人吉善吉(超高校級の???)
苗木誠(超高校級の幸運)
安心院なじみ[?年](超高校級の???)
戦刃むくろ(双子の妹の超高校級のギャル江ノ島盾子の変装中)
桑田怜恩(超高校級の野球選手)
弐大猫丸[二年](超高校級のマネージャー)
狛枝凪人[二年](超高校級の幸運)
九頭龍冬彦[二年](超高校級の極道)
球磨川禊[三年?](超高校級の過負荷)
不二咲千尋(超高校級のプログラマー)
七海千秋[二年?](超高校級のゲーマー?)
ほか4人
≪保有スキル≫
【お母さん直伝サバット】戦闘補正+2
【大博打】コンマが1~5なら0個、6~0なら6個のアイテムを手に入れられる。
【七光り】ミス時のダメージ減少
【詭弁】発言力の最大値増加
【アルゴリズム】ダミーセリフが減少
≪保有アイテム≫
【男のマロン】【脱出装置】
朝時間を知らせる放送がなった。
ここでの生活ももう4日目だ。
コロシアイ、と言われてもどこか遠い話のようで実感がない。
本当に殺人事件など起きるのだろうか。そう思いながら自室を出た。
今朝の食堂は昨日と違い静かなものだった。弐大と桑田の喧嘩がなければ普段はこんなものだ。
今日は料理当番ではないらしい狛枝を加えた4人で朝食を食べた。
ちなみに今日の料理当番は不二咲らしい。俺の番もいつかやってくるだろうし、今から何を作るか考えといたほうがいいかもしれない。
キッチンに置いてある食材を確認しにいきますか?
↓1
いって朝比奈と半袖とそうぐう
キッチンには大量の新鮮な果物、野菜、魚、肉から珍しい調味料まで何でもそろっていた。これなら何でも作れそうだ。
?「おっはよー! えーっと、善吉君だよね! 私朝日奈葵! よろしく」
善吉「お、おう。おはよう!」
元気な挨拶につられてこちらもさわやかに挨拶をしてしまったが、どうして俺の名前を知っているのだろうか。
善吉「なんで俺のこと知ってんだ?」
朝日奈「えーっとそれはね」
?「アタシが教えたからにきまってるじゃん」キュポキュポ
善吉「!?」
きゅぽきゅぽと独特の効果音を鳴らしながら話しかけてきたのは背の小さい少女だった。
不知火「あひゃひゃ! あたしは超高校級のフードファイターの不知火半袖。よろしくね、人吉君?」
朝日奈「よろしくね!」
善吉「お、おう」
善吉「にしても、そんなちっこい体でホントにフードファイターなのか?」
不知火の伸長は、不二咲よりもさらに下だ。こんな体に大量の食べ物が入るとは到底思えないが……
不知火「そりゃ食べられなきゃフードファイターでもなんでもないでしょ」
善吉「……まあ、そりゃそうだよな」
朝日奈「半袖ちゃんすごいんだよー! 私より食べるんだもん! ドーナツなら負けないけどね」
善吉「へー、一度見せてくれよ」
不知火「いいよー別に減るもんじゃないしね」
不知火(まあ、ほんとはフードファイターなんかじゃないんだけどさ)
善吉「ところで二人はどうしてキッチンに来たんだ? 食事当番じゃねえみたいだし……」
朝日奈「そう、それだよ! 私たちドーナツを探しにきたんだよ!」
不知火「そーそー」キュポキュポ
ドーナツは、朝日奈の大好物らしい。4日連続で食べられない日が続いているせいで相当参っているのだとか。
朝日奈「泳げないしドーナツはないし、辛いんだよねー」
善吉「つくれないのか?」
朝日奈「私は食べる専なの!」
善吉「そうなのか……?」
妙に強く主張された……
朝日奈「で、不二咲ちゃんと一緒に何かないか探してるんだー」
不知火「見つからなさそうだけどね!」
その割には不知火は辛そうではないが……よくわからないが、悪そうなやつではないだろう。
善吉「ん……?」
キッチンの奥のほうを見てみると、二人を手伝っているらしい不二咲がいた。だがなにか様子が妙だ。
何があったのだろうか。
なんと声をかける?
