25日目・(非)日常パート

≪25日目を開始します≫

朝起きると、いきなり桑田に食堂に呼び出された。
用があるのは九頭龍らしく、食堂には全員がそろっていた。

善吉「どうしたんだ九頭龍?」

九頭龍「……俺は名瀬の作った薬を飲む」

むくろ「それって記憶回復薬のこと……?」

九頭龍「そうだ。時間がねえからな」

桑田「そういやすっかり忘れてたけどよー、俺たちも飲んだ方がいいのか?」

苗木「それなんだけど……人吉君が薬が効かなかったことからして、もしかしたら突入組にしかこの薬が効かないのかもしれないんだよね」

桑田「って、人吉は打ったのか?!」

善吉「効かなかったけどな……」

善吉「というか、時間がねえってのはどういうことだ? めだかちゃんは特に時間制限なんてつけてなかっただろ?」

苗木「うん。今日みんなに食堂に集まってもらったのは、九頭龍君のことの報告もあるんだけど、それについても伝えたかったからなんだ」

苗木は深刻な顔をしていた。

七海≪えっとね、死んじゃった人たちのデータなんだけど、その断片みたいなものはほんの少しだけ見つかってるんだ≫

善吉「本当か!?」

むくろ「だったらみんなの復活とかも……」

苗木「……そうはいかないんだ。ばらばらになった死体をくっつけても生きた人間に戻るわけじゃないように、データの破片だけじゃ復活は難しいんだ」

七海≪それにその断片も大部分は空き容量の中のゴミデータと一緒になっていて見つけにくい状態になってるんだよね≫

桑田「んなもん頑張って全部見つけりゃいいだけっしょ!」

七海≪えーと……パソコンを捨てる時に使うプログラムって知ってる? 簡単に言うと、パソコン内のデータに意味のないデータを上書きするプログラムなんだけど≫

善吉「それがどうかしたのか?」

七海≪なんでそんなことするかって言うとね、機械の中から本当にデータが消えてしまうのは、消去した時じゃないからなんだよね。本当に消えるのは、上書きしてしまったときなんだ≫

苗木「このプログラム……黒神さんは箱庭プログラムって呼んでたっけ……にはばく大なメモリがある。でもこれだけ精巧なプログラムだから、必要な容量も桁違いみたいなんだ。だからいらなくなった古い記録、空き容量の上から新しい記録が上書きされてしまう」

善吉「いらなくなった古い記録って……!?」

七海≪……今までに死んじゃった人たちのデータの破片とかがある場所だね≫

桑田「まじかよ!」

九頭龍「苗木から聞いた話じゃ、上書きが始まるのがちょうど30日目の終わりかららしいんだ」

善吉「なんとかできねえのか?!」

苗木「……一つだけ方法がある」

桑田「じゃあそれをすりゃいいんだな!」

方法があるといったはずの苗木は、辛そうな顔をしていた。

苗木「これ以上データ量を増やさずに済ませる方法はね。このプログラムを終了させることだけなんだ」

このプログラムを終了させる。
確かにそうすればこれ以上新しいデータが上書きされてしまうこともないだろう。
しかし……

桑田「おいおい、そんなことしたらよ……」

むくろ「……」

善吉「……俺たちのデータは消去されちまんだよな」

桑田「なんだよそれ! その30日目とやらが終わる前にどうにかならねえのか!?」

七海≪難しい……と思うよ≫

善吉「……」

苗木「だから、もしこのプログラムを終了させるんだとしたら、それは30日目がタイムリミットなんだ」



善吉「」
なんと言う?
↓2

俺たちが助かるかもしれないっていう希望が見えたじゃねえか!
なら何としても30日までにめだかちゃんに勝って終了しようぜ!

