全員がそろったのを確認した後、俺たちはエレベーターに乗った。
エレベーターはどこまでも下に潜っていく。
誰もしゃべらない。長い長い間エレベーターの機械的な音だけが鳴り響いていた。
……次にこのエレベーターに乗るときは、シロ13人か―――クロ1人。
チンという音とともにエレベーターが止まった。
開いた扉の先にあったのは、円形に並べられた机のある、裁判所だった。
第一の学級裁判
開廷
≪言弾一覧≫
【モノクマレポート】被害者は弐大猫丸。死亡時刻は午前2:50分。
死因は右肩から左腰あたりまでの切り傷によるショック死。ねじでの磔は死後に行われたようだ。
【螺子】弐大を磔にするのに使われている見覚えのある螺子。球磨川のもの。
【謎の傷】切り傷と螺子の傷のほかに目にも刺し傷のような跡があった。
【血まみれの包丁】現場に落ちていたもの。キッチンにあったものだと予想される。
【散乱する野球道具】バットや硬球、スパイクなど。体育館にあったもののようだが……。ものすごく重い。
もともとは段ボール箱やスポーツバッグにまとめて詰められていたようだ。
【鍵穴のない扉】弐大の自室の扉には鍵穴が存在していなかった。桑田の証言ではもともとはついていたはずらしい。鍵そのものはかかった状態だった。
【野球ビデオ】弐大の部屋にあったDVD。視聴覚室で調べたところ、桑田の出場した試合の映像だった。ちなみに桑田はサウスポーではないらしい。
【深夜の徘徊者】深夜には複数の外出者がいたようだ。朝日奈、不知火、狛枝、球磨川、名瀬、七海、不二咲、九頭龍が判明者。
【自然血癒】安心院のスキル。他人の血を譲渡することでけがを治す。体力は戻せない。弐大はそうとう疲労していたようだ。
【狛枝の訪問】安心院・善吉・球磨川・九頭龍・江ノ島のいた安心院の部屋に、九頭龍と入れ替わるように狛枝は2:40分ごろにやってきた。
九頭龍は誰とも合わずすぐに自室に戻ったと言っている。2:45頃には球磨川が部屋を去った。
【弐大の呼び出し】弐大は桑田へ昨日の昼に、今日の朝自分の部屋に来るよう言っていた。野球関連ではないかと思われるが……
【包丁の行方】狛枝が食事当番のおとといにはすべてそろっていたらしいが、昨日の朝は一本無くなっていた。
【七海の証言】死体が発見された頃、ランドリーから戻る途中の七海と不二咲が、部屋のカギをもって桑田の部屋に入っていく球磨川を目撃した。
【弐大の部屋の鍵】なぜか桑田の部屋のベットの枕元においてあった。少し血がついている。
【不二咲の証言】弐大は体育館の野球道具を自室に運ぼうとしていた。手伝ってくれる人を探していたようだ。男性が望ましいらしい。
【名瀬の証言】2:30頃、安心院の部屋に行く前に狛枝が洗濯をしにやってきた。ちなみにランドリーに来たのは狛枝だけらしい。
【名瀬の怪しい薬】包帯を選択しつつ、名瀬が一晩かけて、キッチンの食材を材料に作った薬らしい。
一本打つと5日は不眠不休で動けるらしいが、その副作用は……
【安心院の証言】昨晩包丁を持った誰かに会っている。
【なくなった名瀬の刀】名瀬の頭に刺さっていた刃物。頭に刺さっていても名瀬が無事な理由はわからない。予備はない。
狛枝はトラッシュルームや女子トイレも探したが刀はみつからなかった。
【朝日奈と不知火のアリバイ】夜時間が始まってから不二咲や七海とともにいたが、2:30頃に一緒にそれぞれの個室に帰ったそうだ。
【部屋割り】割り当てられた部屋の配置。
≪スキル一覧≫
同時に最大5つまでセットできます。
【七光り】ミス時のダメージ減少
【詭弁】発言力の最大値増加
【アルゴリズム】ダミーセリフが減少
使用しますか?
↓1
いいえ
≪裁判の流れ≫
裁判は安価を中心に進行されます。どの話題から話し合うかは安価次第です。
設定されたウィークポイントから正しいものを選び、同時に言弾も選択してください。正解なら議論が進み、はずれなら発言力が減ります。
また、選択肢の中から正しいものを選ぶ、単に言弾を選択する、フリー安価での回答などの場合もあるかもしれません。
反論に対しても基本上記したものと同じ要領で進みます。
また、裁判終盤にコンマ判定でクロが自白をする場合もあるかもしれません。コンマの判定基準はクロによって変わります。
≪裁判開始≫
発言力 ●●●●●
全員が沈黙している。
……やはり、調査時間中にクロの正体にまでたどり着いた人物はいないようだ。
順番に整理していくしかなさそうだ。
まずは何について話し合おうか?
