雪華に犇めくバーリトゥード

因幡てゐ
【夕方】B-5 果樹園小屋 跡地


 「この世で最も強い力」とは何か?
 訊かれれば千差万別の回答が返ってくるであろうこの問いに、例えば因幡てゐならばこう即答する。

 『幸運』に決まっている、と。

 強い力、の定義を「どのような過程であろうと最終的に生存できる能力」に限定するならば、てゐの自説に違いなかった。何故を問われれば、提唱者である彼女本人がまさにその説を実証する体現者だからだ。
 因幡てゐとは、ここ幻想郷に居を構えたあらゆる人妖の中でも、頭抜けて長命の個体種である。無論、身近には蓬莱人などというインチキ生物も何人かは居て、こと『長命』といった土俵においては彼女らに敵うべくもない。
 しかしながら、てゐはやはり幸運だった。その人生には苦境も少なくなかったが、『不死の呪い』を受けずして順風満帆な生活を送れたのだから。
 ひとえに『幸運』の力が働いているとしか思えない。これ程までに健康で、長生きな人生を満喫出来ている理由など。

 強さに『腕力』や『妖力』も必要ない。極論、『知識』も不要なのだ。
 真に幸運な者であるならば、そもそも「争いに巻き込まれたりはしない」。つまりはそれが、生存能力に直結する力。

 災を避ける能力。これがてゐの言う所の「この世で最も強い力」なのである。

 この言説を借りれば、此度のゲームに巻き込まれている時点で、彼女の自慢の品である幸運など最早あってないようなもの。てゐはこの頃、自虐的にそう思うようになってきてはいたが。


 少なくとも。
 「今」、「この状況」においては。

 因幡てゐは、間違いなく『幸運』だった。





「なんだ……?」

 始まりは、停車するバギーカーの助手席にて短い足を伸ばす、てゐの一言であった。
 予兆は、無かった。少なくとも、てゐの認識している範囲においては。
 あるとすれば、相棒であるジョセフが寝たきりのジョナサンなる男を気遣い、車を降りて行ったこと。そして、空条徐倫なる女もそれに続いて車を降りたこと。
 車内に取り残されたのは、意外に心地好かった助手席のシートにて寛ぐてゐ。そして、まだダメージの抜けきらない身体の安静の為という名目で後部座席を占領する博麗霊夢の二人のみ。
 ジョセフ、徐倫、魔理沙の三人。そしてこの地で出会ったさとり、こころ達は「全員漏れなく車外に出ている」。

 なにやら徐倫の怒号らしきものが聞こえ、フロントガラスから宙空を仰いでいたてゐも流石に視線を外にやった。この期に及んで彼女が車から降りようとしないのは、単純に「寒い」からだ。彼女は基本的に裸足族であり、靴を履くことを習慣付けていない。
 見ての通りに、屋外には新雪が積もりつつある。こんな場で裸足のままに長時間動き回ろうものなら、慣れたものとはいえ凍傷の危険性もある。

 〝雪〟を回避する為。
 それだけが、少女が外に降りたがらない理由であり。
 それこそが、少女が幸運だという根拠に他ならない。


「ちょ……っ!? な、何やってんのアンタら!」


 すぐ後方で慌てふためくその声の主は、我らが霊夢のもの。少女は車の窓からガバリと身を乗り出し、らしくもなく目を大きく見開いていた。

「……は?」

 それとは対照的に、続くてゐの声は極めて淡白なもの。彼女も霊夢と〝同様の景色〟を目撃し、理解不能といった反応を示した。
 全く、惚けたツラをしている事だ。もしここに鏡があったなら、鏡界の向こうに潜む自身の顔へとてゐは意地悪く呆れたろう。

