ネタバレ

登録日:2009/08/20 Thu 18:16:37
更新日:2025/04/11 Fri 20:33:09
所要時間:約 15 分で読めます




/!\ CAUTION /!\

以下、“ネタバレ”のネタバレ注意!


ネタバレとは、作品(小説・劇・映像作品・漫画・ゲーム等)の内容のうちの重要な部分を、その作品に触れた者が感想・評論等の一部として暴露してしまうこと。
または、その作品の重要な情報そのもののこと。




概要


冒頭で書いたように、ネタバレとは「その作品の重要な部分を他人に暴露する」ことである。
“重要な部分”というところがポイントで、一般的に「ネタバレ」に該当する情報とは、その作品にきちんと触れた者だけが知ることのできる、作品の核心に迫る情報に限定される。
したがって、その作品に詳しくない人でも簡単に入手可能な情報(本の帯・広告・公式サイトに書いてある情報や、物語序盤で早々に明かされてしまう事実など)を他人に伝えることは、普通ネタバレとは見なされない。

『ネタ』とは『種(たね)』の隠語で、特に、話の内容やキーワード、詳細な設定等の“物語の核心”に触れる部分を指す。
『バレ』とは「バレる」(発覚する)から。
つまり、ネタ(物語の核心)をバラしてしまうことをいう。

「ネタバレ」という言葉自体は、インターネットが日本で普及し始めた1995年頃から既に使われており、BBS(電子掲示板)やウェブサイト等で「このサイト(BBS)はネタバレ禁止です。」というように使用されていた。


ネタバレの是非


基本的にネタバレを嫌う人は多いため、何かの作品について記述する・感想を述べる・説明する際はネタバレに配慮すべきである。

通常、評論・解題等においては、特定の作品について論じるにあたって、その作品の細かい内容について触れる必要があることが多い。
そのためネタバレが許容される場合もあり、あらゆるネタバレが絶対悪というわけではない。
そもそもネタバレをあまり気にしない人も世の中には存在する……というより、ネタバレ否定派が考える何倍も存在しており、中にはネタバレを見てから興味をもって映画に行くという人もいるほど。
むしろ歌舞伎などはあらすじをすべて知った上で演者を見に行く芸能だし、落語に至っては題名でオチ(サゲ)をネタバレしている始末

しかし、どんな作品でも読者・視聴者の興味を引くためにさまざまな仕掛けが用意されていることが一般的であるため、その仕掛けを明かしてしまうネタバレは、その作品にこれから触れる人の楽しみを奪うことに繋がる。
たとえば、
  • 推理小説の意外な犯人や予想外のトリック
  • 先の展開が読めないサスペンスの結末
  • ラスト1分でこれまでの物語をひっくり返す演出
  • 漫画やゲームにおける「隠しボス」枠
など、その作品の面白さの根幹である部分をネタバレによって先に知ってしまった場合、その作品を楽しみにしていた人からすると、
その作品から本来得られたはずの体験(驚きや感動など)を極めて大きく損なうこととなってしまう。
そして性質上、ネタバレによるダメージは回復が不可能なことから、
  • その作品の評論を書く・感想を語る場合、予めネタバレの有無を明記・明言する
  • 興味のある作品について調べる場合、事前に調べすぎない
    • あるいはネタバレに配慮している信頼できるサイト等を利用する
など、作品を知っている人・知らない人の双方が注意せねばならない。

特に前者の取り組み(ネタバレの有無の明記)は重要であり、これを怠った評論家・レビュアーは非難の対象になりうる。
時として、本の帯にネタバレがあり、騒動になることもある。
また、ゲーム企業が自社作品に関して『動画サイトにプレイ映像を投稿・配信する際は、動画のタイトルや説明文等に「ネタバレ有り」と明記すること』等といったルールを定めている例も多い。
動画の投稿者・配信者がこれを怠った場合、企業側から動画の削除要請が出るのは当然として、最悪のケースだと投稿者が企業から訴えられ裁判に発展する可能性もある。

また、近年では個人でできるネタバレ対策として後者の取り組み(過度な下調べの自重)に対する意識も高まっている。
これは、インターネットの発展やスマホの普及に伴い、レビューサイトや作品のファンが交流する掲示板・SNS等が盛んとなったこと、そしてGoogle先生に代表される検索エンジンの能力が向上しSEO対策を徹底したサイトが上位にヒットしやすくなった影響で、意図せずネタバレに触れやすい環境になってしまったため。
特に登場人物の名前などで検索すると、検索候補に「◯◯(人物名) 死亡」「◯◯(人物名) 裏切り」などのストーリー展開に関するワードが表示されることも多いため、注意が必要である。