↓2
まずは凶器について
善吉「まずは凶器について話し合わねーか?」
狛枝「それはいい考えだね。弐大君には大量の傷がついていたし、一度整理すべきだ」
安心院「それじゃあまずは凶器の特定からいってみようか」
≪ノンストップ議論を開始します≫
朝日奈「弐大先輩にはたくさん傷があったよね」
苗木「【死因は肩から脇腹までの傷】って書いてあったよ」
狛枝「そんな傷跡ってことは、凶器は刃物で決まりかな……」
不二咲「刃物と言えば……現場には血の付いた包丁が落ちてたよぉ」
不知火「で、【包丁でズバっと刺し殺した】わけだと!」
球磨川『女の子が銃を持ってるのもいいけど』『包丁のほうがヤンデレっぽいよね!』
江ノ島「そんな殺し方なら【犯人は返り血を浴びてる】よね」
九頭龍「凶器はこれで決まりかもな」
善吉(……うーん、あいつの発言のとおりなのか?)
論破しろ!
↓2
【モノクマレポート】で【包丁でブスッと刺し殺した】を論破
論破成功
善吉「それは違う!」
凶器が包丁に決まりそうな雰囲気を、俺は一刀両断した。
桑田「おいおい、なんで包丁じゃねえんだ? 現場にだって落ちてただろ」
善吉「考えてみろよ。【モノクマレポート】によると、弐大の死因は肩から脇腹まで達した傷だ。そんな深い傷を包丁でつけられると思うか?」
七海「難しい……よね」
音無「でも死因が包丁じゃないなら、えーっと……そう! 弐大君! は何で殺されたの?」
善吉(死因を作った凶器はおそらく……)
↓1
【なくなった名瀬の刀】
善吉「凶器はおそらく……名瀬のなくした刀だ。あれなら弐大先輩の死因の傷を作ることができるし、」
江ノ島「刀って、あんたそんなもんもってたわけ?」
名瀬「まあな。あれ刺してっと頭がいい感じにクールになるんだよ」
狛枝「そんな軽いものなのかな、アレ……」
安心院「つまり凶器は包丁じゃなかったってことだ」
不知火「じゃあさ、じゃあさ、現場にはなんで包丁があったのかな?」
桑田「確かにわかんねーよな」
≪ノンストップ議論を開始します≫
桑田「刀と包丁なら、刀のほうが強いのにな」
朝日奈「事件には関係ないってことはないの?」
苗木「いや、あの【包丁には血がついていた】よ」
七海「……じゃあ刀と包丁で戦いあったとか?」
江ノ島「あー、確かに弐大って強そうだし【包丁を使って抵抗した】のかもよ」
九頭龍「だから血がついてたっていいてーんだな」
桑田「なるほどな! それならここにいる全員の体を調べて、怪我してるやつが犯人ってことか!」
不知火「そんなに簡単にはいかないのがお約束だけどねー」
論破しろ!
↓2
【包丁を使って抵抗した】を【自然血癒】で論破
成功
善吉「それは違う!」
江ノ島「何がちがうのよ。だってあいついかついしいかにも強そうじゃん?」
善吉「それは無理だ。二大先輩が初日にモノクマに刺されたのは覚えてるよな」
七海「安心院さんがなおしてくれたんだよね」
善吉「ああ。だけど、アレは傷は治せても体力は戻らないらしいんだ」
安心院「その通りだよ。【自然血癒】は傷をいやす以外なにもできないからね。3日目から行動できていた弐大君が特別なのさ」
善吉「実際ふらふらしてたみたいだしな。だから、弐大先輩が刀を持った犯人相手に一矢報いることはほぼ不可能だ」
江ノ島「ふーんそっかぁ……いい線言ってると思ったのになぁ」
苗木「でも弐大先輩ににそれができなかったんだとしたら、あの血は誰のものなんだろう」
不二咲「普通に考えたら弐大君のものだよねぇ」
安心院「善吉君、さすがにこれはわかるよな。包丁が使われたのはどこでかがさ」
善吉「包丁は……」
↓1
謎の傷
善吉「謎の傷、だな。弐大先輩の死体には、刀と螺子以外に何でつけられたのかわからない傷があった」
安心院「その通りだぜ人吉君」
狛枝「その傷をつけたのが落ちていた包丁ということなんだね」
球磨川『あれれ』『でもどうして包丁は放置されたままだったのかな?』『普通は片付けるよね』
不知火「目を傷つけたかった理由があったとしても、刀を持ってたならそっちを使うはずですから!」
善吉(……うーん、わからねえ。この話をクリアするにはまだ情報がそろってないのかもしれねぇ)
安心院「ひとまず包丁の使い道はおいておこうか。それよりも今は、刀を誰が盗んだかが重要じゃないかな」
名瀬「そうだよなー。さっさと返してほしいんだよ。予備ねーし」
善吉(使用済みの刀がそんなにほしいのか……?)