 然もありなん。
 車の外には、音もなく忍び寄った〝異変〟が起こりつつあったのだから。

 空条徐倫が、我が相棒ジョセフの顔面を目一杯に殴り抜く異常な光景。
 てゐの目と鼻の先。外界との隔たりへと、不快な異音と共に、波紋状の亀裂が突如として広がった。


 健康的な真っ白い歯が一本、ドアガラスに突き刺さっていた。


            ◆


 まるで垂らされた糸に釣られるように、男はゆっくりと立ち上がった。
 ジョナサン・ジョースター。ついぞ今まで、仮死状態とまで宣言された男が、だ。

「お、おじいちゃん! ……だよ、な?」

 尻すぼみに覇気を失っていく声の主はジョセフ。絶望的な状態にあったジョナサンの快復を図るべく、藁をも掴む気持ちで手持ちのスタンドDISCを取り出した張本人だ。
 徐倫の妨げにより一度は手から零れ落ちた円盤だったが、それは半ば事故のような形でジョナサンの額に吸い込まれ、結果───。

「立ち、上がった……」

 傍で始終を見ていた霧雨魔理沙が、豆鉄砲を食った鳩のような表情で呟いた。古明地さとりの話によれば、精神DISCなる円盤を抜かれた者は、魂を抜かれたみたいに仮死状態へと落ちる。復帰の手段はと言えば、抜かれたDISCを元ある場所に戻すしか無いのだと。
 この場においては誰よりもDISCに精通する徐倫も、さとりの話を後押す形でそれを肯定したのだから、確かな事実だと信頼していいだろう。
 ジョセフが懐から取り出したDISCがジョナサンの盗られた精神DISCなわけがない。つまり彼は、偶然所持していた有り合わせのDISCを使用して、ジョナサンの肉体の差し当っての復旧を目論んだ事になる。
  完全復活とはいかないにしても、効果は半分程期待できた。肉体の老朽化を防止する措置である仮初の円盤は、強引にでもジョナサンの身体を一時的に動かせる〝かもしれない〟という、ジョセフの一心な家族愛も不発には終わらずに済んだ。

 これが『不発』であったなら、どれほど良かったろう。
 問題なのは、偶然所持していたジョセフのDISCが、『暴発』を誘起する大地雷だという悪運だった。

「おいッ! 今コイツの額に入っていったDISCをとっとと戻せッ!」

 一体全体何事かと、徐倫が食って掛かる勢いのままにジョセフの胸倉を掴み上げた。その鬼気迫る表情たるや、今この現状が非常に由々しき事態なのだと、周囲の者に否応なく悟らせる類の相貌。
 だとしても、ジョセフが事の重大さの理解に至るにはあまりに材料が不足している。それよりもまず、彼は目の前の女の粗暴に対して気に障った。

「痛ッ……! な、なんだテメー! 苦しいだろーが! 放しやが────ッッ!!?」

 抗議の途中で、突然の振動がジョセフを襲い、視界がぐわっと回転した。
 脳が揺さぶられ、意識が飛びかける程の衝撃だった。彼の首は堪らず直角横90°まで曲げられ、下手をすればプラス90°の回転がその太ましい首を捩じ切ってしまいかねない程の、突発的な暴力。

(──────ぁ? ……な、んだ?)

 薄れゆく意識の中、この脳震盪の因果にかろうじて辿り着く。
 ブン殴られたのだ。
 今、自分へと掴みかかる少女の華奢な腕によって、全力で。

「徐倫っ!?」

 叫ばれる魔理沙の言葉。その声に呼応するかのように、殴り抜いた徐倫本人の意識が今一度冷静さを取り戻した。

「…………え?」

 驚愕しているのは目撃者だけでなく、暴力を行使した本人とて例外ではなかったらしく。徐倫は、今自分が何をやっているのか誠に理解できないといった反応で、殴り飛ばしたジョセフと己の拳とを交互に見つめた。
 拳には飛沫状に血痕が付着している。無論、ジョセフのものと……あまりに躊躇のない熾烈さで打ち抜いた我が拳から捲れた、自傷の血である。
 痛みはない。その原因が、自分の中に渦巻く一種の興奮状態……アドレナリンの放出による作用である事にも、大きな動揺を隠せなかった。