逆に「ネタバレ配慮」と称して内容をまったく要約できていないあらすじを出したり、無意味な改行や伏字が多くなるという自己満足的な文章にも批判は多い。
これは特にピクシブ百科事典などに多い。たとえば散々ほのめかした文章を書き連ねた挙句に「この先は自分の眼で確かめてほしい。」なんて言われても……というアレである。
本人は作品への配慮をしているつもりなのだろうが、こういう文章は読んでいる側には中身が分からないために「自己満足的だ」と批判を浴びやすい。
たとえばWikipediaはこのような文章を徹底的に放逐していって、現在の堅苦しい雰囲気を作り上げた。


ネタバレとはかなり多岐にわたる言葉であり、その是非の議論というのは論旨がいくつも存在するため、この論旨を統一しなければ絶対に答えが出ない。
たとえば「作品の面白さを損なう」という単なるマナーの問題や、「商売の機会損失につながる」という商売上の問題などが論点に挙げられやすい。
これらの観点からはネタバレは非として語られることが多いが、その一方で
「あらすじがあらすじになっていない」という解説上の問題、「オチで不愉快な思いをさせられるものなどわざわざ見に行きたくない」「そもそも閲覧する手段が少ないのでネタバレでしか知れない」という上述の論点の逆視点的な問題なども論点になることがある。
大事なのは相手が何を話そうとしているのかという点なのだが、この論点をわざと逸らすことによって相手の反論を封じる人が非常に多く(インターネットの議論とはそういうものだが)、早々に答えを出さなければならない問題にも関わらず遅々として進んでいないのが現状である。


実は大雑把にではあるが、ジャンル自体にネタバレとの相性がある。
たとえば推理物、ホラー、サスペンスなどはネタバレによって極めて大きなダメージを被るため、これらのネタバレは厳に慎むべきである。
漫画や映画も、タイムリープものなどはネタバレをされると作品の楽しみを大きく損なわれる。

一方、コメディや伝統芸能などはむしろネタバレがあることによって自分との相性を考えて、見に行くかどうかにつなげることができる。
子供向けの長寿シリーズ作品は、ネタバレ配慮をするほどのものでもない。たとえば映画で主要な登場人物が突然退場・降板するということはない。
むしろ最近の恋愛要素のあるアメリカ映画の場合、いわゆる「政治的に中立な立場の恋愛観」かどうかは積極的にネタバレしてほしいという意見も非常に多い*1

さらに「ネタバレすると作品の面白さが激減するが、ネタバレしなければ見に行ってくれない」という場合も多いだろう。
見てほしいから布教しているわけで、それが「面白いから見てくれ!」だけではどうしようもない。
そこで、たとえばインターネットでミーム化しているところを端緒にネタバレして興味を持ってもらおうというもの。

そのため、ネタバレという行為自体が悪徳というわけではない。ネタバレ配慮とはあくまでもマナーであるため、自己満足になってはいけない。
大々的に推理小説の犯人やスタンド能力の秘密を言うような奴は嫌われても仕方ないが、何でもかんでもネタバレ禁止で相手の言うことを片っ端から禁じていく奴だって嫌われても仕方ないのだ。
マナーというのは、あくまでもバランス感覚が重要なのである。……まぁそれが堅苦しいからこそ、ネタバレ上等の匿名掲示板が好まれるのだろうが。


アニヲタWikiにおけるネタバレ


当Wikiに存在する多くの項目では、その作品の未読(未視聴)者が閲覧する可能性も考慮し、ネタバレに配慮している場合が多い。

ただし、当Wiki全体にネタバレを禁止するルールがある訳ではないため、これらは各々の編集者の裁量に委ねられており、たまに警告無しに堂々と重要なネタバレを書く編集者も存在する。
また、項目そのものにはネタバレがなくとも、コメント欄にネタバレが書き込まれているケースは多いので、知らない作品について調べる際は注意が必要である。
そして、当Wikiはネタバレ禁止ではないものの、ネタバレに関する編集ルールは一応あるので、編集者は『編集時のルール』の項目をよく確認するようにしよう。

ネタバレに関するルールに反しない編集やコメントであったとしても、そもそもネタバレを嫌う人は多いので、ネタバレに関わる内容を書く時は十分に気をつけるようにしたい。
これは当Wikiの編集やコメント時に限った話でなく、基本的なネットマナーの話である。

最近では公式からネタバレ禁止のアナウンスが出ている作品も存在する。これは『ダンガンロンパ』シリーズなど、推理ゲームに多い。東方やFF10のように特定シーンのみあらゆるネタバレを禁止するという措置を取っているものもある。
そのため、項目作成時のルールで書かれているその作品の項目には、〈 ネタバレ禁止項目 〉のタグが付くことが多い。
オタクとは案外上からの命令には素直に従うため、これは一定の効果があることが立証された*2


ネタバレに配慮した編集例

アニヲタWikiでネタバレに配慮した項目によく見られる編集テクニックを以下に記載する。


1. 注意書き

(例)以下、ネタバレ注意!

