登録日:2024/12/24 Tue 23:39:51
更新日:2024/12/26 Thu 20:03:57
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この項目を読んでいるそこのあなたがもし高校生以上である場合、
2次方程式ax2 + bx + c = 0の解の公式『(-b ± √(b2 – 4ac)) / 2a』の内、
平方根の中にあるb2 – 4acの値が負の数になる場合、
その方程式は“解なし”になる
と言う話を数学の授業で聞いた事があるかもしれない。
実際、日常生活や計算などで用いられている整数や分数、
円周率などの所謂「実数」に分類される数は2乗しても0以上の値になるため、実数の範囲内に解は無い事が分かる。
だが、これらの数には実際には「虚数解」と呼ばれる実数の枠組みを超えたカテゴリに属する数の解が存在している。
そのため、本当に解が無いという訳ではない。
(これらもまた高校の範囲内で扱う内容なので、知っている人も多い事だろう。
また上記の「解なし」についても無用な混乱を避けるために「実数解なし」と教わった人もいるかもしれない。)
「複素数」とは、上記で述べた虚数が属している数のカテゴリ。
日常の生活内で計算などに用いられる「実数」の延長線上に定義された存在であるが、「実数」もまた複素数である。
あえて図にしてみると、
というような感じになる。
【虚数と複素数】
・数の拡張について
複素数に限らず、「数(の枠組み)の拡張」というものは、基本的に「既存の数だけで計算した場合不都合が生じる」という問題を穴埋めしていくケースが多い。
例えば自然数(正の整数)を(「ペアノの公理」の様な話は一旦抜きにして)実際の物の個数を数え上げるものとして考え、条件に合う自然数をxとして数式で表現するならば、「x = a」とする場合に「数える対象が1つもない場合」に当てはめられる数は既存の数の中にはない。
そこで「0」と言う数が生み出され、既存の枠組みが拡張されることで「数える対象が1つもない場合」の表現を「x = 0」とすることが可能になった。
このような考えのもとで、
- 負の(整) 数「-a」→自然数aに対する方程式「x + a = 0」の解。
- 有理数「b/a」→整数a,bに対する方程式「ax – b (= ax + (-b)) = 0」の解。
- 平方根「√a」(a ≧ 0)→整数aに対する方程式の「x2 – a (= x*x + (-a)) = 0」の解の内、0より大きい方の解。
という様に解けない方程式に対して解を決めていく事で、「自然数→整数→有理数→実数」と拡張がされていった。
(有理数→実数に関しては上記の平方根以外にも様々な無理数を定義していく必要がある為、一筋縄ではいかないのだが。)
これらの概念は既存のそれと比べると直観的には受け入れにくい内容も含んでいるため、受け入れられるまでに時間がかかっている事例もある。
例えば、上記の負の数についても17世紀の数学者パスカルは「0から4を引いても0だという事を理解できないものがいる事を知っている」という旨を自身の著書に記している。
今でこそ、0 – 4 = (-4)であって0ではないと多くの人達が認識している。しかし、17世紀、つまり日本でいう江戸時代の西洋では負の数というものが非合理的と受け入れられていなかったのだ。
これから解説していく複素数もやはりこの様に数の枠組みを広げて生み出された数で、受け入れられるまでに時間がかかった数になっている。
虚数単位、そして複素数へ
冒頭で述べた通り、実数の範囲内では「全ての数は2乗しても0以上の数になる」と言う性質があるため、2乗して負の数になる様な数は考えることが出来なかった。
そこでその問題を解消する為の第一歩として利用されるようになったのが「虚数単位」になる。
虚数単位とは次のように定義がなされる。
2乗して-1になる数を虚数単位i = √(-1)とする。
実数上には存在しない仮想の数として虚数単位をiと定義することで、
x2 = -1
という方程式に解を与えることができる。
因みに覚えたての時に勘違いされがちだが、上記の方程式はiしか解を持たないわけではない。
計算すればわかるが、この方程式には「-i = -√(-1)」という2つ目の解もある。
