。東京大学医学部を卒業後、O大学医学部にて医学科長を務める傍ら、県医師会の理事を兼任。
大学退官後は鹿田総合病院の理事長に就任し、来年には県医師会のトップに就くことが内定していた。
専門は免疫病理学で加奈子の主治医として外部に秘匿しつつナイト・セルの研究をしていた。


  • 田村昌幸

いつも季節外れのコートに身を包んでいる、三十代前後の男。
喫煙家であり、自らを情報屋、ルポライター、売文屋と称している。
七つ年上で小川とコンビを組んでいた情報屋の兄に強い憧れを抱いており、その兄が自動車事故で亡くなったことを契機に、彼自身も同じ道へと足を踏み入れた。
しかし、努力や根性は人一倍あるものの、兄のような鋭いセンスには恵まれず、結果としてうだつの上がらない生活を送っている。
「心霊写真」は、彼が一枚の写真を小川調査事務所に持ち込んだことをきっかけに始まる。

  • 仁科

大きく盛った紫色の髪に、太い黄色の縁取りが目を引くサングラスという、強烈なビジュアルが特徴のおばさん。
O市の中心街で代々手広く商店を営んできた家に生まれ、婿養子を迎えて商売は夫に任せ、自身は婦人会をはじめ、商工会や地域コミュニティ活動など、さまざまな会合で役員を務めている。
その経歴ゆえ顔が非常に広く、小川調査事務所にいつもオバケ案件を持ち込んでくる存在。
ちなみに高谷総合リサーチにも普通の案件を紹介している。
世話好きで噂話が大好きな、典型的なおばさん気質の持ち主。

  • 松崎

小川調査事務所の面々ご用達の闇医者。
喧嘩の怪我や、尻に銃創がある怪我人がやって来ても何も言わず治療してくれるらしい。
看護師は雇わず一人で治療をする。

  • 宮内

かつてO大学で日本史研究の教鞭を取っていた短く刈り揃えた白髪の男性。
3年前に退官してからは、郷土史家という肩書きで趣味の研究を継続している。
黒縁眼鏡をしていて、柔和な印象を他人に与える。
加奈子だけは定期的に顔を見せに行くらしい。
加奈子と師匠に犬神人の知識を授けた。


  • 東西

目は細く、少し垂れていて、柔和な表情を浮かべているような好好爺とした人物。
そこらに転がっている石から常人には読み取れないことを読み取ることができるという不思議な能力を持ち、いつもこれで時間を潰しているらしい。
O県にある日本最大級の国立天文台の元所長という肩書を持つ。
古い天文資料やO市の地理、歴史にも詳しい。
ちなみに、UFOを見たことがある。

  • せんせい

山奥の小屋に住む浮世離れした仙人風の人物。
いわゆる雲消し名人というやつで、バイク屋の本業を息子夫婦に譲り辞めた後は先祖元来の山に隠居して趣味としてやっている。
弟子をとって無料の雲消し講座のようなことをしており、弟子には雲の種類の名前をつける。(加奈子には「わた雲」、師匠には「肋骨」、スキンヘッドのおじさんに「無毛」とつけて怒らせたこともあるらしい。)
最近、O市の雲の異常を感じとっているよう。


  • 小川冬馬(おがわとうま)

小川の1人息子。1985年生まれ。
「幽霊物件」の時点で(師匠が大学二回生の春)小学校1年生になったばかり。
おとなしくて可愛らしい子と師匠の口から語られている。
前述の通り実は加奈子と夏雄の息子。
コワモテの不破やMCDのリーダーでギターの剛田によく懐いているのも、父親の面影を持つ人間に甘えたがっていたからだろうか。
過去編ではほとんど登場しないが、「丘陵研究会へようこそ」では主人公となる。詳細は後述。


  • アキ

1983年生まれ。本名は黒川秋奈で、夏雄の妹。
病弱でありながら加奈子から「この子は、わたしや夏雄なんか及びもつかない、正真正銘の霊能力者だよ」と評されるほど、作中でも群を抜いた霊感の持ち主である。
土器時代や石器時代の人間の霊を、まるで実在の人間と見分けがつかないほど鮮明に視ることができる圧倒的な霊視能力を持つ。
夏雄には強く懐いている一方で、加奈子のことは苦手としている。
写真に写り込んだ死者を識別することも可能であり、膨大な体力を消耗しながらも、その者が目を閉じるかを確認することで、映り込んでいるのが生者か死者かを判別できる。
その他、念写も可能であることが示唆されている。
「ビデオ」では中学生ほどに成長した姿で再登場し、師匠からは「高校には上がれそうなのか」と心配されている。
そして実は、彼女は加奈子と夏雄の実の娘で冬馬の姉である。

喫茶ボストン

ボストンは小川調査事務所の入っている雑居ビルの一階にある喫茶店。
カナダ直送のメープルトーストが師匠に大変評判。
昼は喫茶店として閑古鳥で来店するのは小川調査事務所の面々がほとんどだが、夜はバーとして多少儲けているらしい。

  • マスター

五十代前後で、しょぼしょぼとした目つきと無精髭がトレードマークの喫茶ボストンの管理人。
神経質な性格で、客のいないカウンターでさえ師匠が「塗装が剥げるのではないか」と心配するほど、いつも丹念に布巾をかけている。
かつては、加奈子が持ち込むお化け絡みの厄介事にたびたび巻き込まれ、店が壊されかけるような騒動に遭うこともあり、そのたびに持病の胃痛を悪化させてきた。
それでも「馬霊刀」では、そうした日々を懐かしく、そして大切な思い出として振り返っており、苦労を笑って語れる懐の深さを持つ人物。

