28日目・(非)日常パート

≪28日目を開始します≫


直下コンマ判定
8以上で…?

8

食堂に入ると、声をかけられた。
それはここしばらく聞いていなかった者の声だった。

善吉「九頭龍!」

九頭龍「久しぶり……ってほどでもねえな」



何を話そう?
↓2

もう大丈夫なのか?

善吉「もう大丈夫なのか?」

九頭龍「絶好調ってわけじゃねえけどな……だが、思い出したぜ。全部な」

善吉「全部……」

九頭龍は全部と言った。
第2回のコロシアイについても、どうしてここにタイブしたのかも、すべて思い出したのだろう。



何を話す?
↓2

データに過ぎない自分達のために、何故危険を冒してまでダイブしてきたのか

善吉「データに過ぎない自分達のために、何故危険を冒してまでダイブしてきたんだ」

九頭龍「……よお、人吉。てめえ、自分のせいで俺たちを巻き込んじまったとか考えてんじゃねえだろうな」

善吉「それは……」

図星だった。
普通に考えれば、九頭龍たちがここにダイブしてくることはそんにしかならない。
俺たちは……最初から死んでいるのだ。そんな俺たちのせいで迷惑をかけてしまったのだとしたら、いくら謝っても謝り足りない。

九頭龍「勘違いすんじゃねえぞ。俺はお前らのせいで損したとか被害をこうむったとかそんなことは少しも考えてねえ。俺は俺のためだけにここに来たんだよ」

善吉「だったらなんでだよ!? なんでお前はこんなところに来たんだ!?」

九頭龍「俺たちの目の前でコロシアイが起きようとしてたんだ。しかも未来機関内でだぞ。九頭龍の名に懸けて、見過ごすことなんてできねえ。俺はもう何もできないままの俺じゃねえ」

善吉「俺たちはMPCなんだぞ!? なにも生きているお前が突入してくる必要なんてなかっただろ!?」

九頭龍「それは違うぜ。……俺たちにはたとえ生きてなかったとしても、大切な仲間がいたんだ。あいつとお前らとどこが違うっつうんだ!?」

善吉「生きていなかったとしてもって……?」

九頭龍「お前は七海が死にそうになってたとしても、生き物じゃないからっつって見過ごすのか!? ゴラア!」

善吉「っ!!」

九頭龍「少なくともお前らが責任を感じる必要性なんて微塵もねえんだ。悪いやつがいたとしたらそりゃああの黒神っつう女に決まってんだろ!」

善吉「……そうか」

九頭龍「そうだ。俺は俺がしたかったからここに来ただけなんだよ


なんと言おう?
↓2

それでも俺達を助けに来てくれてありがとう

善吉「それでも俺達を助けに来てくれてありがとう」

九頭龍「……んだよ」

九頭龍は照れたようにそっぽを向いてしまった。

九頭龍「……」

善吉「ありがとな、九頭龍」

九頭龍「ったくよお、何回も言わなくたってわかるっつうの……」

九頭龍は投げやりに言った。




善吉「」
何を話す?(ラスト)
↓2

第二回コロシアイ生活について尋ねる

善吉「第二回コロシアイ生活について教えてくれねえか」

九頭龍「いいぜ。っつっても俺もそこまではっきり覚えてるわけじゃねえし、他のやつらから聞いた話がほとんどなんだけどよ」

九頭龍は第二回のコロシアイについて教えてくれた。
第二回のコロシアイは箱庭プログラムのもととなった新世界プログラム内の出来事であったが、ほぼ全員が生きている人間でNPCは七海だけだったらしい。
九頭龍たちは元々外の世界が荒廃する原因となった超高校級の絶望の一員だったそうだ。そしてそれを助けるために第一回のコロシアイの生き残りである苗木たちが新世界プログラムにかけた。絶望した時の記憶を他のデータで上書きしてなかったことにしてしまうつもりだったらしい。
しかし新世界プログラムにウイルスが入り込んでしまったせいでコロシアイをする羽目になってしまったそうだ。

九頭龍「俺たちはあの時点で最善の手段だった強制シャットダウンを選んだからあんま覚えてねえんだよな……。で、目覚めた後なんだが、俺たちはある程度改心していたとはいえ元絶望だったせいで未来機関の過激派に処分されそうになったこともあんだよ」

善吉「処分って……」

九頭龍「超高校級の絶望は即処分されても文句が言えねえことばっかやってきた集団だから仕方ないっちゃしかたなかったんだが。だがそこで過激派をなだめたのが未来機関のトップのあの黒神だったそうだ」