善吉「俺たちが助かるかもしれないっていう希望が見えたじゃねえか! なら何としても30日までにめだかちゃんに勝って終了しようぜ!」

桑田「はああ!? 何言ってんだよ人吉!? たしかに生きてるやつらの希望はあるかもしんねーけどよ、俺たちは消されんだぞ!?」

善吉「死んだ奴もデータの痕跡は残ってるんだ。終了たって、きっと俺たちのデータの痕跡は残る。そうじゃねえか?」

七海≪……たしかにそうかもしれないけど≫

善吉「だったら可能性はあるじゃねえか?」

桑田「……確かにそうなのか……?」

むくろ「……私たちの死体は残ってないの? もし残ってたらそこに私たちのデータを上書きすることは……」

七海≪……身体が死んじゃってたら、いくらデータを上書きしても動かないよ≫

むくろ「……」

苗木「……そもそも死体が残ってない人もいるしね」




善吉「」
なんという?(ラスト)
↓2

なら名瀬に身体をつくってもらえばいい
諦めてここで立ち止まるよりは、僅かな希望でも前へ進み出すんだ

善吉「なら名瀬に身体をつくってもらえばいい。諦めてここで立ち止まるよりは、僅かな希望でも前へ進み出すんだ」

苗木「……そうだよ。希望を見失っちゃダメだ! 希望を持って前に進まなきゃ」

むくろ「……希望」

桑田「体を作るとか、マジでそんなことできんのか……!?」

七海≪……きっと難しいことだと思うよ。でもみんなを信じよう。信じなきゃ、きっと何も始まらないよ≫

九頭龍「そういうわけだ。俺はこの薬を今から使う」

九頭龍は薬を打つ準備をした。

九頭龍「頼んだぞてめーら。もし俺が30日までに目覚めなかったら、ひっぱたいてでも起こしてくれや」

桑田「おう、任せとけ!」

九頭龍「……てめえ、なんか無駄に元気になってねーか?」

桑田「無駄ってなんだよ!?」

そんなコントをしたあと、九頭龍は薬を使うと気を失った。


こうして俺たちは解散した。


何をしようか?
↓2

真黒と話す

外にいる人達と交流することにした。
七海からもらった機械を使うと、よく知った人物がモニターに映った。

善吉「真黒さん!」

真黒「人吉君久しぶり」

自分の記憶よりも少し大人びた真黒さん……めだかちゃんの実兄だった。




何を話そう?
↓2

真黒から見ためだかちゃんの現状の分析

善吉「真黒さんからみためだかちゃんの現状の分析を教えてもらえますか?」

真黒さんは「分析」の異常を持つ人だ。そして深く妹を愛している人でもある。
きっとめだかちゃんのことをとてもよく知っているはずだ。

真黒「……今のめだかちゃんは一見人吉君の知っている通りのめだかちゃんに見えなかったかい?」

善吉「……まあ」

あのめだかちゃんはめちゃくちゃなことをやらかしているとはいえ、俺の知っているめだかちゃんと雰囲気が同じだった。

真黒「……めだかちゃんは中学の時から2度変わったんだよ。2度目は人吉君が死んだとき。そして1度目は君が箱庭学園の生徒会長になった時だ。喜界島さんから生徒会長になった時の話は少し聞いていたと思うけど……」

善吉「一応聞きましたけど……」

真黒「そのときめだかちゃんは「見知らぬ他人のために生まれてきた」という存在意義を失った。そしてそれに縛られない生き方をする黒神めだかに変わったのさ。その変化は、2歳の時から一緒に過ごしてきた人吉君なら十分気づけるくらいの変化だった」

善吉「じゃあなんで今のめだかちゃんは……」

真黒「……2度目の変化。人吉善吉が死んだ時からだ。もっと言うと、人吉善吉の蘇生を試みて、そのすべてが失敗に終わったあと、だね」

善吉「……」

真黒「その後めだかちゃんは未来機関のトップとしてそれまで以上に異常なほど仕事をこなしていった。詳しい内容は割愛するけど、未来機関内に熱狂的な信者を抱えるほどには失敗知らずの活躍を見せた。自らを省みない行為……「見知らぬ他人のために生まれてきた」に戻ったかのようにね。いや、むしろそう演じているかのようにも見えた」




善吉「」
なんと言おう?
↓2

失敗は数えないのもめだかちゃんでしょう
正し過ぎるくらい正しいあいつなら間違いだらけの過負荷も許すし親しい人間との別れもきっと乗り越えるはずだ

善吉「失敗は数えないのもめだかちゃんでしょう。正し過ぎるくらい正しいあいつなら間違いだらけの過負荷も許すし親しい人間との別れもきっと乗り越えるはずだ」

真黒「確かに昔のめだかちゃんならそうだったかもしれない。だけど人吉君、君は自らの意志でめだかちゃんの「特別」になることを選んだんだよ」

善吉「特別……?」

真黒「親しい人にも見知らぬ人にも血縁者にも赤の他人にも等しく接してきためだかちゃんにとっての初めての「特別」……特別な人間などいないと、自分についてこれる存在なんていないと思っていたはずのめだかちゃんを負かすことで人吉君はめだかちゃんの特別になったんだよ」