そのため、虚数単位の定義をもう少し踏み込んで表現した場合、
2乗して-1になる数『の1つ』を虚数単位i = √(-1)とする。
になる。
これにより、他の数に対しても
x2 = -a ( a > 0)
を、
(x / √a) 2 = -1
としてやることで、
x / √a = ±i ⇒ x = ±i√a ( = ±√(-a))
と表現ができるようになる。
これにより、「2乗して負の数になる数が既存の数の枠組み(実数)上にない」問題をクリアできた。
そして次のステップとして、この時定義した虚数単位を使うことで、既存の実数を拡張して出来た「複素数」が定義できる様になる。
・a,bを任意の実数、iを虚数単位とした時に「a + bi」と表現される数の事を「複素数」とする。
この時「a」の部分は実部、「bi」の部分は虚部と呼ばれ、虚部が0、つまりb = 0の場合が実数になるため、実数は複素数の一種である。
そして、b ≠ 0のとき、即ち実数でない複素数のことを「虚数」と呼ぶ。特にa = 0の場合、つまり実部が存在しない虚数は「純虚数」と呼ばれる。
ちなみに「複『素数』」とある事から
素数と何か関係があるのかと思った人もいるかもしれないが、これはあくまで複素数が「実部」と「虚部」という「複」数の要「素」から成り立っているためにそのように名前が付いているだけで、素数とは何の関係もない。
英語では「Complex Number ( = 複合する数)」と呼ばれ、複素数全体の集合の事を英語名の頭文字から「C」と呼ぶ。
これらの概念が出来始めたのは16世紀頃の話とされており、
3次方程式の解の公式にて数学者カルダノが虚数を用いた解について記載をしているのが最初とされている。
しかしやはりすぐには受け入れられず、デカルトは虚数に対しフランス語で「nombre imaginarie(空想上の数)」という名前を付け、その存在について否定的な見解を示していた。虚数についての考えが定着したのは18世紀~19世紀頃になる。
なお、上記の名称は後々英語での「imaginary number」という言葉に繋がっており、虚数単位の「i」もその頭文字から取られて付けられている。
【複素数の特徴】
通常の大小関係が定義できない。
少し難しい表現をすると複素数には「加法・乗法と両立する様な全順序関係」が存在しないという事である。
実数上では「絶対値」と「正の数・負の数」の条件から大小関係を定義することが出来たが、複素数ではそれを行う事ができない。
実例として0とiとの間に(実数で用いられている)大小関係を定義しようとすると、
①:i = 0とする場合、i2 = 0となってしまう為、iの定義より矛盾。
②:i > 0とする場合、両辺を2乗することでi2 > 02 = 0となるはずだが、虚数単位の定義よりi2 = -1 < 0なので矛盾。
③:i < 0とする場合、両辺にiをかけることでi2 > 0 × i = 0となるはずだが、やはり虚数単位の定義よりi2 = -1 < 0なので矛盾。
となり、iは0と等しい訳でもなければ、大小関係も決めることができない事が分かる。
そのため、iが構成要素として含まれている虚数に対しても同様に大小関係を決めることができないことを確認できる。
では複素数には大小関係を決める方法がないのかと言われると、そうではない。
決め方の1つとして「辞書式順序」というものがある。
これは辞書が「あ」から始まる単語を2文字目以降の字のあいうえお順や字数などのルールで単語の記載順を決定するのと同じように、2つの異なる複素数A,Bをそれぞれ
A = a1 + a2i
B = b1 + b2i
として、
①:a1 ≠ b1である場合、a1 > b1ならば「A > B」とする。
②:a1 = b1である場合、a2 > b2ならば「A > B」とする。
③:a1 = b1で、かつa2 = b2ならば「A = B」とする。
とする。
要は「実部→虚部の順で大小比較の優先度を決め、大小を判断し、決定する」という大小の決定方法である。これによって、全ての複素数に対して大小関係による順序付けを行う事ができる。
だが、辞書式順序は実際の計算をする上で、加法や乗法などと両立が出来ないという欠点が存在する。