苗木「でも名瀬さんの証言が正しいとしたら、盗めるのって一人しかいないような……」
善吉「昨日の晩、刀を盗めたのは……」
↓1
狛枝
善吉「……狛枝先輩、あんたしかいないよな」
狛枝「えっ!?」
桑田「てめーか! 弐大をやったのは!?」
狛枝「僕は殺してなんかいないよ……!」
善吉「でも昨晩ランドリーに行ったのは狛枝先輩と名瀬先輩しかいないんだぜ」
九頭龍「はっ、あの覆面女が嘘をついてる可能性だってあんじゃねーか」
球磨川『盗まれたなんて嘘をついて』『実は本人が実行犯とかね!』
名瀬「……俺は一晩中薬を調合してたんだから、あの場から動けなかったんだけどな」
狛枝「僕は殺してなんかいないよ!」
直下コンマ判定 5以上なら安心院が……?
6
安心院「ふーん、ならおとといの夜に包丁を持って廊下を歩いていたのはなんでかな(笑)」
狛枝「!?」
朝日奈「何それ……!? 包丁を盗んだのって狛枝先輩なの!?」
不知火「あひゃひゃひゃひゃひゃ! 料理当番の日に盗むとか大胆すぎて惚れちゃいそう!」
狛枝「……安心院さんや名瀬さんが嘘をついてる可能性だってあるんじゃないかな」
七海「包丁も刀も今回の事件の重要なものだし……偶然って2回もあるものなのかな?」
狛枝「っつ……!!」
善吉「狛枝先輩! どうなんですか!?」
狛枝「っ……」
七海「狛枝君、本当に盗んだの?」
狛枝「ッ……!」
狛枝「あはっ」
狛枝「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!
超高校級の才能を持つみんなが、力を合わせて仲間の死という絶望に立ち向かう! あぁ、なんて素晴らしくて美しいんだろうね!」
苗木「!?」
善吉「狛枝先輩!?」
狛枝「そうだよ。キッチンの包丁も、名瀬さんの刀も、盗んだのはボクだ」
善吉「なんでそんなことをしたんですか!?」
狛枝「……急にわけのわからない状況に巻き込まれて、理不尽な殺し合いのゲームに参加させられて……その上死者まで出てしまうなんて、それって絶望的だよね……だからこそ希望はもっと輝くんだよ!」
桑田「んだよそれ……!」
狛枝「僕はみんなの希望の糧になりたかった。みんなの希望はこんなところでくすぶっているべきじゃないんだ! だから僕は凶器をぬすんだんだよ!」
狛枝先輩の豹変に、俺は、みんなはついていけなかった。
どれ一つとして理解することができない……!
朝日奈「だましてたのね……私たちを……!」
狛枝「だますなんてとんでもない! ボクが超高校級のみんなにそんなことできるはずがないじゃないか!」
桑田「うっせえ! もういいじゃねえか! こいつが刀を盗んだ! 犯人はこいつに決まりだろ!」
球磨川『あれ』『もう投票タイムにしちゃうのかい?』
善吉(確かに狛枝先輩は凶器を盗んだのを自白したけど……狛枝先輩が犯人でいいのか?)
