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山を渡る

登録日:2026/04/02(木) 10:50:00
更新日:2026/08/12 Wed 09:29:37
所要時間:約 22 分で登れます読めます








「「「「「「三多摩大学山岳部です!」」」」」」





『山を渡る -三多摩大 岳部録-』は、ハルタにて2019年から連載されている漫画作品で作者は空木 哲生(うつぎ てつや)
2026年4月現在8巻まで刊行。






概要


アウトドア系の漫画やアニメといえば、近年ではこのアニヲタWikiにも項目がある『ゆるキャン△』や『ふたりソロキャンプ』等キャンプがメインになっている作品が有名だろうが、本作はキャンプに留まらず山登り全般がテーマとなっている。

基本的には山登りの素人である新入部員目線による登山部あるあるや成長具合にスポットを当てた話がメインだが、上級生達に焦点を当てた回もあり、登山に備えたトレーニング、ハードなロッククライミング、急変する天候、登山道具の選定、高山病、キャンプ場でのメシ事情等、山登りを趣味とする人にはお馴染みの、そうでない人には割と新鮮な要素を含んだ内容となっている。

1巻とそれ以降で大分筆致が変わっているような感じもあるが、道中の絶景ポイントや頂上から見渡す山地の容貌、登山中に見られる奇岩や高山植物、登場人物たちが使う道具類に自身の限界へ挑む際の表情や心意気等が細かく描写されている。
特に夏合宿編とも言える6巻以降はその解像度が上がり、実際現地に行った事のない人でも脳内に鮮明にイメージできる程になっている。
取材には1巻では上智大学ワンダーフォーゲル部が、2巻以降は青山学院大学山岳部が協力しているようで、そういう意味では昔からある部活動の実録漫画でもある。

作中でいくつか登山関係の用語などが表れるが、都度解説が入る為、登山に経験がなくとも問題なく読み進められる。
山メシのレシピやトレーニングなんかは割と参考になるレベル。また登っている山や道中の難所、山荘などは実在のものであり、山登り中の話では要所で時間経過等も示されるので、その気になれば作中の登山ルートを地図上で辿ったりコースタイムを割り出したりもできるだろう。




三多摩大学山岳部


神奈川県に本拠を置く三多摩大学でかなり長く、少なくとも半世紀以上は活動が続いている山岳部。
その部室には現役/中古/ボロを問わず登山道具や地図などの資料が所狭しと詰め込まれ、壁には歴代OB達の名前が今も残っているなど、中々歴史を感じさせる部である。
大人数を擁していた時期もあったらしいが連載開始当初の人員は2年生3人のみであり、実は廃部になる可能性もあったのだが、程なく新入部員三人娘が加入した事でそれは回避。
当初はそもそも運動の素人であった新入部員達も順調にレベルアップしていき、夏には共に長期合宿に出かけられる程の成長を見せた事で、充実した活動を行えるようになってきている。



【新入部員三人娘】

ストーリーの中心にいる新入部員たち。
全員が山については素人でいわゆる山ガールですら無かったが、それぞれの理由で山へ登る事を決めて山岳部へ加入。
それまでの人生で経験した事の無い活動や感情の動き、思いもよらぬ山での出来事等に圧倒されつつも、厳しくも愉快な山の旅を楽しんでいる。
学部の違いはあるが三人で部活外の大学生活もよく一緒に過ごしているようで、話の外ではピクニックに行ったり買い物に行ったりとよい友人関係を築いている。



南部 真菜
長野県出身の文学部1年。新入部員3人の中では一番小柄なメガネ娘。
体が弱く子供の頃から強い運動は避けていたが、競争やノルマのない山登りであれば自分でも冒険が出来るのではないかと考え、山岳部の門を叩く。
ガチ目な山岳部に自分は場違いなのではないかとか、小柄な自分が他の部員の足を引っ張っている等のネガティブな考えを持つ事もあったが、先輩たちの課す訓練を友人となった同期の2人と共にクリアする内に克服し、それと共に内面的な強さも表に出るようになった。

