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1+2+3+…(数学)

登録日:2026/05/26 Tue 02:54:04
更新日:2026/07/02 Thu 18:20:12
所要時間:約 11 分で読めます



突然だが、この項目をみているそこのあなたに問題。



Q. 1 + 2 はいくつになるか?



そう、答えは「3」である。
では次の場合はどうだろうか?



Q. 1 + 2 + 3 + … + 98 + 99 + 100 はいくつになるか?



末尾の数がいきなり大きくなって戸惑ったかもしれない。
計算すると、この問題の答えは「5050」である。
余談だが、ドイツの天才数学者、カール・フリードリヒ・ガウスは7歳の時に学校の先生から1時間以内にこの値を出すように授業内で指示を受けた。
他の子達が必死に筆算で計算する中、ガウスは即座に上記の答えを導き出した……と言う逸話がある*1
なお、ここでガウスが採った(とされる)手法については後述。

では続いて次の場合はどうだろうか?



Q. 1 + 2 + 3 + … はいくつになるか?



……少し説明不足なので補足しよう。
上記の題意は
「1から順に自然数を足し続ける作業を、途中の自然数で打ち止めにせず、延々と無限に続けた場合どうなるか?」
という事である。

それまでの2問と大差ないようにも見えるが、「無限に足し続ける」という処理になった事で結果には色々と複雑で奥深い内容が絡んでくるようになる。

この項目内ではこの問、並びにそこから発展する話題について話をしていきたいと思う。



▼三角数とその極限▼

まず、そもそもの入り。
ある自然数nに対し、「1からnまで順に自然数を足し続けて出来た数」を「(n番目の)三角数」と呼ぶ。

「三角」と言う名前の由来だが、これは数nを「〇(などの記号)がn個並んだ状態」と考えれば分かりやすい。


例えばn = 3とした場合

1
2
3



〇〇
〇〇〇
と言った数に三角形状に数が並び、それらの数が足されることで出来上がる数になる。

実際に列挙してみると、
  • 1 = 1
  • 1 + 2 = 3
  • 1 + 2 + 3 = 6
  • 1 + 2 + 3 + 4 = 10
  • 1 + 2 + 3 + 4 + 5 = 15
…という具合になっている。


では、この三角数に対し、「(任意の)n番目の三角数はいくつになるのか?」という内容を考えてみる。
ここで、ガウスが1から100までの数の合計を5050と即答した逸話に一旦話を戻してみよう。
彼は以下の様に計算をして求めた、とされている。

1 + 2 + 3 + … + 98 + 99 + 100

これの和の順序を変えて次のようにする。

(1 + 100) + (2 + 99) + (3 + 98) + … + (50 + 51)

この時各括弧の中身は全て101となるのは分かるだろう
そして、この「101」のペアが、項の数100の半分、即ち「50」出来上がるため、それぞれを掛け合わせることで、

1 + 2 + 3 + … + 98 + 99 + 100
||
101 × 50
||
5050
と、導き出すことが出来るのだ。


そして、末尾の数がnの様な未知数である場合も同様に考えることが出来る。
ただ、nが奇数か偶数かで少し異なってくる。
具体的には……。
①:nが偶数の場合
1 + 2 + … + nの項を並べ替え、和が「n + 1」になる項のペアを全部で「n/2」個作る。
※ガウスのパターンは当然こっち
②:nが奇数の場合
まず、1 + 2 + … + nの内、最後のnを除いた1 + 2 + … + (n – 1)に対して①で行った計算を行う。
その後、そこにnを足し合わせる。

実際に考えてみると

①の場合
1 + 2 + … + n
 = (n + 1) × n/2
 = n(n + 1) / 2

②の場合
1 + 2 + … + n
 = 1 + 2 + … + (n – 1) + n
 = n × (n – 1) / 2 *2 + n
 = n × { (n – 1) / 2 + 1 } *3
 = n(n + 1) / 2

となり、めでたくどちらの場合もn(n + 1) / 2となる事が分かった。


ここで、今回のメイン問題である「1 + 2 + 3 + …」に戻ろう。
この式の値は途中のnまでを足した値「n(n + 1)/2」(部分和)に対して、n の値を無限にどこまでも大きくしていった場合の極限値、として考えられる。

