その内容は簡単に言えば、①長槍兵と特別な魔銃兵の混成による方陣、②方陣の四隅と中央に配置され部隊を支援するアルカナ魔法司祭、この二つの要素から成る。なお方陣と機動力の両立のため、モリオン兜を除けば鎧の類はほぼ着用しない。
長槍の質量と押さえ込み、魔銃の零距離射撃、そして何より数の暴力によって強敵をも倒すこの編成だが、陣形を保っている場合の攻撃力に特化しているため、敗走時や部隊ごと吹き飛ばせる魔王との交戦時は非常に脆い。敗走の危険はバエティン人特有の並々ならぬ信仰心で補うとしても魔王相手ではどうにもならないし、仮想敵である「魔王とは言わないまでも強力な魔物や魔族」を首尾よく倒したとしても犠牲増は免れず、おまけに魔銃兵は後述の理由で寿命が短い。さらに言えば高価な装備(魔銃とポーション)が必要なのでバエティンの重税の元凶その①
しかし、「一頭の大魔獣と引き換えに十人のテルシオ兵が倒れるなら、銃後では百人の命が救われる」、それがクリストバル2世と兵たちの共通認識である。