小柄かつ穏和な性格のせいか現役小学生に混ざっても違和感がない程であるが、周囲への気配りを欠かさず上級生達にも臆さず意見を伝える女性である。
三人娘の中では常識人枠、ストッパー的役割だが、加賀達が騒ぐのに控え目に合わせたり、山小屋での食事に苦言を呈す金田を三人一緒にハイライトを消した目で黙らせたりとノリは良い。

3人の中では山に登るモチベーションがもっとも高く、それ故か山登りに必要なスキルの習得も早い。雨の中のテント生活での取り回しもすっかりお手の物。
元々料理も得意だったようで家庭料理とはまた別のノウハウが必要になる山での料理もすぐにこなせる様になり、山岳部一行の「料理長」として山の食事の采配を預かる事になった。
以来、食べやすい行動食や疲労の極地にあっても作れるメニューの開発にあたりつつ、山メシの常識から外れたメニューを取り込んで上級生達の度肝を抜いたり、夏合宿では山で手に入る材料を活用したケーキ作りに挑戦して見事成功させたりしている。
そのおかげで(その場のノリであるが)山岳部一行からママ呼びされる事も。



加賀 直美
北海道出身の文学部1年。太めの眉と目の下のソバカスがチャームポイント。
「本の栞にワクワクする」という程の本の虫であり、一度読書に熱中しだすと周りの事が目に入らなくなるほど。
海外の冒険小説等を経由して山岳文学*1にのめり込み、そこから山登りについて興味を持つようになり、実際に山に登ってみようとした所で山岳部一行と遭遇。そのまま同行し、入部する事になった。

三人娘の中では一番背が高く、結構アクティブに動く方で難所に差し掛かった時に最初に挑むのは大抵彼女。ハックルベリー・フィンと名付けた背負子*2を使っている事もあって三人娘の中では一番の大荷物を引っ担いでいる。
同時に三人娘の中で最初に調子に乗り始めるのも大抵彼女であり、入間や黒木とよく騒いでは顔芸を披露している。

文系らしく自分が登っている山道を最初に切り拓いた登山者や、稜線に張り付くように建つ山小屋を造った職人達などに想いを馳せたりと、黒木たちとはまた違う角度から山のロマンを感じ取っている。
科学的に山登りを解析しようとする理系な入間とは多少話が合わない面もあるが基本仲良しであり、南部も交えて互いに支え合って賑やかに山の旅に挑んでいる。
本については基本読み専なのだが一度創作にもチャレンジしようとした事はあったらしく、その辺りは見事に黒歴史化している。
山行記録などをみる限りはなかなかポエミィな文を書く様子。



入間 聡子
秋田県出身で理工学部1年。加賀や黒木からは専ら「イリマー」と呼ばれているオレッ子。
いつでもノギスを持ち歩いている理系女子にして「通学以上の運動は無駄」と宣う程の運動嫌い。自己申告では腕立てもした事がなかったという程だが、トレーニングや実際の山登りでも他の2人にも劣る事無くついていくやれば出来る娘。
山岳部の勧誘ポスターに書かれていた日本の75%は山という文句から山に興味を持ち、部室を訪れた。

よく言えばマイペース、悪く言えばかなり生意気な気質で上下関係にも無頓着。
理系気質ゆえかいわゆる体育会系的なノリはスルーするし現代っ子らしくコスパの悪い行為をする事も嫌い。先輩たち(特に金田)に対してもかなり舐めた態度を取る後輩様ででもある。
ただ理解力は高く、金田から聞いた用語を金田の解説を待たずに推測だけで正解を導いたり、先輩たちや友人が大事にしている事や価値観に対しては尊重し理解を示す。
山に登る意欲も同期の2人に劣らず、いずれ「何故人は山に登るのか?」という命題に答えを出す事、登山という行為を言語化してその楽しさを科学的に証明する事を目標に掲げている。