  • ひかり

ボストン唯一のアルバイトで師匠より二つ年上の専門学校生。白い髪留めが特徴の笑顔が爽やかな女性。

タカヤ総合リサーチ

O県最大手の興信所。
持ち込まれたオバケ案件が小川調査事務所に横流しされており、経営する高谷が小川の親類ということも相まって小川調査事務所との繋がりは深い。

  • 高谷英明

タカヤ総合リサーチのオーナー兼所長を務める、六十歳を越えてなお若々しく精力的な男。
海外にも頻繁にゴルフコースを回りに行くため、いわゆるゴルフ焼けで肌は黒光りしており、その様子を加奈子からは「ああいう色のゴキブリいるよな」と評されている。
律子の父であり、小川にとっては義理の父にあたる人物。
もともとはO県警本部の捜査第一課長を務めており、重低音のよく通る声で人を迎える。
部下からの人望も厚く、小川をはじめ部下たちからやり手として一目置かれる存在だったが、その強い正義感ゆえに警察と暴力団との癒着を看過できず、志半ばで警察を途中退職した。
その後、自らタカヤ総合リサーチを立ち上げ、O県最大規模の調査事務所にまで育て上げることに成功する。
現在もなお警察内部に深いパイプを持ち、その人脈を用いて小川や加奈子を陰ながら支援することも。


  • 市川

高谷総合リサーチの受付を務めるベテラン事務員。
長年この業界で働いてきた経験から、所内では頼れる存在である一方、その底知れなさゆえ畏怖の対象にもなっている。いくつもの興信所を渡り歩き、業歴は三十年以上。
業界の光も影も知り尽くしており、現場の事情にも裏の事情にも妙に詳しい。
お喋り好きで、下世話な一面も。加奈子のことを気に入り、なにかと目をかけて可愛がっている。
仁科と同じように、高谷総合リサーチに持ち込まれる「オバケ案件」は、彼女の采配で加奈子に回されることが多い。

その他の関連人物


  • 弓使い(ゆみつかい)

邪魔をするな。
この街に潜んでいる、あの見えない悪意は、私以外の手には負えない

本名は山田あすみ。
身長は165センチから170センチほどで女性にしては大柄。端正な顔立ちをしているが、幼少期変質者に目を抉り出されたことにより、右目が完全に潰れており、左目は義眼で全盲である。
しかし、自分の頭の中で世界を想像することにより、周囲の状況を正確に把握し、怪異の存在を捉えることができる
油の弓という名の代々受け継がれた穢れ払いの弓は彼女の世界に引き込まれ、普通の人には見えなくなったことが語られている。

鳥井流という弓術の使い手であり、人間を弓で穿ち、取り憑いた悪霊を祓う古来の犬神人の末裔にしてその技の継承者
その力は圧倒的で、「馬霊刀」では武士の霊の大群を瞬く間に殲滅した。
生身の人間でありながら師匠や加奈子を戦慄させる凄まじい殺意を放つ。
幼い頃は長い間誘拐・監禁され、血族からは愛されないばかりか制欲の捌け口として都合よく扱われ、チンピラの情婦となって顔の怪我から最底辺の風俗で働かされるという作中でもトップクラスの悲惨な人生を送っている。が、その精神性は高潔で作中の舞台であるO市を守るという自身の正義を掲げ単独行動をしている。
よって、O市を取り巻く見えざる悪意、角南一族とは敵対しており、「やはり、もっとも危険なのは、あなたでしたね」とも評されるほど。
しかし、その手段は苛烈で跋扈する悪霊を取り憑いている人間ごと射抜き祓うという連続通り魔事件を引き起こしていた。
加奈子とは方針の違いで完全に対立しているものの、師匠は彼女に敵対意識を向けきれておらず、協力を考えている。
実際に作中では師匠のアパートに一時的に避難してきてきて、彼女はその件について下手に出て感謝するなど明確に敵というわけではない。

「田舎」では、経緯は不明ながら師匠に憑くみこがみとなったことが示唆される。
たとえみこがみでもその圧倒的な力は健在で、恐ろしい力を見せたもつれ大夫を一瞬にして消し去った。

  • 松浦恵介(まつうらけいすけ)

私が見ている世界は、あなたの見ている世界と似ているだろうか

立光会の下部組織・石田組の若頭補佐であり、立光会内部でも序列の高いいわばヤクザのエリートにあたる三十代後半ほどの落ち着いた風貌の男。
母親は立光会先代の愛人で、本人は「先代の息子」という噂を自ら流しているが、実際には血の繋がりはない。

言葉遣いは常に懇切丁寧で、冷淡ながらも礼節を保っている。しかし時折、その仮面の下から人の命を、なんとも思っていないと評される蛇のような冷たさを覗かせる。その瞳の奥には、底知れない虚無が広がっていると繰り返し描写されている。

(過去編とはいえ)師匠ですら視認できなかった霊を見通すほどの高い霊感を持ち、また、リュックに誰にも気づかれず大量の札束を仕込むといった、常識外れの技巧も見せる。
さらに本の内容を完全に暗記するほどの記憶力を誇り、「心霊写真」ではすべてを自分の掌の上で転がすように物事を操る、作中屈指の頭のキレを持つ人物として描かれている。
また、なぜか服部と繋がっている。

