暗黒空間


放り出されたのは、建造物から迫り
出した桟橋のような場所であった。
幸いにも、巨獣は地下遺跡に到着して
いた。一行を残らず吐き出すと、
巨獣はその桟橋を離れて再び
エーテルの海を浮上していく。

そこは、中央の遺跡から放射状に伸び
た回廊のひとつであった。そこから
周囲を見回しても何も見えず、ただ
黒々とした虚無の空間が広がっている。
海底すらも、見て取ることはできない。
この暗黒空間の上に、古代遺跡群は
ぽっかりと浮かんでいる恰好であった。

ボル:
こ、腰を打ったでござるよ……

D・S:
ヴァイよう、オメーはどうしてそう
考えなしに行動するんだ?

ヴァイ:
ごめん! でもさ、結果オーライ
だから良かったじゃん?

シェラ:
巨獣はしばらく前からここに着いて、
我々を吐き出す機会を窺っていたの
ではないか……? 都合良く遺跡に
放り出されたとは考えられん

D・S:
奴は俺たちをここに連れてきたかった
ってコトか? 何のために?

シェラ:
巨獣も龍と同じく、この世界に潜む
力のひとつなのかも知れない。何者か
にねじ曲げられた自然の有り様を、
我々に回復して欲しいのかも……

D・S:
だとすりゃ、ここに気象操作の鍵が
隠されているのかもな――



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最終更新:2020年10月31日 21:21