24日目・(非)日常パート

≪24日目≫

俺はいつものように目覚めた。

「出る」か「出ない」か……「一部の生還」か「全員の生存」か……いまだに決心はつかない。

善吉「……」

このまま部屋にこもっていても仕方がない。
何かするべきだろう。


何をしようか?
↓2

桑田と話をしにいく

桑田に会いに行くことにした。
……現状で一番追い詰められていて、「まとも」なのはきっとあいつだろうから。

善吉「……今日も自室にいんのかね」

想像通り、桑田は自室にいた。
尋ねてきたのが俺だと気づいた桑田は、部屋を開けて俺を招き入れてくれた。

桑田「……なあ人吉。俺たちが死んでるなんてありえねーよな?」

桑田は単刀直入に話を切り出した。

善吉「それはわからねえ」

桑田「お前あんな奴らの話を信じるのかよ!? 俺たちはもう死んでて?! NPCでしかなくて!? ふざけんなよ! ありえないっしょ!?」

善吉「……」

桑田「だいたい真実を当てられなかったら全滅ってなんだよ……その勝負に勝ったところで、得するのは苗木と九頭龍だけじゃねーか! それならずっと第6の裁判なんてしねー方がましっしょ!」

桑田はかなりせっぱつまっているようだった。

桑田「七海ちゃんはAIだし、戦刃はあれだしよお……なあ、人吉、お前は第6の裁判なんてやるつもりはねえよな? ……こんなの嘘だって思うだろ!?」




なんと言おうか?
↓2

第6の審判はやる
でも今じゃない
死んでいった奴等のデータを復元させて、すでに死んでいる俺達も脱出する方法が見つかったらだ

善吉「第6の裁判はやる。でも今じゃない。死んでいった奴等のデータを復元させて、すでに死んでいる俺達も脱出する方法が見つかったらだ」

桑田「はあ?! 何言ってんだよお前! そんな方法あるわけが……」

善吉「だからこそ! 俺たちは今からその方法を探すんだよ! どんなことでも、1パーセントも可能性がないことなんてねえ! きっと……きっとあるはずだ……」

桑田「……なんでそんな風に考えれるんだよ、いつまでそんなこと言ってんだよ!? そんなの無理だろ?! 俺たちに何ができるんだよ!」

善吉「何かあるはずだ。絶対何か方法がある! あきらめたらできるもんもできねえ!」

桑田「その方法ってなんだよ! ふざけんな! 俺はそんな不安定なもんのために命はれってっていうのか?!」



善吉「」
なんと言おうか?
↓2

不知火と名瀬はやった! 俺達の為に命を張ってくれた!
不知火は江ノ島を倒して、名瀬は間違いを犯しちまったが命がけで俺達の記憶を取り戻す薬を作ってくれた!

生きているのに、生存してる奴等だったのに、
俺達の為にこんなコロシアイにダイブ参加して命を張ってくれたんだ!
自分が死んじまうってのにだ!

だから俺達は絶対諦められねぇんだよ
15人揃ってここから脱出して完全無欠のハッピーエンドで、黒幕に勝とうぜ

善吉「不知火と名瀬はやった! 俺達の為に命を張ってくれた! 不知火は江ノ島を倒して、名瀬は間違いを犯しちまったが命がけで俺達の記憶を取り戻す薬を作ってくれた!
生きているのに、生存してる奴等だったのに、俺達の為にこんなコロシアイにダイブ参加して命を張ってくれたんだ! 自分が死んじまうってのにだ!
だから俺達は絶対諦められねぇんだよ。15人揃ってここから脱出して完全無欠のハッピーエンドで、黒幕に勝とうぜ」

桑田「……マジでそんなことができたら……そりゃ最高だろうな」

善吉「桑田!」

桑田「……俺は、ここから出れんのか? やっと野球がしたいって気づいたのによ……気づかせてくれた弐大は殺されちまって……このまま俺が死んじまったら、俺にも弐大にも何も残らねえ……」