上記のような注意書きを、なるべく目立つ位置に記述するパターン。
最も基本的な形式であり、編集の手間もかからないので、多くの項目で使われている。

この手の注意喚起は赤文字太字大きめの文字などで装飾・強調されていることも多い。
これは、文字の装飾が無い場合、閲覧者が飛ばし飛ばしで読み進めていると肝心の『ネタバレ注意』の文字が読まれない可能性があり、そのままネタバレの記述に目を通してしまう場合があるため。

『ネタバレ注意』の文字の後に長い改行(10~20行程度?)を設け、ネタバレが視界に入りづらくなるよう工夫されていることも多い。
ただしこの「長い改行」も、何もここまで長くする必要はないだろうという編集を行う人もおり、これを削ると「ネタバレ配慮だ」と戻されるということも起きている。
これはどちらかというと「ピクシブ百科事典」などで問題視される行為だが、アニヲタwikiでも長らく編集が行われていない項目には50行くらいの改行が残っていたりする。50行はどう考えても過剰だろう。


2. 表示の折り畳み

ネタバレに関する重要事項に限り、テキスト表示を折り畳むパターン。
該当部分をクリックすることで、ネタバレ部分のテキストが展開される。

+ 表示を折り畳む例1: regionプラグイン
region/endregionプラグインを使用した折り畳み例。
折り畳みの中にさらに折り畳みを含むことも可能だが、テキストがどんどん右にずれていく。


少し凝った編集テクニックが必要になるが、ネタバレについて記述しながら未読者・未視聴者に配慮した項目にできるため、こちらも効果的。
折り畳みの見出しに『ネタバレ注意』等と記載しておくとなお親切。

基本的に、ネタバレの記述にあたってはこの方法を使うのがベターな選択肢である。
プラグインの記述方法が分からない場合は、このような折り畳みを使用している項目のソースを見てコピペすると良い。


3. 文字色を白にする

文字色を白にすることで背景色(白)に馴染ませて、ネタバレに関する文章を隠蔽するパターン。
該当箇所のテキストを選択(=色の反転)することで文章が読めるようになる。

アニヲタWikiに限らず古くからインターネットで利用されてきたテクニックであるが、現代ではこの手法はネタバレ対策にならない場合があるため非推奨である。
理由は、閲覧者の環境によってページの見え方が異なり、場合によっては白文字にならない(ネタバレの記述が思いっきり表示されてしまう)ケースがあるため。

▼白文字の例
このテキストが読めますか?
こちらのテキストはどうですか?
これはどう?

あなたの環境で、上のテキストはどのように表示されているだろうか?
上の文章は文字色に白を指定しているが、環境によっては白文字になっておらず、文章が堂々と表示されていることだろう。

Webサイトを閲覧する際、ネット利用者の閲覧環境は様々である。
PC
…Windows, macOS, ChromeOSなど
スマートフォン、タブレット
…iOS, Androidなど
ウェブブラウザ
…Chrome, Firefox, Edge, Safariなど

同じサイトでも閲覧環境の違いによって表示のされ方が異なるというのはインターネットでは当たり前の話で、特にPCかスマホかの違いは非常に大きい。
アニヲタWikiもスマホかPCかで外観が大きく異なるが、特にスマホ環境では上記のような文字色を白で指定した箇所が白文字にならずに、堂々と表示されてしまうケースが多いのだ。

したがって、スマホが普及し閲覧者の環境が多岐にわたる現代では、この『白文字で隠す』という手法はネタバレ防止策になりづらい。
また、この手法に限った話ではないが、Webページの編集に関わるのであれば最低限PCとスマホでそれぞれ表示し、違和感がないかを確かめておくべきである。

また、この方法は長い文章を書くのに適していない*3上、そもそも文字を読むために文章全体を選択させるという操作自体がやや手間がかかる(特にスマホ閲覧時)点もあまりよろしくない。



有名なネタバレ


本来は驚きの展開であるはずなのに、ネタバレが有名になりすぎてもはや作品を知らない人にも展開がある程度知られており、ネタバレがネタバレになっていない作品も存在する。