例えばA = 1 + i, B = 1 + 2i, C = i とすると、辞書式順序で考えた場合、「A < B」で、かつ「A > 0, B > 0, C > 0」が成り立つ。ここで、辞書式順序と乗法が両立する場合、「AC < BC」となり、左辺と右辺の大小関係は変わらないはずである。
ところが、実際に計算すると
AC = -1 + i, BC = -2 + i
となる。これらを辞書式順序で考えた場合「AC > BC」となり、大小関係が逆転してしまう。
そのため、辞書式順序では加法・乗法の演算とは両立が出来ず、また演算と両立する様な他のうまい順序の決め方もない事が知られている。
任意の虚数に対して「共役」と呼ばれる対の虚数が存在する。
実数の中では実数Aに対して別の実数Bをどう選んでもA+B/AB共に実数になるが、虚数で同じ様に「和も積も実数になる数」を探した場合、虚数Aに対して、当てはまる数はたった1つに決まってしまう。
具体的にはA = a + biとすると、A+B/AB共に実数になる様な虚数BはB = a – biただ1つとなる。(A+B = 2a/AB = a2 + b2)
この虚数はAの「共役複素数A」と呼び、虚数Aに対する対の数としての役割を持つ。
共役複素数の存在は非常に重要で、後述する絶対値の値の定義にも対象の数が登場する。更には「実数係数の方程式が複素数の解Aを持つ場合、必ずAもその方程式の解になる」などの性質が知られている。
絶対値は√(実部2 + 虚部2)
実数の場合は対象の値に対し、正の数や0ならその値そのものを、負の数ならその値に×(-1)をして符号を取り去った値が絶対値になる。
対して、複素数の場合は後述する通り、2次元平面上での座標として値が定義される。その値は原点から対象の複素数の座標までの直線距離で決まる。これは三平方の定理などにより、A = a + biに対して、√(a2 + b2)と求められる。
上述した通り、Aの共役複素数A = a – biを考えた時、
A × A = a2 + b2
になる為、絶対値を考える時にはA × Aの平方根を考えるというアプローチも可能になる。
複素数係数の方程式は全て複素数の解になる。
例えば「2乗してiになる数はどんなものなのか?」を考える。
もしこの解が複素数の範囲の数でなければ新たに数を定義して複素数からの更なる拡張が必要になるが、実際にはx2 – i = 0を考えると、
x = (1±i)/(√2)
として、しっかり複素数の範囲内に解が存在することを確認できる。
これまでの数では「自然数係数の方程式が自然数の解を持たない」とか、「実数係数の方程式が実数の解を持たない」など、係数に使われる数の範囲では解のバリエーションを網羅しきれない状態になっていた。複素数ではそのような事は無く、複素数係数の方程式は解が全て複素数になる。
因みに数学では「代数学の基本定理」という定理があり、「複素数係数の方程式は複素数の解を1つもつ」という主張がある。これは「複素数係数の方程式は(重解の重複度込みで考えると)必ずその方程式の次数分だけ複素数の解を持つ」という主張に繋がっていく。
【ガウス平面と極形式】
従来の実数では数は「数直線」と呼ばれる1次元(直線)の量として設定、考察が進んできたが、複素数には「実部」と「虚部」という2種類の要素が存在する為、定義には2次元(平面)の量が必要になる。
数直線において、ある数に-1をかけると180°回転させることになる。すなわち2乗して-1
となるiをかけることは90°回転と考えることができる。
そこでA = a + biとした時にx座標を実部、y座標を虚部、即ち
複素数A = a + bi ⇔ 平面上の座標(a, b)
とすることで複素数の表現ができるようになる。
この時に定義される平面を「ガウス平面」もしくは「複素平面」と呼び、実部側を測るx軸を「実軸」、虚部側を測るy座標を「虚軸」として定義される。
この座標上の点で考えることで、上述した絶対値についても視覚的な解釈が可能になり、上述した通りの値になる事が分かる。
そして複素数a + biだが、座標を別の観点から見る事で違う解釈も可能になる。
まず、複素数ではA = a + biの実部と虚部の値から座標(a, b)を決めていたが、これは「直交座標(デカルト座標)」という座標の形式になる。
