バッタとトンボが混ざり合ったような姿をした業魔たち。背中には巨大な卵を背負っておりその内部には無数の宝石が詰まっている。彼らが命を落とすと卵が割れて宝石が現れるとされており古来より“富の源”として多くの人間に狩られてきた。
狩猟にとどまらず、欲望に駆られた人間たちは貴重な水や食料を投じて宝石虫を養殖するようになる。しかしそれも長くは続かなかった。
というのも、宝石虫はごく稀に死亡時、その卵が大爆発を引き起こし周囲一帯を砂漠化させるという恐ろしい性質を持つのだ。確率は一億分の一とも言われるが、宝石虫の乱獲・大量養殖が行われていた時代では実際にいくつかの村や都市が地図から消えている――そんな“爆発事故”の記録の碑石も残っている。