犯人はヤス

日本で最も有名なネタバレワードといえば、1983年に発売された某推理アドベンチャーゲームの最大のネタバレ『犯人はヤス』が挙げられるだろう。

刑事である主人公(プレイヤー)が殺人事件を捜査する過程で、登場人物の“ヤス”こと真野 康彦(まの やすひこ)こそが犯人であると気づく。
……というのがこのゲームの本来の筋書きなのだが、意外性のある結末からか発売後に『犯人はヤス』というフレーズが一人歩きしていき、ゲームを知らない人にすらネタバレが知れ渡る事態に発展。
現在では、原作ゲームを知らない人にも“ヤスなる人物が犯人である”ことは周知の事実となっている。
本作のヤスを指して、“日本一有名な犯人”と言われることも。

ちなみに、犯人がヤスであると分かっていても、プレイ開始直後にヤスを即逮捕することはできない。
ゲーム的には、あくまで刑事として捜査を進めてヤスが犯人である証拠を集め、論理的にヤスの犯行を証明する必要がある。
そのため、現代でこのゲームを遊ぶプレイヤーは、“冒頭から犯人が分かっている状態で犯人を追い詰めていく”という、半ば古畑任三郎じみた体験をすることになる。*4

なお、ヤスが犯人であることは知られていても、『ヤスが犯行に至った動機・背景』や『犯行のトリック』までは知られていないことが多い。
ヤス=犯人が知られている現代では、むしろそれらの情報(動機、トリック)のほうがゲームを楽しむ上で重要なネタバレにあたると思われるため、ネタバレを好まないなら調べない方が賢明だろう。



公式によるネタバレ

通常、ネタバレはその作品に触れた者が行うが、作品の作り手自らネタバレを行う“公式によるネタバレ”も散見される。

  • 1. アニメの次回予告でのネタバレ
アニメ作品では、しばしば次回予告やサブタイトル等で盛大なネタバレをかましてくることがある。

有名どころは以下のアニメだろうか。
遊戯王デュエルモンスターズ
128話『城之内死す
機動武闘伝Gガンダム
45話『さらば師匠!マスター・アジア、暁に死す』
49話『Gガンダム大勝利!希望の未来へレディ・ゴーッ!!』
ドラゴンボールZ
23話『ヤムチャ死す!おそるべしサイバイマン』
237話『愛する者のために…ベジータ散る!!』

特にドラゴンボールはこの手の代表格で、旧アニメの次回予告サブタイトルもそうだが、近年でも映画CMでは「ネタバレ?それがどうした」とばかりに新キャラの正体や新たな変身形態を事前に知らせてしまうことがある。


  • 2. 古いゲーム作品のネタバレ
ゲーム作品では、新しい作品が過去作のネタバレをしばしば内包している場合がある。

有名どころでいえば『大乱闘スマッシュブラザーズDX』(2001年発売)に『ゼルダの伝説 時のオカリナ』(1998年発売)のネタバレが含まれていた例が挙げられる。
『時のオカリナ』では物語後半にシークという謎めいたキャラクターが登場し、ストーリー終盤でその正体が明らかになるという展開になっている。
が、『時のオカリナ』からわずか3年後に発売された『スマブラDX』ではシークの正体が明確に描写されてしまっていた。

もちろん、このネタバレはスマブラスタッフの独断ではなく、事前にゼルダスタッフの許可を得た上で行ったものであるが、かなりあっさりネタバレされていたことに驚いたゼルダファンは多かった。
逆に、スマブラでシークというキャラを知ったプレイヤーが後から『時のオカリナ』をプレイすると、スマブラではあっさりと正体を明かしていたシークが原作では正体を隠し謎めいたキャラとして振る舞っているため、印象と違って困惑することもあったという。


余談


ネタバレに触れやすいネット社会

現代は極めてネタバレに触れやすい環境にあり、ネタバレが苦手な人はネットを利用する際に気を付けなければならないことが多い。

その作品に関連するファンサイトや某巨大掲示板の関連スレッドなどにネタバレがゴロゴロしているのは勿論だが、人気作だとSNSのタイムラインやトレンドでごく自然にネタバレしてしまうこともある。
動画サイトを閲覧している際、『おすすめ動画』の欄にサムネイルで堂々とネタバレしている関連動画が表示されてしまうケースもしばしば問題となる。
例えば、ゲームのラスボスの倒し方の解説動画などが表示され、ラスボスや黒幕の正体を知ってしまう…というのはよくある不意打ち気味なネタバレのひとつと言える。

