ブラッドハーレーの馬車

登録日:2010/05/30 (日) 00:01:51
更新日:2025/03/31 Mon 23:36:40
所要時間:約 3 分で読めます




無限の住人の作者、沙村広明による漫画。

タイトルは毎回馬車が出てくるのが決まっているのと、作者が「鼻血が出るほどカッコイイ名前にしたい」という理由から付いた。

この漫画、「赤毛のアン」みたいな作品にします!と宣言して始められたが、その実態は……

鬱。ひたすらに鬱。とことん陰惨で暗ーい物語が続き、救いが全く無し。当然後味も物凄く悪い。
しかも作者の画力が高いので、心にくるダメージはさらに倍増される。
例えるなら、無限の住人に出てくる百琳の拷問シーンが200ページくらい続くようなモンである。

無限の住人やおひっこし、ハルシオン・ランチのノリを期待してこの本を手に取ると火傷を負うことうけあい。


一話ごとに登場人物が違うが(最終話は除く)基本設定はこう。

舞台は18世紀から19世紀くらいの西欧のどこか。

ブラッドハーレーという資産家が行っている聖公女歌劇団。
その舞台に上がることがその国のすべての少女達の憧れ。
舞台には毎年3、4人の少女達が新人としてお披露目されるが、その少女達は国中の孤児院から毎年1人ずつ選ばれ、迎えに来た馬車に揺られた後にブラッドハーレー家の養女として屋敷に迎えられるという。

つまり、ブラッドハーレーの馬車が迎えに来る=幸せになれる権利を手に入れる。という訳だ。

だが、この話には不自然な点がある。
「大人数の少女を養女にとるのに、舞台にあがるのは多くて4人。舞台に上がらない養女達はどこへいってしまうのか?」

そう…養女の大多数は監獄に送られていた。
「パスカの羊」と呼ばれ、性欲や暴力欲求が高まっている受刑者達の慰み物となるのだ。
受刑者達は養女達に対して、「殺さない限り何をしてもいい」と定められていて、養女を性欲のハケ口にするだけではなく、指を全部折る、目玉をえぐる。などの肉体な苦痛も与える者もいる。
そして養女達は一人で何十人もの人間の相手をするため、最終的には数日で死んでしまう(作中では6日以上耐えた者はいない)。

そんな余りにも残酷な運命を辿ることになる少女達の物語。

受刑者が養女を救おうとする話、本当にブラッドハーレー家の養女になった少女の話、罪を犯した少女の話などがあるが、基本はこの流れ。


各話のタイトルと内容

第一話「見返り峠の小唄坂」
物語の基本となる嫌な話。

第二話「友達」
1人の少女の後悔と逃避の嫌な話。

第三話「ある追憶」
少年と少女の青春を描く嫌な話。

第四話「家族写真」
囚人の視点で語る家族の嫌な話。

第五話「絆」
罪を犯した少女の嫌な話。

第六話「澱覆う銀」
看守と少女のふれあいを描く嫌な話。

第七話「鳥は消えた」
成功者の転落を描く嫌な話。

第八話「馬車と飛行船」
ラスト。
丘の上の見開きはチョットさわやか。


非常に完成された鬱話なのだが、「沙村広明の熱烈なファン」「鬱なストーリーが見たい」とかそういう理由で無い限り、ブラッドハーレーの馬車に手を出すのは控えた方がいいかもしれない。

一応最後は爽やか。


ちなみに、作者である沙村があとがき
「次回作は女子高生(夏服、胸リボン、黒靴下完備)が馬車でどっかに連れ去られるような漫画にしたいです」
などと書いたため、インターネットの界隈では論争が起こったりもした。
ただ、実際沙村広明の趣味の方を知っている人間、サブカルや、エロ漫画好きの人間などからみれば、わりと普通の作品であり、言うほど酷くもない、彼の責め絵画集の人でなしの恋の方が人を選ぶ。
これが話題になったのは、無限の住人、もしくは竹易てあしのイメージが強いファンにとって衝撃だったからではないかとおもわれる

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最終更新:2025年03月31日 23:36