この場合、分子側のn(n + 1)が、所謂「下に凸」な2次関数の形になっており、nの増加と共に際限なく大きくなっていくことになる。
分母側の2で割ったくらいでは増加に歯止めはかからない。
無限のパワーを食らええええええええ!
(このような状態を数学では「正の無限大に発散する」と呼ぶ)

よって、「1 + 2 + 3 + …」の答えは「無限大」「正の無限大に発散する」というのが自然な帰結になる。
まあ、末尾がであり、その前にどんな(正の)数があってそれが足しこまれようとには変わりない*4……と考えれば、決して直感に反するものではないだろう。


▼1 + 2 + 3 + … = -1/12 ?▼

さて、「1 + 2 + 3 + …」に対する解法だが、実は他にも考え方が存在している。
そして、そちらではなんと「-1/12」という、整数でないどころか、正の数ですらないとんでもない結果になってしまう。

「無限大な夢の後に何かある世の中かよ」と想いが負けそうになるかもしれないが、これについても計算をしていくと導くことが出来るため、詳細を一部省略して証明をする。


まず「1 + 2 + 3 + …」の結果値を S と置く。
そして「1 2 + 3 4 + …」と、各項の数はそのままに足し引きの記号を交互に行うようにした計算の結果を T とする。

ここで、Sの両辺を4倍 ⇒ (S – 4S)を計算、を行ってみると以下の通り…

S = 1 + 2 + 3 + …
 ↓
4S = 4 + 8 + 12 + …

S – 4S
 = (1 + 2 + 3 + 4 + …) - (4 + 8 + 12 + …)
 = 1 + (2 - 4) + 3 + (4 - 8) + …
 = 1 – 2 + 3 – 4 + …
となる。
「 1 – 2 + 3 – 4 + …」は上で述べたとおり、 T である。

また、S – 4S は当然 -3S でもあるため、
 T = -3S
でもある。
つまり、Tを求めれば芋づる式にSも導き出せることが分かった。

さて、問題のTだが、次の無限級数に対して、x = 1とすれば値が求められる事は理解できるであろう。

1 – 2x + 3x2 - 4x3 + …

そして対象の無限級数だが、実は以下のような式が成り立つ。

1/(1 + x) 2 = 1 – 2 x + 3x2 - 4x3 + …

この式が成り立つことの証明は省くのだが、やり方としては無限等比級数の和の式
1/(1 + x) = 1 –x + x2 - x3 + …
から両辺を微分して求める方法や、もっとダイレクトに「マクローリン展開」と呼ばれる関数の変形方法を用いることで左辺側の値を冪級数の形に展開する方法などで導出できる。

閑話休題(それはさておき)、上記の式に1を代入すると

1 – 2×1 + 3×12 - 4×13 + …
 = 1/(1 + 1) 2
 = 1/4

となるので、T = 1/4 と分かる。
そして、T = -3S は既に述べたため、

S = -T/3 = -1 × 1/4 × 1/3 = -1/12

となり、「1 + 2 + 3 + … = -1/12」という計算結果を、見事得ることが出来た。ファンタスティック!!


◇無限のあれこれ

……さて、無事(?)「-1/12」と言う計算結果を得ることが出来た。

当然、「じゃあ最初の『無限大』って答えは間違いだったの?」と思う人もいるかもしれない。むしろいないと困る。

結論を言ってしまうと、正しくない計算を進めているのはこちら(-1/12)の方
で、実際に計算した結果としては最初の「無限大」が正しい考え方になる。

実は、数学の世界では「無限」と言う数(厳密には数ではないのだが)が計算などに絡んでくると、有限の結果などとは著しく異なる挙動を示す事がある。
そのため、通常の計算なら特に問題が無い処理が問題のある処理に変わってしまう事がある。

では何がダメだったのか?