場合によっては大手ウェブサイトのトップニュース欄も油断ならない*5
かといって、実際に作品の内容を確かめるまでネットやSNSの利用を完全に絶てるか…というとなかなか難しいという人が多いのではないだろうか。
個人ができるネタバレ防止策には限界があるので、やはり情報を発信する側に何らかの配慮(『ネタバレ注意』と明記するなど)が求められる。


小説におけるネタバレ

小説は自分から詳しく調べない限りネタバレと遭遇することは少ないが、章題から内容が推測できてしまう場合がある。

古い作品だと、海野十三の少年向けの冒険活劇物『少年探偵長』で、悪者たちの首領が初登場する章なのに章題が「男装の頭目」と、本人が出る前から男装した女だとバラす(本編中の女性バレは終盤*6)という、気が早すぎるものが存在する。*7

ライトノベルや児童文学など挿し絵がある場合に、偶然開いたページの挿し絵がストーリー上極めて重要な場面(登場人物の死亡シーンなど)だったりして、ネタバレをくらってしまうこともある。
酷い場合は、推理小説の登場人物解説に「犯人。」と書かれている場合もある。

また、古典もいいところの作品の場合は意図せずネタバレを食らうことがある。
特にギミック系の事件が多い小説家、アガサ・クリスティの作品はオタクの中では一般教養化している。
「ABC殺人事件」「オリエント急行殺人事件」「アクロイド氏殺人事件」「そして誰もいなくなった」あたりは、その内容について話したい人や例に引きたい人が多いので平然とネタバレが飛んでくる。
いくらなんでも100年以上前の作品のネタバレなんて配慮してたら何も話せなくなるため、怖かったら先に読んでしまおう。


漫画におけるネタバレ

漫画作品だと『雑誌で連載を追っているファン』と『単行本派のファン』が存在し、前者が最新話に触れている分、後者のファンはネタバレをくらいやすい。

出版社も前者のファンを中心に考えているためか、単行本の表紙や帯でネタバレしていることもザラ。
その巻で特に活躍するキャラが表紙に描かれることも多く、基本的に単行本派はこうした地雷を踏みやすい。
ラスボス裏切り者の正体などをこれで知らされてしまうのもよくあること。
動画サイトやブログを巡っているときに、最新話の展開を踏まえた考察記事や考察動画などがオススメ欄に表示されて、その見出しやサムネイルによって単行本派がネタバレをくらうこともある。

連載当時に結構有名だったのが、ジョジョの奇妙な冒険第7部「スティール・ボール・ラン」の23巻と24巻。
ある登場人物のサプライズ登場が当時非常に話題になったため、これから読むことが分かりきっている相手には徹底して「急いで読め!うっかりネタバレ踏んだら台無しだぞ!」というスタンスを保ったものである。
オールスターバトルの発売で堂々とネタバレされるようになったことで、この自粛的な空気は解禁された。


大河ドラマや歴史小説におけるネタバレ

大河ドラマや歴史小説は、史実をベースに物語が作られる関係で他のジャンルよりネタバレが起こりづらい。

史実に従うなら織田信長が本能寺の変で討たれたり、新選組が破滅の道を歩んでいったりするのは誰でも知っている規定路線のストーリーとなるため、こうした結末をネタバレとは呼ばないであろう。
これらの作品ではむしろ、史実の展開に至るまでの“過程”が重視されるため、そちらの情報の方がネタバレに該当する。
信長を例にするなら、“本能寺の変”というクライマックスを盛り上げるための仕掛けが作品ごとにあるはずなので(謀反を起こした明智光秀の動機や人物像など)、それを安易に暴露するとネタバレになり得る。


Wikipediaにおけるネタバレ

アニヲタWikiはネタバレに配慮した項目が多いが、Wikipediaはネタバレを容認しているので要注意。
これは百科事典である以上、作品の内容や重要性を解説するにはあらすじを解説しなければならず、ネタバレは必要と捉えているため。
というより、そもそもあらすじとは「デジタル大辞泉」によれば

およその筋道。あらまし。概略。特に、小説・演劇・映画などのだいたいの内容。梗概 (こうがい) 。

というものであり、あらすじを語る場合はむしろネタバレをしていなければいけないのである。これは「コトバンク」などで調べられる普通の百科事典でも同じことで、項目を作るに値するほど有名な作品には、簡潔なあらすじが必ず記載されている。
Wikipediaは百科事典に倣ったサイトなので上記の理由によりネタバレ警告は行わず、「免責事項」として読者にはネタバレありきで閲覧する事を課している。
むしろ「読むだけで内容をある程度把握でき、それでいて短い」ものが理想とされる。