 興奮している。間違いなく、自分は今。
 何故? 殴るつもりなど、微塵も無かった。
 ましてこちらの拳が傷付く程までに、全力で。
 その理由に、心当たりがある。

 ジョセフがDISCを取り出したのを見て、徐倫が嫌な予感を覚えたのは間違いない。
 だがそれは、あくまで予感。彼が所持するDISCの正体が『サバイバー』だと徐倫が知る機会など無かったし、かつて体験した刑務所懲罰房での地獄絵図を齎したスタンドの名称がそれだと、徐倫はそもそも認識まで至ってない。
 故に『予感』の範疇を出なかった徐倫は、それでも正体不明のDISCを意識の無い他人に使用するというのは、あまりにリスクの多い行動だという危機的意識はあったのだ。

 今はもう、その予感が最悪の実体験として彼女を蝕んでいる。
 ことが起こってしまった現状、頭の冷静になった部分で徐倫は思い描いていた。

 今、我々を襲っている〝この現象〟は十中八九、あの時の────。


            ◆

 とある『悪の帝王』は、そのスタンドについて友人へ語る際、こう述べている。
 『最も弱く』、そして『手に余る』とも。

 発動の条件はといえば、地面が雨などで濡れている必要がある。その程度だった。
 神経細胞を伝わる電圧はほんの百分の七ボルト。脳の中で生まれたごく僅かな電気信号は、濡れた地表を伝わり周囲へ流れる。
 後はもう、終わりのようなものだ。対象の脳の大脳辺縁系、そこに潜む闘争的な本能をほんの一押し。

 どうしようもなく、手が付けられない能力。世にはそういった、使い手を悩ませる暴走スタンドも幾多存在する。
 この『サバイバー』も、その例には漏れず。制御が効かないという意味でも、なんの有効活用も見い出せない特級のハズレ品だった。

 そして、悪夢そのものでもある。
 周囲の人間にとっても。
 使い手本人にとっても。


 主催の二人が戯れに支給品へ混ぜ入れた『大地雷』は、ゲーム開始から十六時間が過ぎた今───深い眠りから目覚めるように、静かに爆発した。


            ◆


(このおぞましい感覚は……あの時の!)


 意識がフワフワしている。
 思考が落ち着かない。
 心臓が熱い。
 理由もなく、ムカついてくる。
 ああ、言わんこっちゃない。
 だからアタシは言ったんだ。そのDISCはやめろって。
 よりによって。よりによってだ。
 あの懲罰房でアタシを襲った、あんな傍迷惑なモンを。
 よりによって、コイツが持ってたなんて。
 だから。
 だから、言ったんだろーが。


「だからやめろっつったろォオーがァァーーーッ!!」


 なんの理由も無い暴力によって、ジョセフを地面へと転がした徐倫は。
 現在、彼女らを襲う現象の正体に見当を付けつつも。

 溢れんばかりの『闘争心』に抗うことなど、叶わずにいた。

 鼻っ面を叩き折り、血反吐と共に地を這わせた男へ向けて徐倫は、間髪入れず追撃を行使しようと右脚を上げる。
 このまま足を振り下ろせば、そこにあるジョセフの顔面は潰れるだろう。どのような理由があろうと、仲間に対して行っていい仕打ちなわけがない。

「お、おいやめろ徐倫ッ!!」

 この絶望的な一日を最も長く共に過ごした魔理沙の精一杯な仲裁も、効果は無い。


 だから〝仕方なく〟魔理沙は、自分に背を向け隙だらけの徐倫の後頭部を、思い切りブン殴った。


「〜〜〜〜ッ!!?」

 嫌な音が響いた。
 音の出処は頭部を抑えながら悶える徐倫からでなく、手を出した魔理沙の拳からだ。
 人の骨という部位は想像の通りに硬いものだが、骨同士が接触した場合、当然ながら強い骨が打ち勝ち、弱い骨は破壊される。
 後頭部とは、前頭部や側頭部に比べると脆い。とはいえ、まだ少女である魔理沙の華奢な拳では打ち勝つには至らなかった。ボクシングで言う所の反則技ラビットパンチの格好だが、仕掛けた魔理沙側の拳に重大な負傷が発生するのは自明の理であった。

(〜〜〜って、問題なのはそこじゃないだろ!?)