善吉「そんなことを俺が……?」

真黒「特別な人を失って傷つかないほどめだかちゃんは人間をやめていないよ。いや、人吉君がめだかちゃんをそんな人間に変えたのさ」

善吉「……やっぱり信じられねえ。あのめだかちゃんですよ……?」

真黒「……少なくともめだかちゃんは人吉君の死にかなりのショックを受けているのは間違いないよ。それにめだかちゃんが「親しいものの死」を乗り越えるための軸すら失ってしまったのだとしたら……乗り越えられるものも乗り越えられない」

善吉「だとしても、だったらなんでめだかちゃんはこんなコロシアイを俺たちにさせたんだ……!?」

真黒「……すまないね。そこまでは僕にもわからない」

真黒「……ところで人吉君」

真黒さんはしばらくこちらを観察した。

善吉「なんですか」

真黒「直接触れてみないことには断言はできないけど、弱くなってないかい?」

善吉「へ……?」

真黒「精神的なものは記憶がないからおいておいて……筋肉量、細かな動作までもが僕の知っている人吉君のものよりも劣っている」

善吉「えっと、そりゃあ今の俺は第1回コロシアイ学園生活とやらをする前の俺だからでしょう?」

真黒「……ひょっとしたら君は、それよりもっと前のデータから再現されているのかもしれないね」

善吉「……はあ?!」

真黒「断言はできない。だってそんなことをする意味が分からないし……」

善吉「……」

真黒「僕の方でも少し調べてみるよ。そもそもこの箱庭プログラムは新世界プログラムのように本人の脳を読み取ってアバタ―を制作したわけじゃないNPCが多すぎる。いくらめだかちゃんとはいえ、架空の人物を作るならまだしも、そこまで完璧な人格を0から作れるのかどうか……」

善吉「……ありがとうございます」



午前中は真黒さんと話した……

午後は何をしようか?
↓2

苗木と共に霧切から探偵としての見解を聞く

苗木は食堂にいた。

苗木「ほんとにごめん!」

十神≪あれほど考えなしに行動するなと日々言っていただろうが!≫

苗木「う……」

霧切≪あなたを追いかけてプログラムに突入したメンバーだっているのよ?≫

苗木「うう……その……」

善吉「あー、その」

苗木「人吉君!」

善吉「よお。そっちの二人は……」

苗木「超高校級の探偵の霧切さんと、超高校級の御曹司の十神くんだよ」

霧切≪未来機関のメンバーであり、第1回コロシアイ学園生活のいきのこりでもあるわ≫



何について話す?
↓2

第一回のコロシアイについて

善吉「第一回のコロシアイについておしえてくれねーか。正直よくわかってねーんだよ」

霧切≪構わないわ。そうね……人吉君は私の記憶がないことにもっともはやく気づいたわね。その割に信用してもらえたみたいだけど≫

善吉「記憶……? えっと、どういうことだ?」

霧切≪私はコロシアイに参加していたとき、自分の名前以外何一つ思い出せなかったのよ。あなたはそれに気づいたみたいだけど「こんなことはお前を疑う要素にならない。ここでビビってたらめだかちゃんに笑われちまう」とか言ってたわ。……お人よしすぎるとは思ったけど、心強くなかったと言えばうそになるわね≫

苗木「……そうだったんだ」

善吉(お前も今知ったのかよ)

霧切≪推理面ではそこまでだったけどね≫

十神≪葉隠ほどではなかったがな≫

霧切≪生き残り7人になって、黒幕の江ノ島盾子を追い詰めたところまではよかったのだけれど。江ノ島はそこで終わらなかった。あれが気まぐれなのか計算なのかはわからないし、おそらくそのどちらもなんでしょうけど……江ノ島は自らをオシオキするときに苗木君を身代わりにしようとした≫

善吉「苗木が……!?」

苗木「……」

十神≪「絶望を打ち破った希望を失うなんて絶望的でしょ」と言っていたな≫

苗木「でも、そこに飛び込んできたのが人吉君だった。今までと違ってオシオキの邪魔をしようとするモノを妨げるえ野島盾子自身がオシオキの場にいたからこそ、あの場にいたジェノサイダーを除く唯一の武闘派だったからこそ可能だったんだと思う」