↓1
どうしたと声をかけると
名瀬夭歌/黒神くじら(超高校級の生体工学学者)となんか話をしていた。
善吉「どうした?」
不二咲「ひゃあ! 人吉君?」
善吉「おはよう。今日の飯上手かったぜ。ところでどうかしたのか?」
不二咲「えっとぉ……」
不二咲はあわてているのか、なかなか答えない。
それを見かねたのか、隣にいた顔に包帯を巻いた少女が返答した。
?「包丁が一本足りねーんだよ」
善吉「!?」
包丁が足りない……!?
朝日奈「それってまずくない……?」
?「ああ、やべーな。包丁は、この閉鎖空間において人を殺せる貴重な凶器だ。それが一本足りないっつーことはつまり、盗んだ犯人は誰か殺すつもりなんだろ」
善吉「殺人!?」
不知火「あひゃひゃ、そろそろことが動いてきたみたいだね☆」
狛枝「どうしたの?」
善吉「うおおおお!? 狛枝先輩!? いきなり後ろに立たないでくれません!?」
狛枝「あはは、ごめん。でも人吉君の大声が聞こえたから気になってね。何かあったの?」
どうやらさっきの叫び声が食堂まで漏れてしまっていたようだ。
朝日奈「包丁がなくなっちゃったんだよ!」
狛枝「えっ……」
この中では一番朝日奈がパニックを起こしてしまっているようで、あわてた様子で朝日奈は答えた。
狛枝「……。昨日僕が食事当番で夕食を作っていたときには全部そろってたよ」
?「じゃあ盗まれた時間帯として濃厚なのは夜時間か」
一方、この中で冷静なほうである少女と狛枝はしっかりと分析を始めていた。
朝日奈「どうしよう……そうだ、みんなに知らせなきゃ……!」
不二咲「そうだよねぇ……」
善吉「やばいしな」
不知火「あたしは人吉君に賛成ってことで!」
俺と不二咲と不知火の同意を受けて、朝日奈がみんなに知らせようとキッチンを飛び出そうとする。
しかし、それを止めたのも冷静な少女と狛枝だった。
狛枝「うーん、やめといたほうがいいんじゃないかな。下手に知らせても、疑心暗鬼を生むだけだと思うよ」
?「その上盗まれた昨夜のうちに殺人が起こってねーんだ。普通盗まれたらすぐ気づくってのに犯行を先延ばしにする理由はねーし、下手すら包丁紛失によって起きるパニック自体が狙いの可能性だってある」
二人の意見は的確だった。
朝日奈「うーん、そうなのかな」
不知火「先輩達ったら超ステキ! さすがは超高校級の幸運と超高校級の生体工学者ですね!」
?「……」
生体工学者、と不知火は覆面の少女に向かって言った。
善吉「えっと……」
名瀬「そういや名乗ってなかったっけな。俺は名瀬夭歌。超高校級の生体工学者だよ」
善吉「名瀬夭歌……」
狛枝「僕は彼女や君たちなんかよりずっとくだらない才能だけどね……狛枝凪斗っていうんだ。よろしくね」
不二咲「えっと、よろしくお願いします……」
朝日奈「よろしくお願いします!」
覆面少女が俺に、狛枝先輩が不知火たちに名乗ってひと段落したころ、名瀬が最後の言葉を言った。
名瀬「とりあえず、下手な混乱を防ぐために包丁の紛失の件は秘密にするってことでいいな?」
朝日奈「了解!」
不知火「はーい」
不二咲「わかったよぉ……」
狛枝「いいんじゃないかな」
善吉「……そうするか」
こうして朝の騒動は収まった。
……何も起こらないといいんだけどな。そう思いながらキッチンを後にした。
さて、何をしようか?
↓1
モノモノマシーン
モノクママシーンに挑戦することにした。
現在の保有アイテム
【男のマロン】【脱出装置】
保有スキル
【大博打】:コンマが1~5なら0個、6~0なら6個のアイテムを手に入れられる。
コンマ↓1 スキルを使うかどうかも選択してください。
5,大博打使用!
善吉「な!? 何も出てこねえ……!?」
モノクママシーンはうんともすんとも動かなかった。
モノクマ「あらあら。故障みたいだね」
善吉「モノクマ!?」
モノクマ「明日までにはなおしておくから、今日のモノクママシーンはなしってことで!」
善吉「……」
モノクマ「やだなあ。もしかしてボクなしではダメな体になっちゃった? そ、そんなこと言ったってサービスしないんだからねもう!」
善吉「ちげえよ!」
モノクマはモノクママシーンを持ってどこかに行ってしまった……
さて、何をしようか?