若い頃の彼は抗争の中で敵の片腕を切り落とし、傷口に蛆の卵を埋め、「孵化したら殺す」と宣告。
相手は自らの腕を食い破ってウジの幼虫が顔を出すのを願うまでに追い詰められ、やがて発狂。
その残虐さと狂気は底知れない。   

この冷徹な印象に反して、彼の行動の根底には人間味と狂気の奇妙な混在がある。

「心霊写真」では、幼い自分が写った一枚の写真に映り込んだ父親が、実際に生きてその場に存在していたのか、それとも霊として写り込んだものなのか。
その真実を知るためだけに、彼は組織としての大義名分すら捏造し、複数の勢力を巻き込んでいく。
目的のためなら歯止めが利かなくなるその異常な執念と、私情に突き動かされる人間臭さの双方が、強く描かれる。

最期は、加奈子と同じ日に死を迎えたことが石田によって語られている。(ある考察では、もつれ大夫が最期に呟いた「なんだ、この闇は」という言葉が彼を示唆するものとの説も。その場合、彼も師匠のみこがみになったということであるが…)


  • 西岡→石田

長めの髪を茶色に染め、ど派手な紫のジャケットを羽織った、前歯の欠けたチンピラ風の男。
軽薄で小物じみた言動と行動が目立つが、それは彼自身が意図的に演じている仮の姿にすぎない。
その本性は、ヤクザという徹底した上下関係の世界にいながら、兄貴分への畏敬の念を欠き、自らが力を握り、周囲を出し抜く機会を密かにうかがう冷徹で用意周到な男である。
本人も「人を見かけで判断してはいけないと、教わらなかったか」と語っており、表面上の軽さとは裏腹に内面には深い計算高さを秘めている。
戦闘ではボクシングを思わせる立ち回りを見せ、ナイフの扱いにも長けている。
その実力は師匠から「喧嘩のプロ」「恐ろしい」と評されるほど。(もっとも、夏雄との対決では一方的に叩きのめされてしまったが。)
だが、その独断行動が松原の逆鱗に触れ、制裁を受けたことが示される。

「猫」では、彼が再び師匠たちの前に姿を現し、その名字が「石田」であることが明かされる。
松浦たちを出し抜き、石田組の跡目を継いだ可能性が示唆されている。

そのときの姿は、以前とはまるで別人。
オールバックに撫でつけた髪、薄いグレーのスーツに濃い青のシャツを胸元まで開けた装い。
切れ長の冷たい目を持つ。歯も揃い、左腕は失われていた。
奇しくも松浦を思わせるような風貌でうにも最初は彼を松浦を勘違いした。
ウニはその姿を「裏社会で地位を築いた人間の佇まいそのもの」と評し、師匠は彼を前にして珍しく余裕を失い、あからさまな憎悪と殺気をあらわにした。
さらに、彼が服部とも繋がりを持っていることも明らかとなった。

角南一族

街を取り巻く様々な怪事件の裏で暗躍する一族。
シリーズの舞台となるO市の政治、経済を掌握し盤石な地位を築いている。
彼らが経営を営む角南グループは、戦前から海運業などで財を成し、GHQから財閥解体指令を受けるリストから、最後の最後で漏れたとの噂も持つ地方財閥。

  • 角南大悟

畏敬をもって「老人」と呼ばれる、戦後日本史のフィクサー。
一代にして角南グループを創設し、政財界にまで影響力を及ぼす地方財閥へと育て上げた。
かつては陸軍士官学校の教官を務めており、その教え子たちを自身の信奉者に仕立て上げ「消えた大逆事件」を実行させた真の首謀者でもある。
天皇の座を乗っ取り、O市にじぶんを中心とした新たな首都を築くという計画を立てていたとんでもない人物。
彼を写した写真はアキが死者を目を閉じるか否かで判別できる能力を行使した時には一度眼を閉じて半眼を開けるという異常な反応を見せ彼女を狼狽させ、それをコピーしたものは必ず彼の顔が黒く塗りつぶされるという得体の知れなさを見せる。
写真の件に関わった関係者が次々を怪我を負ってもいる。
加奈子からは「化け物だ」と評され、師匠は御霊を想起した。

「丘陵研究会へようこそ」では黒鳥家によって彼が死してなお呪われ続けることで封じられている描写がある。

  • 卵男

加奈子の隣室に住む人物。
卵の殻を思わせる、のっぺりとした無表情な顔立ちが特徴である。
何故か姓を名乗ると必ず間違えられるため、本名は不明。
職業についても同様で、詳細は明かされていない。

元々が老朽化したボロアパートの住人であるうえ、加奈子に食べ物を無心する姿から、師匠には「よほど困窮した生活を送っているのだろう」と認識されている。
しかし一方で、百科事典を所持していたり、加奈子の「慈悲深い神の不在を嘆くやつらは、どうして無慈悲な神の実在を畏れないのかね」という難解な言葉に自然に同意するなど、随所で不釣り合いな教養の深さを垣間見せる。

「馬霊刀」において、彼の真の名字が角南であることが判明する。
このエピソードでの登場は極めて衝撃的であり、彼が「見えざる悪意」の中枢に位置する存在であることが示される。
卵男は馬霊刀を供物として用い、何らかの儀式の実行を計画しており、その際には自らを「私は、心臓ですよ」と称している。