 私は一体、何やってんだ!?
 喧嘩を止めようと行動を起こした魔理沙は、自分で自分の行為の意味が分からずに困惑した。
 見れば、箒よりも重い物など持った試しのない我が手からは、剥き出しの骨すら見えていた。殴り抜けた衝撃が返り、先端が皮膚を破って骨折したのだ。
 更に恐ろしい事に、痛みが無い。痛覚の代わりに興奮ばかりが脳の中を支配しているようで、自分が自分じゃないようだった。

 ぬっとりと背筋を這うような、不気味な気色悪さ。
 まるで折れた鉛筆が手の甲に突き刺さった様な光景。皮膚を食い破った基節骨を呆然と見下ろしながら魔理沙は、この独特な悪寒に対し、冷静な解答がひとつ浮かんだ。

「まさか.......スタンド攻───」
「そうだよ馬鹿野郎ッ!!」

 言い終わらない内に、徐倫のプロ顔負けの回し蹴りが、反撃の牙となって魔理沙の頬を真横から穿った。死角から飛んできた予期せぬ衝撃に、魔理沙の小柄な体は堪らず吹き飛ばされる。
 通常であればそれでK.O.だ。だというのに魔理沙は、よくもやったなと言わんばかりの勢いで起き上がり、額に青筋を立てながら尚も徐倫に向き直す。

 流血沙汰では収まらない、大喧嘩だった。
 この喧嘩に、理由など存在しない。サバイバーの性質によって増加を経た筋力の刃は、たちまちにしてそこに立つ者達を内部から崩壊させる。
 唯一、この悪夢を経験済みであった徐倫をしてこのザマなのだ。なんの事情も原因も露知らぬ他の者にとってみれば、この突然の災害に対処する備えなどあるわけが無い。

「やめなさい魔理沙っ!! どうしたってのよ突然!?」
「ジョジョ!? な、なになに急にどうしたのよ皆して!」

 リングの観客席と化したバギーカーの車中から身を乗り出すのは、霊夢とてゐの二名。彼女らはやにわに争い始めた仲間達の姿を、我が目を疑いながら傍観する。するしか出来ない。
 ただの敵だとか邪魔者であれば、てゐはともかく霊夢の場合、怪我の上でも直ちに袖を捲りながらとっちめるくらいはやる。
 今、目の前で行われている異変は、そういったいざこざとは訳が違った。いつもの様に、懲らしめてハイお仕舞いではないのだ。
 博麗の巫女の頭の中にあるマニュアルには、こんな訳の分からない暴動を丸く収める術など項目に無い。ましてや旧来の友人の、今までに見たことのない激しい様相を目の前にしたとあっては、仲裁に向かう足も固まりつくのは当然だ。

「この.......馬鹿魔理沙! 徐倫も、今は喧嘩なんてしてる場合じゃないでしょう!?」

 眼前で行われている乱闘がただの喧嘩ではない事など霊夢にも承知である。それでも直接的な敵の姿や攻撃すら見えない以上、これは喧嘩の延長線にある馬鹿げた内輪揉めだ、という認識の下で動かざるを得なかった。

 どのような状況下にあろうとも。
 どこかの誰かの言葉ひとつで、自身の心が揺れ動こうとも。
 博麗の巫女とは、異変を解決する役職の人間である。
 長き立場の上で刷り込まれた博麗への意識は、たとえ怪我人であろうとも少女の足を立ち上がらせるには十分な異変が、目の前で繰り広げられている。

「アンタは中に居なさい!」
「え……って、霊夢!? その怪我で行くの!? なんかアイツら、普通じゃないよ……っ」

 愛用のお祓い棒を掴み取り、車のドアを取っ払う様に開けながら、霊夢は銀世界へ変貌しつつある外へ降りた。
 その荒立つ様は、とてもダメージを刻まれた少女には見えない程に勇敢な後ろ姿だ。そんな霊夢をてゐは、頼もしいと感じる以上に今回ばかりは不安が上回っている。