その一方、帽子のロゴがATARIだったり16bitだったり、「ゲームに登場するキャラが持っていたバックに似てるから」と理由で古いザックを選んだりと結構なオタク系ゲーマー。
登山中のシチュエーションがゲームの展開に重なる事でテンションを上げたりゲームのストーリーを一方的に語りだしたりもする等、かなりの面倒くさい熱量を持っている様子。
ちなみに上記ストーリー語りの際にはネタバレ上等でガンガン語った為、同じゲームをやっている黒木がネタバレに怯えて逃げ回る一幕も。

また実家が農園を経営しているようで、その伝手で夏の合宿で持って行く米を提供。
それやこれやもあって実はいいとこのお嬢様なのではという疑惑もある。




【山岳部上級生3人組または三多摩の三鬼】


伝統ある山岳部の一員として山登りに情熱を燃やす上級生達。
普段の大学生活ではわりとポンコツな面もあるが山では頼りになる先輩達であり、新入部員達の疑問に運動の科学に則った助言をしたりデータを基に行動の可否を検証したりと、体育会系にありがちな根性論には頼らない今時のよい先輩達である。
当初は新入部員達のあまりの体力のなさに頭を抱えたりもしたが、体力/筋力の強化と山に登る楽しさを伝える事から始め、その成長度合いを見計らって徐々に深い山に挑んでいく方針を取ると共に、一緒に山へ挑む仲間として迎え入れている。



◆黒木 世都子
地球人文科学部2年にして山岳部主将。
底知れぬ体力と勢いで山岳部をリードする脳筋ゴリラ女。

大学以前はバレエ部に所属しており、しなやかさと力強さを兼ね備えた筋肉はその頃に培ったもの。
部の主将という立場からか、当初から新入部員達に親身になって接しており、新入部員達のやる気をなくさせるような言動をする金田や草場をよく諫めていた。
また同性とういう事もあって新入部員達とも距離が近く、南部を猫可愛がりしたり加賀やイリマーと一緒に騒ぐ事も度々。それだけに新入部員達の熱意もよく知っており、同じ部の仲間として彼女たちと一緒に山に登る事が出来ると信じて一行をリードしている。

その一方、上級生達だけで山登りに行くときは全力で山登りを楽しんでおり、長い手足を駆使して岩壁のわずかな凹凸を捉え、道具類もあまり使わずスピード重視でどんどん登っていく。
やや力任せな感はあるがそのガシガシ登っていく様が、金田からは「ゴリラみたい」、草場からは「雑で豪快なクライミング」と評されている。
ちなみにどちらの評も黒木的には誉め言葉らしく、言われた時はかなり喜んでいた。

体力的にも精神的にも「非常にタフ」と評されており、女だてらに主将を任されているのもそれ故。
新入部員達のLINE既読スルーにもめげずに雪山登山の勧誘メッセージを送り続けたり、話し合いで決まった夏合宿の行き先を南アルプスに変更させるべく悪足掻きを続けたりと、周りが引くほどの強情さを見せる事も。
そのあたりの粘り強さあるいは往生際の悪さに、溢れんばかりの情熱が重なる事でやや安全を軽視するようなきらいもあり、その辺りを宅野からは懸念されてもいる。

半面、山から離れた日常ではかなりガサツなタイプのようであり、付き合いの浅い新入部員達からもソッコーで脳筋扱いされている。
特に料理、というより食事全般にあまり気を遣うタイプではないようで、夏合宿向けの行動食を検討している最中に「全員2週間柿ピー喰ってりゃいいだろ?」との暴言を宣っている。
詳細は語られていないが、どうやら昨年のキャンプで振舞った料理が金田と草場には非常に不評だった様であり、黒木自身もやらかしたという自覚がある程。
それ以来2人からは非常に警戒されており、キャンプ場で黒木が食材を持ったあるいは持とうとした段階でかなり厳しめに制止する/されるのがお約束となっている。



