神聖イルニクス帝国の領邦。マジョリア大陸から大きく突き出した半島に存在し、古来からこの地には独自性の強い勢力が成立してきた。この時代もその例に漏れず、現バエティン辺境伯クリストバル2世は分権派諸侯の大物とされている。
この領邦の歴史は征服の歴史である。この領邦は半島北部にかつて存在した非アルカナ信仰国家群跡に対する占領政府として発足し、南部の魔の者たちを駆逐することで発展した。そのため統治は極めて軍国主義的かつ神権主義的で、皇帝主導の親征・諸侯主導の遠征問わず対魔作戦への参加は積極的。軍事費を捻出するため、税は神聖イルニクス帝国内ではかなり重い。
またバエティンでは地方のアルカナ教団と辺境伯軍の結びつきが強く、戸籍の正確かつ厳重な管理と日頃の信仰心の強化によって迅速かつ確実な徴兵と魔王崇拝者摘発が実現されている。そのためバエティン諸教会はアルカナ教皇の指示よりバエティン辺境伯の指示を優先することもままあり、柔軟かつ機敏で地域の実情に即した対応と魔王崇拝者狩りの行き過ぎの両方が発生している。
ここまで聞くと抑圧された寒々しい領邦のようだが、観光してみると陽気な住民や情熱的な舞踏、地域色豊かな料理など案外文化的に豊かな土地であるし、移動中に魔物や魔族に襲われることはほぼ無い。ただし、住んでみるとなると統制の強さと過酷な軍役がのしかかるので、権力の抑圧に対する民衆の密かな反動として文化が発展しているという面は否めない。
リトゥーネ王領と接する
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