↓1
狛枝と苗木の幸運対決に遭遇
廊下で何やら妙なものを見つけた。妙なものというよりは妙なことと言ったほうがいいのかもしれないが。
苗木「人吉君!」
善吉「何やってるんだ?」
狛枝「やあ人吉君。何ってくじだよ」
狛枝の手にはたくさんの割り箸が握られていた。くじというからには、どれか一つだけ赤色に塗ってあるのだろう。
狛枝「このまえ人吉君が言ってた苗木君に運よく会えたからね。苗木君の幸運が見たくって」
善吉「なるほど。で、くじをやろうと……」
狛枝先輩と話していると、苗木に袖を引かれた。
苗木「なんかただのたまたまだってすごく言いづらいんだよ!」ボソッ
善吉「苗木、漢なら勝負しろ、がんばれ」
苗木「えっちょっ」
苗木の背中を軽く押して、狛枝先輩のほうに押しやった。
苗木はなんとかくじを引く気になったようだ。
結果は?
1~7 狛枝が当たり
8~9 苗木が当たり
0 両方外れ
↓1
2
狛枝「あれ、僕のほうが当たりみたいだね」
苗木「1/20の確率なのに……!?」
狛枝先輩そんなに割り箸持ってたのかよ。
狛枝「……ふーん。もしかして、こういうこと以外で運がいいのかな?」
苗木(むしろ悪い方なんだけどね……自室のシャワー室の立てつけだってボクだけ悪かったみたいだし……)
狛枝「まあいいや」
善吉「まあ1/20ですしね。むしろ狛枝先輩こそよく当たりましたよね」
狛枝「さっきモノクママシーンやろうとしたら壊れちゃったからかもしれないね」
善吉「それ関係あるんですか……?」
というか壊したの狛枝先輩だったのか……
まだ時間はあるが、二人と何かしようか?
↓1
音無涼子が記憶ノートを探しにくる
これから暇だし一緒に過ごしませんかー、と話しかけようと思った瞬間、髪の長い女性が後ろから苗木にぶつかってきた。
苗木「うわっ!」
?「きゃあ!」
女の子はそのまましりもちをついた。
善吉(パンツ見えてる……)
狛枝(パンツ見えてる……)
苗木「ごめん! キミ大丈夫!?」
苗木があわてて手を伸ばすが、その手を取ることもなく少女は叫んだ。
?「私のノートは!?」
モロパン少女はいろんな意味でほかのことは違った少女だった。
自分の名前が思い出せない。
なんでこんなところにいるのか思い出せない。
自分の超高校級の才能が思い出せない。
なんで思い出せないのか思い出せない。
覚えていることと言えば「ノート」と「松田君」の二つだけだった。
とんでもない少女ではあるが、超高校級の才能が思い出せないというところで妙な親近感を覚えた。
善吉(俺もさっさと思い出さねえと……)
苗木「僕は彼女の探しものを手伝うよ」
狛枝「……僕は自室に帰ろうかな」
善吉「えっ、帰るんですか?」
狛枝「うん……なんというか気分が優れなくてね……」
さっきまではしゃいでくじを用意していた人の言うことではないぞ……
どうしようか?
↓1
安心院を探してみる
善吉「うーん……」
どっちかについて行ったらもう一方に微妙に申し訳ない気がする。
そこで安心院のことを思い出した。
なんでもありのあいつなら彼女のノートのありかだってわかるかもしれないし、今朝の包丁騒ぎのことだって相談できるだろう。
善吉「俺もちょっとノート探しは外させてもらうわ」
苗木「そっか。じゃあまたね!」
狛枝「二人ともまたね」
?(……この人たち誰だっけ)
そうしてほかの3人と別れた。
≪時間が経過しました≫
安心院の部屋の前まで行き、インターホンを押す。
すると押すや否や安心院は扉を開けた。
安心院「やあ、そろそろ来るころだと思っていたよ」
善吉「やっぱりわかってたのかよ……」
安心院「中に入りなさい」
招かれるままに安心院の部屋の中に入った。
安心院「結論からいうと音無涼子の記憶ノートならこの学園にはないよ」
善吉「ホントか!? って、あれ。安心院さんって彼女と知り合いだったんですか?」
安心院「僕のモノ探し才能の【百聞は一見に勝る】と名前を見抜く才能の【身体は名をを表す】を使ったからね」
善吉「……」
突っ込まない……突っ込まないぞ俺は……!!
