真の能力
実はシャチの電気操作能力には全く別の一面が存在する。それは特級の洗脳能力であること。
脳波もまた電気信号、ゆえに人の感情、記憶や思考を改竄し、全くの別人に変えることが可能。
そして
テルミヌスの
仮説では心の力=電気信号。それに則るならば、人の感情に密接に関わる
新世代(
アヴァターラ、
起屍鬼)や
時輪石、
壊者などは電気とも密接に関わっているというわけである。
ならば、電気に対する絶対的な適性を持つ者ならこれらを好きに扱える。
それがシャチの能力の肝であり、単純に洗脳するだけでなく、普通人を新世代に目覚めさせたり起屍鬼を生み出すことができる。
作中でルドリヤ戦群に憑いていた起屍鬼『雷轟嵐群帝釈天妃』はシャチを拷問した拷問官をシャチ本人であると洗脳して生み出したもの。
ただしそれらの洗脳で作ったコピーはシャチの能力の性質上、大元の劣化版にしかならない。だがそれでもルドリヤの嵐として猛威を奮ったという事実がある。その気になれば、ルドリヤ戦群のような嵐の軍勢を幾らでも生み出すことができる脅威的な力。
擬似的ではあるが、この能力は
不死者を殺害することが可能。
具代的には、対象の自我を完全に砕く「廃人化」。そして前述する洗脳でシャチの記憶と人格を対象に流し込み上書きする「別人化」の2種類。
この能力で廃人化し、壊者になった者は痛みも感じることはない。擬似的な死で、
この呪われた世界から解放されているとも取れる。
別人化でもう一人のシャチと化した者は本人と完全に同じ性格なので、自分の状態に何の疑問を抱くことはない。
シャチのコピー体は現状2体存在している。ルドリヤ戦群を守護する姉と、暗殺者として暗躍する
ケイトウ。なお、普段ケイトウは元々の人格を再構築して纏っているため、周りからは別人になったとは思われず、ケイトウの人格が表にある間は彼女のアヴァターラ『
虚数箱舟』も使用可能になる。
人格の完全なコピーを作れる以上、この能力は使い手の見方によっては肉体の入れ替えや生まれ変わりと考えられるかもしれない。その点では
サティーのアヴァターラ『
殉葬顕彰心転移』に近いのだろう。
生体発電を操作し応用する事で通常の感覚器官を変更させている。つまりは痛みへの耐性がある。顔面を剥がされようが乳房を削がれようがどこ吹く風。ただし限度があるのか、姿を消す前に「痛ぇ」と発言していた(※なお、この世界の麻酔技術なら、ある一定のレベルの負傷までなら痛みを消すことができる)。