そのためWikipediaのアニメ・漫画・ゲーム・映画等の関連記事はネタバレが満載で、物語の結末や事件の真相なども詳細に書かれていることも多く、うかつに開けない。
+ ...
(かつてネタバレ警告テンプレートや、ネタバレ配慮の折り畳み(こういうやつ)が存在したが……)
これが多用されたために現在は廃止されている。
実はこのボタンはサーバーに結構負荷がかかっていたようで、こういう2,3行で済むようなものや、わざわざネタバレを避ける必要もないもののために多用されてはたまったものではないという判断があったようだ。

むしろWikipediaの場合は、ネタバレしていないあらすじの方が適切ではないという考えがある。これはWikipediaはあくまでも百科事典であり、ファンサイトや広告サイトではないという考え方のため。
たとえばあらすじにおいて「三点リーダを使ってはいけない」というルールがある。三点リーダは小説などで多用される表現技法であり、事典の説明では用いられないため。
つまり上のネタバレ警告テンプレートの説明文は現在ではアウト。

実例を上げると、たとえばインターネット上でミーム化した
「後輩をかばいすべての責任を負った三浦に対し、車の主、暴力団員谷岡が言い渡した示談の条件とは…。」
という表記はその後のあらすじになっていないためNGであり、
「三浦は暴力団員の谷岡の車に追突事故を起こした後輩、中田をかばい、谷岡が示談の条件として言い渡した×××をすることに合意した。しかし行為の最中、後輩の中田は偶然谷岡が隠していた拳銃を見つけ、谷岡を恫喝する。」
というように書かなければならない(これ以上は冗長になる)。
しかし今度はあらすじの要約がものすごくヘタクソなことが問題視されるようになっている。つまり作品の流れをそのまま文字に起こしただけでまったく贅肉を削られていない文章が「あらすじ」とされるようになっているのだ。上述のコピペの元ネタで言えば、×××の内容を子細に語るようなものである。
これは単にあらすじ記載者の要約能力が低いことが問題なのだが、これと「ネタバレ禁止のマナー VS Wikipediaは百科事典」という2つの論点が存在してしまうため、現状では議論は遅々として進んでいない。

つまり色々な考え方があるんだよ、ってこと。ネタバレ禁止云々も数年後には変わっているかもしれない。
詳しくは Wikipedia:あらすじの書き方 をご覧ください。これを読んでからあらすじを書く人はどれくらいいるんでしょうかね……。*8


ネタバレを好む人

ネタバレが嫌いな人は多いが、逆にネタバレに寛容どころか「ネタバレ大好きで、ネタバレを見てから作品を視聴する」という人もいる。
むしろ歌舞伎などはあらすじをすべて知った上で演者を見に行く芸能だし、大河ドラマもたとえば「織田信長がメインなら王道ものなので見るが、徳川綱吉ならどうせ逆張りものだろうから見ない」という人はいる。落語に至っては題名でオチ(サゲ)をネタバレしている
つまり作品によってはネタバレはまったく悪にならないどころか、作品を選ぶ理由にさえなる。

しかしこれによって持ち味が完全に損なわれる作品もある。たとえば推理小説は「ミステリー」から「犯人もトリックもわかるサスペンス」へと変貌し、作者が張った伏線もほぼバレバレの状態で読み進めることになったりする。
こういう楽しみ方をするドラマとして「刑事コロンボ」「古畑任三郎」などがあるが、それはあくまでもそういう楽しみ方をしてもらうのが前提の作品である。
これらはネタバレをされた瞬間に陳腐になり、「ネタバレ禁止」も元々はこのようなトラブルを避けるために生じたマナーである。

その上でなおネタバレを知りたがるのは主にタイムパフォーマンス重視の若い世代(Z世代)で、「作品について知りたいが時間はかけたくない」という場合に、ネタバレに積極的に触れるケース等があるようだ。
彼らはあくまでも作品を楽しむのではなく、他人との共通の話題を得る(雑談力)ことが目的となり、こち亀でも「ビデオを倍速視聴する子供」という形で皮肉った回がある(ちなみにまだVHSの時代)。
つまり元々目的が違うので、「物語を楽しんで、その楽しみを共有する」というオタク的な尺度ではそもそも理解ができない生き物なのだ。
ファスト映画などは、いわゆる雑談力需要に付け込んで発展したものと言えるだろう。

