全員がそろったのを確認した後、俺たちはエレベーターに乗った。
エレベーターはどこまでも下に潜っていく。
誰もしゃべらない。長い長い間エレベーターの機械的な音だけが鳴り響いていた。
……次にこのエレベーターに乗るときは、シロ11人か―――クロ1人。
チンという音とともにエレベーターが止まった。
開いた扉の先にあったのは、円形に並べられた机のある、裁判所だった。
第二の学級裁判
開廷
≪言弾一覧≫
【引きこもり増加】前回の事件から、深夜の外出を控えていたメンバーが増えているため、誰にも見られずに外出することはたやすかった。
【不知火が沈んでいた場所】プールのほぼ中央。投げ入れるのは難しい距離。
【モノクマレポート】被害者は不知火半袖。午前5:00頃に死亡。殺人現場はプール。死因は水による窒息で、薬物などが用いられた痕跡はない。
また、身体の前面に広範囲に広がる打撲の跡があった。おそらく一回の殴打で作られた。
【ひも】不知火を縛っていたロープ。やけに長く、相当な長さが余っていて、端は輪になっている。
【手を拘束する手錠】体や足と違い、手は手錠で拘束されていた。球磨川が持ち出したらしいが、昨日なくしたと騒いでいたらしい。
【傷んだ照明】プールの証明が一つ傷んでいた。ちょうどプールの真上あたり。
【プールの天井の柱】ここを登って行けば壊れた照明までたどり着ける。そこそこ強度はあるようだが
桑田ぐらいの人間がぶら下がるには少し心もとない。苗木や九頭龍並に軽ければ別だろうが……。
【水たまり】プールの端にはやけにめだつ大きな水たまりがあった。
【不知火が目撃された時刻】九頭龍が昨日の昼ごろに食堂で不知火を目撃した。
【かき氷用の氷】不知火は昨日の昼時間にかき氷をするために大きな氷を用意していた。
【ロープと手錠の入手先】倉庫にあったもののようだ。誰でも持ち出せたので、特定はできていない。
【不知火の手紙】不知火の自室に会った手紙。内容はよく意味が分からない。
【朝日奈の遺書】半袖にあてられた朝日奈の遺書。半袖は読むことなく死んでしまった。
【江ノ島の様子】江ノ島は7時過ぎに髪を濡らした状態だった。夜時間はシャワーが出ないはずだが……?
本人は髪の毛をとくときに霧吹きを使ったと言っている。
【苗木のトイレ】苗木は不知火の死亡時刻の午前5時頃5分間程度トイレに行っていた。その間に音無は江ノ島にあったらしい。
【希望ヶ峰学園生徒の名簿】書庫で見つけたもの。安心院と音無の名前がなかった。
【江ノ島の顔】名簿の証明写真とここにいる江ノ島の顔がだいぶ違う。別人の可能性が高い。
【音無の記憶ノート】音無の記憶ノート。
≪スキル一覧≫
最大5つまでセットできます。
【七光り】ミス時のダメージ減少
【詭弁】発言力の最大値増加
【アルゴリズム】ダミーセリフが減少
使用しますか?
↓1
しない
≪裁判開始≫
発言力 ●●●●●
全員が沈黙している。
……やはり、調査時間中にクロの正体にまでたどり着いた人物はいないようだ。
順番に整理していくしかなさそうだ。
まずは何について話し合おうか?
↓1
不知火の体にあった打撲の後について
善吉「まずは、不知火の体に合った打撲の跡について話し合おうぜ」
音無「打撲のあとなんてあったっけ?」
狛枝「たしかにあったはずだよ。この目で確かめたからね」
江ノ島「死因じゃないんだよね? だったらなんでつけられたのさ」
善吉(不知火の傷は……どうやってできたんだ?)
≪ノンストップ議論を開始します≫
安心院「【不知火半袖は溺死】した。これは間違いないね」
桑田「死因じゃねーってことは、なんであんなものついてるんだ?」
不二咲「【もともとあった傷】ってことはないのかなぁ」
七海「死後についたか死ぬ前についたのか……気になりますぞ」
九頭龍「何言ってんだてめーら。んなもん【ぼこぼこに殴って気絶させた】に決まってんだろ!」
球磨川『水の中とはいえ!』『抵抗されたら面倒だもんね!』
名瀬「しかし不知火はかなり小柄だったんだぞ? 殴った上に縛って殺すのは【用心しすぎ】なんじゃねーのか?」
苗木「そうしなきゃいけない理由でもあったのかな……」
狛枝「不知火さんは超高校級のフードファイタ―だからね! もしかしたらすごい身体能力を持っていたのかもしれないよ!」
善吉(待てよ……あいつのあの発言矛盾してねーか?)
論破しろ!(言弾と発言を指定)
↓2
言弾【モノクマレポート】
発言【ぼこぼこに殴って気絶させた】
善吉「それは違う!」
善吉「【モノクマレポート】によると......不知火の打撲跡は均一に広がっていた。殴ったってのはありえねえんだ」
九頭龍「あ......そうか」
狛枝「相当大きなもので殴られたんじゃないかな」
苗木「でもそんなものプールにはなかったよね。それにそんな大きいものだったら持つのも大変だろうし......」
桑田「生身では無理だよな」
善吉「考えられる理由としては...どんなものがあるっけな......」
打撲の凶器は何?(自由安価)
↓2
カキ氷の氷 水たまり
発言力●●●●
苗木「かき氷用の氷って相当大きかっけど、ここにいるメンバーじゃ持ち上げにくいんじゃないかな」
安心院「僕ならできないこともないけど、別の可能性を考えてみることをオススメするよ」
善吉「ち、違うのか?」
善吉(氷以外に可能性があるとしたらなんだ......?)
↓2
プールの水面
善吉(これだ!)「あの後は、プールの水でできたんじゃねーのか?」
桑田「はああ? プールの水って、液体じゃねえか。そんなのでどうやって傷つけられるんだよ」
善吉「それが可能なんだぜ。プールに飛び込んだときに衝撃を感じるだろ? 飛び込み競技が危険な理由もそれなんだ」
音無「そっか。プールの水面ってすっごく大きいもんね」
安心院「勢いがあればあるほど、衝撃は強くなる」
名瀬「つまり犯人は不知火を投げ入れたってことか」
狛枝「確かに飛び込みの跡なら傷跡が均一でもおか
しくないね。でも」
狛枝「それはちがうよ……」
≪反論ショーダウンを開始します≫
狛枝「人吉くんは打撲の跡が入水の際にできたって言いたいようだけど」
「それは無理じゃないかな」
「不知火さんが沈んでいた場所は【プールの中央】だったし」
「そこから死体を投げ入れるには無理がある」
「【プールサイドから投げ入れる】のは不可能なんだ」
「投げ入れたって、あそこまで大きな痣ができるほどの勢いになるのかな?」
「理由だってよくわからないよね」
論破しろ!(自由安価)
↓2
プールサイドから投げ入れる
傷のついた照明
善吉「それは違う!」
善吉「不知火は、プールサイドから投げ入れられたんじゃない。上から落ちてきたんだ」
狛枝「……え?」
善吉「プールには、天井を補強する柱があった。不知火はその柱をつかって落とされた」
名瀬「おいおい、それはいくらなんでも無茶苦茶じゃねーか?」
音無「あんな高いところを登るなんて大変じゃないかな」
善吉「証拠ならあるぜ。天井の照明が一個だけ壊れてたことだ。ちょうど柱を伝えば触れられる距離のやつがな」
モノクマ「ちなみにその照明ははじめっから壊れてたんじゃないからね! 間違いなくオマエラのうちの誰かが壊したものです!」
善吉「そう。だからあそこに誰かが上ったのは確実なんだ」
七海「……。そっか。天井から落ちればプール中央に落とすこともできるし、痣ができた理由も説明できる。……のかも」
音無「高いのに……」
桑田「おい、これもしかしてクロがわかったんじゃねーか?」
「「「「!?」」」」
善吉「お、おい! どういうことだ!」
九頭龍「どうせ下らねー勘違いだろ」
桑田「ちげえよ! だって、天井を沿う柱って、強度的に登れるやつが限られてくるじゃねーか。今確定シロじゃない奴でそれができるのって……不二咲! オメーしかいねえじゃねえか!」
不二咲「えぇっ!?」
名瀬「なっ!?」
桑田「人吉も江ノ島も名瀬も、体格的にあそこに登るのには無理があるだろ? だったらできんのは不二咲しかいねーんだよ!」
不二咲「ボク……あのっ、」
善吉(本当に……不二咲がクロでいいのか?)