 幻想郷において、異変解決のエキスパートとして真っ先に名が挙がる博麗霊夢と霧雨魔理沙に加えて、あの強大な妖狐を共に撃破したジョセフ・ジョースターが揃ったパーティメンバー。てゐの心境からすれば、鬼が金棒に飽き足らずスペルカードまで修得したような心持ちでいた。
 何だかんだで、今やちょっとやそっとの襲撃者が現れたところで、仲間達が返り討ちにしてくれるだろうという驕りの心地もあった。
 その矢先の出来事である。牙を剥いてきた敵対者は、外敵ではなく仲間内だというのだから、弱者側であるてゐの心情は尚更に不安ばかりが肥大する。

「こんな怪我、ツバ付けときゃ治るわよ! ていうか、もう治ってる!」

 霊夢の言葉が虚勢なのは、てゐにだって理解出来る。彼女が後部座席で辛そうに横になっていたのは、事が起こり出す今の今までだったのだから。
 やっぱり止めた方がいいんじゃあ……とてゐが逡巡する間にも霊夢は、いきり立ったその足を現場へと走らせた。


 土と一緒に蹴られた雪が、てゐの鼻先を掠める。
 その〝雪〟こそが、まさに災を流し伝播させるコンベアを担っていた事に、誰一人として気付くことは出来ない。


            ◆

 ただでさえ、どうしようもなく苛立っていた。
 完膚なきまでに叩きのめされ、死の淵を彷徨って。
 靈夢の中で、ジョジョからは『博麗』を否定され。
 けれども何処か、生まれ変われたようにも感じた。

 矢先、夢から蘇生出来たのは私だけで。
 ジョジョは、約束ほっぽり出して勝手に死んで。
 代わりに、アイツの娘を名乗る女が居て。

 もう、訳わかんなくなっちゃって。

 表にはいつも通りの『博麗霊夢』を演じられていたけど。
 心の中では、どうしようもない苛立ちが収まらなかった。


 いい加減、白状するわ。
 私は……、博麗霊夢は。



 滅茶苦茶、ムカついていた。



「ジョジョの…………バカヤローーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!」



 巫女の洗礼を受けたお祓い棒とは、本来ならば神聖なる道具だ。罪や穢れ、厄災など不浄なものを排除する神事にて使用するこの棒は、言うまでもなく人を殴る用途には間違っても使ってはならない。
 博麗の力を存分に込められたお祓い棒は、悪を討伐するでもなく、妖魔を捩じ伏せるでもなく、〝ただムカついた〟から殴る為だけに振り翳された。
 そこに立つ誰へでもなく、今はもうこの世に居ない男への罵倒と共に、暴力の化身として霊夢の手先となったお祓い棒。
 不条理な暴力の矛先となったのは、友人の霧雨魔理沙。その冠にのさばる魔女帽の天頂目掛け、場外ホームランを狙うかの如く万力込めて。
 細長い見た目のわりに、この棒は強固だ。数え切れない妖怪や神、時には人間をもシバキ倒してきた経歴をその細身に宿す神具は、何者をも砕きかねんという勢いのままに、魔理沙の背後から振り抜かれた。

「が…………ッ!? ぁ、ぐ…………痛っ、て……〜〜〜ぇッ」

 観客席からリング上へと飛び乗ってきた活きのいい野次馬───巫女の不意打ちに、魔理沙は悶える。堪らず膝を折り、その無様を見下ろす霊夢の視線へと目が合った。
 その上から見下す様な視線に対しても、魔理沙の心中ではフツフツと怒りが湧き上がる。不意打ちされた事にも腹が立ったが、その相手が霊夢である事にも腹が立った。上からこちらを見下す視線にも腹が立った。