また、加奈子および師匠の認識を改変する能力、瞬間移動にも似た挙動、さらには肉体が膨張と収縮を繰り返すといった描写がなされ、生身の人間とは思えない異常な能力を発揮する。

作中では、彼の正体についての示唆も与えられている。
現・角南グループの実質的支配者である角南盛高に「……優秀な男だ」「あれは、恐ろしい」とまで評され、謎の研究を継続している盛高の孫、角南真悟こそが卵男の正体ではないか、という可能性が示されている。
しかし、その詳細は明確には語られておらず、多くの点が謎のままとなっている。

  • 角南盛高

現・角南グループの実質的な支配者。
第二次世界大戦中は青年将校として従軍し、当時のビルマにおいてウエイザーと呼ばれる超能力者と遭遇したことをきっかけに、超能力研究に強く取り憑かれる。
その後、角南グループ内部に研究室を設立する。
彼の立ち上げたウエイザー研は「怪物」や「バチェルダーの部屋」などの舞台裏で暗躍しており、加奈子に天狗の肉を食わせた菅田洋一郎も目をつけられていたことが示唆される。
現代編の「赤」では彼と思われる老人が登場し、経緯は不明ながら師匠と何らかの協力関係を締結している様子。

劇団くじら座、毒を飲む会

「劇団くじら座」は、O市を拠点とする小劇団。
最大の特徴は、すべての演者が白い仮面を着用して舞台に立つ点にある。
「くじら座」は作中でたびたび重要なキーワードとして登場し、彼らが上演する劇の脚本は、あたかもO市で発生する怪事件を予見しているかのような内容になっている。
「毒を飲む会」は、その名の通り、毒に関する知識や、時には実際の毒そのものを嗜む非合法の秘密クラブである。
写真屋もこの会の会員の一人である。
入会には既存会員からの紹介が必須で、開催の知らせは会員宛に手紙として届く。
会場は主にビルの地下室など人目につきにくい場所が選ばれ、参加者は全員偽名を名乗り、仮面を着用して集う。

  • 達樹蓮、ゾディアック

劇団くじら座の座長にしてオーナーであり、脚本も手がける人物。
また、毒を飲む会の主催でもありゾディアックとも自称している。

顔に火傷を負っているとされ、そのため縁にのたうつ蛇のような黒い模様が刻まれた、台湾で手に入れたという「偽悪者の仮面」を常に着用している。
劇団員や毒を飲む会の誰一人として、その素顔を見た者はいない。
「毒」では、ボイスチェンジャーを用いて京介と京子に接触し、「飲むと夢が変わる」と噂される水の売人として登場する。
また、毒を飲む会の主催者として毒に対する造詣はきわめて深い。
人間に暗示をかけて幻覚を見せ、直接手を下すことなく相手を毒殺するという異様な力を披露し、京子からは「人間ですら、ないみたい」と評される。
この際、彼がもともと「くじら座」が黄道十二星座として存在していた世界にいたことが示唆され、京子と同じような経験を持つことが示唆される。(この描写から「誕生日」に登場した角南を名乗る男児、ひいては角南大悟や前述した卵男と同一人物である可能性も。)
また、仮面の下からは真反対の意見を述べる二つの声が聞こえるという、不可思議な描写もなされている。
さらに、「毒」の終盤では、経緯は明らかにされないものの、瑠璃と敵対関係にあることが判明する。

  • 吉崎

劇団くじら座の副座長。
劇団で唯一達樹と直接連絡を取ることができる。
話しながら髪をかきあげる癖があるらしく、加奈子いわくキザで気色悪いやつ。

  • 曽我タケヒロ

「風の行方」の元凶と考えられる人物。
劇団くじら座に一度入団したものの、すぐに辞めたらしく現在の消息は不明。

丘陵研究会へようこそ



舞台は2004年。
オカルト道の師弟たちが紡いできた物語の円環が閉じられる。

師匠シリーズの最終章と打ち出されたシリーズ。今までの伏線も多数回収されており、懐かしいあのキャラクターが登場したり、重要な設定の詳細が明かされたりしている。

丘陵研究会


音響により2003年に詳細は不明ながら冬馬のために設立された、表向きは陰陽道の一族の史跡研究を行う、実態はオカルト研究サークルを超えた超能力者グループである。メンバーの全員が霊感を保持している他、特殊能力を保持していたり特殊な血筋を由来する人物である。

  • 小川冬馬(おがわとうま)


  • 音響(おんきょう)

ご存知の通り。本章における師匠役であり、丘陵研究会の部長を務める人物である。
謎の演技力を駆使して冬馬にハニートラップを仕掛け、弱みを握ったうえで彼を手玉に取り、丘陵研究会へ引き込むことで何らかの目的を果たそうとする。
喫煙者で、愛煙はマイルドセブン。
語学の勉強は継続しており、絵の腕前も高く、冬馬からは才媛と評されている。

どうやら、もともと京子の所有物であった五色地図のタリスマンをウニから継承したらしく、常に肌身離さず持ち歩いている。
終始ポーカーフェイスを崩さず、内心を読み取ることは難しい。
左の全ての指を呪い指として完成させており、その底知れなさは、作中でもたびたび強調される。

角南グループや服部調査事務所とも繋がりを持ち(岡田蝶子の偽名を使っているそう)、すべての因縁を一人で背負い込んでいる様子は、こうジュルする黒図からも案じられている。
彼は、その使命のバトンをいずれ冬馬が受け継ぐことを期待している。
一方で、自分の貧乳を気にしたり、うっかり屁をこいたことを誤魔化したりと、年相応の女子大生らしい一面を見せることもたびたび。
彼女の真意は未だ明かされていないが…?