霧切≪「苗木は殺させない。お前なんかに誰が殺させるかよ。心中なら俺が代わりにやってやる。お前は勝手に独りで絶望してろ」……あなたらしい言葉だったわ≫

善吉「……俺がそんなことを」

苗木「……あのとき僕は人吉君を止められなかった。謝罪もお礼も何もかもできなかった。今更だけど……ごめん。ボクが江ノ島盾子に捕まらなかったらあんなことにはならなかったんだ……!」




善吉「」
なんと言おう?
↓2

俺は俺のやりたいようにやっただけだ
お前が助かってくれてよかったよ

善吉「俺は俺のやりたいようにやっただけだ。お前が助かってくれてよかったよ」

苗木「……! そっか……人吉君は変わらないね」

善吉「俺が自分の意志でそうやったんだろ? だったら苗木は悪くねえよ。悪いやつがいたとしたらそれは江ノ島だ」

苗木「……」

善吉「苗木?」

苗木「いや、禊先輩に言われたことを思い出しちゃってさ」

善吉「球磨川に何か言われたのか!?」

苗木「えっと……」



―――

球磨川『殺した方も』『殺された方も』『黒幕も』『止められなかった奴も』『みんな平等に悪い』

苗木「そんなことっ!」

球磨川『「ボクがあの時あの人と一緒にいたなら事件なんて起きなかった」』『そう思ったことはないの?』

苗木「え……」

球磨川『その責任を忘れ、黒幕というわかりやすい敵だけに責任をすべてなすりつける!』『嬉しいよ苗木君!』『それはボクら(過負荷)の考え方だ!』『キミとボクはようやく分かり合えたんだよ!』

―――


苗木「なんて言われちゃってさ。黒幕が全部悪いって今まで思ってたんだけど、それを聞いて確信を持てなくなっちゃってさ。ボクが知っていた禊先輩はかなりマイナス性が薄れてきていた時期だったから……全盛期の時の様子を知って今でも少し驚いてるんだけどね」

善吉「球磨川の言うことなんて真に受けんなよ。悩めば悩むほど損だぞ」

十神≪その男の言うとおりだ。球磨川禊はどうも気に食わん。過負荷と絶望のどこに違いがあるというんだ≫

苗木「……そうなのかな」

霧切≪いいえ、気になるのならあなたは今悩むべきだわ≫

苗木「えっ……?」

霧切≪悩むべきタイミングを逃さ無い方がいいわ。私は苗木君のおかげでそのタイミングを逃さすに済んだのよ?≫

苗木「……そっか。ありがとう、霧切さん」




他に何か話す?
善吉「」
↓2

めだかの目的について、心当たりや推理

善吉「霧切は超高校級の探偵なんだよな。めだかちゃんの目的について心当たりや推理はないか?」

十神≪……俺を無視するとはいい度胸をしているな≫

苗木「お、落ち着いて十神くん」

霧切≪私は黒神めだかとそこまで交友があったわけじゃないから何とも言えないわね。でも推理のアドバイスくらいはしてあげられるはずよ≫

善吉「……どうしたらいい?」

霧切≪まずは自分の現状を理解しなさい。この箱庭プログラムとやらの仕組みや、自分の状態、内通者の存在意義……箱庭プログラムは黒神めだかが自分の目的のために制作したプログラムよ。必ずそこにヒントがあるわ≫

善吉「なるほどな」

十神≪俺は十神財閥のものとしてあの女と昔から少しは面識はあったが……正直化物だな。能力がではなく人格面がだ≫

善吉「……たしかにめだかちゃんは変わってますけど……」

十神≪あの女は子供すぎるんだ。精神的なものを含めて能力の伸びしろ自体はすさまじいが、人前で取り乱すようでは落第点だ≫

苗木「そういえば十神くんって箱庭学園の生徒会選挙を見に行ってたんだっけ……」

十神≪あの女は黒神財閥の時期後継者だぞ。当然だろう。大衆の前で泣きわめき自らの生きる意味を他人に問いかけるようでは子供同然だ≫

善吉「……めだかちゃんが……」



午後は苗木と霧切と十神と話した。



≪25日目を終了します≫

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最終更新:2013年01月05日 06:06