①:「有限の値に収束するか」調べずに(1 + 2 + 3 + … ) =Sと置いた
上記計算では具体的な数値か何かの様に S と言う数を取り扱った。
しかし、(1 + 2 + 3 + …)と言う数の結果がそもそも具体的な数に収束しない場合、おかしな結果に帰結してしまう事がある。

具体例としてS = 1 + 1 + 1 + …と、1を無限に足し続ける数としてやるとSは正の無限大に発散していく。
最初の1項だけ抜き出した状態を考え、S = 1 + (1 + 1 + 1 + …)とした時に括弧内の数を考えるとやはり同じ様に1を無限に足し続けているのでこの部分もSと置ける。

よって、S = 1 + Sと出来て両辺からSを引くと「0 = 1」と言うあり得ない数式が出来上がってしまう。

別パターンとしてT = 1 – 1 + 1 – 1 + …と1を交互に足し引きする数とすると、Tは1と0を交互に繰り返す「振動」と呼ばれる状態になり、やはりこれも収束しない。
式変形するとT = 1 – 1 + 1 – 1 + … = 1 – ( 1 – 1 + 1 – 1 + …) = 1 – Tとなり、2T = 1、即ちT = 1/2となり、整数同士を足し引きしているのに答えが分数になるという変な結果になってしまう。
(余談だが、この無限級数Tには「グランディ級数」と言う名前がつけられており、「チェザロ和」と言う第1部分和から第n部分和を全て足して、nで平均化した値に対しn→∞としたときの極限を考えると、実は1/2になることが知られている。)

そして今回の場合も最初に調べた通り、(1 + 2 + 3 + … )は具体的な自然数には収束せず、正の無限大に発散していく。
そのため、文字で置いて定数倍や足し引きを行おうとしたのがそもそもの誤りだったという訳である。


②:無限級数の足し引きの順番を途中で変えている
S – 4S = Tの計算をする際に、足し引きする項の順番を変更しているが、これも数学的にはまずい処理になる。
もちろん、一般的にイメージされる有限の計算であれば、足し引きの順番を変えても最終結果に影響は出ない。
実際上述したガウスの1+2+3+…+98+99+100の計算結果を出す際にも和の順序を変えている。

さて、今回出した S = (1 + 2 + 3 + … ) についても、たとえばS – Sを行おうとするときに

S – S
 = (1 + 2 + 3 + … ) - (1 + 2 + 3 + … )
 = (1 – 1) + (2 – 2) + (3 – 3) + …
 = 0 + 0 + 0 + …
 = 0
と0に持っていく事も出来れば、

S – S
 = (1 + 2 + 3 + … ) - (1 + 2 + 3 + … )
 = 1 + (2 – 1) + (3 – 2) + (4 – 3) + …
 = 1 + 1 + 1 + …
 = 無限大
と全く違う結果に帰着させることもできる。

無限級数では上記のようにずらした項に対する帳尻合わせがずっとできてしまう関係から都合よく結果を変更できるようになってしまう。

事実「リーマンの再配列定理」と呼ばれる、「条件収束*5する無限級数は和の順序を変えることで計算結果を任意の値に収束させたり正または負の無限大に発散させることが出来る」というものが存在する。

計算順序を変える行為も無限が絡んでくると危険という訳である。



◇複素解析上では

という訳で、「1 + 2 + 3 + … = -1/12」と言う結果は計算過程に問題点がある関係上、正しい値とは言えないと分かった。
だが、実は 複素数における「複素解析」と呼ばれる分野では話が変わり、全くの誤りとも言えない値になる。
話がコロコロ変わるようだが、我慢してもうしばらくお付き合いいただきたい。

非常に複雑な話になるため詳細は割愛するのだが、複素数の関数上では「一致の定理」というものが存在する。
これは「(特定条件を満たす)複素数内のある区間D内で2つの正則関数f,gが存在し、D内の集積点を含む部分集合D’上で一致する場合、f,gはD全体で一致する」というもの。


すごく大雑把に言うならば「複素数上の区間Dの2つの関数f,gがD内の(特定の条件を満たす)一部区間で一致している事を示せれば、f,gはD全体で一致する事を示せる」という事である。*6
そして、複素数では「解析接続」と呼ばれる、「特定の範囲でしか収束しない関数」に対し、「範囲の境界付近で別の関数(級数展開)を(範囲内の値が一致するようにしながら)考える」事で、関数の定義範囲を上手く広げる操作が存在する。
一致の定理から解析接続は一意的に決定できることが知られている。

では、今回の項目のもとになっている(1 + 2 + 3 + …)をどんな関数で決めるのかと言うと、「ゼータ関数(リーマンゼータ関数とも)」という次の関数を使用する。

ζ(s) = 1/1s + 1/2s + 1/3s + …
(s:複素数)