論破しろ!(自由安価)
↓2
不二咲が、不知火を担いで登るのは無理
発言力●●●
桑田「んなもん、意外と力があるかもしんねーじゃねーか!」
名瀬「……いや、ちーたんにそんな力はねーよ」
桑田「火事場の馬鹿力ってもんだってあるだろ!」
善吉(デビルやべえ! みんなからの信用が落ちた気がするぜ……)
再安価
↓1
不二咲一人なら可能でも、人ひとりを抱えて細い柱を渡ることは不可能
善吉「あの柱は不二咲一人ならともかく、二人分の体重を支えるほど丈夫じゃねえ。不二咲が運ぶことは不可能だぜ」
桑田「あっ……」
不二咲「ぼ、ボクはやってないよぉ……そんな力も、ボクは弱いからないし……」
江ノ島「あーあ、不二咲ないちゃった」
桑田「わ、わりい! 勘違いだったみてーだ!」
球磨川『おいおい、ごめんで済んだら警察はいらないよ』
九頭龍「やっぱ勘違いだったか」
桑田「うっせえ! お前だって気づかなかっただろーがチビ!」
九頭龍「んだと……!?」
七海「まあまあ落ち着いて。でも、それだと柱に不知火さんを移動させたのって……」
善吉(そうだよな……それができたのはあいつしかいねえ)
人物を指定しろ!
↓2
不知火
善吉「柱を移動できたのは、不知火自身しかいねえ」
江ノ島「ええっ!」
音無「自分で登って、事故でおちちゃったってこと?」
安心院「いや、彼女は手足を縛られていた。偶然ってことはないだろう」
善吉「どういう理由かはわかんねーが、不知火が自分で天井まで行ったのはまちがいねーだろうな」
狛枝「しかも拘束されたまま上ったんだろうね」
桑田「両手両足拘束されたまま移動できるのかよ!?」
苗木「……もしかして、上った時点では完全に拘束されてなかったのかも」
七海「自分を自分で縛ったってことだね」
桑田「や、無理だろ! あんな不安定なところで、どうやって自分自身を縛るんだって!」
善吉(確かに縛るのは無理かもしれねーけど……一部だけなら可能だったんじゃないか?)
言弾を指定しろ!
↓1
【手を拘束する手錠】
善吉「いや、不知火はほとんどの箇所をロープで縛られてたけど、手だけは手錠で拘束されてた。手錠なら一瞬で簡単に拘束することができる。もともと片手だけはめとけば持ち運びも簡単だしな」
音無「手錠……? アブノーマルな響き……」
球磨川『おいおい!』『ボクはアブノーマルじゃなくてマイナスだってば!』
安心院「手錠を倉庫から持ち出したのは球磨川君だったからね」
狛枝「……またキミか」
球磨川『そうでーす』『倉庫から手錠を取り出したのはボクでーす』『でもまあ昨日の昼になくしちゃったんだけどね!』
善吉「……信じられねえ」ボソッ
球磨川『ん? 何か言った?』
安心院「つまり不知火半袖は自分で柱をよじ登り、自分で手錠をはめて落ちたということだ」
苗木「じゃあ、もしかして自殺ってことなの?」
名瀬「自殺か。たしかに不知火は朝日奈のことを引きづっていた……ありえねーことじゃねーな」
桑田「おい! もし自殺だった場合クロはどうなるんだよ!」
七海「自殺なのかな……」
モノクマ「ああもう、オマエラ面倒だなぁ。断言します! この事件は不知火さんの自殺ではありません!」
九頭龍「おい! じゃあなんで不知火は自分で柱を登って行って自分で落ちたんだ!?」
モノクマ「それを解き明かすのが学級裁判ですよ!」
モノクマはそれ以上口をはさむつもりはなさそうだった。
善吉「自分たちで謎を解けってつもりかよ……いいぜ、やってやろうじゃねーか」
安心院「……それじゃあこの話題は一度おいておいて、別の方面から謎を考えてみようか。急がば回れと言うものだし」
何について話そう?
↓2
かき氷用の氷
善吉「カキ氷用の氷について話し合わねーか?」
江ノ島「カキ氷用の氷?」
九頭龍「昨日の昼に不知火が作ってた巨大な氷の塊のことだな」
七海「今朝はそんなものなかったよね」
安心院「つまり、事件と関係しているということだ。時に人吉君。君はその氷が今どうなっていると思う?」
善吉「お、俺っすか?! ええっと……たぶんあれのことだよな」
言弾を選択しろ!
↓1
水たまり
善吉(これだ!)「現場に会った水たまり、ですか?」
安心院「そのとおり。正解だよ」
苗木「水たまりって、プールの端にあった大きな奴だよね」
善吉「ああ。あれがとけてたってことは、随分長い間放置されてたんだろうな」
音無「でも何のために放置してたの?」
不二咲「運ぶのも大変そうだもんねぇ……」
≪ノンストップ議論を開始します≫
苗木「氷って……そんなもの何に使われたのかな?」
江ノ島「【凶器として】じゃない?」
七海「【室内を冷やすため】とか……」
名瀬「あんなに重いんだしよー、【おもり代わり】じゃねーの?」
狛枝「【たまたまそこにあった】って可能性もあるよね」
球磨川『何を言っているんだ。そんなの、【食べるため】に決まってるじゃないか!』
善吉(あいつの言ってることがあってそうだな……)
同意しろ!(言弾も選択)
↓2
名瀬
【ひも】
善吉「それに賛成だ!」
名瀬(……ぼけたつもりが当たっちまった)
球磨川『おいおい善吉ちゃん』『おもりって、何のおもりなのかな』『押し花でも作ってたの?』
善吉「……不知火を縛っていたロープを見てくれ」
七海「先が輪になってるね」
善吉「この先に氷が敷いてあったんじゃないか?」
桑田「なっ!?」
善吉「柱にロープをひっかけて不知火が天井にぶら下がったり、ロープの先を輪にして氷にひっかければ、あとは氷が解ければ自動的に不知火は落ちちまうはずだ」
安心院「ちなみに余っているロープの長さは水たまりのあった場所から天井まででぴったりだったよ」
狛枝「……つまり、氷とひもの仕掛けを行ったのが、今回のクロってことかな?」
球磨川『氷とロープをつないだのが真のクロ?』『おいおい、何を言ってるんだよ』『それは違うぜ!』
≪反論ショーダウンを開始します≫
球磨川『断言するよ』
『不知火さんは自殺だ』
『【氷もひもをつなげるのも不知火さん自身がやった】』
『【柱をよじ登るのも不知火さん自身がやった】』
『【手錠で手を拘束したのも不知火さんがやった】』
『不知火さんは自殺なんだ!』
『……モノクマが自殺じゃないって言っていたって?』
『君たちは僕たちにこんな非道なコロシアイをさせてる張本人である【モノクマの発言をうのみにする】つもりだったの?』
『甘ぇよ』
善吉(いや、それは無理なんじゃないか……?)
論破しろ!(言弾も指定)
↓1
プールの天井の柱で氷とひもをつなげるのも不知火さん自身がやったを論破
善吉「それは違う!」
善吉「水たまりはプールの端にあったんだぜ? 柱は客席の向こうの壁から伸びてんだ。安心院の言ってるとおりロープの長さがぴったりだったんだとしたら、自分でくくりつけて縛るのは無理だ。協力者が必須なんだよ」
球磨川『……』
狛枝「こんな議論をしている時間がもったいないね。キミはしばらく黙ってて」
球磨川『黙れだなんて!』『意見を言うのをやめろなんて!』『それは人権の侵害だよ』『週刊少年ジャンプなら間違いなく規制がかかっちゃうくらいの』
狛枝「は? キミみたいなのに人権があると思ってたの?」
球磨川『人を不快にさせるだなんて最低だよ!』
善吉(なんなんだ……このお前が言うなって突っ込みたくなる気持ちは……?!)
