老夫婦の樹(ギリシャ神話)

登録日:2011/05/14 Sat 16:50:08
更新日:2024/12/19 Thu 16:57:04
所要時間:約 4 分で読めます




夫婦の樹はギリシャ神話の物語の一つである。
「レイプ魔」だの「何かと穴があったら入れたい、テューポーン先生(゜∀゜;ノ)ノ」

と陰口の止まないことで有名なゼウス善き神様としてちゃんと仕事した数少ない話である

老夫婦のセリフは割と有名で形を変え、様々な所で使われている。



あらすじ

ある日、ゼウスヘルメスは地上の人間が堕落してないかを確かめるために、みすぼらしい姿で地上の町にやって来ました。

しかし町の住人は遊び呆けているばかりか、みすぼらしい姿のゼウスたちを乱暴に追い出しました。
よくみると犯罪者も増え、自分たち神々に対する信仰も薄れているようです。
町の様子にゼウスはため息をついて、


「はあぁ~、なんとだらしない連中だ。いっそノアるか……」


そのゼウスの物騒なセリフに、普段は落ち着いた性格のヘルメスも町の乱れた様子や先ほどの自分たち神々に対する無礼に腹を立てていたのでしょう、
あわや頷きそうになりました。

しかし、ふと気まぐれに空を見上げますと山の上に細い煙が登っているのが見えます。どうやら人が住んでいるようです。
まだ1日が終わったわけでもない。ノアる、ノアらないを決めるのはあの家を調べてからでも遅くはないだろうゼウスたちは思い直し、山の上に向かいました。

果たして煙の下には小さな家があり、老夫婦が住んでいました。
老夫婦はみすぼらしい姿のゼウスたちを見て、さぞかし疲れたでしょうと親切にもてなします。


遠い国から旅をしてきて腹をすかしたといえば自分たちはもう、食べたからとお腹を鳴らしながら食事を出し、
今夜は冷えるでしょうと一つしかないテーブルや椅子を薪代わりに暖を取ってくれたり……。
健気な老夫婦の姿を見てゼウスたちは腐ったリンゴの中に素晴らしい傑作があったことだと喜びました。

そして自分たちの正体を明かし、驚く二人を横目に先ほどの堕落した町の人間を家畜と野菜に変え、与えました。

更に二人の家を豪華な神殿に変え、褒美に与えようとしました。

しかし、老夫婦二人は、
『あまりに自分たちには豪華過ぎます、出来れば屋敷としてではなく、あなた様達のいらっしゃった記念の神殿にしてくださいませ、そうすれば管理人として暮らす理由が出来ます。』
と控えめに申し出ました。
ゼウスはますます気に入り、ならば別に一つ聴いてやると言いました。

老夫婦は、
『ならば、私たちは子供も無く寂しさをお互い慰め合って生きてきました。老い先も短いので最後を迎える瞬間も同じ時にしてくださいませ』
と願い出ました。

二人の欲の無さを喜び、ゼウスとヘルメスは、

『その願い叶えたぞ!』

と一叫びと共に雲の彼方に消えていきました。

さて、それから老夫婦はきちんと神殿の管理をしながら数年を暮らしていきました。
そんなある日、神殿の入り口を右左に分かれて掃除をしておりますと二人とも足が動きません。みると足が樹になってきています。

この日がきたか、二人はお互いの名前を叫びながらなんとか手を握ろうと腕を伸ばします。

しかし、伸ばした腕もどんどん枝になっていくのを見て、叶わないと悟り、二人は同時に叫びました。

「「最高の人生をありがとう」」

お互いの最後の言葉が同じだったことに驚いた二人でしたが、やがて満足そうに目蓋を閉じるのでした。










ヘルメス「良い樹が生えましたね」

ゼウス「ああ、地上で最も美しい樹だ……」

天界では二人の神が満足げにその二本の樹を眺めていました。





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最終更新:2024年12月19日 16:57