カリフォルニア大学心理学部はこうした心理について、とある見解を示している。
実験によると、推理小説を読んだほとんどの読者がネタバレを好んだのだが、その理由を
  • 『処理しやすいものを好むという人間の脳の性質上、ネタバレなしの状態より楽に読めるようになる』
  • 『あらかじめ結末を知る事で、物語のさらなる理解(伏線探しなど)に集中できる』
と推測している。要するに時間をかけずに2周目を楽しむようなものだろう。
だからと言ってネタバレを奨励しているわけではないので、やはり安易なネタバレは控えよう。

現代ではソシャゲーのように「ガチャでそのキャラクターを引くことでストーリーやボイスを解禁する」という売り方をするものが多い。
「このキャラが好きなら引いてね!ストーリー用意してあるよ!」という商売方法なのだが、ガチャというのはそもそもすべての人が引けるわけではないし、期間限定のキャラクターの場合はそもそも引く機会すらない場合がある。
つまり「買いたいが買わせてくれない」。そこにはガチャの爆死などでどうしても強い需要が生じるため、Youtubeなどで個別ストーリーを丸上げした「切り抜き」動画が登場するようになり、ストーリーに力を入れているソシャゲーは商売機会の損失に悩んでいる。
しかし後述するように法には違反しないため、これらの行為を咎める手立てがほとんど存在しない……というか、Youtubeの運営は咎めるまでにとても時間がかかる*9
その一方でプレイヤー側はこのような行為は認めておらず、そのエピソードのリマインダー的な要約さえ作ることを厭う(つまりわずかなネタバレをも嫌う)文化があり、問題は複雑化していっている。

また、いわゆるZ級映画や、クソゲーオブザイヤーに名を連ねるゲーム等、低品質な作品に関するレビューサイトやレビュー動画などではネタバレ全開であることが多いが、こうしたネタバレを嫌う人はあまり多くない。
これはそもそも作品のクオリティが低いことが知られているため作品自体に触れたがる人がおらず、逆に『何がどうダメだったか』という点に人々の興味が向くため、ネタバレはそれを手っ取り早く知ることができるというメリットがあるから。
そもそも人気のあるクソ系レビューは、ネタバレ者の辛口気味の評論が面白い場合がほとんどである。これはまずいことが分かっている物を食べるお笑い芸人のリアクションを見て笑うようなもんである。


ネタバレは違法か?

誤解ないように補足しておくと、ネタバレという行為そのものは法に触れる行為ではない。
そもそもネタバレが法で禁止されていたら、百科事典は大幅な更改を迫られてしまう
あらすじの解説とネタバレの禁止は相反するものであり、必ずどちらかを犠牲にしなければならないのだ。
たとえばアニヲタwikiでは後者が重んじられ、前者を犠牲にすることになる。

現在の日本人、特にオタク界隈では「あらすじとは物語の導入部だけを解説したものである」という誤った認識が広まっているが、実際には前述のとおり、「あらすじ」や「さわり」とは「全体の要約のこと」である。
この誤解は、漫画やアニメにおける「これまでのあらすじ」「前回までのあらすじ」などで形成されていったもので、むっつりスケベが略されて「むっつり」になったようなものに近いかもしれない*10
こういった紹介をしなければならないのは、楽しみを損なうわけにはいかないというエンタメ的な事情と同時に、その楽しみを売る以上損なえないという商売事情でもある。
Wikipediaがネタバレを禁止していないのは、Wikipediaはファンサイトや広告サイトではないという方針を打ち出しているから。つまり別にエンタメも商売も関係ないのである。

映画の映像を切り刻んで編集するいわゆる『ファスト映画』や、漫画の画像をWeb上に丸々アップロードしてネタバレする、もしくはセリフから描写までを忠実にテキストに書き起こしてネタバレするという事例が昨今問題視されており、実際に検挙される事例も目立っている。
しかし、これらに関しては明らかな著作権侵害行為(著作物の無断改変、無断アップロードなど)によって権利者から訴えられているわけで、ネタバレという行為そのものが問題となっているわけではない
冒頭で書いたように、ネタバレとは「その作品の重要な部分を暴露すること」であり、ネタバレ行為そのものを法律で禁止するには、「その作品の重要な部分とは具体的に何か?」の定義が難しいのである。