名瀬「いや、お前が言うなよ」
善吉「言ったー!?」
球磨川『僕は他人を不快にさせるのは好きだけど、されるのは嫌いなんだよね!』『過負荷だけに!』
善吉「認めやがった……」(だけど……狛枝先輩もどっちもどっちだよな)
七海「……ちょっと待って。もしそういうトリックなんだとしたら、死亡時刻と犯行時刻に大幅なずれが出るんじゃないかな」
桑田「あ……そういえばそうじゃねーか!」
狛枝「あはっ。つまり確定シロが確定シロじゃなくなるってことだね!」
球磨川『まあ、僕は一晩中見張られてたんだから、無理なんだけどね』
苗木「4時から一緒にいた僕と音無さん。その音無さんにに目撃された江ノ島さんも確定シロ堕ちってことなんじゃ……」
善吉「もし犯行が昨日の夜時間より前だったのなら、見張りの交代時間より前だ。つまり桑田と九頭龍と七海と安心院も確定シロじゃなくなるな」
狛枝「怪しまれてたボクとこの負け犬だけが確定シロだなんて、皮肉な話だよね」
桑田「おいおい! これじゃあ誰がクロか全くわかんねーじゃねえか!」
音無「何もわかってないってことだもんね……」
名瀬「このままじゃ全員処刑だぞ」
みんなが不安がり始めた。
善吉(確かにやべえ……しかもよりにもよって確定シロが狛枝先輩と球磨川だけとか……)
球磨川『ところで僕は今回のクロがだれとかそういう話よりも』『キミのことが気になるんだけどなあ』
江ノ島「あ、アタシ……?」
球磨川が指を刺したのは、江ノ島だった。
球磨川『さっさと正体だせよ』『偽物』
「「「「!?」」」」
九頭龍「何言ってやがんだてめえ!」
不二咲「嘘、だよねえ?」
江ノ島「な、なにいってるのさ……アタシが偽物とか、何の証拠があって……というか事件と関係ないし!」
善吉(いや……俺はその証拠を持っていたはずだ!)
言弾を選択しろ!
↓1
【江ノ島の顔】
善吉(これだ!)「いや、俺はその証拠を持ってる」
俺は希望ヶ峰学園生徒の入学予定者一覧表に乗っていた江ノ島の顔をみんなに見せた。
音無「顔が違う……?」
球磨川『おっぱいも大きくなってるね!』
名瀬「どう見ても別人……だな」
苗木「キミは……本物の江ノ島盾子なの?」
江ノ島「あ……アタシは……私は……」
直下コンマ判定
7以上なら……? 【草食系】+1
9(+1=9)
江ノ島?「……ごめん」
桑田「やっぱり別人なのかよ!?」
江ノ島?「……私は江ノ島盾子じゃない」
狛枝「どうして変装なんてしてたの?」
江ノ島?「それは……言えない」
桑田「はああああ!? どういうつもりだよ!」
苗木「お、落ち着いてよ! ……ねえ、江ノ島さんじゃないならキミは誰なの?」
江ノ島?「私は……」
一瞬戸惑ったようなようなしぐさをして、江ノ島盾子……もとい謎の人物は、いきなり髪をつかんで投げ捨てた。
善吉「なっ……!?」
むくろ「私は……私は超高校級の軍人。戦場むくろ」
狛枝「あの有名な傭兵部隊フェンリルに幼くして所属していた超高校級の軍人だね!」
桑田「……なんでそんなに詳しいんだよおめーは」
苗木「ちょっと待って! 戦場むくろってたしか、入学予定者一覧に乗ってた人じゃ……!?」
善吉「顔も似てる。確かに同一人物だな」
九頭龍「てめえ俺たちをだますなんてどういうつもりだったんだ?!」
むくろ「……」
九頭龍「黙ってねーで答えろや!」
むくろ「……」
質問に答える気はないようだ。
善吉(じゃあなんで正体を明かしたんだよ……)
狛枝「今はもう無駄になっちゃったけど、江ノ島さんもとい戦場さんのアリバイってかなりピンポイントな時間帯のものだったよね」
苗木「ボクがトイレに行っている間の5分間に音無さんがあったんだよね」
音無「ノートにはそう書いてたよ」
狛枝「もしそれが改ざんされたものだとしたら?」
善吉「なっ!?」
名瀬「でたらめ言ってるってわけじゃねーみたいだな」
狛枝「さすが超高校級の生命工学者の名瀬さんだね! 僕みたいなゴミが君に嘘をつくことなんてできないみたいだ! そう、僕がこんなことを言ったのには根拠がある」
善吉「根拠が……」
狛枝「音無さんの記憶ノートを見ればすぐにわかるよ。ねえ、人吉君!」
善吉「お、俺!?」
改ざんの根拠(自由安価)
↓3
9日目の呼称
善吉「いつもはフルネームなのに、九日目の江ノ島さんって書き方がおかしい。そうだろ?」
狛枝「正解だよ人吉くん! さすがは超高校級だね!」
七海「たまたまにしては、この呼び方だけすごくういてるよね」
むくろ「だから改ざんした。そう言いたいの?」
桑田「それしかありえねーだろ!」
狛枝「どうせ書き換えても音無さんはすぐ忘れちゃうみたいだしね」
むくろ「・・・・・・」
桑田「もうこいつで決まりだろ! 偽のアリバイまで作ってんだからよ!」
むくろ「・・・・・・」
善吉「確かに現時点じゃこいつが一番クロっぽいが・・・・・・・本当にそうなのか?」
狛枝「・・・・・・」
安心院「ふう、まったくそろいもそろって無能ばかりで呆れるぜ」
桑田「はあっ!?」
狛枝「・・・・・・!」
安心院「君たちははまだ大切なことを話し合っていないんだぜ? わかるね、人吉くん」
善吉「また俺っすか!!」
まだ話し合ってない重要なこととは?
↓2
動機
安心院「それを知るためには、殺されるのに協力していたと予想される不知火半袖について思い出してみるといい」
善吉「不知火のことを・・・・・・」
狛枝「あはっ。あれにヒントがあるのかな?」
再安価
↓1
不知火の手紙
善吉「不知火の手紙……ですか?」
安心院「正解だよ」
不二咲「不知火さんの手紙って……?」
狛枝「僕と苗木君が不知火さんの部屋に行ったときに見つけたんだよ」
七海「男二人で女の子の部屋に入ったんだね」
苗木「否定はできないけどそういう言い方は……」
善吉「内容はこんな感じだったな」
相変わらず平凡で非凡な日々送る希望ヶ峰学園生徒たちへ。あまり私の気にさわるまねをしないでもらおうか。
時間だけがただながれていく。
無駄に過ぎていく日々に私は飽き飽きした。
謎など存在しない。クロの匂いをたどれ。そうすればすべてにたどり着く。
自分の欠けたものに答えはあり。
みんな気を付けろ。目に見えるものに騙されるな。
①
九頭龍「なんだこれ」
不二咲「意味がよくわからないけど……」
桑田「……アポ」
球磨川『安心院さん安心院さん』『桑田君が頭の容量オーバーで壊れましたー』
名瀬「安心しろ。そのくらい俺が改造して容量を増やしてやる」
狛枝「さすが超高校級の生命工学者だね!」
苗木(どこから突っ込めばいいんだ……)
七海「これは……暗号だね」
善吉「七海もそう思ったか?」
七海「うん。ゲームじゃこんな意味深な文章が未関係だなんてありえないんだよ」
球磨川『ふーん』『じゃあ半袖ちゃんはこの暗号に共犯者の名前でも書いたっていうのかな』
安心院「その通りだよ球磨川君」
球磨川『……』『不知火さんはクロと協力したうえで殺されてるのに?』『ヒントを残しただなんていうの?』
安心院「それこそ神と安心院さんのみぞ知るだよ。まずはこの意味深な暗号を解きなさい」
善吉(……やべえ。わかんねえ)
この暗号が示す人物とは?(解読法も含め)
↓3
安心院なじみ
善吉「……」
安心院「どうしたんだい人吉君」
善吉「……」
安心院「さあさあ。答えを言ってみ給え」
善吉「……文頭だけよめば、安心院、お前だよな」
安心院「ピンポーン。大正解」
安心院「なんて言うと思ったかい?」
善吉「違うのか?」
安心院「おいおい、自分が犯人だと示してある暗号を解かせようとするクロなんて常識的に考えているわけないだろ」
九頭龍「……確かにそうかもしれねーが、てめーも胡散臭いんだよ。超能力じみた行動も、何が起きても動じない様子もな。この際きちっと名乗ってもらおうじゃねーか」
七海「確かに、チートキャラっぽいにおいがするよね」
球磨川『ぽい』『じゃなくて実際チートなんだけどね!』
安心院「……ふう。不知火半袖はこうやって僕の正体が言及されることを予想してこんなダミー解答を残していったのかな」
狛枝「キミの才能はボクも気になっていたんだよね。もしよければ教えてくれないかな?」
安心院「君たちは僕をなんだと思ってるのかな。僕は、7932兆1354億4152万3222個の才能と4925兆9165億2611万0643個の欠点、合わせて1京2858兆0519億6763万3865個のスキルを持っているだけのただの人外なのにさ」
善吉「……は?」
今、桁がいくつか飛んでなかったか……?