投票タイムにするor証拠を提出
↓2
【狛枝の訪問】を提出
善吉「待ってくれ! ……狛枝先輩は犯人じゃない」
桑田「なっ、人吉!? こんな奴の味方をするつもりかよ!」
善吉「みかたっつーか……狛枝先輩に犯行は不可能なんだよ。なぜなら狛枝先輩は2:40以降ずっと安心院の部屋で俺たちと一緒にいたんだからな」
弐大の死亡時刻は2:50分。狛枝先輩はぎりぎり犯行が不可能なのだ。
傷跡からしてほぼ間違いなく即死……狛枝先輩はシロだ。
狛枝「さすが人吉君。やっぱりこの程度のことはわかるよね。まあ、本当は殺すつもりだったんだけど……」
球磨川『お前火とか見てテンション上げるタイプだろ(笑)』
狛枝「包丁で弐大君の目を刺したところまではよかったんだけど、火事場の馬鹿力かわからないけど刺した包丁をそのまま奪われちゃってね。返り血も浴びたことだし、ランドリーに向かったんだけど……そこで新しい凶器を見つけた上に、血の付いたコートに気づかれなかったのは僕の幸運かな。
でも、僕は本当に殺してないんだよ。ただ、弐大くんの部屋の鍵と刀を、本物のクロにプレゼントしただけさ」
善吉「何!?」
本物のクロに……? というか狛枝先輩はクロを知ってるのか……!?
江ノ島「あんたどっちの味方なのよ……」
狛枝「決まってるじゃないか。僕は希望の味方だよ」
苗木「クロはだれなの!?」
狛枝「……」
答えるつもりはなさそうだ。
やっぱり地道に捜査して特定するしかないのだろうか……
善吉(凶器以外にも……桑田の部屋の鍵のこととか、そもそもどうやって狛枝先輩が弐大先輩の部屋に侵入したかとか、消えた鍵穴とか、まだまだ疑問はあるよな……)
一つずつ、確実に答えを出していこう。
善吉(狛枝先輩は包丁と刀を盗んで、本物のクロに手渡した……でも、それだけじゃ解決しない謎が多すぎるぜ……)
そろそろ他のことについて話し合ってみたい。
何について話す?
↓2
消えた鍵穴と、桑田の所にあった鍵
善吉「桑田、一度お前の部屋に会ったものについて説明してくれないか」
桑田「なっ! 俺のこと信じるって言ってたじゃねえか!? 裏切るのか!?」
善吉「そうじゃねえ。だけどお前が持ち込んだんじゃないんなら、それにはこの事件のクロがかかわってるかもしれないだろ」
桑田「……。ったく! あああクソっ! お前を信じるからな!」
不二咲「ええっとぉ、何かあったの?」
桑田「事件の後、俺の部屋にこれが置いてあったのを見つけたんだよ」
桑田が差し出してきたのは……血の付着した弐大の部屋のカギだった。
朝日奈「なにこれ……?! なんであんたがそんなもんもってるのよ!?」
桑田「しらねえっつってんだろアホ! 気づいたら勝手においてあったんだよ!」
善吉「だけどな、俺にはこの鍵を置いて行った奴の目星がついてるぜ」
狛枝「へえ、いったい誰なのかな?」
桑田の部屋に鍵をおいて行ったのは?
↓1
クマーが鍵をもって桑田の部屋に入った
善吉「七海、お前は確か事件後桑田の部屋に鍵を持って入った人物を見たんだよな」
七海「うん。……球磨川くんだったよ」
不二咲「ぼ、ボクも見たけど……」
球磨川『あり?』『もしかして僕疑われてる?』
善吉「それに……部屋の鍵穴を虚構(なかったこと)にしたのもどう考えてもお前だろ」
球磨川『ひどいよ善吉ちゃん!』『人のことを疑うなんて最低だよ』
善吉「ははっ、信用できるわけないだろ」
球磨川『はあ……』『しかたないや』『でもこれ一度行ってみたかったんだよね』
球磨川『そ れ は 違 う ぜ』
≪反論ショーダウンを開始します≫
球磨川『善吉ちゃんはボクが殺人事件にかかわってるって言いたいようだけど、それは間違いだ』
『僕が桑田君の部屋に入ったのは事実だし、その時鍵を持ってはいたけど』
『あれは実は【僕の部屋の鍵】なんだよ!』
『ただ気になったから入っただけで、【出てからすぐ食堂に集合した】よ』
『ちなみに昨夜もまっすぐ部屋に帰ったし』
『【誰にも会わなかった】』
『【鍵穴をなかったことにするなんてこともしてない】』
『そもそも僕は【弐大君の部屋に入ってない】んだから、鍵を手に入れようがないよね!』
『全く他人を疑うなんて最低だよ』
『こんな一方的に疑われるなんて生まれて何回目だろうね!』
『間違えてるのは君のほうだ』
『だから』『僕は悪くない』
善吉(矛盾してそうな発言ばっかのような気もするが……下手なところを突っ込むと水掛け論になりそうだ……)
論破しろ!