◆金田 良雄
法学部2年にして山岳部副将。
山登りにロマンを求める自称ストイックなアルピニスト。テープで補強したメガネがトレードマーク。

上級生3人の中ではもっとも能力的なバランスが取れていると称しており、山についての知識も豊富な一行の解説役。
決め台詞を黒木に取られたり、後輩たち(特に入間)に解説をスルーされたり内容を信じてもらえなかったりする事も多いが。
南部が加入するまでは草場と共に料理を担当しており、なかなかの手際。南部が実力をつけてからも交代で、あるいは朝食は金田達が作っている事が多い。

副将という立場から一応部の存続を考えて行動しているようで、新入部員達に体力強化メニューと山登りを基礎から教える事を率先して進めている。
また、「他の人と同じ位背負えなくては」と沈む南部に対してデータによる検証と「皆は同じゃないし同じにする事が間違ってる」と励ましたりと、仲間の悩みにも真摯に向き合う
新入部員達の行動が自身の考える山登りのロマンとズレている事で気を落としたりする事はあるが、それらも「山は自由だ」という信条からその行動を受け入れたりと、割と度量のある所を見せてもいる。
その一方新入部員達が一端の山岳部員らしい成長を見せた時には感動のあまり涙を流して喜んでいた。そして黒木から「パパなの!?」と突っ込まれていた。

上級生達だけで登りに行くときは突進しがちな黒木を抑える側に回るが結局抑えきれず、そのサポートに徹する事が多い。
登攀の実力は確かだが、先人の踏破跡から先人の苦難や工夫を読み取り、自分の経験とする事が出来るなどロマン成分強めな主張をして草場からオタク呼ばわりされる場面も。
いつかは未踏の山を登る事を念願している。

コーチである宅野からは随分気に入られており、それはこの2人のやり取りを見た加賀が「文学の香り」を嗅ぎ取ったりする程。
ちなみにこの2人がそういう間柄であったりといった事はないので念のため。



◆草場 透
経済学部2年。
山登りのロマンは否定しないが難しい登攀に挑みたい質のクライマー。

山岳部に入る前はボルタリングをやっていたためか特にクライミング技術に優れており、黒木に比べてスマートに岩壁を登っていく。
ただ整った環境でのクライミングが中心だった経緯からか、状態の悪い岩へのクライミングは比較的苦手。本人も自覚があるようで、機会を捉えて練習も欠かさない。

良くも悪くもストレートな物言いをするようで、入部前の入間から「山は危険なのか?」と問われて言葉を濁す黒木たちを横目に「リスクはある」と断言し、その上で黒木達に「真剣に聞いている子に嘘をついてどうする」と嗜めている。
当初は新入部員たちの素人ぶりから「すぐに辞めちまうだろ」と期待していなかったようだが、部の仲間として受け入れて以降は積極的に技術指導や装備等の相談に乗るようになってきている。

同性とあって金田とよく行動を共にしているが、勢い重視な黒木やロマン過剰な金田に現実的な視点を突きつけてちょっとした口論になる事も。
が、根の所では共感しているところも多いようで、共に頂上を目指す仲間として連携している。




【山岳部関係者】



◆安達 ちはる
山岳部監督。
体格でいえば南部とほぼ同等ながら「全てを寄せ付けない」7000m級の高山をも登り切る一流の登山家。
と同時に「豊かに分け与えてくれる」山を楽しむ術も心得ている山の達人でもある。

普段の部活動は部員たちの自主性に任せているが、監督として部の山行計画はしっかりチェックしており、部員の力量を超えているとか楽観が過ぎる箇所などを指摘した上で計画の許認可を行っている。
その際には上級生達に「後輩たちが山で自立できるよう成長させなくてどうする」、「自分達も後輩たちに成長させてもらえる機会でもある事を忘れるな」と厳しめに指導もしている。

それ以外にも時折部員たちを誘って、沢登りや雪山など山の様々な顔を見る事が出来る冒険行へ連れ出している。
その際は部員たちに混じってはしゃぎつつも咄嗟の時には達人らしい即断を見せていたりもする。



