わたしの人生はいつだって最高だった。
ひときわ美しく、普通よりずっと賢く、高貴な血筋に生まれたわたし。新しい簪も新しい服も新しい化粧道具だって、ちょっとねだれば欲しいものはなんでも手に入るし、観劇もお勉強もやりたいことはなんでも出来る。
……いや、出来た。
ひときわ美しく、普通よりずっと賢く、高貴な血筋に生まれたわたし。新しい簪も新しい服も新しい化粧道具だって、ちょっとねだれば欲しいものはなんでも手に入るし、観劇もお勉強もやりたいことはなんでも出来る。
……いや、出来た。
思い通りにならなかったことと言えば、この現状だけ。
更龍帝と結婚して、夜のことも何一つ上手くいかない今。そんなストレスMAXの状態では観劇する気もお勉強する気も、なんにも起きやしない。全部あの男のせいよ。そういうことにする。
そもそも結婚なんてしたくなかったもん。そりゃまぁお妃様って肩書きはステキだし、龍帝のルックスも悪くないし?条件自体は今思っても悪くないかも。「かも」ね!かも。
でも彼ってコワイじゃない。コワくない?なんかいつも怒ってるみたいだし。
それに何より人の妻になるってことはその分わたしの自由な時間が減るってこと。そんなの耐えられると思う!?冗談じゃない。
わたしと同じぐらい良いお家に生まれた女の子(まぁわたしより美しい子も賢い子もいないでしょうけど)は沢山いるはず。それなのになんでわたしがこんなに不幸にならないといけないの?
この前なんてお気に入りの簪を挿していたら、あの龍帝なんて言ったと思う?「趣味が悪い」ですって!彼の前だといい子ちゃんぶってるから、その時は笑って流したけど、すご~~~くイラッときたわ。
あれはわたしの思い出の品でもあるのよ?それなのに趣味が悪いなんて!ルックスは悪くないけど性格がね、もう、ほんと、ね!女心も何もわかってないんだから。
頭の中で何回彼を仕留めてお酒に漬け込んでいることかしら。当然、龍人と毒蛇はまったく違う生き物なんだけど。
いつかこれが嘘から出たまこととなって、『更龍帝暗殺計画』の首謀者はわたしになるかもしれない。魔が差して寝首を掻いてしまったりしたら、どうしようかしら!まぁ美しくて賢いわたしはそんな野蛮なことしないけどね。
更龍帝と結婚して、夜のことも何一つ上手くいかない今。そんなストレスMAXの状態では観劇する気もお勉強する気も、なんにも起きやしない。全部あの男のせいよ。そういうことにする。
そもそも結婚なんてしたくなかったもん。そりゃまぁお妃様って肩書きはステキだし、龍帝のルックスも悪くないし?条件自体は今思っても悪くないかも。「かも」ね!かも。
でも彼ってコワイじゃない。コワくない?なんかいつも怒ってるみたいだし。
それに何より人の妻になるってことはその分わたしの自由な時間が減るってこと。そんなの耐えられると思う!?冗談じゃない。
わたしと同じぐらい良いお家に生まれた女の子(まぁわたしより美しい子も賢い子もいないでしょうけど)は沢山いるはず。それなのになんでわたしがこんなに不幸にならないといけないの?