一方でガウス平面上の座標を考えた場合、「原点からの直線距離」と「ある基準線からの角度」を決めることでも対象の複素数を決定できることが分かる。
それぞれ見ていくと、まず直線距離の方は「絶対値」から割り出すことが出来る。
一方角度の方は、「正の実軸」を基準線(「始線」と言う)として「反時計回り」に角度を測るというルールを設けることで値を決定できる。この際に決定される角度を「偏角」といい、複素数Aの偏角は英語のargumentからarg(A)という。
実際には測った角度に360の倍数を足し引きした値も角度としては正しいため、一意には決定しないのだが、0 ≦θ < 360の様に角度の範囲を決定させれば1つに絞る事が出来る。
因みに上記の0 ≦θ < 360の範囲で考えた偏角は「主値」と呼ばれ、特別な値として”A”rg(A)と表記する。(注意点として絶対値が0である場合に限っては偏角を一意的に決定できない。)
このとき、複素数A = a + biが絶対値がr, 偏角(の1つ)がθであったとすると、三角関数を活用することで、
A = r(cosθ + isinθ)
と書ける。
こうすると、原点以外の点は実部・虚部による(a, b)から絶対値・偏角(r, θ)として書き換えることも出来る。
(なお、絶対値を定義に使用する関係でr ≧ 0を暗黙に仮定しているが、実際にはrに負の数を入れても偏角側の値を修正すれば帳尻を合わせられるため問題はない。)
この様な座標の形式は「極座標」と呼ばれ、座標を図形的に解釈する上では直交座標よりも扱いやすい側面を持っている。
イメージとしては平面を横・縦の賽の目状に区切って考えるのが直交座標、平面を同心円状にスライスして考えるのが極座標と考えると分かりやすい。
詳細は省略するが、この極座標を考えた時、2つの複素数の掛け算は「絶対値の積」と「偏角の和」で表現できる事が知られており、これを考えることでもi2 = -1になる事が知られている。
また、変わったところだと、数学を勉強する際に多くの人が抱くであろう疑問、「負の数×負の数=正の数」を証明するのにも利用することができる。
ここでは代表例として「(-1) × (-1) = 1」を示す。
複素数での(-1)を極座標で考えると絶対値は1で、偏角の主値は対象の座標が負の実軸上にある関係上180°になる。
この時(-1) × (-1)を考えると、絶対値の積は1 × 1 = 1で、偏角の主値同士の和は180° + 180°= 360°となる。
正の実軸から360°回転させた点は当然元の「正の実軸」に返ってくるため(-1) × (-1)は正の実軸上の値、即ち「正の実数」になり、絶対値が1と言う結果と併せて、解は「1」になる事が確認できた。
当然だが、かける数2つに(-1)以外の数を持ってきても、絶対値の値が変わるだけで偏角の値は変わらないため、「負の数×負の数 = 正の数」が示せる。
【複素関数論】
複素数上でも微分積分を定義でき、微分可能な関数を正則関数という。
微分積分の定義は形式的に見れば実数と同じだが、正則関数は実関数にはない著しい性質が多くある。
前述した代数学の基本定理はもちろん(リュービルの定理を初めいくつもの証明方法が知られている)だが、他にも
- 絶対値、実部、虚部のいずれかが定数である正則関数は、それ自体が定数関数である
- 正則関数は何回でも微分可能
- 複素数全体で定義された正則関数が有界(絶対値がある一定値を超えない)なら、定数関数になる(リュービルの定理)
- 同一の領域で定義された2つの正則関数がその定義域内に集積点を持つ部分集合上で等しければ、領域全体で等しくなる(一致の定理)
- 定数関数でない正則関数は、定義された領域の内部で絶対値が最大になることはない(最大値原理)
等がある。これらは実関数においては一般に成り立たない。
【複素数上での指数・対数】
極座標の中で出てきた360の倍数分の角度足し引きで「偏角を無数に定義できる」という点は、実は複素数上の指数・対数の性質を決定する上で大きな役割を持っている。
詳細は省略するのだが、複素数上での指数定義には「オイラーの公式」というものが使用される。これは、eを自然対数の底「ネイピア数」とした場合に
e iθ = cosθ + isinθ