↓2
【弐大君の部屋に入ってない】を【七海の証言】
狛枝「それは違うんじゃないかな……それじゃああれの詭弁を論破することはできないね」
善吉(デビルやべえ! みんなからの信用が減った気がする……)
発言力 ●●●●
再安価↓2
【螺子】で【弐大君の部屋に入ってない】
善吉「球磨川、お前弐大先輩の部屋には入ってないって言ったよな?」
球磨川『うん』『僕は一歩も入ってないよ!』
善吉「だったらなんで弐大の死体がお前の螺子で磔にされてたんだよ!」
球磨川『……さあ?』
善吉「てめえ……」
球磨川『たしかにあの螺子は僕のだけど』『僕は入ったりしてないよ!』『そうだ!』『あれは名瀬さんみたいに誰かにぬすまれたんだよ!』
善吉「ッ―――!!」
嘘だ。絶対こいつは嘘をついている。
安心院「はあ……往生際が悪いぜ球磨川君」
球磨川『往生際が悪くて最後までみっともなく無意味にあがくのが過負荷だからね!』
狛枝「キミ……希望であるみんなの足を引っ張った挙句こんな子供みたいな言い訳で時間を取らせるなんてさ。死んで詫びたほうがいいんじゃないの?」
球磨川『エリートに気を使うだなんて』『そんな過負荷(みんな)を裏切るような真似できないよ!』
狛枝「……もういいよ。君みたいなクズで最低な負け犬の発言を聞く時間がもったいない」
苗木「狛枝先輩……?」
狛枝「ああごめんね、時間を取らせちゃって」
安心院「そうだぜ球磨川君。カルピスの現役を限界まで薄めるかのように無駄に展開を引き延ばした週刊連載ほどつまらないものはないよ」
球磨川『だって僕はやってないんだから』『そう主張するしかないんだよ』
安心院「今なら僕のパンツをあげよう」
球磨川『今までのは嘘でーす!』『僕は事件を引っ掻き回しました!』『弐大君の部屋に入って死体を螺子で磔にして鍵を持ち出して桑田君の部屋に置いて行ったのはボクでーす!』
善吉「急に自白した!?」
球磨川『何を言ってるんだよ善吉ちゃん』『だって安心院さんのパンツだぜ?』
善吉「いや、パンツだぜって決め顔で言われても!」
善吉「……お前は弐大を殺したのか?」
球磨川『違うよ』
善吉「今度こそ嘘じゃないだろうな」
球磨川『安心院さんのパンツがかかってるんだぜ』『嘘なんてつくわけない!』『安心院さんに嘘がばれない自信はないしね』
善吉(どれだけパンツほしいんだよ……)「いや、思わねえけど……でもじゃあなんでわざわざ偽造工作なんてしたんだよ!?」
球磨川『うーん』『なんとなく?』
なんとなく……? なんとなくでこいつは弐大を磔にして、桑田に容疑をかぶせようとしたのか!?
桑田「俺に何の恨みがあるんだよ!?」
球磨川『顔とか性格とかいろいろあるけど』『これといった理由はないね』
善吉「何のつもりなんだ球磨川……」
球磨川『過負荷に理由を求めるなよ』『僕らはなによりも無責任な存在だぜ』
『それに僕は悪も善も勇者も魔王も敵も味方も何もかもにちょっかいをかけてどちらの思惑も台無しにするのが大好きなんだよね!』
善吉「……やっぱりお前は嫌いだよ」
球磨川『そう?』『残念だなぁ』『善吉ちゃんには過負荷の素質があるのに』
善吉「うるせえ! 俺とお前は絶対違う」
球磨川『……』
安心院「さてと、球磨川君もここまできたら嘘はつかないと思うし、さっきの証言が本当だとして裁判を続けるよ」
七海「……うーん。議論もだいぶ進んだしね。そろそろ消去法でクロを探してもいいころかも」
善吉「うーん……」
何をしようか?