突っ込んだら負けの精神で、安心院と会話を続けた。
安心院「音無涼子の記憶ノートなんてものは初めからここには存在しないのさ。忘れやすいのは変わらないだろうから、ノートでもあげるといい」
善吉「そうなんですか」
なら今の苗木と音無の行動は全くの無駄ということらしい。
善吉「だったら早く伝えてやらねーとな……」
安心院「そうだね。でもその前にもう一つ聞いていきなさい」
安心院「消えた包丁の行方を僕は知っている」
善吉「どこにあるんですか!?」
安心院「昨夜包丁を持った人物と鉢合わせたからね」
もしかして狙われたのは安心院さんだったのだろうか。もしそうなら犯人に同情したいくらいだ。
安心院「そこで提案だ人吉君。殺されないための一番簡単なことはなんだと思う?」
善吉「えーっと……」
なんだろうか……
↓1
目立たないこと
安心院「はっはっは、その方法じゃ初期の事件からは逃れられても物語中盤で作者に切り捨てられるぜ。魅力を出さなきゃキャラはやっていけないのさ」
なんだろう……さっきの質問はどう答えてもマルをもらえなかった気がする……
安心院「でも安心しなさい(安心院だけに)。僕が正解を教えてあげよう」
善吉「本当ですか!」
安心院「実用性を持ちながらキャラをたたせ人気キャラになることでメタ的目線からも死亡を回避する方法……それは」
善吉「それは!?」
安心院「チキチキ! 安心院さんの安心お泊り会~!」
善吉「……は?」
安心院≪さてと、適当に好きな子を誘ってきなさい。人選は人吉くんの人の好さに任せるぜ≫
そう言われ、俺はさっさと部屋を追い出された。
適当に好きな子、と言われても突然すぎてなかなか決められない。
誰を誘おうか……
↓1 何人誘うかコンマで決定。1~3は1人、4~6は2人、7~0は3人
0
3人
↓1~↓3 誰を誘うか指定
球磨川、しかし腹を十字に切られて死んでいる。
江ノ島(戦刃むくろ)
九頭龍
球磨川・江ノ島・九頭龍を誘うことにした。
球磨川と九頭龍と江ノ島を誘った。
球磨川に関しては連れてくるつもりはなかったが、廊下で血まみれになっているところを俺が発見してからなんやかんやでキズがなかったことにされなんだかんだで安心院とお泊り会をすることがばれてしまい、半ば押し切られる形での参加になった。
何を言っているかわからないと思うが、俺も何を言っているのかわからん。
江ノ島「やばいよー、パジャマ会とかいうから来てみたらなんでこの人選なのよ……」
善吉「……」
やべえ、自分でもなんでこのメンバーを選んだのかわからねえ。
不二咲や七海には断られてしまったし、不知火たちは見つからず、音無は苗木の部屋に行くらしいから仕方ないのだが、正直まともな女子が江ノ島しかいないというのは申し訳なかった。
九頭龍「……」
まあ、男性陣もまともとはいいがたいのだが。九頭龍は悪いやつではないような気はするのだが、安心院に言い負かされ連れてこられたからか、不機嫌そうだ。
安心院「まあ危害を与えるつもりなんてないから安心して過ごしなさい(安心院さんだけに)」
安心院はそういって俺を含めた4人を自室に招き入れたが、その後は誰も一言もしゃべらなかった。
善吉(……気まずい!!)
わざわざ誘っておいてこれではほかの二人に申し訳ない。もちろん球磨川以外の2人にだ。
企画したのは安心院だが、声をかけたのは俺だ。
雑談でも遊びでもなんでもいい。この場の空気をうち壊す何かを提案しなければ!
どうしようか?
↓1
UNOしようぜ!
善吉「UNOしようぜ!」
こんなこともあろうかと用意しておいたUNOをズボンのポケットから取り出して掲げ俺は叫んだ。
球磨川『わー善吉ちゃんさすがだね』『何のひねりもない提案をありがとう』『脱衣麻雀ならぬ脱衣UNOだなんて大胆だね!』
善吉「……」
球磨川は賛成のようだが俺は一言も脱衣なんて言ってないぞ……
江ノ島「へーいいじゃん、やろうやろう!」
江ノ島は乗ってきてくれたみたいだ。正直全員から否定されたらどうしようかと不安だったのでありがたかった。
安心院「このメンバーでUNOだなんて相当カオスなことになりそうじゃないか。だけど人吉君がせっかく用意してくれたみたいだからね」
安心院も賛成のようだ。
しかし、一つだけ反論の声が上がった。
九頭龍「てめえらナメてんのか……!?」
それは先ほどからずっと不機嫌だった九頭龍だった。
江ノ島「やばいよー、超メンチ切ってるんですけど」
善吉「一回ぐらいやってみようぜ」
誘ってみても一向にやる気はないようだった。
それを見た球磨川が、九頭龍に近づき言った。
球磨川『ぷっ』『だっせー』『お前負けんのが嫌なんだろ』『ガキかよ(笑)』
善吉(子供の喧嘩かよ!? いや、いまどき子供でもそんな挑発には乗らねえぞ!?)