  • モリゲン

本名は森本弦。
巨大な肉の壁とも形容されることのある、オカッパ頭の夏雄と肩を並べるレベルの筋骨隆々の大柄な人物。
オカマで『スピード・ハート・クラブ』というゲイバーでアルバイトをしている。
外国製のメンソールたばこを日常的に吸うのが習慣。

高校時代は柔道で頭角を現し、金鷲旗大会において十人抜きを達成するという偉業を成し遂げた多くの強豪大学からスカウトを受けるほどの実力者。
見た目どおり、その腕っぷしは文字通り化け物じみており、地元の柔道界では顔の広い存在として知られている。

彼女は一度、元自衛官である父の勧めにより防衛大学校へ進学している。
父については「日本男児はかくあるべし」という価値観を強く持つ厳格な人物だったと語っており、自身がオカマであることも、その抑圧に対する反動が原因かもしれないと自己分析している。
ただし現在では父との関係は徐々に修復されつつあり、学費も援助してもらっているようだ。

幼少期から、物に残留した思念を読み取るサイコメトリー能力を有している。
ただしテレパシーとは異なり、読み取れるのは何度も繰り返し考えられたり、長期間にわたって抱かれたりした、強く付着した思念に限られる。
応用として、強い念を抱いている人物に触れることで、その考えを断片的に読み取ることも可能だという。

一見すると便利な能力だが、彼女自身は「気味悪がられるから」という理由でこの力を好んでいない。
防衛大在学中、寝技の練習の際に、柔道部員全員がオカマである自分との稽古を嫌がっていることをサイコメトリーで読み取ってしまい、深く傷つき鬱状態に陥った。
その結果、柔道を一度辞め、防衛大も中退している。
その後、地元に戻り、母親の勧めもあって舞台となるO大学へ再入学した。
こうした経歴から実年齢は不詳だが、丘陵研究会の中では最年長にあたる。

また、死者の物品でサイコメトリーを行うと、底のない暗闇へ引きずり込まれていくような感覚に襲われ、死後の世界と繋がってしまうように感じると語っており、それを酷く恐れている。
さらに、生者でも死者でもない、正体不明で恐ろしい何かの思念を拾ってしまうことがあり、それこそが最も恐ろしい体験だとも述べている(「見えざる悪意」と関連するのか?)。


  • 音田七緒

1985年生まれ。シルバーの髪を持つ黒ギャルという、非常に特徴的なビジュアルが印象的で、音響の妹にあたる。
体格は大柄で、身長も音響とほぼ同じだが、外見から受ける印象は正反対だと評されることが多い。
姉とは対照的に、豊かなバストを持つ。

他のメンバーのような特殊能力は有していないものの、霊感はごく自然なものとして備えている。
剣道の経験があり、自らを音響のボディガードと称することも。
また、姉のことを非常に慕っており、その普通以上の愛情深さはしばしば語られる。

音楽面では、MCDを筆頭とするパンクロック系バンドの熱心なファンで、その分野に関する知識は豊富である。
恋愛面では、年上の男性に惹かれやすい傾向があることを自認しており、後述する黒図暁に恋心を抱いて告白したものの、振られた経験を持つ。
野々口のことを(あくまで身内ノリで)罵倒したり、冬馬には自分の心地よい環境だった丘陵研究会での立ち位置を奪われたという、嫉妬が入り混じった複雑な感情をむけていた。
しかし、「目薬」では冬馬への好感度が上がったそう。

  • 小路小熊 

1987年生まれ。
昌実女子高等学校の2年生でありながら、その能力を認められ、丘陵研究会のメンバーとして迎え入れられている。
ポニーテールが特徴で、全体的にボーイッシュな印象を与える女性。
年齢の割に背が高く、音響や七緒よりも長身で、身長はおよそ170センチに達すると見られている。

その出自は複雑で、弓使いとその祖父・鳥井博一の血を引く娘にして退魔師の家系、小路家の末裔であり、古来より犬神人を継承してきた一族に連なる存在である。
犬神人には二つの流派が存在するとされるが、彼女が扱うのは、弓使いが修めた弓術主体の鳥井流ではなく、体術を重んじる二条流の系譜である。

生まれは鳥井家であったものの、幼少期に二条流を継ぐ小路家へ養子に入ったことで、空手や柔道をはじめとする各種武道を一通り叩き込まれ高い身体能力を誇る。
その経歴から、高校の同級生からは「ニンジャ」というあだ名で呼ばれている。
また、圭太という義理の弟がいる。

弓使い同様、悪霊に対して攻撃を仕掛ける力は備えているが、実戦経験は浅く、実力面ではまだ未熟さが目立つ。七緒とは剣道の道場で知り合いであり、音響が七緒から彼女の話を聞いたことをきっかけに、丘陵研究会からスカウトを受けるに至った。

将来はO大学への入学を志しているが、学業成績はもともと芳しいものではなかった。
しかし、野々口の指導を受けるようになってからは、成績が急激に向上しているとされている。