善吉「めだかちゃんならそうしそうだが」

九頭龍「おかげで俺たちは処分されることなく経過観察されるだけになった。箱庭プログラムを発見したのはその矢先のことだ」

善吉「……」

九頭龍「日向はどう見てもコロシアイをシミュレートするためのプログラムだっつうじゃねえか。おまけにメンバーのなかには見たことある奴らが大量にいたんだぜ」

善吉「……なるほどな」

善吉「……」

九頭龍「だからよお、あんま悩むんじゃねえぞ。なんかあったらすぐ相談しろ。俺と人吉は杯を交わした仲なんだ。てめえの敵は俺の敵でもある」

善吉「……ありがとな」

九頭龍「少なくとも俺や苗木はてめえらのせいだなんつうことは考えてねえ。間違いなく俺たちはお前の味方だ。それだけは忘れんなよ、兄弟」

善吉「ああ」


午前中は九頭龍と話した。




九頭龍と話したことでずいぶんと気が楽になったような気がした。

午後は何をしようか?
↓2

安心院さんに会う

自室で午後は何をしようかと考えていると、いきなり知らない教室に移動していた。

善吉「なっ」

いや、俺はここに来たことがあるはずだ。
第5の裁判で狛枝に追い詰められていたときも、ここに来たはずだ。

安心院「やあ人吉君」

善吉「安心院さん……」

教室の教卓に安心院なじみが腰かけていた。

安心院「また会ったね人吉君。希望あふれる奇跡目指してがんばってるみたいじゃないか。はっはっは」

なぜだろう。安心院は笑顔だというのに、ものすごく怒っているような気がする。

安心院「なあ。もしかしなくても、ここから脱出することを選んでも、みんなどうせ奇跡的に復活するとかなめたこと考えてるんじゃねーだろうな」

善吉「えっ……」

安心院「なんだかんだ言ってどうにかなるとか 漠然とした感覚に陥ってるわけじゃないよな」

善吉「……」

安心院「それはぼくらに対する冒涜だぜ。死者はよみがえらない。奇跡を前提に行動している時点で完全にアウトなんだよ。甘えるな」

善吉「……」

安心院「簡単に人がよみがえる世界ならコロシアイなんて起きねーしパスワードは11037じゃねーし絶望と希望のトチ狂った争いなんて起きない。死者は死んでるし生者は生きてるしイフはイフに過ぎないし人外はただの人外だし絶望は絶望だ。
奇跡は起きないから奇跡なんだよ。限界以上に努力し続けたものにのみまれに与えられるのが奇跡だ。初めから軌跡頼みのやつのところに軌跡はやってこない。都合のいい夢を見たかったら勝手に夢見て勝手に死ね。乳臭えガキにかまってる暇はねーんだよ」

善吉「でもよ! あきらめないのは悪いことなのか!? もしかしたら復元できる可能性だってあるんだろ……!?」

安心院「……はあ。こんなんじゃまだまだあのプレゼントは開けさせられねーな」

安心院は呆れたようにため息をついた。




何を話そう?
↓2

「奇跡が駄目なら必然ならいいんだな?
俺には誰よりも正しいめだかちゃんが、何の意味もなくこんなプログラムを実行したとは思えない
なら、きっと何かある筈なんだ
奇跡とか偶然とか偶々とかマグレとかじゃない、俺達が出来る、いや、するべき何かが」

善吉「奇跡が駄目なら必然ならいいんだな?
俺には誰よりも正しいめだかちゃんが、何の意味もなくこんなプログラムを実行したとは思えない
なら、きっと何かある筈なんだ
奇跡とか偶然とか偶々とかマグレとかじゃない、俺達が出来る、いや、するべき何かが」

安心院「……都合のいい奇跡に頼って責任と決断を放棄していた君からはぎりぎり卒業かな。でも君たちにできることは……」

安心院は安心院らしくない悲しそうな表情をした。

善吉「俺は全員助かる方法が知りたい。俺にできることなら何だってやろうと思ってる。何かないか」

安心院「そうだねえ。全員脱出、ではなくハッピーエンドを迎えるためのヒントくらいならこんな僕でも与えてあげられるかもしれないよ」

善吉「! 俺はどうしたらいい」

安心院「……キミにとっての勝ちってなんだと思う? ここに残ろうが終わらせようがどっちでもいい。だけど……第6の裁判で真実を突き止めて全滅を防ぐだけでハッピーエンドになるって、本当にそう思うかい?」

善吉「他に何かあるんですか?」

安心院「キミが本当にハッピーエンドをつかみたいというのなら、第6の裁判すら茶番に過ぎないのさ。ただ真実を暴くだけでは足りない。キミにとっての勝ちって、どういうものなんだろうね」

善吉「俺にとっての勝ち……?」

安心院「コンピュータ系の知識も能力もない。武力解決もできない。そんなキミだけにできることを探しなさい」

安心院はそういった。

安心院「4834兆9339億7803万4352。何の数かわかるかい?」

善吉「いや、わかんねえ」

安心院「人吉善吉を復活させるためならめだかちゃんはなんだって試した。そんな彼女に土下座までされて使ったぼくのスキルの数だ。それと現状を比べてみろ」

善吉「まさか、安心院さんでも死者の復活は不可能だったのか……?!」

安心院「普段ならそんなことはないんだけどねえ。人吉善吉という存在の復活目的に使ったスキルはことごとく意味をなさなかった。まるで言彦を相手にしているような気分だったぜ」