が成り立つというものである。世界で最も美しい等式と知られている「e iπ + 1 = 0」もこの式から導ける。
このとき、右辺側の三角関数2種はどちらも360°(=2πラジアン)周期で同じ値の増減を繰り返し取る。これと、θを360の倍数分足し引きしても値は変わらない関係から、異なる2つの複素数A, Bに対して
e iA = e iB
が成り立つことがある。
また、e iA = Zとした場合に自然対数log Zを考えると、条件を満たす値がA, Bと複数個出てきてしまう。
上記の例ではA, Bと代表して2個の値のみ考えていたが、実際には条件に合う数は(360°=2πラジアン)周期で無数に現れるため、複素数上では対数は厳密な意味での関数ではなくなっている。
(但しこちらも偏角内で用いたように範囲を限定した状態で「主値」を考えることで一意に値を決定することが出来る。)
そしてここから更に影響を受けるのがx aと言う形の冪関数である。これは対数を経由することでx a = e a log xと書けるが、肝心の対数部分が無数に値を持っている関係上、x aもいくつも値を持つという奇妙な状況になる。
周期的に同じ値を取るe x, 1つの設定値に対して無数に対応する値が出てくる対数関数や冪関数など、これらの振舞いは実数の指数・対数とは全く違っている。数の枠組みが拡張された事の影響の大きさがよく感じられるだろう。
【数学以外での複素数】
ここまでの内容を見て、「言うて数学の中でしか使わない仮想的な数でしょ?」と思う人もいるかもしれないが、実際はそうでもない。物理学でも虚数を使う必要がある場面は存在する。
例えば電気回路などを考える場合、電流・電圧が一定値のまま変動しない直流回路の場合と周期的に変動が発生する交流回路の場合とで特性が大きく変化する。
交流の場合は「位相」と呼ばれる、変化のタイミングが電流や電圧の計算を行う上で大きく影響を及ぼし、「抵抗」をより広義の考えに拡張した、「インピーダンス」と言う電流の流れにくさに関する数値を考える必要が出てくる。
この時、通常の実数で考えたりするときは「位相のずれ具合」や「大きさ」などを別個に定義する必要がある。しかし、複素数は数であると同時にガウス平面上の点の様なベクトル的な側面を持っていることから、実数だけでの表現よりも容易な表記にできる。このため、複素数での表記が推奨され、実際に活用されている。
他にも屈折率の計算をする際にも光を吸収する様な物体に対して考えを拡張する際にも複素数を用いたりする事があり、量子力学などの分野でも複素数は積極的に活用がなされている。
【関連する数】
実部と虚部が両方とも整数になっている複素数の事。
「複素整数」とも言う。
整数の一種の拡張系であり、この数を用いることで一部の整数上の素数を複数のガウス整数の積に変換することが出来る。(素数がガウス整数上で分解できるための必要十分条件は「4で割った余りが3でない」事である事も知られている。)
例えば2 = (1 + i)(1 – i)や17 = (1 + 4i)(1 – 4i) = (4 + i)(4 – i)と分解できる。
17に関しては積が2パターンあるが、これらは「同伴」と呼ばれる、それぞれの数の要素を±1か±iをかけることでもう一方へ移し替えることが出来る数同士である。したがって、積の分解パターンとしては実質的に1つになる。これにより、ガウス整数上でも「素因数分解の一意性」が成り立つ。
どちらも複素数と同じ様に実数とは別に数xを1種類定義し、任意の実数a, bに対してa + bxと言う形で定義される数の集合。
「分解型複素数」では「j 2 = 1かつj ≠ ±1」となる様な数jを、「二重数」では「ε 2 = 0かつε≠ 0」となる様な数εによって定義する。
この2つと複素数は「二元数」と呼ばれる数の集合になっており、実数をベースとした二元数は実質的にはこの3種しかない事が知られている。
3つとも四則演算の内、加法・減法・乗法まではそれぞれの集合内で完結することが知られているが、除法が完結するのは複素数のみになっている。
「ハミルトンの四元数」とも呼ばれる。
まず初めにi, j, kと言う3つの相異なる数を以下のように定義する。
i2 = j2 = k2 = ijk = -1
ij = k, jk = i, ki = j, ji = -k, kj = -i, ik = -j