安心院「いやいや、僕にはスキルを数える才能【指折り確認】があるから数え間違えることはないよ」
善吉「おいおいちょっとまて! それはいくらなんでもインフレし過ぎじゃねーのか?!」
球磨川『しかたないぜ』『週刊少年ジャンプも真っ青なインフレは安心院さんの十八番なんだから』
狛枝「……」
名瀬「お前、まさかカムクライズルプロジェクトの成功例か……?」
安心院「そんな下らねーカスと一緒にしないでくれよ。不老不死の才能【死延足】のおかげで宇宙が誕生する前から存在している僕がそんな若いわけがない」
桑田「わけわかんねーよ! どういうことだ!」
安心院「要するに……文頭の文字をつなげると示される安心院なじみという答えはミスリードだったってことだね」
安心院「まあ、とりあえずはこの暗号を正しく解きなさい」
九頭龍「おい、なんで文頭をつなげて読むのが間違いだなんて言い切れるんだ? しらばっくれてんじゃねーぞ!」
安心院「そんなに熱くならないでくれよ。その答えは暗号自体が示しているじゃないか。目に見えるものに騙されるなって」
狛枝「……つまり目に見える安心院なじみという答えはミスリードで、目に見えない答えこそが本当の正解ってことかな」
安心院「自分のかけたものに答えはありとも書いてあるからね」
善吉「かけたものってのは……?」
安心院「みんなふつうは持ってるね。そうだね……普通の人は5つ持っているものだ」
善吉「普通の人が?」
安心院「まれに持っていない人や失う人もいるってことだよ。ここまで言えばわかるかな。かけたものが示す、真のクロが」
暗号をただしく解読しろ!
↓3
五感か?
さわる、見える、においで三つは有るけど2つ足りねえしなぁ・・・
あじむなじみから取って「味」って言うのは……いやダメだわ流石にこじつけすぎる
善吉「普通の人は5つ持っているものって、五感か?」
桑田「五感?」
善吉「視覚聴覚嗅覚味覚触覚のことだ。そして文中を探してみると、視覚を表す【目】、嗅覚を表す【匂い】、触覚を表す【障る】はあるんだ」
不二咲「じゃあ、聴覚と味覚がクロを表してるの?」
善吉「いや、味覚は文中にある」
不二咲「へ?」
善吉「安心院なじみの初めの二文字はなんだ?」
不二咲「あじ……あっ! 縦読みだね!」
善吉「よって味覚も除外。残ったのは聴覚……【音】だ」
苗木「じゃあ、この暗号が示してる人って……!?」
人物を指定しろ!
↓2
そう考えると聴覚がない
つまり音がないで音無か?
善吉「聴覚がない……つまり【音】がない。この暗号が示しているのは、お前だよ」
音無「……」
善吉「不知火の暗号が示しているのは、音無涼子。お前なんだ」
音無「わ、わたしじゃないもん!」
音無はみんなからの視線に耐えられなくなったのか、そう叫んだ。
音無「私は関係ないもん! 関係ない関係ない関係ない!」
狛枝「とりあえず落ち着いてくれないかな。確かに不知火さんの手紙は音無さんのことを示しているってことで間違いなさそうだけど……。不知火さんの手紙そのものが信用できるとは限らないよね?」
音無「信じてくれるのっ!」
狛枝「可能性を提示しただけだよ」
桑田「でも音無の名前が書いてあったのも確かじゃねーか。関係はあるんだろ?」
音無「……」
桑田「に、にらむんじゃねーよ!」
苗木「音無さんについて話し合ってみようか」
≪ノーストップ議論を開始します≫
桑田「音無は事件にかかわってる! まちがいねーよ!」
苗木「たしかに【暗号は音無さんを示してる】けど……」
音無「やってない! 私は関係ないよ!」
七海「でも【不知火さんはクロと協力してた】から、嘘の可能性もあるよね」
音無「やってないもん!」
九頭龍「そりゃてめーは記憶喪失だもんな。殺してたところで忘れてるだろ」
音無「あ……」
狛枝「でも、【音無さんにはこの計画は難しい】んじゃないかな」
九頭龍「なんでだよ」
不二咲「そもそも……音無さんと不知火さんってほとんど【かかわって無かった】よねぇ」
狛枝「あはは、それもあるかもね?」
むくろ「……」
音無「……やってないもん」
狛枝「事件の全体の流れを見ればわかるんじゃないかな」
善吉(音無が計画を実行しにくい理由……? それって……)
同意しろ!(言弾指定)
↓2
記憶ノートで狛枝に同意かな
善吉「俺もそう思うぜ!」
善吉「この事件を振り返ってみると、突発的な犯行じゃなくて計画的なのは明らかだよな」
不二咲「せっかく氷のトリックを用意しても、不知火さんの死亡時刻にアリバイがなかったら意味ないもんね」
善吉「そう、この計画は始まりから終わりまで……一連のトリックを成立させるために必要な時間が長いんだ」
球磨川『それのどのあたりに音無さんの無実を証明できる証拠があるのかな』
善吉「あるぜ。これだけの長時間……音無がずっと計画を覚えてられると思うか?」
桑田「あっ……!」
名瀬「……むりだろーな」
九頭龍「でもメモをしてりゃできねーことはねーだろ? そいつが今まさに持ってるノートとかに書いておけばな」
音無「……むう。そんなもの持ってないもん」
苗木「僕と狛枝先輩が確認したけど、事件の記憶はなかったよ」
狛枝「それはちゃんと確認したからね」
音無「ほら! 私は関係ないんだってば!」
九頭龍「でも記憶をメモできるのはノートだけだとも限らねえだろうが! ほかにメモがあるかもしれねーだろ!」
苗木「それは無理だよ。だって音無さんは「ノートに記憶が書いてある」ということ自体忘れがちだったんだから」
九頭龍「……」
話が行き詰ってしまった……
安心院「このままだと一番怪しいのは戦場むくろということになるが……本当にそうだと思うかい?」
狛枝「いったいどっちの希望が勝つんだろうね!」
桑田「どーすんだよ! 全然わかってねえじゃねーか!」
七海「そもそも、不知火さんはどうして音無さんの名前を書いたのかな」
名瀬「真のクロの罠ってことはねーのか?」
球磨川『記憶のない音無さんを狙い撃ちするなんて!』『弱い者いじめなんて最低だよ!』
苗木「……」
安心院「そうだね……僕からの助言だけど、前提条件を疑ってみたらいいんじゃないかな」
善吉「前提条件……?」
どの前提条件を疑う?
1不知火がクロと協力していたという認識
2氷とトリック
3音無と音無を示す暗号
↓2
1
善吉「不知火は本当にクロと協力していたのか……?」
不二咲「えっとぉ……不知火さんには均一な打撲の跡があって、それは天井の柱を伝って上から落ちた時の衝撃でついた後だと思ってたんだよね」
狛枝「柱の強度から考えて、二人以上上ることはできないから、不知火さんが自分から上ったって予想したんだよね」
七海「手だけが手錠で拘束されてたから、足と胴体を先に縛っておいて天井にたどり着いて、ロープをひっかけて天井にぶら下がってから手錠をはめたんじゃないかってことだったよね」
九頭龍「氷の位置からして、不知火の自作自演は不可能って結論だ」
善吉「なにか……俺たちは前提を勘違いしているのか?」
何を疑う?(自由安価)(疑わない選択肢もあり)
↓2
打撲の後に窒息ではなく、窒息の後に打撲跡が付いた
善吉「打撲の跡に窒息じゃなくて、窒息の後に打撲跡がついた……とかはどうだ?」
苗木「……え?」
狛枝「モノクマレポートによると溺死のはずだから……殺した後に上から落としたの?」
桑田「い、今思ったんだけどよ。実はクロは普通に不知火をプールで殺していて、氷とかひもとかは全部ミスリードってことはねえのか?」
名瀬「なっ……?!」
球磨川『じゃああの打撲のあとはなんだったっていうんだい?』
桑田「それはわかんねーけど。でもこの考えありじゃねえか!?」
安心院「その考えだと、犯人は濡れているということになるね」
善吉「濡れてたのは……江ノ島。いや、戦場むくろだけだな」
むくろ「……」
桑田「やっぱてめえか!? おい、そうなんだろ!?」
むくろ「……」
狛枝「ふつう夜中にプールでばったり会うことなんてないだろうから、呼び出しでもしたのかな?」
九頭龍「紙が濡れてたのがお前だけなら、確定だな」
安心院「……さて、これが真相だと思うかい人吉君」
善吉(……いや、待てよ。それは違うんじゃないか? だって、あいつは髪が濡れたところで簡単に隠せる道具を持ってるんだから)
道具とは?