◆宅野 和樹
大学近くのアウトドアショップ「カモシカ」の店員であり、山岳部OBにしてコーチ。
スキンヘッドのがっちりした体格でオネエ言葉を話すという、一見すると怪しい人物のように思えてしまうが、山登りの技術は上級生達も及ばない程。
「安全を確保出来てこそ自分のパフォーマンスを十分に発揮する事が出来る」がモットーであり、山岳部OBとして上級生達へ技術指導を行っている。
指導の方法は「(自分の監視下で)わざと危険な状況に身を置かせて恐怖に身が竦む感覚と対処方法を身に付けさせる」となかなかスパルタだが、現場での肌感覚が重要な危険予知を身に付けるには致し方がないのだろう。

新入部員達に対してはまだ直接指導する段階にないからかあまり接点はないが「チビちゃん(達)」と呼んで暖かく見守っており、新入部員達が山を好きになってくれた事、自分で道具を選ぶようになってきた事を陰ながら喜んでいた。
ちなみに、三人娘の様子を見て「できれば学生からやり直したい、今度は女子で」と発言しているので、いわゆるBL系ではなくトランスジェンダー系の様子。




【部外者】


◆店員
大学近くのアウトドアショップの店員で宅野の同僚あるいは部下。
山岳部の面々とは顔なじみであり、商品を買わないくせに長居する山岳部の上級生達を鬱陶しがっている。
新入部員達についても新入りなのに買い物額が渋い事を嘆いていたが、金がないのは学生のせいではないとして山岳部員が買いたがっていたアイテムを次回セールの内容に加えてくれたりするなど、山岳部員の心強い味方である。


◆共立大山岳部員達
三多摩大学山岳部の山友である、共立大学の山岳部。現在はリーダーの小笠原以下、男4人で構成されている。
もっとも、三多摩大側の態度や黒木のSNS上でのやらかし等もあり、共立大側からはあまり友好的とは言えない状態。
とはいえ山についての情報交換はもとよりキャンプ場での交流などを拒むほどではなく、お互い貴重な山仲間同士である事は変わりない様子。


◆入間兄
LINEのグループ会話でのみの登場。
入間の実家である農園を経営、あるいは手伝っているようで、妹からの要請で夏合宿用の無洗米25Kgを無償で提供した。
妹が山岳部に入ったのは知っていたようだが、米の量を聞いて部員が50人位いるのか?と驚いていた。


◆チーコ
南部の地元の友人。
山岳部一行が鳳凰三山への登山の為甲府駅に宿泊している所に遭遇。
南部が自分から山に登ろうとしている事をなかなか信じられず、山岳部に無理強いされているのではないかと心配してくれた。





登った山


・八ヶ岳連峰横岳
八ヶ岳連峰第二の高峰で、物語冒頭に上級生達が登っていた山。
まだ雪が残る岩場を黒木のリードで登頂に成功。その余韻に浸りつつ更なる冒険と新入部員の確保への決意を語るも、そこで新歓オリエンテーションをすっぽかして登山していた事が発覚。
登頂の感慨も吹き飛ばし、遅ればせながら新歓に参加するべく大急ぎで下山する羽目に。

10時半に下山して7時間で大学に戻ってくるという強行軍を敢行した甲斐があり、山岳部の話を聞く為直接部室を訪れていた南部と入間と出会う事が出来た。


・高尾山
東京都内で手軽に登山が楽しめる事で有名な山。
南部と入間の山岳部体験入部として登山。その際に偶々登りに来ていた加賀を現地で巻き込み、ここに新入部員三人娘が揃う事になった。
あいにくの雨模様だったが、新入部員達に、自分達でも山を登れるという自信を芽生えさせる事になった。


  • 瑞牆山大ヤスリ岩
山梨県北杜市にある上級生達だけで登りにいった岩山。というよりは地面から突き出た柱のような岩塊。
作中で名前が出ていないがかなりの難所だったようで、登り切った黒木がはしゃぎ過ぎて金田と草場からウザがられていた。
3人が夜に騒ぎすぎて怒られたのは富士見平小屋のテント場。