↓2
狛枝がどうやって弍大の部屋に入ったのか
そして、クロにどうやって殺人をうながしたか
善吉「そういえば……狛枝先輩はどうやって弐大先輩の部屋に入ったんだ?」
鍵を外に落とした……というのはさすがにないと思う。
となると、弐大が招き入れたのだろうが理由が思いつかない。
狛枝「さあ。どうやってだろうね?」
答える気はなさそうだ……
安心院「人吉君の知ってる情報から、推測できると思うよ?」
善吉「俺のすでに持っている情報で……?」
善吉(弐大先輩が部屋に狛枝先輩を入れた理由か……あれと、あれで証明できそうだな……)
↓3
【不二咲の証言】と【散乱する野球道具】かな
善吉(これだ!)「なあ、弐大の部屋に散らかってた野球道具はみたよな」
江ノ島「あー、バットとかボールとか?」
善吉「不二咲、お前は体育館から野球道具を持ってくるのを手伝ってくれる男性を弐大先輩が探してるのをみたって言ったよな」
不二咲「うん、そうだよぉ」
善吉「狛枝先輩はそれを利用したんじゃないか?」
不二咲「あっ……そっかぁ、それなら狛枝先輩も部屋に簡単に入れるね」
善吉「たぶん狛枝先輩は部屋に入るやいなや攻撃したんだろうな。そのせいで、あんなに野球道具が飛び散ってたんだ。そうだろ、狛枝先輩」
狛枝「そうだよ! さすがは希望の象徴だね」
桑田「狛枝……!」
狛枝「野球道具って、どう考えても桑田君のためだよね? そんなに自分を気にしてくれていた弐大君を失ってしまうなんて絶望的だよね……だからこそ僕は、桑田君! キミの希望に期待してるんだよ!」
桑田「うるせえちょっと黙りやがれ!」
狛枝「……」
善吉「あとちょっと気になったんだが……狛枝先輩、あんたはどうやってクロに殺人を促したんだ?」
狛枝「どういうことかな」
善吉「あんたや球磨川はともかく、この中に積極的に殺人をやろうとするやつはいないはずだ。やっぱりそそのかしたんでしょう」
狛枝「人聞きの悪いことを言わないでほしいな。僕はそそのかしたりなんてしてない。ただ、弐大君の部屋の鍵と刀を渡して、弐大君の部屋に行ってみるよう勧めただけさ」
善吉「……嘘じゃないんですよね」
狛枝「僕みたいなゴミが君たちみたいな才能を持つ人たちに嘘を受けるはずがないよ!」
善吉(……なんか、発言の信用度に関しては球磨川とどっこいどっこいだなこの人)
善吉「とにかく、これで狛枝の侵入方法と武器調達、球磨川の捜査かく乱についてはほぼ判明したな」
不知火「あとは……ドキドキのクロ指定だね!」
安心院「議論をしていくうちに、クロはだいぶ絞れたはずだよ」
善吉(まだクロ候補に残っているのは……あの4人だな)
↓2
九頭竜
朝比奈
桑田
不知火
善吉(わかったぜ!)「今残ってるクロ候補は……朝日奈と桑田と九頭龍と不知火だ」
九頭龍「はっ、俺を疑ってるのか?」
朝日奈「……」
桑田「お、俺はやってねえぞ!?」
不知火「あひゃひゃひゃひゃひゃ! クライマックスまっしぐらだね」
苗木「焦らなくてもいいと思うよ。一人ずつ確かめていこう」
善吉「ああ、そうだな……まずは桑田について考えてみるとするか」
善吉(桑田は……シロなのか? クロなのか? おれはその証拠を持っているはずだ……!)
桑田について
↓2
【野球ビデオ】
善吉(野球ビデオで見た桑田は右利きだった……だったらあれはおかしいんじゃないか?)
↓1
切り傷
善吉(これだ!)「なあ、右利きのやつって、刀を右上から下に振り下ろすのと左上から下に振り下ろすのと、どっちが自然だと思う?」
七海「……右上から左下……かな」
善吉「そうだろ。このDVD……桑田の野球の試合の映像なんだけどな、この映像の中で桑田は右手でボールを投げていた。つまり右利きなんだ。ところが弐大の死体についているキズは、右肩から左の脇腹まで伸びている……右手のやつがつけた傷にしては不自然すぎるだろ?」
不二咲「そういえばそうだね」
善吉「狛枝先輩の話を聞いてる限り、クロの犯行は計画的じゃなさそうだし、右利きが確定している桑田はクロじゃない」
桑田「うおおお! ありがとよ人吉! お前やっぱりいいやつだな!」
善吉(これで桑田が候補から外れて残り3人か)
不知火「あひゃひゃひゃひゃ! 残念なことに、ここに残ってる3人ってみーんな左利きなわけですよ!」
善吉「なんで知ってるんだ?」
不知火「情報通ですから!」
桑田と同じ方法では証明できなさそうだ……
善吉「よし、次は……九頭龍についてだな」
善吉(九頭龍はシロかクロか……それを証明する証拠を俺は持っているはずだ……!)