 だが、何より魔理沙を腹立たせるのは──

「だ……れが、ジョジョだよ……! この野郎、馬鹿巫女のクセして……ッ」

 崩れた魔女帽を被り直し、ゆっくりと乱入者の顔を睨み付けながら魔理沙が立ち上がる。
 双眸に宿った視線は、殺意とも取れるような壮絶な怒りの眼差しだ。

「なあ、オイ……お前に言ってるんだよ霊夢。私には『霧雨魔理沙』っつー、立派な名前があるんだぜ?」
「……」

 これが何らかのスタンド攻撃による現象なのは、かろうじて理解出来る。だが今の魔理沙にとって、最早それは遥かにどうでもいい些事の一つへと変化した。

 博麗霊夢。この期に及んでこの女は、とうに死んだ男の幻影など見ているというのだから。

「おーい、聞いてるかー? れ・い・む・ちゃーん?」
「うるさい」
「聞こえてるじゃんか。耳はマトモなのに目は盲目ってワケか? 何処にそのジョジョとやらが居るんだ? 私の帽子の中にはマジックアイテムしか入れてないぜ」

 後頭部と拳から流血を晒す姿も相まって、くつくつと口の端を引き攣りあげる魔理沙の姿は不気味の一言である。
 変わり果てた友の様子を霊夢は、静かに見つめた。
 あくまで、表面上は静かに。

「ジョジョですって? 私が、いつ、ジョジョを呼んだのよ」
「さっき叫んでたろ。高らかに」
「? 耳がオカシくなってんのはアンタの方じゃないの、魔理沙?」

 首を傾げる霊夢の顔面を、魔理沙のストレートが走った。骨が飛び出した方の右腕で、躊躇なく、だ。
 凶器の様に鋭く皮膚から飛び出た基節骨の先端は、棒立ちでいた霊夢の左目──その三センチ下を抉り、端麗であった顔を傷物に仕立てあげた。
 故意の、禁じ手である。

「目も使い物にならなくしてやるぜ」

 そこにはいつもの魔理沙の面影など無い。膨張する闘争心に操られるがまま、目の前の生物を打ち倒し、勝利する事だけが彼女の思考を支配し始める。
 倫理観を排除し、血で渇きを潤さんと暴を振る舞う姿は邪悪とも言えた。何事でもなく、ただ気に入らないから。それだけの原動力で、友人であろうが殺しかねない勢いのままに暴れ散らすのだから。

 否。殺しかねない、ではない。
 掛け値なしに。正真正銘に。
 魔理沙の感情の器は、霊夢を殺してやりたい気持ちで溢れ返っている。

「私を見ろよ、霊夢。そんなぽっと出の男なんかより、ずっと傍にいた私だろ」

 ただ〝気に入らないから〟。
 魔理沙の何がそんなに、博麗霊夢を気に入らないのか。
 魔理沙は本当に、博麗霊夢を友達として見ていたのか。
 ただの友達ではないという自覚など、魔理沙の中で嫌という程に渦巻いていた。

 魔理沙にとって、博麗霊夢はただの友達などではない。
 特別な、相手だった。
 良くも、悪くも。

 なのに。それなのに。

 霊夢からしてみれば、魔理沙はただの友達なのだ。
 特別なのではない。霧雨魔理沙は博麗霊夢の特別ではない。
 霊夢に『特別』な相手なんか、いやしない。
 だから、長年心の奥底に隠し持っていたこの感情は、決して表に出すことなどしなかった。

 なのに。それなのに。

「私を見てくれない目なんか、もう必要ねーだろッ!」

 どうやら霊夢には、『特別』な相手が出来た。
 だから。

「あああ気に入らん! お前が!! 気に入らんッ!!!」

 今度はまだ無傷を保った左腕での目潰し。
 その指には本気の殺意が迸っていた。
 誇張でなく、脅しでなく、本気で潰す。
 刺激された闘争本能が、激昴を促す。


「あっそ」


 激情に動かされ、命を狩らんと迫り来る魔理沙。
 そんな友人の顔を、霊夢は容易く顎下から蹴り上げた。
 魔理沙とは対照的に、そこには如何なる感情も灯さない。
 先程大きく吠えた表情とは打って変わって、血に塗れた無表情。