↓2
かつら
善吉「いや、おかしんじゃねーか? だってこいつはかつらなんて髪の毛を隠すすげー便利な道具を持ってたんだぜ」
狛枝「さすがは人吉君! やっぱりそこに気づいたようだね」
善吉(この人最初から気づいてやがったな……!?)
むくろ「む……」
七海「たしかにあの金髪がかつらだし、さっきの様子からして簡単に外せるんだから、濡らすなんてことはない……と思うよ」
九頭龍「というかそもそもどうやって均等な痣をつけんだよ。二人以上が天井の柱に乗るのは無理じゃねーか」
桑田「ちげーのか……いい線言ってたと思ったんだけどなー」
九頭龍「はっ」
やはり天井から落ちて溺死したのは間違いなさそうだ……
善吉(だったらやっぱり不知火はクロと協力してたのか?)
どの前提条件を疑う?
1氷とトリック
2音無と音無を示す暗号
↓2
じゃあ2
善吉「じゃあ次は音無と暗号について話してみようぜ」
七海「暗号はこんな感じだね」
相変わらず平凡で非凡な日々送る希望ヶ峰学園生徒たちへ。あまり私の気にさわるまねをしないでもらおうか。
時間だけがただながれていく。
無駄に過ぎていく日々に私は飽き飽きした。
謎など存在しない。クロの匂いをたどれ。そうすればすべてにたどり着く。
自分の欠けたものに答えはあり。
みんな気を付けろ。目に見えるものに騙されるな。
①
不二咲「縦読みの「安心院なじみ」はミスリードで、本文中にない、かけたもの……五感のうちの聴覚がないから「音が無い=音無」って考えたんだよね」
名瀬「ところが当の音無は記憶喪失のせいで計画的な犯行は不可能」
狛枝「そもそも不知火さんの手紙が真実を言っているのかすらわからないって状況かな!」
何を疑う?(自由安価)(疑わない選択もあり)
↓2
狛枝に②以降が見つかったか確認
苗木「そういえば、狛枝先輩」
狛枝「何かな」
苗木「確か僕と別れた後に②以降がないか探してたんですよね。あれった見つかったんですか?」
狛枝「……」
七海「……だんまり?」
狛枝「あはっ、残念ながら②以降の手紙はクロに始末されちゃってたみたいだよ」
九頭龍「嘘ついてんじゃねーだろうな」
狛枝「ボクがみんなに嘘なんてつけるわけがないじゃないか! ……でもね、今ある証拠に前提を怪しむことができるものはあるよ」
善吉「え……? もしかして狛枝先輩何かわかってるんですか!?」
狛枝「……」
善吉(やっぱりこの人は信用しきれねえ……!)
何を疑う?
↓2
そもそも音無は何者か
だって安心院さんと音無だけ名簿にのってないから
善吉「……そういえば苗木、名簿に載ってねー奴が何人かいたよな」
苗木「えっと……安心院さんと音無しさんだね」
音無「え……」
安心院「はっはっは、僕は創設者であり初代校長なんだから名簿に載ってないのは当然だぜ」
狛枝「……とりあえず安心院さんは置いといて。音無しさんが乗ってないのは気になるよね」
九頭龍「そういやいままで放置してたが、音無は超高校級のなんなんだ? あと人吉も」
善吉「わ、わりい……それは思い出せてねえ」
九頭龍「お前まで記憶喪失かよ」
音無「……わかんないよ。でも、私は松田君さえいればそれでいいの」
球磨川『松田君ここにいないけどな』
音無「……」
善吉「音無の今わかってる情報と言ったら、記憶喪失ってことくらいだよな……マジでなにもんなんだ……」
苗木「音無さんのノートから何かわからないかな」
善吉「ノートから?」
狛枝「……!」
ノートについて何かないか?
↓2
音無のノートに不知火の詳細が無いまま只一緒にいたと書かれているのが怪しい
善吉「そういや……8日目の内容に違和感があるな」
九頭龍「どのあたりが変なんだよ。名前もフルネームで書いてあんだろ」
善吉「いや、そうじゃねえ。ここの不知火の書き方がほかの日と比べておかしくねえか?」
七海「外見の特徴が書かれてないこと……かな」
名瀬「江ノ島の描写はねつ造だからおいといて……たしかに8日目の不知火の書き方はおかしいな」
善吉「記憶ノートっていうくらいなんだから名前だけじゃあんまり意味ねーはずなのに、この不知火はどんなやつか全く書かれてない」
音無「ホントだ……」
善吉「ほかにもあるぜ」
気になるところは?
↓2
7日目からがやけに淡白
善吉「7日目からやけに淡白になってねーか。この記憶ノート」
九頭龍「いわれてみりゃあ、確かに妙だな。ほかの6日目まではそこまで重要じゃないことも書いてるのに、7日目以降なんて一行で終わってるじゃねーか」
七海「確かにこれじゃあただの観察日記だよね。記憶ノートっていうにはお粗末かも……」
不二咲「6日目の終わり方も妙な気がするんだけど……」
球磨川『自分の名前も忘れちゃうくらいだったんじゃないの?』『気まぐれにそこまで突っ込むのはかわいそうだよ』
善吉「……いや、ここまで細かい違和感がそろってんだ。さすがに偶然じゃねえよ」
このことから何が予想される?
↓1
7日8日は記憶を失ってない?
善吉「お前は記憶喪失じゃない。そうだろ音無」
音無「……っ!」
狛枝「……あはっ」
音無「わたしは……」
球磨川『な、なんだってー』『僕たちは騙されてたのかー!?』
安心院「球磨川君少し黙ろうか」
球磨川『いやだよ』
善吉「正確に言うと7日目に記憶喪失が治ったってとこか」
音無は少しの間うつむいたあと顔を上げた。
音無「……違うよ。アタシは関係ないもん!」
善吉「じゃあ記憶喪失のふりをしてたのはどうしてだ?」
音無「違うよ。私は何でも忘れちゃうままなの」
狛枝「……はあ。あくまでしらを切るつもりなんだね音無さん。でも残念だったね。彼女がすぐに何でも忘れないようになっている証拠はあるんだから」
音無「……え」
狛枝「彼女は前回の学級裁判とは明らかに態度が違う。今回の裁判で彼女はありえない行動をとりつづけているんだから」
善吉(音無が取り続けているおかしな行動……? それって……)
↓1
水面が大きいみたいな発言等、明らかにプールに関して記憶がある
善吉「……お前、なんで裁判に参加できてるんだ?」
音無「……!?」
善吉「前回はほとんど話してなかったよな。それってすぐに何でも忘れるから裁判についていけてなかったからだろ? だが今回の裁判で、明らかにお前は裁判の内容についてきている」
音無「それは……それは……」
善吉「今回の裁判でも、「水面が大きい」とか、ノートに書いてないことまで覚えただろ」
音無「あ……」
苗木「……お願いだ。答えてくれないかな、音無さん」
音無「……」
音無「……ごめん。そうだよ。私、すぐに何でも忘れちゃう体質、治ってるの」
七海「どうして嘘をついたの?」
音無「……」
桑田「おい、てめーが記憶喪失じゃねえのなら、不知火の暗号に書いてあったのがお前なんだから、クロけっていじゃねーか!」
音無「……それは違うもん!」
≪反論ショーダウンを開始します≫
音無「忘れっぽいのが治ったのは【6日目の夜遅く】で……」
「それ以来はずっと混乱しててなかなか言い出せなかった」
「【ノートは肌身離さず持ってた】けど」
「【覚えられるから特に詳しくは書かなかった】んだよ」
「不知火さんの手紙が私のことを言ってるって気づいたときもクロだって勘違いされそうだから黙ってたの」
「騙すつもりじゃなかった」
「でも関係ないのはホントだもん!」
「【名簿に名前がない】のだって理由はわからないけど」
「【私は音無涼子だ】!」
「それだけは頭じゃなくて心が覚えてる」
善吉(記憶があるのが確定している今……あの発言が本当だとしたらあれは起こらないはずだ……!)