善吉「だからこそ、出ようぜ。きっと、方法がある。俺たちならできるに決まってる」

桑田「……俺は死にたくねえよ」

善吉「だからこそ勝たなきゃいけねえんだよ! 野球だって試合をやらなきゃ勝てねえだろ!?」

桑田「……! ……ああ、そうだな」

桑田はまだまだ不安なようだった。
しかし、今まで程の不安定さや疑心暗鬼からは抜け出せていたようだった。

桑田「……よっしゃあ! じゃあこの俺もお前を手伝ってやるよ! 決心できる俺マジカッケーっす!」

善吉「……ああ!」

桑田「それに俺は、ここから出てメジャーで勝って、弐大の銅像を建ててやらねーといけねーしな!」




午前中は桑田と今後の相談をした。


午後は何をしようか?
↓2

モニターで江迎に会いに行く

午後は外にいる人たちと交流をすることにした。

善吉「えっと……」

七海からもらった機械を作動させると、いきなり画面がぐちゃぐちゃになっていた。

善吉「は……?」

壊れたのかと思ったが、そうではないらしかった。
画面が壊れているせいで画面がぐちゃぐちゃなのではなく、実際に画面の向こう側がぐちゃぐちゃの状態なのだ。まるで、何もかもが腐っているかのように。

?「ああっ! 人吉君! ふふふふ人吉君だ人吉君だ人吉君だ私の知ってる人吉君だ写真でも作り物でもなんでもない生きて呼吸して心臓が動いておなかがすいて眠くなってトイレにもいきたくなって運動ができてなんだかんだ言って誰にでも優しくしちゃって放課後にたまにコンビニでアイス買っていってお母さまに怒られるのに懲りずにまた食べてきたりして私に手を差し伸べてくれて私の作った味噌汁を毎日でも食べたいって言ってくれて私のしたことをなかったことになんてしないって言ってくれた人吉君だ生きてる生きてる動いてる喋ってる人吉君だ!」

日向「たのむから落ち着いてくれ!」

?「会いたかった会いたかった会いたかったスキスキスキスキ話したかったスキスキダイスキどうして死んじゃったのあんなに好きだったのに約束してくれたのにかっこよかったのにアレでも人吉君は今生きてるよねどうしてかしらきっと愛の力ね愛は世界を変えるんだわきっと奇跡だって起こしてくれたのよスキスキねえ神様大嫌いなんて言ってごめんなさい神様はちゃんと私たちを見てくれてたのねだからまた会えたんでしょうお礼を言わなくっちゃあっでも嫌いじゃないけど一番好きなわけじゃないからね一番は人吉君のものだからでも嫌いじゃないのよ本当よだから夢落ちなんてくだらない最後にしないでね」

日向「落ち着け!」

?「人吉君好きだよ大好き愛してる愛してるラブなんだよこれは愛なんだよ会いたかった会いたかった生きてる生きてる生きてる―――!」

善吉「……」

江迎「私だよ! ―――江迎怒江だよ! 会いたかった!」

善吉「……うん! そうだな!」



何を話す?
↓2

そっち(外)の様子を聞いてみる

善吉「そっちはどんな感じなんだ?」

江迎「えっとね、日向くんとかアルターエゴっていう人工知能とか都城先輩とか行橋先輩とかががんばってプログラムの解体とかダイブした人たちの安全管理とかそっちの人格データ保護とかいろいろやってくれてるみたいだよ。私はあまりこういうことがわからないから料理を作ったりして助けることくらいしかできないんだけど……あ! 別に浮気と化したわけじゃないんだよ! もちろんみんな大切な人だけど、みんなを助けることによって人吉君が助かる可能性が少しでも上がればいいなって思ってるだけで、別にほかに好きな人ができたとかそういうことじゃないの」

善吉「……そうか」

江迎「当然だよだって私は人吉君のために料理を作るんだよ。そういえばすこし前貴腐ワインも作れるようになったのよ。人吉君のおかげだわ。でも希望ヶ峰学園シェルター化計画が実行されたときに人吉君ったら無効に残っちゃったんだもの。球磨川さんはこっちに戻ってきたのにね。でもあのとき食べさせてあげられなかったのにはきっと意味があるのよだって我慢する時間や楽しみにしている時間が長ければ長いほど食べさせてあげられるときの喜びって大きくなるはずだもの。きっとこのために人吉君は無効に残ってくれたのよね。うふふ。あれでも人吉くんはあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれ……」

善吉「おい、大丈夫か!?」

江迎「……はっ! ご、ごめんね人吉君私ってつい考え込んじゃうと周りが見えなくなっちゃう癖があってね、決して人吉君と一緒にいるのがいやとかそういうわけじゃないのよ。本当よ。だって私は人吉君のことが好きなんだから。あえて話せるだけでも本当にうれしくてうれしくてうれしくて」

善吉「……」




他に何を話そう?
↓2

江迎はめだかちゃんがなんでこんな事したんだと思う?