・丹沢大山
神奈川県にある丹沢山系の山の一つ。
三種の神器を調達中の新入部員三人娘が、山を登ってみたいと逸る心を抑えられず3人だけで登山。
想像よりもきつい傾斜に驚いたり加賀と入間が初めて見る富士山に感動したりしつつ、無事登頂に成功。

…が、大学の授業が終わってからの入山であった事もあり、頂上に着いてほどなく日没を迎える。
ヘルメットやピッケルは恰好いいので用意していたがライトは用意していなかった為、街中よりも速く闇に覆われていく山の中を灯りも無しに下山する羽目に。
後日上級生からお叱りを喰らってしまった。


・穂高岳
北アルプス中の最高峰であり、日本三大岩場にも数えられる山。
ロッククライミング経験を積む為、上級生3人が屏風岩東壁からのクラシックルートで登攀に挑む。


タンザニア丹沢山系塔ノ岳
神奈川県と山梨県の境に広がる山地で、三多摩大学山岳部にとっては電車一本ですぐに行けるホームマウンテン。
新入部員に登山、更に言えば山歩きの基本を身に付けさせるために、山岳部員が揃って丹沢表尾根コースを日帰りで登山。
それ以降、話の外では新入部員達も新しい道具を用意した時に新入部員達だけで訪れている様子。


・雲取山
東京都と山梨県の県境にある東京都内の最高峰。
より深く山を体感する為、また三人娘のテント泊訓練の為に1泊2日で登山。

晴天に恵まれて順調に登頂成功。
友人達と共に山へ登りキャンプをするという夢が叶った事で南部が歓喜の涙を流したり入間が菊千代(S)との別れを決意したりと新入部員達の心境が一つ進んだ旅となった。


・谷川岳
日本三大岩場の一つであり、「魔の岩壁」と恐れられる一ノ倉沢烏帽子沢奥壁。
そこへ上級生3人が山岳部OBである宅野の引率で登攀に挑む。
天候がやや怪しい中、宅野の指導を受けつつ登攀自体は順調に進むも、ゴールが見えたあたりでついに降雨。


・鳳凰三山
薬師岳、観音岳、地蔵岳の3峰からなる南アルプスの山域。
夏合宿の前哨戦&新入部員達の高地行動訓練(&新入部員達への南アルプスアピール(by黒木))として2泊3日で登山。

初日に加賀が高山病発症というトラブルはあったものの、やり過ぎなくらいの対処とお地蔵様への祈りもあって翌日には復帰。
その勢いのままに南アルプスの雄大な自然の中を歩き通して3峰とも踏破。新入部員達の目はまだ見ぬ北アルプスへ向けられるのであった。


・北アルプス
夏休みを利用した夏合宿として中房温泉登山口から燕岳~槍ヶ岳~鷲羽岳~水晶岳~雲ノ平~薬師岳~剣岳~富山駅と歩き倒す12日13泊の大旅行。
上級生達だけで組んだ最初の計画(北アルプス縦断15泊16日)は監督と宅野から却下の上カミナリを落とされたので、反省し、改めて新入部員達とも話し合って決めた計画を提出。
これにも「新入部員達には厳しい」と指摘を受けたが、入念な準備と合宿に向けてのトレーニングを積む事、現地で上級生達の引率でカバーするという熱意を見せて監督たちを説得し、許可を得られた。

現地では他学の山岳部との交流、今までにない悪天候での山行、開放的な停滞など様々な事がありつつ三人娘も落伍する事無く、山の旅の思い出と経験をもって無事完走。


・北八ヶ岳
新入部員達に十分な体力と技術が身に付いたと判断した安達監督からの誘いを受け、雪山登山にチャレンジ。
今まで挑戦する人を応援する側だったのが挑戦する側に回っている事に戸惑いつつも実は新入部員達は雪国出身の為、雪道の歩き方は習得済み。
そこに先輩たちから借り受けたごっつい雪山用装備を身に付けて新たな山旅に挑む。