↓2
【ノートを肌身離さず持っていた】としたら江ノ島偽による捏造は起こらない
善吉「それは違うぞ!」
善吉「音無、お前は本当に肌身離さず持ってたんだな」
音無「う、うん……」
善吉「じゃあなんで記憶ノートが改ざんされてるんだ?」
音無「!?」
むくろ「……!」
安心院「記憶喪失体質が治った音無涼子を出し抜いて記憶ノートを改ざんするのはほぼ不可能だ。だが……それが可能な場合もある」
なぜ音無の記憶ノートには戦場の偽のアリバイが書き込んであったか?
↓1
音無が戦場と共犯だから?
善吉「普通なら肌身離さず音無が持っていたノートの内容を改ざんすることはできねえ。だが、戦場むくろと音無がグルだった場合、それは可能になるんだ!」
音無「っ―――!!」
むくろ「違うよ! 私は音無涼子とグルなんかじゃない……」
九頭龍「今まで不干渉を貫いてきたてめーが、ここにきていきなり反論するのも怪しいな」
むくろ「……」
名瀬「氷のトリックが解かれることを前提に、「改ざんされた」とわかりやすいようにノートに戦場のアリバイを書いたのか? クロを戦場だと誘導させるために」
音無「……違うもん」
桑田「というかなんで戦場むくろとかいうねーちゃんは音無に加担してたんだ。利点なんてねーだろ!」
七海「まって、不知火さんの手紙と、音無さんと戦場さんの共犯疑惑は混ぜちゃダメじゃないかな。クロって決まったわけじゃないし」
むくろ「……」
音無「関係ない関係ない、私は関係ない!」
直下コンマ判定
【草食系】+1
「呆れ」+1
5以上なら……?
0(+2=0)
狛枝「はあ……失望したよ音無さん。そんな態度じゃ希望の踏み台にすらなれないよ……」
狛枝先輩はそういいながら、ポケットからセロテープでべとべとに張り合わされた紙を取り出した。
音無「……!?」
狛枝「ははっ、貼り付けるの大変だったんだよ? まあ、運よく裁判までに校舎内のあらゆるゴミ箱にばらまかれた破片を集めて復元することに成功したんだけどね?」
不二咲「それって……」
狛枝「ん? ああ、不知火さんの二枚目の手紙だよ」
クロの音無ちゃん上手くいってるー?
あひゃひゃ☆ いくわけないよねー! だってこの2枚目の手紙がある時点で始末に困っちゃってるもんねー!
というわけでありったけの情報を書いておくことにしたから! せいぜい頑張って始末できるものならしちゃってねー!
ここは希望ヶ峰学園の旧校舎と構造が同じ。旧校舎は5階建てで、宿舎のほうは二階まであるよ。
まあ、エレベーターは本来なかったはずだから、あんまり信用できないですけど!
それから、安心院なじみは悪平等だよ。
まあ、特定の個人に殺意を抱くような存在じゃないし、ほどほどに付き合えば?
そもそもさー、音無涼子なんて人間ははなから存在してないんだよね。
江ノ島盾子がどんな新しい遊びを思いついたのかは知らないけどさー。もっと変装ちゃんとしろっての。記憶が途中で戻ってるのもバレバレだし。
あと今いる江ノ島盾子はどう見ても影武者だから! あひゃひゃ! 超高校級の影武者であるあたしを影武者で騙そうだなんてまさに片腹大激痛☆
そしてあたしは賭けをすることにした。あたしと音無涼子が協力して殺人事件をおこし
アタシが勝てばこんなコロシアイを計画した音無の負けで、音無が勝てば全滅の大博打を!
最後に人吉。
あんたはさっさとここからでて、アタシのことなんてなかったことにしてせいぜい余生を楽しめばいい。
どうせここから出てもアタシに自由なんてないんだから。あたしはあの子とここに残る。
あたしは人吉を選ばない。アタシにとってそのくらいの存在でしかなかった。
だから傷つかないでね人吉くん、あたしがお前を選ばなかったってくらいのことで。
……でも、もしもこんな状況じゃなかったら、あたしたちきっと最高の友達になれたよね。
さよなら。
②
球磨川『……』
善吉「……不知火」
2枚目の手紙は1枚目と違い暗号ではなくまっとうな手紙だった。
善吉「……何言ってんだよ。きっとじゃなくてすでにだろ……! 何がさよならだよ。俺はお前ともっと過ごしたかったのによ!」
狛枝「ほら! ここにはきちんと音無さん……もとい江ノ島盾子がクロであり、このコロシアイの黒幕でもあるとかいてある」
桑田「おい待て! てめえなんでさっさとこの証拠を出さなかったんだ!? というかさっき「すでにクロに手紙を処理されてるって言ってたじゃねーか!」
狛枝「そうだよ。ただ僕は、始末された手紙の破片をかき集めて復元しただけに過ぎないのさ」
桑田「てめえ……!」
七海「一枚目と筆跡も同じ……本物とみてよさそうだね」
不二咲「この手紙に書いてある通りなんだとしたら……」
音無「……」
音無は無表情だった。
善吉「音無?」
音無「……うぷぷ」
苗木「……音無さん?」
音無「うぷぷ、うぷぷぷ、うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ」
音無は笑い始めた。
いままでとは似ても似つかない笑顔だった。
音無「ああぁあぁ!! これってすぅっごおおおおおおい、絶望的じゃない!?」
そして恍惚とした表情で音無は……江ノ島盾子はその本性をあらわにした。
音無(以後江ノ島)「そう……音無涼子なんて生徒ははなから存在していない架空の存在なんだよ。そして今回のクロ、そしてこんなコロシアイ学園生活を計画したのは……」
音無は……いや、本物の江ノ島盾子は全員を見渡しながら語り始めた。
江ノ島「超高校級の絶望である江ノ島盾子だったのさ」
狛枝「……超高校級の、絶望?」
江ノ島「あははははは! せっかくもうちょっとでうまくいきそうだったのによぉ! こんなぎりぎりのところでばれちまうとか……そんなのって……」
江ノ島は悲しそうにうつむいた。
江ノ島「っすぅうううっごく絶望的だよなあ!」
それはまさに豹変だった。
今までの音無のおとなしそうな面影は一切見られない。いまの彼女は絶望的な絶望ジャンキーだった。
桑田「うおおお!? こ、こいつ狛枝と似たタイプの変態だ……!?」
狛枝「こんなのと一緒にされるだなんて、それこそ絶望的だよ……」
江ノ島「おや、珍しく気が合いますね希望ジャンキー。私もあなたと同類扱いされるだなんて気持ち悪くて反吐が出そうです」
希望ジャンキーである狛枝先輩は、江ノ島とは相成れないようだ。
球磨川『わー』『きめえ』『どんぐりの背比べってことわざ知ってる?』
九頭龍「でめーも気持ち悪さは似たようなもんじゃねえか……」
苗木「音無さん……?」
江ノ島「……苗木くん。苗木君だけは私のことを信じてくれるって思ってたのに。どうして信じてくれなかったの?」
苗木「……君は」
江ノ島「こんなわけのわからない空間に閉じ込められて……コロシアイなんてやらされて……仲間がどんどん死んでいって……そんななか親しくなったお友達が黒幕だったなんて……超絶望的だよねえ! ねえねえ! 今どんな気持ち!? 具体的に教えなさいよ! 超絶望しちゃってるぅ!?」
苗木「どうしてこんなことをしたの。それに黒幕ってどういうことなの!? 超高校級の絶望っていったい何なの!?」
江ノ島「あぁああああっ! その顔! その絶望した顔が見たかったのよぉぉぉ!」
あんなに一緒に行動していた苗木の言葉すら江ノ島には届かなかった。
名瀬「……はっ、奇抜な行動で話の主導権を握ろうなんざ古い手なんだよ。さっさと質問に答えろ」
江ノ島「きゃー! 怖いですう……そんな目で見ないでくださいよぉ。一度にそんなに聞かれても、アタシ答えられないですぅー」
七海「だって聞きたいことはたくさんあるからね。答えてくれないかな」
江ノ島「命令された通りに動くだけのはずのプログラムに命令されるだなんて……すっごく屈辱的で絶望的……」
不二咲「な、七海ちゃんはそんなんじゃないよぉ!」
江ノ島「まあそんなことはどうだってよいのだ! 私様は今絶望的に絶望していている! 思わず濡れてしまいそうなくらいに絶望しているのだ! だから特別に5つ、質問に答えてやろう!」
九頭龍「5つだなんて言わねーで、洗いざらい吐きやがれ! 殺すぞ!」
江ノ島「うわあ……この環境下でそんなセリフが言えるだなんて……すっごく低能ですよね……一人じゃ何もできない坊ちゃんなのに……」
九頭龍「なっ!?」
江ノ島「質問するなら私の気が変わらないうちにしな……。何せ私は絶望的に飽きっぽいんだからよお」
善吉「……」
1つ目の質問は何にしようか?