↓2
【狛枝の訪問】
善吉(これだ!)「安心院さん、江ノ島。狛枝が部屋に来た時のことは覚えてるか?」
江ノ島「ん……まあ覚えてるけど」
球磨川『あれ?』『僕には聞いてくれないの?』
善吉「もし九頭龍がクロなら、狛枝が凶器を手渡すタイミングはあの時しかない。でも狛枝は安心院の部屋に来たときは手ぶらだっただろ?」
江ノ島「あっ……そっか! 九頭龍が凶器を手に入れるチャンスはなかったんだ!」
善吉「よって九頭龍もシロだ」
九頭龍「……ふん」
球磨川『ぷっ』『腕くんでそっぽ向くなんておまえはベジータ気取りかよ』『だっせ』
九頭龍「んだとてめぇ!」
善吉(まあ、あの二人は置いといて……残りは朝日奈と不知火だな)
直下コンマ判定。5以上なら……?
7
朝日奈「ッ―――ごめん!」
善吉「!」
いきなり叫んだのは朝日奈だった。
善吉「どうしたんだ?」
朝日奈「私なの。弐大先輩を殺したのは、私なんだ」
「「「「「「!?」」」」」」
狛枝「……」
それは、突然の……そしてあまりにもあっけなさすぎる自白だった。
朝日奈「昨日食堂から帰った後、狛枝先輩に会って……突然抜身の刀と血の付いた鍵を渡されて……「盗まれた包丁の行方が知りたかったら弐大先輩の部屋に行ってみるといい」って言われて……どうしても気になって行っちゃって……そして……そして……!」
苗木「朝日奈さん……」
朝日奈「そしたら血の付いた包丁を持った血まみれの弐大先輩がいて……向こうもあわててたみたいで、私殺されちゃうって思って……夢中になって刀を振り回して……そして……」
朝日奈は一拍おいて、最後の一言を言った。
朝日奈「私が、弐大先輩を殺したの」
善吉「……」
朝日奈が殺した。全く予想していない人物だった。
元気で明るくて、ムードメーカーでもあった朝日奈が……弐大先輩を殺したのだ。
だれもがクロは決まったと思った。
しかし、まだ最後のひとつが残っていたのだ。
不知火「あひゃひゃひゃひゃ! それは違うよ?」
それは、不知火からの反論だった。
≪反論ショーダウンを開始します≫
不知火「あひゃひゃひゃひゃ! なにやってるの? 【アタシがシロだってまだ確定してない】んだよ?」
「証拠を提示してくれないかな?」
「どうやったらわかるんだろうねー!」
「今の法律じゃ物的証拠がないと逮捕できないんだよ?」
「そもそもあたしと葵は【一緒に食堂から帰った】んだから」
「朝日奈には【狛枝先輩が接触する暇なんてなかった】のさ!」
「アタシや朝日奈より、球磨川先輩を疑いなおしたほうがいいんじゃないですかね?」
善吉(不知火はどういうつもりなんだ……? でも、答えなきゃいけねーよな。クロ候補を最後の1人までけずる最後の証拠……それは……)
↓2
部屋の配置図
善吉「それは違う!」
善吉「これを見てくれ。これは俺たちの部屋割りなんだが……ふつう食堂から自室に戻る時は、安心院の部屋があるほうからくるよな。不知火の部屋が食堂からすぐ近くなのに比べて、朝日奈の部屋は一番奥、しかも角を曲がったところだ。
つまり朝日奈には不知火、お前と違って一人で廊下を歩いている時間があったんだ!」
不知火「でもランドリー方面から帰ったかもしれないし。人の気まぐれなんて予想できるものじゃないですかr……」
朝日奈「もういいよ!」
不知火「……」
朝日奈「もういいの……なんなら私の部屋のシャワー室を調べてよ。刀が置いてあるから」
狛枝「なるほど。鍵のかかる個室に隠していたからこそ、見つけることができなかったんだね」
朝日奈「ごめんね半袖ちゃん。……せっかく一緒にドーナツ食べようって約束してたのに」
不知火「……」
朝日奈「結局、食べられなかったね……」
≪クライマックス推理≫
おとといの夜、狛枝先輩は料理当番の役割を利用して包丁を盗み出し、殺人を計画した。
でもその晩は安心院さんに見つかったせいで計画は断念せざるを得なかったんだ。
次の日、弐大先輩は桑田君のために野球グッズを運ぶのを手伝ってくれる人を探していた。
それを知った狛枝先輩は手伝うと提案し、弐大先輩はそれを承諾してしまった。
そして事件の夜……
狛枝先輩は野球道具を弐大先輩の部屋まで運び、ドアを閉めたところで、隠し持っていた包丁で弐大先輩を襲った!