しかしファスト映画や違法アップロード等によるネタバレ行為が原因となって売り手側の機会損失が生じているのは事実なので、ネタバレと犯罪は全く無関係というわけでもない。
実際、ネット上で過度なネタバレ行為を行っていた者が逮捕された事例も発生している。
2024年10月29日、映画・アニメなどのセリフやストーリー等をネット上で公開させたとあるネタバレサイトの運営者らが逮捕された。
文字起こし系ネタバレサイトでの逮捕者が出るのは、国内史上初のケースである。
ネタバレサイトがまったくの無料で運営されているならまだしも、これで閲覧数を稼いでアフィリエイトで儲けようとする行為は小遣い稼ぎにつながるため後追いが出やすい。
このケースを一罰百戒や前例にしようとしたものであり、この事件は「アニヲタwiki」をはじめ、様々なwiki系のサイトにも大きな影響を及ぼした。
Wikipediaでも前述のとおり、要約されていない過剰な記述、つまり「過度なネタバレ」が問題視されている。

ネタバレ自体は法律で禁止されてはいないものの、ネタバレをするときは一線を越えることがないように注意するべきである。
もう少し言えば「そもそもネタバレとは何か?あらすじとは何か?」というところをきちんと認識し、その上で自分なりの答えを持っていただきたい。


よくあるネタバレ


以下よくあるネタバレの例。一応ネタバレ注意。
この一覧はあくまでネタ項目ですので、その作品にこれから触れる人の楽しみを損なうような重要なネタバレの記述は控えてください。



追記・修正はネタバレされる前に、あるいはされてしまった後にお願いします。

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最終更新:2025年04月11日 20:33

*1 同性愛がどうのというのではなく、「女性が恋に生きることを捨てて自立する」というエンディングなども見方によっては失恋になるため。特にディズニーは名作がことごとく王子様とお姫様の恋を扱っているため、ディズニーファンはこんな終わり方をされても釈然としない。そんな気分を味わいたくないので、恋愛がどんな顛末を迎えるかだけでいいから教えてほしい(それ以上はネタバレなので不要)というもの。

*2 ただし東方の場合はエンディングで語られた設定がファン創作にまったく反映されないという独自の文化も生んでいる。そもそも創作者が知らないのもあるが、変に言及すると「知らない人からはエアプ呼ばわりされ、根拠としてエンディングを例示するとネタバレのガイドライン違反で叩かれる」という詰みにハマるため。

*3 長文をこの方法で隠すと、画面に不自然なスペースや下線が増えてしまう上、隠れたテキストを読む際の選択範囲もそれだけ広くなってしまう。

*4 ちなみに、古畑任三郎のように「ストーリーの冒頭で犯人を明かしてしまう」形式のミステリー作品を“倒叙(とうじょ)ミステリー”という。なお、ヤスの場合は「『犯人はヤス』というフレーズによって多くな人に犯人だと知られてしまった」だけであり、ゲーム内でいきなりヤスが犯人と明かされるわけではないため、倒叙ミステリーには該当しない。

*5 実際に「古畑任三郎」や「すずめの戸締まり」の番宣CMでは肝心な部分がネタバレされたことがあり、特に前者は作者から直々に非難された。

*6 伏線は前半にあるが。

*7 この『少年探偵長』は海野が連載中に結核で死去しているため、途中から横溝正史が引き継いで書き上げられた。伏線などは最後までに回収され、この手の作品としては矛盾もないので、おそらく海野があらすじを生前に伝えていたが「首領が男装した女性」という設定を隠しておくことを横溝に伝え忘れたと思われる。

*8 余談となるが、Wikipediaで名文として有名な寄生虫関連の項目も、ウィキペディアンの中には「ここは小説を掲載するサイトではない」と批判的な人がいる。あのサイトはあくまでも「百科事典」という体であり、そこにエンタメ的な情報は不要という考えだ。

*9 お笑い芸人はよくYoutubeに自分たちのコントが丸上げされていることを皮肉るネタを言ったりする。たとえばコント中にボケが「あなたの出ている映画見ました!Youtubeで!」というのをツッコミが「ちゃんと見ろよ!Youtubeじゃなくて!削除すんの大変なんだから!俺達だって大変だったじゃん!」とメタ要素に踏み込んでツッコむことで、ボケが素で笑う(これも演技)、という感じ。ちなみに現在はこういう違法な丸上げを防ぐために、お笑い芸人は代表的なコント、アニメや映画やドラマなら古い作品の無料配信が定期的に行われているが、これはYoutubeが違法アップロードをなかなか削除してくれないことへの自衛策という意味もある。

*10 むっつりは本来極めて不愛想なことを指す言葉で、むっつりスケベは「そういう不愛想な顔のくせに内面はスケベである」という不愛想な中年以上の男性を嘲った言葉である。現在では単なる変態気質のことを指すが、これはドラゴンクエストシリーズの性格類型で男性のスケベ絡みのものがこれしかなかったことに由来する。

*11 劇場版コナンをネタにしたものだが、実際に毛利が逮捕される映画は2本ある。