九頭龍「はあ!? へっ、いいぜ、やってやろうじゃねえか……!!」
善吉(こっちも子供だった!?)
……まあどんなきっかけであれ、九頭龍はどうにかやる気になってくれたようだ。
時計回りに俺、安心院、球磨川、江ノ島、九頭龍の順番に座り、カードを配った。
手札はどんな感じ?
↓1 1~3全部数字 4~6ふつう 7~9いい感じ 0全部数字以外
3
善吉「……」
手札を見つめる。
善吉(全部絵札かよ!!)
幸い色違いの同じ数字のカードもあるので、まだまし、と言ったところだろうか。
安心院「さあ、善吉くんからだよ……と言いたいところだけど、何もないんじゃつまらないからね。優勝した人の言うことでも聞くルールにしようか」
善吉「え!?」
確かに面白そうだが、この手札では不安も残る上に、ここにはあの球磨川がいる。
すこし危険すぎるのではないだろうか。
球磨川『じゃあ、僕が勝ったら』『女子は裸エプロンで僕に跪け』
善吉(外道だー!!)
江ノ島「はあ!?」
安心院「君たちはどうする?」
言うだけ言ってみようか……もし俺が勝ったら……
↓2
全員恥ずかしい秘密暴露
善吉「そうだな……じゃあ俺が勝ったら全員恥ずかしい秘密暴露ってことで」
江ノ島「秘密!?」
善吉「おっ、何かあるのか?」
江ノ島「えーっと……」(どうしよう……確かに私なんかが盾子ちゃんのふりをしてるだなんて恥ずかしいくらい似合わない秘密だけど……言わなきゃだめなのかな……)
江ノ島は妙にあわてていたが、やはり有名人ということもあるし、言いたくないことがあるのかもしれない。多少の変なことなら引いたりしないつもりなので、まあ江ノ島には頑張ってもらおう。
九頭龍の条件は「勝ったら帰らせろ」、江ノ島の条件は「メルアド教えて」というものだった。
……江ノ島はみんながケータイを持っていないことを忘れたのだろうか。
安心院「僕が勝ったら……明日もパジャマ会を開こうかな。じゃあはじめようか」
そうしてこの5人でのUNOが始まった
一番抜けは?
↓1 1善吉 2~3江ノ島 4~5九頭龍 6~9安心院 0球磨川
4
勝ったのは九頭龍だった。
九頭龍「はっ」
九頭龍は球磨川のほうを一蹴したあと、とくに喜ぶ様子見せずに優越感に浸っているようだった。
球磨川『やれやれ、また勝てなかった』
九頭龍「てめえじゃ勝てねえのも納得だな」
球磨川の手札は全部青のスキップというとてつもない手札だった。引けども引けども青のスキップしか出ないのはなかなか不気味だった。
九頭龍「要するに俺のほうが強かったってだけだろ」
九頭龍は球磨川にやたら食いついている。こいつに子供っぽいなという言葉は禁句っぽいが、今の九頭龍はどう見ても子供だぞ……
九頭龍「じゃあ俺は帰るからな」
安心院「やれやれ、せっかくのパジャマ会なのにね。でも勝者は君だ。するといい。
九頭龍は出口まで向かうとさっさと出て行こうとした。
しかし、扉に手をかけた瞬間インターホンが鳴った。
九頭龍「ああ?」
―――こんな時間に誰か客だろうか。
九頭龍がドアを開けると、そこにいたのは見知った人だった。
狛枝「やあ。来ちゃった」
2時40分頃のことだった。
そのまま帰って行った九頭龍と入れ替わるように、狛枝先輩はやってきた。
狛枝「昼時間に善吉君がいろんな人に声をかけてたって苗木君に聞いてね。暇だったから来ちゃったけど……僕なんかが来てよかったかな」
善吉「や、そんなことないですよ」
安心院「欠けた九頭龍君の人数の穴埋めをしてくれるとうれしいね」
江ノ島「そーそー、多い方が楽しいじゃん!」
俺はUNOのほかにもトランプなども持ってきているが、いずれも人数が多ければ多いほど面白いものばかりだったから、狛枝先輩の訪問は歓迎するべきものだった。
しかし。