↓2
この学園からの脱出方法
善吉「おい、ここの学園からはどうやったら出られるんだ?」
江ノ島「あー、それは脱出用のボタンがあるんだって」
善吉「脱出用のボタン?」
江ノ島「そーそ。ぽちっと押すだけで玄関のドアが開くの」
九頭龍「だったら話は簡単だ。さっさとそれを渡しやがれ!」
江ノ島「……」
九頭龍「黙ってんじゃねえぞごらぁ!」
江ノ島「おいおい……あまりぎゃんぎゃんわめくんじゃねーよ。うるせえじゃねーか」
七海「そのボタンはどこにあるの?」
江ノ島「……さあ?」
善吉「……は?」
桑田「ま、まさかなくしたとか言わねーだろーな!?」
江ノ島「あー、違う違う。なくしたっていうか……どこにあるか知らないっていうか……」
むくろ「え……?」
苗木「それってどういうこと?」
江ノ島「言っちまうとだな……絶望的なことに、脱出ボタンを盗まれたんだ」
不二咲「ええっ……!?」
名瀬「おいおい、黒幕が何やってんだよ」
江ノ島「……いったい誰が私の大切な計画を奪っていきやがったんでしょうか……せっかく3年以上前から計画してたというのに……」
狛枝「ねえ、その言い方ってまさか……」
江ノ島「勝手に想像してろ。さあ、これで一つ目の質問タイムは終了だ。残り4問。よく考えて聞きな」
善吉(……どういうことなんだ?)
2つ目の質問は何を聞きますか?
↓2
江ノ島と戦刃以外にこの計画に荷担した人物は?
善吉「江ノ島と戦刃むくろ以外にこの計画に加担した人物はいないのか?」
江ノ島「そんな人物はいませーん! この計画はー、あたしがおねえちゃんと二人だけで実行しただけでーす」
狛枝「……じゃあ、脱出ボタンを盗んだ人物って」
江ノ島「私様は知らんな」
球磨川『あはは』『だっせー』
江ノ島「……」
球磨川『』
善吉(金的した!?)
にしても、本来の江ノ島の予想外のところで何かが起きているのか……!?
江ノ島「それどころかモノクマの操作権まで奪われちゃってさー。マジありえないんですけど」
むくろ「じゃ、じゃあもしかして盾子ちゃんが裏方に徹してなかった理由って……!?」
江ノ島「……今頃気づいたんですかおねえちゃん……本当に残念ですよね……」
善吉「おい待て、ってことは今モノクマを操作してるのって……」
江ノ島「おいおい、やっと気づいたのかよ。そう、俺は絶望的なことに長年計画していたこのコロシアイの支配権を奪われたうえ、記憶を奪われて参加者側にほおりだされてたってわけだ」
むくろ「嘘……」
安心院「つまり、この学園の状況や前準備をしてきたのはすべて君だが、実際に今支配している人物は全く無関係の人間ってことだね」
桑田「はあああ!? な、なんだよそれ!?」
七海「じゃあ不知火さんは……」
江ノ島「そう! つまりは無駄死にってこと! ああ……自分の命を投げ出してまでみんなを脱出させようとして……成功したのに、その黒幕は真の黒幕じゃなかったなんて! あんなに偉そうな手紙を残して置きながら全くの無駄死にだったなんて! それってすっごく絶望的だわあ!」
善吉「っ、てめええ!」
江ノ島「話し合いをする場で手を出そうとするだなんて……超単細胞ですよね……ほんとう絶望的です……」
善吉「うるせえ! 不知火のことを笑うんじゃねえ!」
江ノ島「私様には関係のないことだ! さあ、残り3つ! さっさと次の質問をするのだ!」
3つ目の質問は?
↓2
マスターキーのようなものを持っているか?
九頭龍「てめえは仮にも前黒幕だったんだろ? マスターキーとかは持ってねえのか」
江ノ島「何を聞くのかと思えば。そんな便利アイテム持ってたら記憶戻ったその日にモノクマの捜査室に行って取り戻しに行って今モノクマを操作しているはずの人物に会いに行くに決まっているじゃないですか」
江ノ島ははっきりと否定した。
江ノ島「それどころか絶望的なことに管理者特権はすべて剥奪されていますね。ただ、マスターキー自体は存在していますよ。私の記憶では最後にそれを置いた場所は学園長室です」
桑田「まじかよ! じゃあその学園長室ってのはどこにあるんだ!?」
江ノ島「4階だよぉー。3回目の事件が起きないと、いけないところだね!」
七海「……3回目の事件なんてもう起こさないよ」
江ノ島「おいおい、人工知能程度がずいぶん偉そうなことを言うんだな。まあいい。さあ、4つ目の質問を早くしな」
4つ目の質問は?
↓2
真の黒幕は誰か?
善吉「……真の黒幕の予想はつかないのか?」
江ノ島「いや、知らないって言ってんじゃん。本物の学園長を殺した記憶までは残ってるんだけどなー。なんか突然記憶喪失になってたっていうか」
善吉「……」
七海「真の黒幕は、ただ単に運よく計画を横取りできたってだけじゃなさそうだね」
狛枝「……記憶喪失状態にさせるだなんて、かなりの技術力が必要だしね」
江ノ島「まったく、アタシの計画を奪ったのはどこのどいつなのよ! うざいうざいうざいうざい! ああもう! ほら! 次の質問が最後だからさっさとすれば!?」
最後の質問は?
↓2
なぜコロシアイ学園生活にこのメンバーを選んだのかを詳しく
善吉「最後の質問だ。ここにいるメンバーは、1年だったり2年だったり、はては他校の生徒や自称創設者までいて、全く規則性がわからねえ。どんな基準で選んだんだ?」
江ノ島「どんな基準、ねえ……というか……」
江ノ島盾子は弐大先輩の写真や狛枝先輩、九頭龍の顔を見つめた。
九頭龍「……んだよ」
狛枝「ねえ、絶望ごときが僕の方を見るのはやめてくれないかな」
江ノ島「やはりおかしいな。本来私様がコロシアイをさせるために選んだのは希望ヶ峰学園第78期生のみだったのだ」
名瀬「おいおい、じゃあなんで俺を含めた1年以外はここにいるんだっての」
江ノ島「わかんないですぅー。本物の黒幕さんが勝手にメンバーを変えたんじゃないですかぁー?」
七海「……その選び方に黒幕へのヒントとかはあるのかな?」
不二咲「で、でもあんまり深読みしすぎるのもよくないよぉ」
江ノ島「まあ、その辺のことはあとで勝手に悩んでおいてください。これで質問は終わりですから」
≪クライマックス推理≫
事件の起きる前日、不知火は音無を呼び出した。
不知火は音無の正体が超高校級の絶望江ノ島盾子だと気づいていたんだ。そして記憶が戻っていることも。
不知火は、音無にあるゲームを持ちかけた。それは音無と協力して不知火が殺されるという計画だった。
もしクロが見破られなければ音無は自分の計画を横取りした相手に近づける。
もし事件が解明されれば、不知火は事件の黒幕である音無……もとい江ノ島盾子を始末できる。
そう思ってこの計画を持ちかけたんだ。
次の日、不知火は事件の下準備のために、氷や紐を集めた。
事件の夜時間。不知火は音無に下半身を拘束してもらい、片腕に手錠を付けた状態で天井を伝ってプールの真上まで移動した。
不知火は中央まで行った後、音無が不知火を拘束しているロープの先を氷に括り付けると、照明がついている柱にぶら下がった。
そして天井まで上った証として照明を壊し、片手につけていた手錠をもう片方にもつければ準備は完了だ。
音無はその場を去り、偽江ノ島……もとい戦場むくろに朝時間の前にかつらを水で濡らしておくよう指示したあと、不知火の自室へ向かった。
不知火の遺書は計画していたとおりの暗号ミスリード入りの暗号と……もう一つ、計画外の手紙があった。狛枝先輩が復元した奴だな。
それを発見した音無は手紙を破り、学園中のごみ箱に分けて捨てることで証拠隠滅を図った。
そのあとは苗木のいる食堂へとむかってアリバイ作りだ。
そして飲み物を多く進めるなどして、苗木をトイレに行かせて一人きりの時間を少しつくり、その間に江ノ島盾子に会ったと偽の記憶をノートに書き込んだ。
その頃……不知火を支えていた氷は解けていってしまった。
氷は体重を支え切れなくなり、不知火はプールに落ちて行った!