 魔理沙の内に眠る事情など心底どうでもよさげに、霊夢はただただ友人の身体をひた殴りにした。

            ◆

 てゐにはもう、訳が分からなかった。
 怪我をおしてまで乱闘を止めようと外に出た霊夢までもが、気付けば魔理沙を背後から殴り飛ばし、そのまま血生臭いファイトに没入し始めたのだから。
 この現象に陥るには、スイッチを押すように何かの『切っ掛け』が必要だ。車中に取り残されたてゐが今のところ無事で、外に降りた途端に豹変した霊夢がああなっているのだから、それはてゐであろうと予想は出来る。
 そして、その『切っ掛け』の具体性はいまいち掴めない所ではあるが、少なくとも外に降りるのは絶対にマズい。車から降りるというのは、即ち『登る』という事と同義である。
 阿鼻叫喚のリング。そこに登る命知らずなファイターが一人増えるだけだ。アレを見た後では、とてもここから外の世界に足を降ろそうなどと考えられるわけもない。

「分かんない分かんない意味分かんない! わ、私は関係ないからねーっ!」

 せめて自分にだけは火の粉が降り掛からないよう、てゐは臆面もなく助手席の下に丸まり小さくなっていた。
 敵の攻撃、その影の片鱗でも見えればまだ対処だとか抵抗の余地はあるかもしれない。
 今回の場合、それがまるで目に見えていない。あまりに唐突な形で、ウイルスの様に一斉に周囲を覆ったのだ。てゐでなくとも竦むのは当然と言えた。


 ゴン


 すぐ頭上で争いの余波が、車のドアガラスを叩く音がした。つい先程、衝撃で吹き飛んできた一本の歯がガラスに突き刺さってくる光景を、てゐは脳裏に思い描く。
 ここも最早安全地帯とは言えない。車の運転などした事ないが、ジョセフの横で操縦を眺めていたので、動かそうと思えば見よう見まねで可能かもしれない。幸運にも、エンジンは掛けられたままだ。


 ゴン!  ゴンゴン!


 ガラスを叩く音が増えた。石か何かが飛んで来ているのだろう。
 そろそろ限界だ。てゐは抑えていた頭から手を退かし、なんとか体を起こしあげようと意を決する。つまり今から華麗に逃げるのだが、これは苦渋の撤退であり、決して相棒を見殺しにする臆病風に吹かれたのではない。

 自分で自分に言い訳を終え、慄える心を鼓舞し、少女はここでようやく頭を上げ───


「テメェーーてゐッ! 居るんならとっとと返事しやがれッ!!」
「わっひゃああぁぁーーーーっ!?!?」


 これから見殺しにする予定であった相棒の憤怒の形相が、亀裂の入ったドアガラスの向こう側に貼り付き、こちらを見下ろしていた。
 南無三である。この尻の軽い筋肉チャラ男の毒牙に掛かれば、自分のようなか弱き美少女などあっという間にひん剥かれ、あえなくその純潔を奪われるに違いない。

「なにアホ面で怯えてやがるこのドチビ! 遊んでる場合じゃねーんだぞタコ!」
「え……あ、あれ? ジョジョ、だよね?」
「ああ、ジョジョだぜ!」

 誰よりも頼りになるそのスーパーヒーローの頼もしき名乗りを聞き遂げ、てゐの表情へとみるみるうちに生色が戻る。
 勝利も同然であった。やはり最後には我が相棒が全ての悪を捩じ伏せ、自分を幸福に導いてくれる。確信めいたその希望の未来を胸に期待し、颯爽とドアを開かんとする手には思わず力が漲る。

「いや、開けなくていい。あんま時間ねーからよく聞けよ相棒……!」
「……ゑ?」

 希望のドアを開放せんとする手が、ピタリと止まった。
 ガラス越しに睨み付けるジョセフの顔は傷だらけではあったが、至って真面目で、いつもの余裕は欠片も見えない。


 二人の詐欺師の目線が、互いに交差する。
 方や、額からダラダラに血潮を流し。
 方や、額からダラダラに汗を垂らし。

 果てしなく嫌な予感しか、しない。


            ◆
『古明地さとり』
【夕方】B-5 果樹園小屋 跡地


 初めは、何かタチの悪い冗談かと思った。

 目の前で起こった事象が受け入れられずに困惑した古明地さとりは、次に夢でも見ているのだと思った。ベタだけども、本当に〝これ〟は夢かなにかなんだと、思う他なかった。
 だって、さっきまで普通に会話していた相手がなんの前触れもなく、互いに殺し合いを始めたのだから。
 不穏はすぐに混乱を呼び、訳が分からなくなって彼女は瞼を閉じた。それでも、生々しい闘争と渇望のノイズだけは耳の中にまで侵入してきた。
 結局、眼前で始まった殺し合いが夢でないことを悟ったさとりは、過呼吸気味に陥りながらも次なる結論を出した。


