金融取引の現状や返済状況、金融事故の有無など、個人の返済能力を判断するための情報を「信用情報」と呼びます。
この信用情報は、信用情報機関によって収集・管理されており、銀行や消費者金融などの金融機関はローン契約などの際に、信用情報機関へ照会して審査を行います。
日本には以下の3つの信用情報機関が存在します。
| 機関名 | 概要 | 主な加盟機関 | 
|---|---|---|
| CIC(シー・アイ・シー) | クレジット会社が共同出資して1984年に設立。保有する情報量は最も多いといわれる。 | クレジットカード会社、消費者金融、リース・保証・携帯会社など | 
| JICC(日本信用情報機構) | 消費者金融が中心となって1986年に設立。加盟金融機関数は最多。 | 消費者金融、銀行、信販会社など | 
| KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 全国銀行協会が運営。銀行や信用金庫などが加盟。加入条件は最も厳しい。 | 銀行、信用金庫、信用組合、信託銀行、農協など | 
| 種類 | 金融機関名 | CIC | JICC | KSC | 
|---|---|---|---|---|
| 銀行カードローン | 三菱UFJ銀行 | 三菱UFJニコス(株) | - | ○ | 
| 三井住友銀行 | 三井住友カード(株) | - | ○ | |
| みずほ銀行 | ○ | × | ○ | |
| 横浜銀行 | ○ | ○ | ○ | |
| 楽天銀行 | ○ | 楽天カード(株) | ○ | |
| 消費者金融 | アコム | ○ | ○ | × | 
| アイフル | ○ | ○ | × | |
| カード会社 | JCB・オリコ・セゾン等 | ○ | ○ | × | 
多くの銀行は KSC単独またはKSC+JICC に加盟、
一方、消費者金融やクレジットカード会社は CIC+JICC に加盟しているのが一般的です。
信用情報は、3機関間で完全に独立しているわけではなく、
「CRIN(クリン)」と「FINE(ファイン)」というネットワークを通じて情報共有が行われています。
運営:CIC・JICC・KSCの3機関
共有情報:氏名・電話番号などの個人情報、契約内容、支払状況、金融事故(ブラックリスト)、本人申告情報など
例:
CIC加盟の会社で延滞を起こした場合でも、CRINを通じて他機関(JICCやKSC)にも事故情報が共有されます。
したがって「CICだけ事故情報があるからKSCでは大丈夫」ということはありません。
運営:CIC・JICCの2機関
共有情報:貸付残高、短期延滞など
目的:総量規制(年収の1/3までの貸付制限)を守るため、消費者金融間で貸付残高を共有する仕組み。
| 項目 | CIC | JICC | KSC | 
|---|---|---|---|
| 申込情報(氏名・勤務先など) | 6ヶ月 | 6ヶ月 | 6ヶ月 | 
| 契約情報(契約日・金額など) | 5年 | 5年 | 5年 | 
| 返済情報(入金・完済日など) | 5年 | 5年 | 5年 | 
| 延滞情報 | 5年 | 5年 | 5年 | 
| 貸付自粛情報 | 5年 | 5年 | 5年 | 
| 自己破産 | 5年 | 5年 | 10年 | 
| 個人再生 | - | 5年 | 10年 | 
| 任意整理 | - | 5年 | - | 
※延滞情報のJICC保有期間は2019年10月から5年に変更されました。
| 項目 | 内容 | 
|---|---|
| 延滞・遅延 | 2〜3か月以上返済が滞る | 
| 債務整理 | 自己破産・個人再生・任意整理など | 
| 強制解約 | 繰り返しの延滞でカード契約を強制解約された場合 | 
| 代位弁済 | 保証会社が返済を肩代わりした場合 | 
これらの情報は信用情報機関に登録され、一定期間は「ブラック情報」として各金融機関の審査で参照されます。
消費者金融などの貸金業者は、顧客の返済能力を正確に把握するため、指定信用情報機関制度のもとで信用情報を照会・登録します。
ローン契約の流れ
消費者が貸金業者へ申込
貸金業者が信用情報機関へ照会
信用情報機関が審査情報を提供
貸金業者が審査を行い、結果に応じて貸付実施
貸金業者が貸付情報を信用情報機関へ登録
信用情報は本人でも開示請求できます。
CIC・JICC・KSCそれぞれで手続き可能であり、インターネット・郵送・窓口などの方法があります。
CIC:スマホ・PCで即時開示(500円)
JICC:郵送またはスマホアプリ(1,000円前後)
KSC:郵送のみ(1,000円)
3機関すべてに問い合わせるのが確実ですが、手軽に確認したい場合は情報量の多いCICから調べるのが一般的です。
日本の信用情報機関は CIC・JICC・KSC の3つ。
CIC・JICC はクレジットカードや消費者金融中心、KSC は銀行系。
情報共有ネットワーク(CRIN・FINE)により、金融事故情報は他機関にも伝わる。
自己破産・再生などは最大10年間登録されることもある。
信用情報は本人でも開示請求が可能。