用語


・菊千代
入間が持っている秋田犬のマスコットキャラのぬいぐるみ。
入間はこれがないと眠れないので、自分にとって必要不可欠な登山道具であるとして山にも持ち込んできた為、上級生達(特に金田)を驚かせた。
後に南部に触発された事と取り回しの問題から、普段使いのSサイズ(しゃがんだ入間と同じぐらいのサイズ)をXXSサイズ(手乗りサイズ)複数個に変更している。
ちなみにXXSサイズで1個980円。


・三種の神器
山に登るものが必ず持つ事になる(と三多摩大学山岳部では考えている)アイテム。
レインウェア、登山靴、ヘッドランプ(ヘッデン)がそれにあたり、レインウェアと登山靴については新品を買うとそれなりの値段になる為、新入部員達は部室にあった中古品を補修して使っている。
そのせいでレインウェアの上下で色があっておらず、木工ボンドだの毒虫だの言われたい放題な前衛的ファッションになっている。
雨で視界が悪くなっている状況でも目立つ、と考えれば悪くはないのかもしれないが。


・アルフィオン
山岳部の備品である真鍮製のバーナー「マナスル96」。
燃料として灯油を使う、今となっては主流とはいえないスタイルのバーナーだが充分な火力がある事から今も愛用されている。
代々使い込まれ、磨き上げられた真鍮の輝きが入間のお気に入りとなり、アルフィオンと名付けて私物であるかのように管理している。
備品には他にもガスカートリッジ式のバーナーなどもある為、その内の1つを入間が占有しても問題はない様子。

これも実在のアイテムであり、1957年に販売が開始されてから今も生産が続いている人気モデルである。


・絶対ジャンケンルール
山において上級生組が従っているルール。
単に山登りにおける難所でのリード役をジャンケンで決めるってだけなのだが、一行の中で最初に難所に取りついてルートを選定するリード役は全員がやりたがるため、このようなルールが制定されている。
妙に黒木が強く、金田が弱いらしい。





余談


◆上級生達の年齢
実は1巻では金田と草場が大学3年生、黒木が大学2年生と紹介されているのだが、3巻では金田と草場も大学2年生と紹介されている。
順当に考えれば後から出てきた設定の方が優先されると思われるし、1巻では金田達を立てているような言動をしていた黒木が、2巻以降ほぼタメ口になっている事から金田と草場も大学2年という設定で間違いないと思われる。
ただ、そうなると金田と草場はそれぞれバックボーンが違うものの大学に入ってから山へ行くようになったようなので、実は新入部員三人娘とキャリアとしてはそんなに変わりがない事になる。
余程素質に恵まれていたのか、それほど濃密な経験を積んだのか。


◆隊列
山を登る際の隊列は先頭から黒木→南部→入間→加賀→金田→草場。
主将である黒木が先頭に立って障害の確認とルートの選定を、金田と草場が後方からの警戒と安全確認および前を行く新入部員達のフォローを行っているようで、作中でも度々そのようなシーンが描かれている。


◆山岳部とRPG
作中で時折、山岳部の活動や山登り中のシチュエーションをRPG的な冒険行に例える場面が出てくる。
これは入間達を勧誘する際に、山登りをゲーマーである入間に合わせて説明する為であったが、その後も時折RPGになぞらえた場面が描かれている。
ちなみにそういった場面では上級生3人+入間が鎧姿の戦士風、加賀が軽装の神官戦士風、南部がローブ姿の魔術師風に描かれる事が多い。


◆三鬼
三多摩大学山岳部の上級生3人の仇名。
金田が赤鬼、草場が青鬼、黒木が邪鬼と称されている。
もっとも、5巻で共立大山岳部が使っただけであり、三多摩大側が認識しているかも含めて詳細不明。





追記・修正は登山用具を日常用途に使いまわしているような人にお願いします。



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最終更新:2026年08月12日 09:29

*1 植村直己、新田次郎、加藤文太郎等の作品が愛読書の様子

*2 箱状の物や薪などの重量物を背負って運搬する為のアルミ製のフレーム。二宮金次郎像で金次郎が背負っているものの現代版といえば分かりやすいだろうか