球磨川『……』『ごめんね安心院さん』『僕帰るよ』
唯一球磨川だけは違った反応をした。
狛枝「君は……えーっと、初めましてだよね。僕は狛枝凪斗。よろしくね」
球磨川『うーん』『びみょうかな』
狛枝「ええっ!? ごめん、僕何かしたかな。超高校級のみんなに迷惑かけるなんて、僕って最低だよね……」
球磨川『君はむしろ好きなタイプなんだけど』『嫌いかな』
……何を言っているんだ球磨川は。
狛枝先輩は確かに多少自虐しすぎるところはあるが、すがりつきたくなるような嘘もはかないまともな人だ。
そんな評価を受ける筋合いはない。
球磨川『でもね狛枝君!』『僕は君と仲良くなりたいと思ってるんだ!』『キミの幸運も不幸も何もかも僕なら全部なかったことにしてあげられるからさ!』『仲良くなりたくなったらいつでも会いに来てよ!』
球磨川は入口のほうに向かい、帰ろうとした。
安心院「おや、帰るのかい?」
球磨川『僕は我慢強くないから』『このままここにいたらうっかり手を出してしまいそうなんだ』『暴力なんて最低なのにね!』
狛枝「……うーん、よくわからないけど、またね?」
球磨川は扉に手をかけた。
球磨川『やっぱりやめた』
球磨川は狛枝先輩に思いっきり螺子をねじ込んだ。
江ノ島「!?」
善吉「球磨川!? 何しやがるんだお前!?」
球磨川『え?』『だって嫌いだったから』
球磨川はいつの間にか両手に持っていた螺子を構えながら言う。
その顔はさっきまでUNOをしていたときとまったく変わらない。それが無性に気持ち悪かった。
球磨川『でも呼ばれてもいない狛枝君がここに来なければ』『僕が不快になって殺しなんて最低なことをやらざるを得なくもならなかったよね』『僕は被害者なんだよ』
その言葉に我慢できなかった。
善吉「ッ・・・・・・!!!」
俺は勢いをつけて球磨川のほうに飛んだ。
VS球磨川禊【1】
【お母さん直伝サバット】戦闘補正+2
↓1 コンマ
3
善吉【5】 球磨川【1】 差は+4
俺の蹴りは球磨川の顔面に直撃した。
善吉「やったか……?」
球磨川『痛いなー、ひどいなー』『これは鼻の骨が折れたかもしれないぜ』『それどころか前歯が折れたかもしれない』
善吉「!?」
けりは確かに直撃したはずなのに、球磨川は何もなかったかのように復活していた。
善吉「嘘だろ……!」
球磨川『そう! 大嘘憑き!』『それが僕の欠点だ!』『僕はただ怪我をなかったことにしただけなんだ』
球磨川は笑って俺に近づいてくる。
それがあまりにも気持ち悪かったから―――俺はその場を動くことができなかった。
1 助けは来ない 2~5 江ノ島 6~0 安心院
↓1 判定
9
安心院「球磨川君、そろそろ落ち着いたほうがいいんじゃないかな」
球磨川『……』
安心院「それにしても僕の渡した【手のひら孵し】を使いこなしてくれてるみたいでうれしいよ」
球磨川『そうだね。これはぴったりの欠点だったよ』
球磨川は安心院と見つめあった後、後ろを向いた。
球磨川『じゃあ僕は帰るね!』『ばいばーい善吉ちゃん!』『それに江ノ島ちゃん!』
そう言い残して球磨川は去って行った。
しばらく放心していたが、さっき球磨川に螺子をねじ込まれた狛枝先輩のことを思い出して駆け寄った。
善吉「狛枝先輩!?」
狛枝「……僕、さっき刺されたよね?」
狛枝先輩は無傷だった。
確かにあんなに血を噴き出していたというのに、あんなに苦しそうにしていたというのに、きれいさっぱり傷はなくなっていた。
『なかったことにする』という球磨川の言葉通りに。
狛枝「……」
狛枝先輩がここに来てから5分もたたない間の出来事だったが、それは俺たちを不安にさせるには十分な出来事だった。
その後、俺たちは不安から夜時間が終わるまでずっと安心院の部屋にいた。
最終更新:2012年12月30日 04:25