善吉「でもなんで安心院さんにすらできなかったんだ……!?」

安心院「人吉善吉の復活は不可能だった。人吉善吉のスキル「愚行権」は死者の復活というご都合主義を認めなかったんじゃないかな。善吉の死という出来事が、物語において重要なポジションにありすぎた。人吉善吉の死の否定は物語の否定だった。所詮物語の中の人物である僕たちにそれを覆すことはできなかったのさ」

善吉「愚行権って安心院さんのメモにあった……」

安心院「学園長室の名簿には、人吉君の保有スキルとして書いてあっただろう? めだかちゃんは過去のコロシアイを真似して、だんだんと事件の全貌がつかめるよういたるところにヒントをばらまいていたからねえ。だからこそ狛枝凪斗は真実の一歩手前までたどり着けたんだけど。おっと話がそれたか」

善吉「……でもその愚行権とかいうたった一つのスキルで安心院さんにすら解決できなくなったって言割れても納得できないぜ」

安心院「愚行権だけじゃなく、江ノ島盾子の「絶望」も一緒に発動していたのも大きかったかもね。だがあえて超科学的な理論で説明してみようか。
イフと言う概念がある。もしもの世界線のことだね。英語でもIF文を使うだろう。あれのことだ。
君たちはよく「よい場合」のもしもを考えるときに使うけれど……裏を返せばそれは最悪なイフもどこかに存在しているということにならない。希望ヶ峰学園と箱庭学園が同じ世界線にあったというイフ。人吉善吉が超高校級の生徒会長になったというイフ。殺し合いが起きてしまったというイフ。人吉善吉が死んでしまったというイフ。復活させることができなかったというイフ。そして……」

善吉「?」

安心院「……ここはそういう世界線だ。ここまで最悪の状況になった世界線は少ないぜ。僕の才能【移付されたイフ】で確認済みだ」

安心院は言った。

安心院「死者の蘇生はね、すでに僕らが挑んでことごとく失敗してきたことなんだ。だからこそこんな事態になったといってもいい。だから、死者の蘇生という奇跡にすがるということは、僕たちの頑張りを否定し侮蔑しあざ笑うことに他ならないのさ」


何を話そう?
↓2

狛枝が真実の一歩手前まで辿り着けたってことは今俺が知っている情報でめだかちゃんの目的を推理することは可能なのか?

善吉「狛枝が真実の一歩手前まで辿り着けたってことは今俺が知っている情報でめだかちゃんの目的を推理することは可能なのか?」

安心院「可能だね。狛枝君ほどの推理力があって真実にたどり着けなかった理由は単なるめだかちゃんに関する情報不足だ。現時点で判明しているくらいの情報があったら彼ならきっと真実にたどり着けただろう」

善吉(やっぱ狛枝ってすごいやつなんだな……)

安心院「最悪学級裁判で話し合えばどうにかなるさ。そのあたりは心配しなくていいんじゃないかな」

善吉「……妙に楽観的なんだな」

安心院「最大の難関はその先にあるからね」

善吉「最大の難関って、俺にとっての勝利だとか、ハッピーエンドだとかいう話ですか?」

安心院「そうだね」

善吉「……」

安心院「まあ多少の面倒ぐらいは見てあげるよ。ボクが君を利用しなければ、このコロシアイは起こらなかったかもしれないんだし」




何を話そう?(ラスト)
↓2

プレゼントの覚悟の意味を聞いてみる

善吉「なあ安心院。あんたが残してくれたこのプレゼントの意味ってなんなんだ? 俺はいつあけるべきなんだ?」

安心院「覚悟ができた時」

善吉「その覚悟がわかんねーんだよ」

安心院「そのくらい自分で考えなさいと言いたいところだけど、今日は気分がいいから特別にヒントを上げよう。覚悟とは、ハッピーエンドを迎えるための覚悟だよ」

善吉「ハッピーエンドって、全員脱出もしくは復活じゃないのか?」

安心院「どうなんだろうねえ」

善吉「……俺には誰かが死んだのにハッピーエンドになるような未来ってのが想像できねえよ」

安心院「今はそうかもしれないね。……でももうすぐ否が応でも決断しなきゃいけないときがやってくるさ。それまでゆっくり考えなさい。
それから……」

安心院は俺の方に人差し指を向けて言った。

安心院「僕のことは親しみを込めて安心院(あんしんいん)さんと呼びなさい」




気が付くと、俺は自室のベッドに腰掛けていた。




≪28日目を終了します≫

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最終更新:2013年01月05日 06:13