  • 野々口未来

1985年生まれ。冬馬と同じ年に入学した新入生である。
太めの体格に眼鏡という、いわゆる典型的なオタク然とした風貌をしており、一人称は「拙者」。
その話しぶりも含め、外見・言動ともにイメージ通りの人物である。
一方で、冬馬からは「人の良さそうな笑顔で、いかにもいいやつそう」という印象を持たれている。

透視能力を有しており、子供の頃にはその力を使って菓子のおまけシールの中身を言い当て、人を驚かせていた経験がある。
そのため、現在でも女性陣からは「裸を覗いているのではないか」と度々疑われており、本人はその都度必死に弁明している。
しかし実際には、見えている可能性が示唆される描写も存在する。
もっとも、その透視能力は万能ではない。
彼の言によれば、「隔てられた向こう側にあるもののイメージが伝わってくる」感覚に近く、自身の願望と区別がつかないこともあるという。
逆に、唐突で不自然なイメージが浮かんだ場合、それは本物である可能性が高いとも語っている。

前述の事情もあり、女性陣からは軽く扱われがちで、とりわけ七緒からは辛辣な言葉を浴びせられることが多い。
苗字を「野口」と間違えて呼ばれるのも日常茶飯事である。
ただし小熊からは、普段から弟に勉強を教えている彼の指導力が受験勉強に大いに役立つとして、一定の信頼を寄せられている。

もともとは漫画研究会への入部を希望していたが、絵が描けないことに居心地の悪さを感じ、断念。
その後はSF文学研究会に所属していた。
しかし、音響につきまとわれたことを「ストーカー被害」だと訴えたところ、被害妄想だと受け取られて周囲に引かれ、居場所を失ってしまう。
結果的にSF文学研究会を去り、最終的には音響から丘陵研究会にスカウトされることとなった(この一連の流れは、音響の策略だったと思われる)。

  • 黒図暁

1983年生まれ。存在感の薄い男で、センターで分けた黒髪はわずかに癖があり、顔立ちは柔らかく優しげである。
理知的な雰囲気と、由緒ある家柄を思わせる静かな気品を併せ持つ。
その影の薄さゆえに、冬馬は彼が話し始めるまで、そこにいることにすら気づかなかったと評している。
いつも丘陵研究会の部室におり、マルセル・プルースト著『失われた時を求めて』を読んでいる。

丘陵研究会の一員。パイロキネシスの能力者であり、本人はこの力をフロギストンと呼ぶ。
黒き炎を発現させ、霊的存在を燃焼・消滅させるその力は、研究会内でも群を抜いている。
小熊からはオカ研の元エースにして別格の存在と称され、普段は感情をほとんど表に出さない冬馬が、珍しく恐ろしい人で、苦手だと評するほど、底知れぬ雰囲気を漂わせている。
その一方で、丘陵研究会の部室に少女漫画を持ち込むなど、どこか可愛げのある一面も持ち合わせている。

その血筋は、伝説的な陰陽道の祖・日備葦牙をルーツに持つ黒道一族に連なる。
平安末期に生まれ、鎌倉・室町期に栄えた黒道一族によって結成された黒図党は、武士集団でありながら、呪術と祭祀を根幹に据えた組織であった。
九尾の狐(前述の天狗(アマキツネ)やLUCAと同一存在か?)を守護神として崇め、その加護によってパイロキネシス、伝統的には「黒火(クロツヒ)」と呼ばれる力を授かったとされる。
また、戦乱の世においては軍馬の生産にも力を注ぎ、かの馬霊刀を作り上げたのも黒図党であった。

戦国期に黒図党の宗家は三つに分裂し、支配権を維持した黒図宗家は神道的要素を色濃く受け継いだ家系となる。
黒図暁は、その黒図宗家当代の次男坊にあたる。
なお、呪言道・陰陽道を継承したのが黒鳥家、仏教を受け継いだのが黒谷家であり、冬馬と暁は遠い親戚関係にある。
加奈子によって名付けられた「冬馬」という名も、冬に生まれたこと、そして軍馬生産を営んできた血筋のルーツに由来するものである。

実は彼は、2003年の冬、丘陵研究会の部室内で突如として黒い炎に包まれ、跡形もなく消滅したとされと語られる。
その後、実家によって死亡届がO大学に提出され、彼の死亡は公的に処理された。
また彼の死因は事故ではないようで、黒図宗家の何者か、あるいは宗家総出で殺された可能性が示唆されている。
丘陵研究会の面々はこの事実を部室の外では正常に認識しているが、部室の中においては、彼の存在を当然のものとして受け入れており、奇妙な認識の歪みが生じている。
このズレを明確に自覚しているのは冬馬ただ一人であり、冬馬は「黒図暁は現在、丘陵研究会の部室内でのみ存在している」という仮説を立てている。
暁は自身のことを消えゆく思い出の残滓のようなものだと例えている。
彼は冬馬の霊感を素晴らしいものだといいつつもそれが初歩的なもので、冬馬が捕捉できない隠形を身につけた存在も完全に捕捉できることを暗に示す。


  • 瑠璃(るり)

本章では身長180cm近いほどにまで成長し、カタコトながら日本語も使えるようになっている。
その美貌もことさら強調されており、現実感がない、ミスユニバースレベルとも評される。
音響や暁と並び丘陵研究会の創設メンバーであったことも判明している。