でもその傷は致命傷にはならず、目をつぶすのみに収まった。
そして、武器を奪われた狛枝先輩は鍵を取って部屋の外に逃げ出した。
そのあと狛枝先輩は返り血の付いたコートの替えを得るためにランドリーに行って、血の付いたコートを隠し、名瀬先輩の刀を盗んでもう一度廊下に出た。
そこで狛枝先輩は不知火と別れたばかりの朝日奈に会ったんだ。
狛枝先輩は「包丁の行方」について知りたければ弐大の部屋に行けといい、朝日奈に刀と鍵を持たせたあと、安心院さんの部屋に向かった。それが2:40のことだ。
朝日奈はしばらく戸惑ってたんだろうな。だが結局は確かめに行くことにした。
そこで、目を真っ赤な血でそめて包丁を持った弐大先輩にあったんだ。
これは俺の予想だが……弐大先輩は目をつぶされたのと、もともとの体力が少なかったせいで、朝日奈と狛枝をかんちがいしたんじゃねーか? 疑心暗鬼になっていた可能性もある。
そして怖くなった朝日奈をがむしゃらに持っていた刀で切りかかり……弐大先輩を殺してしまった。
朝日奈はそのあと刀だけを持って、あわてて部屋に逃げ帰った。
その時に扉を閉め忘れたのか、それとも逃げている朝日奈を目撃したのか、球磨川が殺人の発生に気づいた。
球磨川は弐大の部屋に入り、死体を磔にしたあと、部屋の鍵をしめ、鍵穴を消した。
最後に、死体発見時間のころに、球磨川が桑田の部屋に鍵を置いて帰った。
これがこの事件の真相だ。
モノクマ「結論が出たようですね。じゃあ、投票タイムいってみよー!」
クロを決めています……
結果は……?
モノクマ「だいせーいかーい! 今回のクロは朝日奈さんでしたー! はいっ拍手ー!」
朝日奈「……」
朝日奈「ごめんね……みんな、本当にごめん……」
不知火「……」
朝日奈「約束、破っちゃってごめん。一緒にここから出ようって言ったのに……」
不知火「あひゃひゃひゃひゃ! はなから気にしてないよそんな言葉」
朝日奈「……うん」
不知火「……またね」
朝日奈「…………うん。ばいばい」
モノクマ「ハアハア……これが百合ってやつですかね? やだ、目覚めそう……
さて! 麗しき友情を見せてもらったところで……オシオキを始めるよ!」
そういうと、モノクマは手元の赤いスイッチを押した。
≪アサヒナサンガクロニキマリマシタ。オシオキヲカイシシマス≫
どこからか伸びてきたアームが、朝日奈の首をつかみ、引きずって行った。
朝日奈「やだ……死にたくないよぉ……」
本当に小さな声で、最後に朝日奈はそうつぶやいた。
【超高校級のスイマー朝日奈葵のオシオキ☆ウォーター・イリュージョン・ショー】
朝比奈は水槽の中に入れられていた。
水槽の上にいる手品師風のモノクマがステッキを振ると、幕が下りた。ドラムの音のあとに幕が上がった時にいたのは……
「サメ……!?」
しかし、俺たちが水槽日被くことはできなかった。
すぐにモノクマが幕を下げてしまったからだ。
幕が下りていた間は、ほんの少しだった気もするし、ものすごく長かった気もする。
幕が再び上がった時、そこに朝日奈の姿はなかった。
不知火「……」
こうして俺たちの初めての学級裁判は終わった。
のろのろとした足取りでエレベーターに全員が乗り終わると、エレベーターは地上へと上がって行った。
13人のシロを乗せて。
「生き残り13人」
人吉善吉(超高校級の???)
苗木誠(超高校級の幸運)
安心院なじみ[?年](超高校級の???)
戦刃むくろ(双子の妹の超高校級のギャル江ノ島盾子の変装中)
桑田怜恩(超高校級の野球選手)
●弐大猫丸[二年](超高校級のマネージャー)
狛枝凪人[二年](超高校級の幸運)
九頭龍冬彦[二年](超高校級の極道)
球磨川禊[三年?](超高校級の過負荷)
不二咲千尋(超高校級のプログラマー)
七海千秋[二年?](超高校級のゲーマー?)
●朝日奈葵(超高校級のスイマー)
不知火半袖(超高校級のフードファイター?)
名瀬夭歌(超高校級の生体工学者)
音無涼子(超高校級の???)
最終更新:2013年01月04日 19:09