ウォール街のランダムウォーカー

株式や債券などの資産運用についての不滅の名作と言われている著書

第一章 株式投資の二大流派

1,ランダムウォークとは何か
ランダムウォークとは、「物事の過去の動きからは、将来の動きや方向性を予測することは不可能である」という意味である。
この言葉を株式市場に当てはめると、株価が短期的にどう動くか予測することは不可能で、証券アナリストの収益予測や複雑なチャートのパターン分析は無駄ということになり、この言葉は、
アナリスト達の存在意義を否定しかねないのでウォール街では忌み嫌われている。
すなわち、極端な言い方をすれば、目隠しして適当に選んだ銘柄は専門家が選んだ銘柄と差ほど変わらない利益を得られるということになる。

(市場のプロたちは学者のランダムウォーク理論に対して2つの理論で対抗する。
ひとつはファンダメンタル理論、もう一つは砂上の樓閣理論である。
そして迎え撃つ学者の理論はランダムウォーク理論の3つのバージョン、
week, semistrong, strongの三つの型で対抗する。)


2、生活の一部となった株式投資
投資と投機の違いとは?
投資とは「配当、金利などの確実性の高い収入の利益か、長期的な値上がり益を期待した金融資産の購入」と著者は捉えている。
投機とは偶然の利益をねらって行う行為を指している。
なぜ、我々が株式などの金融資産について考えなければならないかというと、資産はインフレによって時と共に目減りしてためである。

3、将来を予測する能力
投資対象が何であれ、そこから得られるリターンは将来何が起こるかに依存する。だから、将来予測する能力が大事になり、そのための理論を知る必要がある。
伝統的に、投資決定の理論は「ファンダメンタル価値理論」と「砂上の楼閣理論」である。
これらの二つは相容れないような関係に思われることがある。また、第三の理論として「新しい投資テクノロジー」がある。

4、ファンダメンタル理論
ファンダメンタル理論では株などの資産というのは本質的価値があり、それは現在の状況と将来の予測される収益で決定される。
この理論によると、もし市場価格が本質的価値より高ければ売り、低ければ買うことによって利益を得ることができる。
John B. Williamsは将来の株式配当に着目し、株式の本質的価値を求める公式、割引という優れた方法を編み出した。
これは将来のお金の価値を現在の価値に直すことである。
例えば今現在100円を年率5%で預金すると、1年後は105円になる。
(1+0.05)x100=105
その逆を考え、1年後の100円は現在の価値に直すといくらだろうか?
100/(1+0.05)≒95
約95円になる。

一般化した式は
1期当りの配当をC、利子率rとすると
株式の価格 =C/(1+r)+C/(1+r)^2+C/(1+r)^3・・・・・・+C/(1+r)^n+・・・・・
(Cとrを一定とすると 株式価格=C/rとなる。)

株式の本質的価値は、全ての将来の配当の割引現在価値に等しいとJohn B. Williamsは論じた。
よって株式の価値は現在の配当とその伸び率が大きければ大きいほど高くなる。
従ってアナリストは長期間の配当若しくは収益の伸び率だけでなく、それがどれだけ続くのかも推測しなければならなくなる。
よって予想に基づく計算は不確実性がともなうのでファンダメンタル分析を支持する人が主張するほど信頼できるものではない。

先ほどの式に配当成長率gを加えると、
株式の価格 =C(1+g)/(1+r)+C(1+g)^2/(1+r)^2+C(1+g)^3/(1+r)^3・・・・・・+C(1+g)^n/(1+r)^n+・・・・・
実際の経済では利子率、配当、配当成長率がそれぞれの期で変動するのでこれを推測して現在価値を出すのは困難である。
(Cとrを一定とすると 株式価格=C/r-gとなる。)

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最終更新:2022年07月09日 23:37