  • 来島あかり

1979年生まれ。薬学部の院生で瓶底のような眼鏡とやけに汚れの目立つ白衣がトレードマークの面長の女性。
瑠璃からは幽霊部員といわれているが、丘陵研究会のチャットルームの管理を任せられている。
「黒い手」で、霊感があると語りウニに黒い手の恐怖を警告した女性だと思われる。

丘陵研究会の協力人物、関連人物


  • 二岡一人 

1962年生まれ。丘陵研究会のスポンサーを務めており、雅市の捜索を同会に依頼した人物。
本章では彼の詳細な経歴が明かされており、角南総一郎の娘婿として角南家に迎え入れられた後、丘陵研究会のスポンサーとなり、現在は42歳にして角南ホールディングスの会長を務めている。
その出自ゆえに、角南家の実権を握る角南大輝からは余所者として強く警戒され、事実上敵視されている。
このため、大輝が支配するヤクモ製薬および医療法人ヤクモ会の実態については、十分に把握できていない。
その事実に苦言を呈するものの、彼自身は紛れもない野心家であり、その眼差しはぎらついている。普段は礼儀正しく抑制の効いた態度を崩さないが、その内に秘めた獰猛さとの落差から、冬馬は猛獣が猫の皮を被っているようだったと語っている。
傑物然とした人物像が確かに描かれる一方で、作中では義理の弟である角南大輝の粉飾決済への対応に追われて胃を痛めたり、七緒にマラカスで殴られたりと、そのストレスでヤケになってカラオケに打ち込みキャラ崩壊するなど苦労人としての一面も強調されている。

黒鳥一族

前述の黒道一族の末裔の一派にして呪言道・陰陽道を司る女系一族。現代編の「お祓い」でもちょびっと登場。

  • 黒図昴→黒鳥昴 

1967年生まれ。現在は故人。
黒図宗家の三男として生まれ、20歳で嬰子と結婚し、黒鳥家へ入婿した。
幼少期から病弱で、床に伏して過ごすことの多い人生だった。
青白い頬と、細く骨ばった手が示すようにいかにも虚弱そうな外見だが、目元は穏やかで優しげな印象を与える。
その病弱さを理由に、実父や兄たちから疎まれ、ついには宗家を追われた。

鬼が棲むと称され、その血を引く男性以外を人として扱わない黒図宗家の出身者としては例外的に、他者に対して優しく誠実な人物。
妻を軽んじ虐げなければ、九尾の嫉妬によって早逝するという呪いに囚われながらも、嬰子を深く愛し続けていた。

かつてモネの展覧会で睡蓮に感銘を受けたことをきっかけに、自ら睡蓮を育て、それを絵に描くことをささやかな目標としていた。
絵の腕前は、本人いわく練習中。

実のところ、父や兄に疎まれていた理由は体の弱さだけではなかった。
彼は九尾から類を見ないほど深く愛されており、その存在自体が宗家にとって忌避すべきものだったのである。
黒図の血統の始祖・日備葦牙が陰陽道の秘技として絵巻に伝えた、空を自在に飛ぶ飛行自在の術や、雲なき空より雷光を轟かせる前代未聞の術をも操る使い手でもあった。

作中では、嬰子が蓮を身ごもった直後、九尾の呪いによって命を落とすことになる。

  • 黒鳥嬰子

1970年生まれ。先述した黒図家の分派にあたり、呪術的作法を現代に伝える女系一族・黒鳥家の末裔であり、その中でも群を抜いた実力を誇る霊能者である。
普段は首都圏で活動しており、政治家や財界の重鎮から頼りにされているほか、O市の実力者の間でも顔が広い。

後述する娘・蓮と同じくらいの小柄な女性で、並んで立つと姉妹に見えるほど若々しい外見をしている。
透明感のある白い肌に、父親がデンマーク人であることから青みを帯びた瞳を持ち、どこか浮世離れした妖艶な色気が特徴的である。(なお、この父親は黒鳥家があくまで子種のみを受け取った存在であり、養育には一切関与していない。)
髪も父親由来の金髪だそうだが、家のしきたりで黒染めしている。

その外見とは裏腹に、一人称は「儂」、語尾に「じゃ」をつける老婆のような口調であり、性格も意外なほど俗っぽい。
金にならない仕事は受けないと公言し、面倒事を露骨に避ける一方、閉鎖的な黒鳥一族の環境ゆえか、冬馬や蓮に対しても非常識な扱いを平然と行う。
そのため、冬馬から怒りを向けられることも少なくない。
しかし、優しく愛に溢れた夫の昴のことを強く慕っており、彼が亡くなった今でも胸を馳せる等の人間味を時折覗かせる。

  • 黒鳥蓮

1989年生まれ。どこか子供っぽく愛らしい黒づくめの装いをした少女。
礼儀正しく、多方面に秀でた才を持つ。
父親の血筋ゆえに黒火を扱うこともできる。
冬馬に好意を抱いており、恥じらいを見せつつも積極的なアピールを欠かさない。

実は生まれつきの性別は男性で、いわゆる男の娘。
冬馬は、女系一族である黒鳥家の中でも屈指の実力者である母を持ちながら男として生まれたことへの無力感が、その在り方の背景にあるのではないかと推測している。

その他の関連人物


  • ハル

本名は石田千春。1988年生まれ。
ツインテールにした髪を赤く染め、ストリート系の装いを好む。
剥き出しになった二の腕から手首にかけて伸びる黒いタトゥーがトレードマーク。
身長は160センチ台半ばほどで、豊満な胸を持つ。
やや切れ長で黒目がちな目元は、どこかエキゾチックな雰囲気を漂わせている。
口調は乱暴だが歯切れがよく、よく通る声質も相まって、不快さを感じさせない。