そして不知火はプールに沈んだ後、溺死した。
朝になって、異変に気付いた俺たちが探し始めるのを予想して、音無は念のためプールに先回りしてロープや水を始末しようとしたんだろ。
全速力でプールみ向かった俺と戦刃むくろより先にお前はプールにいたんだからな!
だが、予想外に俺が早く到着したせいで、しまつすることができなかった。
そのせいでロープや氷の解けた跡なんかを隠せなかったんだ。
その後、まんまと確定シロの称号を得た音無……いや、江ノ島盾子は何食わぬ顔で捜査に参加した。
それが、この事件の真相だ。
モノクマ「あれれ、もういいの? じゃあ、投票タイムいってみよー!」
クロを決めています……
結果は……?
モノクマ「だいせーいかーい! 今回のクロは音無さんでしたー! はいっ拍手ー!」
江ノ島「せっかく用意した計画がっ! よくわかんねー奴に主導権奪われて! その上真相を知ることもできないまま死んでいくだなんて……そんな……それってすううううっごく絶望的よねぇ!!!」
善吉「……理解できねえ」
江ノ島「ひどいですよぉー。そんなこと言うだなんてー」
善吉「……俺はお前が嫌いだ。コロシアイを企画したうえ、不知火を殺したお前のことなんて、理解したくもないし、仲良くなりたくもないね」
江ノ島「おいおい、言うじゃねえか。生徒会長は生徒を差別するもんじゃないだろ?」
善吉「……は?」
江ノ島「ん……? なんだ、その記憶は消したつもりはなかったんだが……どうして消えてるんだ? まあいい。質問タイムは終了したからな」
モノクマ「それじゃあそろそろオシオキいってみよー! 超高校級の絶望である音無さん……もとい江ノ島さんにふさわしいスペシャルなオシオキを用意しましたっ!」
話が終わると、真の黒幕が操っているであろうモノクマはいつもの調子でそういった。
どこからか伸びてきたアームが、江ノ島盾子の首をつかみ、引きずって行った。
江ノ島「これが……死んじゃうって絶望なんだね!」
むくろ「盾子ちゃん!!!」
安心院「はっはっは。やめときなさい」
追いかけていこうとした戦刃むくろを制止したのは安心院だった。
むくろ「やだ! やだやだやだやだ! 盾子ちゃん! 盾子ちゃん! 盾子ちゃん!!!」
江ノ島「……ったく。おねえちゃんは本当に最初から最後まで残念だったよね」
むくろ「盾子ちゃん!!!」
≪オトナシサンガクロニキマリマシタ。オシオキヲカイシシマス≫
江ノ島はモノクマの人形を抱いている。
小さなロケットに詰め込まれて宇宙まで飛ばされた。
柱にくくりつけられて、山のようにとんでくる硬球をあびた。
バイクに乗せられて、球場の金網の中をバターになってしまいそうなくらい高速で回され続けた。
再び柱でくくりつけられ、火であぶられた。
巨大なショベルカーに何度も叩き潰された。
そして……ベルトコンベアに置かれた椅子に座り、プレス機のほうまで流されていった。
江ノ島盾子は、あらゆる殺され方をして、最高に絶望しながらつぶされて死んだ。
こうして2度目の裁判が終わった。
不知火が計画し、音無もとい江ノ島盾子が参加し、戦刃むくろまでを巻き込んだ事件は、特に何も残すことなく終わってしまった。
「……」
みんながみんな黙っていた。
黒幕が判明し、出られるのではないかという希望すら壊されたのだ。仕方のないことだった。
しかし、その静寂を破るものがいた。
球磨川『あーあ』『それじゃあ不知火さんは無駄死にだったんだね!』
善吉「てめえ!!」
球磨川『おいおい、事実を言っただけだろ』
球磨川は相変わらずへらへらと笑い続けながら、言った。
善吉「ふざけんな! 不知火は俺たちのために死んだんだぞ!? なんでそんなに笑ってられるんだ!? 球磨川、お前だって不知火とは仲良かったじゃねえか!?」
球磨川『……』
善吉「そうだ! お前には大嘘憑きがあるじゃねえか!? それを使えば全部元に戻せるんじゃないのか!? 不知火も、弐大先輩も、朝日奈も!」
球磨川『はあ』『いきなり何を言い出すかと思えば』『だめだぜ善吉ちゃんそんなこと考えちゃ』
球磨川はやれやれと首を振りながら、あきれた表情で言った。
球磨川『死者は都合よく生き返ったりしない』『そんなご都合主義は週刊少年ジャンプの中だけにしてくれよ』
善吉「お前がそれをッ……!」
球磨川にどう対応する?
↓2
もしかして試したのか?
善吉「……もしかして確かめたのか?」
球磨川『そんなひどいことできるわけないだろ』『それは死者への冒涜だぜ』
善吉「……球磨川」
球磨川の大嘘憑きの威力はすでに立証済みだ。
己の致命傷を「なかったこと」にし、
狛枝先輩の大けがを「なかったこと」にし、
鍵穴も「なかったこと」にした。
今更死を「なかったこと」にできないなどと言われても信用できない。
球磨川『みんな疑心暗鬼になってるみたいだけどさ』『ここでコロシアイを起こさせない方法なんて簡単だ』『賢いやつを皆殺しにすればいい』
不二咲「えっ……?」
球磨川『難解な殺人トリックも』『わけのわからない処刑も』『みんなエリートが作るんだから、そいつらを皆殺しにすれば事件なんてもう起きないよ』『ねえ、エリートのみなさん』
桑田「おいおい! それマジで言ってのかよ!?」
不二咲「そ、そんなこと……」
安心院「……球磨川君」
球磨川『なんだい安心院さん』『パンツなら返さないぜ』
安心院「いや、そういう話じゃない」
安心院「君は怖いんじゃないかい?」
球磨川『……何のことかな』
安心院「言葉通りのことさ。球磨川君と不知火さんは同じだった。なのに同じであるはずの不知火さんが誰かのために死ぬことができる過負荷だったから。それに戸惑ったからこそ、その事実を認めたくなかったからこそ、そんな周りを挑発するようなことを言って気を紛らわせているだけじゃないのかな」
球磨川『……そんなことは』
安心院「たしかに彼女と君は同じだ。だが、彼女は誰かのために行動できる過負荷だったみたいだね?」
球磨川『……たとえそうだとしても、結局何も変わらなかったじゃないか』『行動のすべてが裏目にでる』『誰に勝つこともできない』『そう、不知火さんは僕と変わらない過負荷だったよ』
安心院「キミがそう思いたいのなら、勝手にそう解釈しとけ」
球磨川『……』
その後のろのろとした足取りでエレベーターに移動し、全員が乗り終わると、エレベーターは地上へと上がって行った。
11人のシロを乗せて。
≪メンバー≫「生き残り11人」
人吉善吉(超高校級の???)
苗木誠(超高校級の幸運)
安心院なじみ[?年](超高校級の???)
戦刃むくろ(超高校級の軍人)
桑田怜恩(超高校級の野球選手)
●弐大猫丸[二年](超高校級のマネージャー)
狛枝凪人[二年](超高校級の幸運)
九頭龍冬彦[二年](超高校級の極道)
球磨川禊[三年?](超高校級の過負荷)
不二咲千尋(超高校級のプログラマー)
七海千秋[二年?](超高校級のゲーマー?)
●朝日奈葵(超高校級のスイマー)
●不知火半袖(超高校級の影武者)
名瀬夭歌(超高校級の生体工学者)
●音無涼子→江ノ島盾子(超高校級の絶望)
≪???≫
深夜、ある男が廊下を歩いていた。
それは狛枝か、球磨川かどっち?
↓2
球磨川
球磨川『......ん?』
球磨川がそれに気づいたのは本当にただの偶然だった。
トイレに行こうとして、間違えて掃除用具置き場に入ってしまった。ただそれだけのことだった
球磨川『......隠し部屋?』
掃除用具置き場の壁に力を入れると、回転して、向こう側にまでいけるようになっていたのだ。
球磨川『へー、隠し部屋ね。こういう部屋にはレアアイテムがあるものだけど......』
球磨川は隠し部屋を見渡し、なんとなく本棚にあった本を手に取り開いた。
球磨川『......!? どういうことかな、これは』
しばらくその場に立ち尽くしたあと、球磨川はゆっくりと右手を頭にむけた。
球磨川『It's all fiction!』『僕の記憶喪失をなかったことにした』
最終更新:2013年01月04日 19:04