この関数はsの実数部分が1より大きい場合に収束という事が知られている。
計算結果で有名な値としては

ζ(1) = 1/1 + 1/2 + 1/3 + … = 無限大(調和級数)
ζ(2) = 1/12 + 1/22 + 1/32 + … = π2/6(バーゼル問題)

がある。

1 + 2 + 3 + …は ζ(-1) = 1/1-1 + 1/2-1 + 1/3-1 + … で収束する範囲の外だが、解析接続を使用し、別関数に置き換えて考えていく事でζ(-1)に別の値をあてがう事が出来る様になる。
(解析接続の際に出る関数についてはここでは省略する)
そして、その際に与えられる値が「-1/12」であり、上記で計算した結果に一致する。

実計算では間違いだが、複素解析上での計算内では(1 + 2 + 3 + …) = -1/12も意味を持つ結果になっており、事実物理学での計算では上記結果が使用されることがある。


◇そして数学界の未解決問題(でんせつ)へ…

さて、解析接続によってζ(-1) = 1 + 2 + 3 + … = -1/12 という値が意味を持つ結果としてできた。
なお、-1以外でもゼータ関数への解析接続結果に対して有限の値を与えるものは他にもある。


とりわけ注目されるのがζ(s) = 0となる点。
これも研究が進められてきており、条件を満たすsは大きく分けて2種類存在することが判明している。

1つ目が-2, -4, -6, …と言った負の偶数。
この値をゼータ関数に宛がうと、値が0になってしまう。
話が非常に難しくなるため、概要のみ説明するとゼータ関数には「函数等式」と呼ばれる、ζ(s)とζ(1 - s)の関係性を示す数式が存在する。
だが、sに負の偶数を用いると必ずζ(s) = 0と言う式に帰結できるため、「自明な零点*7」と言われる。

2つ目が上記に当てはまらない「非自明な零点」。
19世紀から現在に至るまで研究が進められており、その中で数学者ベルンハルト・リーマンが自身の論文「与えられた数より小さな素数について」で次の様な予想を提唱した。

『ゼータ関数の非自明な零点は全て実部が1/2の直線上に存在する』

要は「ζ(s) = 0となるsの内、負の偶数でない物はある実数tと虚数単位iによってs = 1/2 + itで例外なく表現できる」と言う主張。
これは今日では「リーマン予想」と言う名前で知られている。
クレイ数学研究所によって、他の数学の未解決問題6問と共に「ミレニアム懸賞問題」として、その解決に100万ドル……日本円で1億円以上の懸賞金がかけられた。*8

1 + 2 + 3 + … という計算の結果を考える問題は複素解析などの話に繋がっており、そしてその中で現れるゼータ関数からは今なお解かれていない数学の難問へと繋がっている。

現在に至るまでに「実部が1/2の直線上にゼータ関数の非自明な零点が無数に存在する」「ゼータ関数の非自明な零点は実部が0以上1未満になっている」等の進展はあるものの、
提唱から150年以上の年月が経ってなお未だに人の手で解かれていない。
果たして解かれる日はいつになるのだろうか……?



▼余談▼

  • 自然数の和として出てきた三角数だが、他にも四角数や五角数、三角錐数などの派生概念が存在する。

  • 自然数の3乗の和 13 + 23 + 33 + … + n3だが、その値は (n(n+1)/2) 2……即ち、n番目の三角数の和の2乗になる事が知られている。

  • 自然数nをx軸側、n番目の三角数をy軸側として棒グラフ状に記載した後に、平滑化と言う処理を行って漸近線を書くと、曲線のy切片(x = 0時のyの値)は、何と-1/12になる事が知られている。



追記・修正は無限を扱う計算と解析接続の計算に気をつけながらお願いいたします。


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最終更新:2026年07月02日 18:20

*1 ただしこの逸話に関しては諸説あり、計算内容が違う、そもそも逸話を文献に記した人の創作、などの説もあったりする。

*2 和が「n」になる項のペアを全部で「(n-1)/2」個作る

*3 nを括り出す

*4 数学的に正しい表現ではないが

*5 そのままの状態で和を取ると収束するが、各項の絶対値を取って和を計算すると正の無限大に発散すること

*6 これは実数関数では成り立たず、特定の区間でだけ一致していても全体で一致することは示せない。

*7 その数を関数に代入すると値が0になる数値の事。

*8 なお、ミレニアム懸賞問題の内、「ポアンカレ予想」に関しては既に解決済みとなっている。