善吉「江迎はめだかちゃんが何でこんなことをしたんだと思う?」

江迎「……私にはみんなのことがよくわからない。私ってあまり賢くないし、やっぱりどこまで行ってもマイナスだからなのかなあ。いざって時に失敗しちゃいがちなせいであんまり未来機関の詳しい情報をもらえないんだよね。でも、こんな私でもわかることがあるの。だからそれを聞いてほしい」

江迎は今までとはうってかわって冷静にそう言った。

江迎「黒神さんはきっと愛のために動いてない。人吉君に会いたかったとかそういうレベルで動いてるわけじゃないの。それどころか人吉君が教えてあげたことすらきっと……」

善吉「俺が教えてあげたこと……?」

脳裏に幼少時のことなどあまり覚えていない。
―――「きっとみんなを幸せにするために生まれてきたんだよ!」
でも俺のことだ。こんなことを言ったのだろう。

江迎「……人吉君が死んじゃったとき、みんなは人吉君を頑張って蘇生させようとしたんだよ。身体をかき集めて血液を作ってあらゆる才能を駆使して反則レベルのスキルを使って……それでも奇跡は起きなかった」

善吉「……じゃあ今回も」

江迎「それはわかんない。でも少なくともあの時は私たちは失敗してしまった。黒神さんはずっと泣いていた。……それでも絶望に落ちるなんてことはなかった。でもね、きっとあの時何かがあったんだ。黒神さんの「特別」になった人吉君の死に黒神さんが何とも思わないはずないもん」

善吉「……」

江迎「でも、こんなの愛じゃない! 黒神さんは愛で動いてるんじゃないよ」

善吉「じゃあ何のために動いてるんだってんだよ……」

江迎「……自分のため、だよ。人吉君が希望ヶ峰学園に行くのを止めなかったことを、シェルター計画の時に無理やり未来機関に連れ戻さなかったことを、コロシアイ学園生活が始まって現状やいろんな事情を無視してないふり構わず助けに行かなかったことをきっと悔やんでる。だからこそ変わっちゃったんだ。自分がもっと違う行動をしていたら善吉を助けられたのではないか……とか思ってるに違いない。
と言ってもこれは全部私の予想なんだけどね」

善吉「もっと違った行動をしていたら……?」

ではこのプログラムはめだかちゃんの後悔の結果だとでも言うのだろうか?

善吉「……」

江迎「それとね、もう一つだけ言っておきたいことがあるの。今回の事件には全く関係ないし、人吉君にはなんのことかもわからないのなんてわかってる。今言わない方がいいことだってこともちゃんとわかってる。それでも言っておきたいの」

善吉「……なんだ?」

江迎「私、人吉君のことが好きだよ」




なんと言う?
↓2

ありがとよ江迎
そっちに帰れたら美味い味噌汁でも用意しててくれ
ワインはまだ俺たちには早いしな

善吉「ありがとよ江迎。そっちに帰れたら美味い味噌汁でも用意しててくれ。ワインはまだ俺たちには早いしな」

……自分でも卑怯な答え方だと思った。
俺は、こいつのことを何もわかってやれていない。何も思い出せていないのなら、今の俺はきっと江迎の告白した人物と別人のようなものなのだ。

江迎「……。うん、わかったよ。たくさんたくさんたくさんたくさん作って待ってるよ。いつまでも待ってるよ。だから絶対に帰ってきて。今日話せてうれしかったよ。でも直接会えたらもっと嬉しいよ。きっとみんなも喜ぶから」

江迎はぽろぽろと涙を流していた。

江迎「……私はずっと生きてちゃいけない子だと思ってた。愛されちゃいけない子だと思ってた。何にもできない子だと思ってた。でもね、そうじゃなかった。おいしい料理が作れた。枯れた桜の気だって咲かせてあげられた。私の過負荷は誰かを助けることだってできるんだって、私は愛されたっていいんだって、人吉君が全部全部気づかせてくれたんだ」

江迎「だからね私……人吉くんを好きでいて幸せだった!」

江迎は泣きながら笑った。




午後は江迎とともに過ごした……






≪???≫

暗い部屋にたくさんの画面が浮かんでいた。

「そっか……できるかな……」

「……」

「……そうだよね」

「でもあと少ししかない……」

「はやく終わらせないと……まずいかも……」

声の主は珍しく焦った様子でそうつぶやいた。




≪24日目を終了します≫

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最終更新:2013年01月05日 06:04