この前なんてお気に入りの簪を挿していたら、あの龍帝なんて言ったと思う?「趣味が悪い」ですって!彼の前だといい子ちゃんぶってるから、その時は笑って流したけど、すご~~~くイラッときたわ。
あれはわたしの思い出の品でもあるのよ?それなのに趣味が悪いなんて!ルックスは悪くないけど性格がね、もう、ほんと、ね!女心も何もわかってないんだから。
頭の中で何回彼を仕留めてお酒に漬け込んでいることかしら。当然、龍人と毒蛇はまったく違う生き物なんだけど。
いつかこれが嘘から出たまこととなって、『更龍帝暗殺計画』の首謀者はわたしになるかもしれない。魔が差して寝首を掻いてしまったりしたら、どうしようかしら!まぁ美しくて賢いわたしはそんな野蛮なことしないけどね。
心の中で散々毒づいて、溜め息をついた。鏡に映るわたしの姿は今日も完璧にかわいい。龍帝以外なら、どんな男の人でも一目惚れしてしまいそうなぐらいに。
見とれてる場合じゃない。と、嫌々化粧の準備を始める。こういうことはいつも自分ひとりでやっている。他人に任せたくないのもあるけど、やっぱりわたしは自分こそが自分をいちばんかわいくできると信じているから。
美しくあることは女の子にとって最上級の武装なの。お姫さまはいつだって完璧な美を誇っているものなのよ。今の私は似たようなものじゃない。
だから何もやる気が起きなくても、おしゃれだけは絶対に欠かさない。龍帝がわたしに興味を持ってくれるかもしれないなら、なんだって試すわ。
ものすごーく嫌だけどこれが今の役目だもの。仕方ない。
見とれてる場合じゃない。と、嫌々化粧の準備を始める。こういうことはいつも自分ひとりでやっている。他人に任せたくないのもあるけど、やっぱりわたしは自分こそが自分をいちばんかわいくできると信じているから。
美しくあることは女の子にとって最上級の武装なの。お姫さまはいつだって完璧な美を誇っているものなのよ。今の私は似たようなものじゃない。
だから何もやる気が起きなくても、おしゃれだけは絶対に欠かさない。龍帝がわたしに興味を持ってくれるかもしれないなら、なんだって試すわ。
ものすごーく嫌だけどこれが今の役目だもの。仕方ない。
でも、どんなに着飾っても化粧を変えても誘惑してもわたしの努力がここで報われたことはない。
あの男は微塵もわたしのこと見てくれない。だから嫌い。大嫌いよ。毎回化粧が違うことどころか、いつも違うコーディネートであることにすら気づいていないと思う。
あの人はこのわたしと同じ部屋にいるのに、書類とかばかり見てるの。そういうことをするのが目的(と言うとなんかヤね……)のわたしが言うのも何だけど、いつ寝てるのよ。まったくもう。このわたしに嫌いな男を心配させるなんてなまいきだわ。
あの男は微塵もわたしのこと見てくれない。だから嫌い。大嫌いよ。毎回化粧が違うことどころか、いつも違うコーディネートであることにすら気づいていないと思う。
あの人はこのわたしと同じ部屋にいるのに、書類とかばかり見てるの。そういうことをするのが目的(と言うとなんかヤね……)のわたしが言うのも何だけど、いつ寝てるのよ。まったくもう。このわたしに嫌いな男を心配させるなんてなまいきだわ。
今日はこの前とは違って少し昔の流行りでも取り入れようかしら。最先端に反応しないなら、意外とちょっと古いものが好きだったりする?わたし的にはこんなレトロにもならないほど中途半端に時代遅れなメイク、ダサいから嫌なんだけど。でも彼は逆にそういうのが好きかもしれないから、とりあえずやってみる。まだわかんないけどね。
わたしだって好きでやってる訳じゃない。やらなくていいなら、龍帝の好みを探るなんてそんなこと、絶対やりたくない。自分の好きなようにかわいくなりたい。……本人に聞けって思うでしょ?嫌!ちょっとでも口が滑ったら殺してきそうじゃない!わたしはわたしがかわいくて仕方ないのよ!?だから無理無理無理。無理に決まってる。話すとしても無難なことしか言わないわ。だって、うっかり口が滑って前述みたいなこと言ったらもうアレよ?間違いなくわたしは死ぬし、最悪一族ごといなくなるわよ?考えたら寒気がしてきた。やめておこう。
とにかく、龍帝はわたしが居なくても龍帝でいられるでしょうけど、わたしは龍帝が居ないともうわたしでいられない。もし勝手に離婚して、実家に帰ったとして、わたしに昔みたいな居場所が残ってると思う?
だから、わたしは龍帝にわたしを好きになってもらわないといけないの。わたしがわたしであり続けるために。
化粧も終わり、鏡の中の自分に微笑みかける。当たり前だけど微笑み返してくれた。
時代遅れのメイクでもこんなにかわいくなるなんて。今日こそは彼もきっとわたしを好きになるはずよ。だってこんなにかわいいんだから!
そうでしょ?わたし。
とにかく、龍帝はわたしが居なくても龍帝でいられるでしょうけど、わたしは龍帝が居ないともうわたしでいられない。もし勝手に離婚して、実家に帰ったとして、わたしに昔みたいな居場所が残ってると思う?
だから、わたしは龍帝にわたしを好きになってもらわないといけないの。わたしがわたしであり続けるために。
化粧も終わり、鏡の中の自分に微笑みかける。当たり前だけど微笑み返してくれた。
時代遅れのメイクでもこんなにかわいくなるなんて。今日こそは彼もきっとわたしを好きになるはずよ。だってこんなにかわいいんだから!
そうでしょ?わたし。
…………。
………………。
……………………はぁ。
やっぱり、ちょっと虚しいな…………
………………。
……………………はぁ。
やっぱり、ちょっと虚しいな…………