松浦の娘であり、実母は不明。
松浦が死の直前に加奈子に強く入れ込んでいたことから、千春本人は加奈子を実母だと信じており、三つ年齢が上の冬馬を「お兄ちゃん」と呼び、妹として甘えるような態度を取る。
しかし、松浦と加奈子が関係を持った時期を考えると年齢的に辻褄が合わず、ウニは彼女の実母が加奈子である可能性を否定している。

松浦の死後は、当時の石田組長の養女となり、その際に姓が「石田」になった。
幼少期から孫のように可愛がられてきたため、その養子縁組自体に抵抗はなかったそう。
一方で、その複雑な生い立ちゆえに血のつながった家族への強い憧れを抱いており、冬馬に対して妹のように甘える態度も、その感情に由来するものと思われる。

身体能力は高く、二人を喧嘩で返り討ちにして「余裕」と発言する。
ダンスの実力は突出しており、「一人だけ別格」と評されるほどのパフォーマンスを見せる。
クラブハウス界隈でも名が知られている存在だ。
また、父親譲りなのか霊感も非常に鋭く、冬馬ですら気づいていなかった彼に憑いたもつれ大夫による式神を見抜き、捕獲するほどである。




  • 高坂静郎

1980年生まれ。青白い顔立ちに細く切れ長の目を持ち、オールバック気味に撫でつけた長い黒髪が印象的な男。
和倉会現会長にして松浦の兄弟分の高坂万章の一人息子。
その縁からハルとは幼い頃からの付き合いとなる。
さらに、後述する零とはいとこの間柄で、彼のことを実の弟同然に大切に思っている。

  • 香取零

1983年生まれ。銀に染めた前髪と両サイドを刈り上げた髪型が特徴で、身長186cm、体重85kgと、作中でも屈指の高身長を誇る。
細身に見える体躯とは裏腹に、全身は鋼のような筋肉で覆われており、上腕から手首にかけて絡まり合う二本の黒いタトゥーと、胸部および背中に刻まれた八咫烏を模したタトゥーがトレードマークとなっている。

高坂静郎が運営する地下格闘技場において、28戦28KOという圧倒的な戦績を誇り、無敗の絶対王者として君臨している。
前述の通り静郎とはいとこの関係にあり、兄同然の存在。
その縁からハルとも幼少期から親交が深い。

その凄惨な戦績や風貌とは対照的に、性格は気弱で恥ずかしがり屋な一面が強く、普段は眠たそうな半目の表情をしていることが多い。
しかし、ハルを侮辱された際には激しく感情を露わにし、抑え込んでいた獰猛な本性を顕在化させる。

  • 山中まひろ

1976年生まれ。ご察しの通り京介の双子の妹。
ハスキーな声とショートカットの茶髪、そして両耳に光るピアスが特徴。
身長170センチを超えるスレンダーな体型ながら、均整の取れた豊かな胸を持つ。
一人称は「オレ」。かつては大学に通っていたが現在は中退し、古着屋の店員として働いている。
喫煙家でもあり、七緒の剣道場には定期的に足を運び、指導を行っている。
なお、本人は自身のセクシュアリティについて「レズ寄りのバイセクシュアル」だと語っている。
目の下に深いクマが刻まれていることから、姉同様彼女もネムラヌウオの呪縛に縛られていることが示唆される。

  • 雅市秀夫

かつて角南グループにおいて超能力研究を行っていたウエイザー研究所の研究主任であり、関係者からは「ドクター」と呼ばれていた男である。
もともと医師ではなかったが、後年になって医師免許を取得したという変わった経歴を持つ。
ウエイザー研の解体後は行方をくらましており、極めて危険な人物として後述する二岡から捜索されている。
その経歴から、彼は冬馬の体質について完全に把握している数少ない人物の一人でもある。
田村の証言によれば、現在は何らかの理由で国内最大級の指定暴力団、菱川組の傘下組織である和倉会によって匿われているとされる。

人間を小人のようなミイラへと変質させる事件や、人間がコンクリートと同化したかのように発見される怪事件など、複数の異常事件の背後で暗躍している。
冬馬は彼を子どもだ、昆虫を分解して遊ぶ幼児が、その行為に社会性や倫理観を獲得することなく成長してしまった存在と評している。
その評価どおり、作中における彼は自身の好奇心を道徳によって制御できず、常に暴走する狂気じみた人物として描かれている。


  • 梅田ヒロユキ

冬馬と同じ研究室に所属する友人。
神戸出身で、早口の関西弁を操るおしゃべりな男である。
物静かな冬馬とは正反対の性格だが、不思議と馬が合い、気の置けない関係を築いている。
また、美女が多い丘陵研究会に対しては下世話な興味を隠さず、ことあるごとに話題にしている。

余談


師匠シリーズは作者のウニ氏自身によるセルフパロティも存在する。
そこではオカルトと全く関係がないキャラクター同士の日常の微笑ましいやりとりが見えたり、京子がチョベリバといったり 師匠がネズミになって、猫になった京介に食われたり、 師匠が爆死したり、等通常の話では見られないエピソードが読める。
興味があれば一読必須。

「さあ。追記、修正しようか」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2026年07月17日 23:25