その上で実数a, b, c, dに対して、a + bi + cj +dkとして定義される数が四元数で、集合の名前にはこの数について研究を行ったハミルトンの名前から「H」が使用される。
因みに「二元数」と「四元数」の間の「三元数」は存在しないのかと疑問に思う人もいるかもしれないが、三元数を作る事が出来る、上手い数の決め方は存在しないことが知られているため、三元数は存在しない。
複素数から更に広げられた数だが、この数では「積の交換法則が成り立たなくなる」という特徴が存在している。
他にもさらに数を多く定義して枠組みを拡張した、「八元数」などの数も存在する。
【余談】
- この項目内では虚数単位の記号に「i」を使っていたが、電気工学ではIは電流を意味する記号に使われる関係から、虚数単位の記号には「j」を使うのが通例になっている。
- 虚数単位iに対して、iiを考えると、これは複素数上での冪関数の振舞いから無数に値を持つのだが、驚くべきことにそれら全てが実数の値になる事が知られている。
- 複素数に関する定義のしかたには実数係数の多項式を利用するというアプローチも存在し、「実数係数のxの多項式全ての集合をR[x]とした時にR[x]に多項式(x2 + 1)を用いて剰余類を考える」と言う操作を行う事で複素数に該当する集合を作る事が出来る。これらが複素数と同等の集合である事を考えるのには環と呼ばれる集合の概念などを知っておく必要がある為、より内容について知りたい人は環論などの書籍を調べてみるといいかもしれない。
追記・修正は既存の数の枠組みを拡張し、新たな数の集合を作りながらお願い致します。
- 二重数の方はε^2 = 0では? -- 名無しさん (2024-12-25 00:47:09)
- ↑建主です。上記、誤記してしまっていたため修正しました。指摘いただきありがとうございます。 -- 名無しさん (2024-12-25 11:07:11)
- 最初の2行で脱落した -- 名無しさん (2024-12-25 11:09:10)
- かなり平易に書いてくれているのだけは分かるが、素養も教養も無いことを恥じるばかりだ -- 名無しさん (2024-12-25 12:52:25)
- 「-1を掛けると向きが逆になる」というのを「180回転する」とみなすと、「じゃあ90度回転する数が存在したら2回転で-1になるはずだ」といえるので幾何学的には割と自然に言えたりする -- 名無しさん (2024-12-25 17:12:29)
- 概念の解説以上の意味が読み取れない…関連する偉人エピソードがあるわけでもサブカルとの絡みがあるわけでもない…難しい項目だ… -- 名無しさん (2024-12-25 22:28:41)
- 分解型複素数とかもしっかり書いてくれてるのがありがたいな -- 名無しさん (2024-12-25 23:04:51)
- 集合論等ではシンプルにC=R×Rとして扱うこともある。複素数をベクトルと同一視するやり方を思えば自然な発想と言えよう。 -- 名無しさん (2024-12-26 00:15:38)
- つまるところ一般的な数字を使って表せない概念を無理矢理表現しようとしたものだな?存在しないわけじゃなくて -- 名無しさん (2024-12-26 10:44:55)
- 項目名は「複素数」だけど、複素数には実数も含まれているし、一般的には恐らく「虚数」という概念が実数に追加されて初めて「複素数」という概念になるから、項目名は「複素数/虚数」の方が良いのではないだろうか? -- 名無しさん (2024-12-26 11:10:58)
- アニヲタ的には虚数魔術とか虚数空間とかが身近だよね。 -- 名無しさん (2024-12-26 12:38:50)
- ↑3存在するかどうかは自然数と同様であるといえる。ところで、自然数は存在するのか? -- 名無しさん (2024-12-26 13:21:04)
- ↑3 建主です。自分も項目名については悩んでたところがありました。上記のタイトルが内容的にもいいと感じましたので、項目名を「複素数/虚数」に変更したいと思います。 -- 名無しさん (2024-12-26 20:03:57)
最終更新:2024年12月26日 20:03