 ああ、そう。
 この人たちはつまり、ゲームに『乗った者たち』だったのね。


 それ以外に考えられない。だって現に、目の前で殺し合っているのだから。
 不可解なのは『三点』あって、まずよく知らない人間二人の方はともかく、博麗の巫女と黒白魔法使いの二人は郷では有名な者たちだ。特に巫女の方がゲームに乗っていたなんて、俄には信じられない。
 二点目の不可解な事柄。彼女らと居合わせた時、さとりは当然ながらサードアイでキッチリ『視ている』。全てを、とはいかないけど、心の裏側でコイツを嵌めよう、騙し殺そう、なんて嘘は片鱗も見せていない。これがおかしい。
 サトリ妖怪に『嘘』を吐ける存在なんて何処にもいない。だというのに、彼女らはさとりを騙し、善人ぶった上で自ら化けの皮を剥ぎ、殺し合っている事になる。
 それが『三点目』。折角見事に騙し通し、虚を衝く絶好の好機を得た筈だったのに。

 どうしてこの巫女たちは、私たちを無視して勝手に殴り合っているのだろう。

「う……っ」

 浮かび上がった不可解な問題を解決するべく、再びサードアイを起動するも……すぐに後悔した。
 彼女たちの心の『声』があまりに凄惨で、貪欲すぎた。圧の大きい心を覗いてしまった反動は、今のさとりの肉体からすれば負荷が過ぎる。

「さとり……大丈夫か?」

 喉奥から迫り上がる吐き気に根負けし、両膝を突くさとりへと心配の声を掛けたのは隣のこころだ。
 心配してくれるのは本当にありがたいのだが、一層青い顔を浮かべているのは彼女の方だった。無表情を貫いているだけに、より分かりやすい。

「私は大丈夫。それよりも……貴方の方こそ、今にも倒れそうですよ」

 負の声を拒絶する為に、さとりはサードアイを閉じながらこころの肩を借りる。66の面を操る彼女の様相は、フラフラとはいかない迄も、いつものポーカーフェイスが台無しの落ち着きのなさが見て取れた。

「……怖いの」
「怖い?」

 俯きがちに発せられたこころの言葉は、泣きごとのように酷く弱々しい。まるであの怪物・藤原妹紅と対した時みたいに。

「こいつらの『感情』が、私には分かる。でも、分からない。だから、怖い」

 震えながら吐かれるその説明には不足が多く、さとりが全てを察せるまでには至らない。言葉足らずであるこころの次の台詞を、さとりは急かさずに待った。

「感情は平等でなくては、ダメ。誰かに不平に齎された、贋物の感情なんかじゃあ絶望しか訪れない」

 希望がない。
 感情を失うとは、そういう意味だ。
 奪うまでもなく、現状ここには希望が見えない。
 操るまでもなく、どうしようもなく絶望的である。
 こころがこの会場に飛ばされて、初めに感じた事だった。

「膨れ上がった『怒り』の感情。あの人たちを動かしているのは、たったのそれだけ。感情を過剰に暴走させるっていうのは、死ぬ事と何も違わない」

 秦こころがかつて『希望の面』を失い、能力を暴走させた過去。本人にとって耐え難い過失であったその時の名状し難い感情は、二度とは忘れない。
 現在、霊夢らを襲っている現象は、指向性は違えどあの時と同じだ。幻想郷の人々から希望の感情が失われ、刹那的な快楽を求めるようになった、あの異変と。

「何とか……何とかしなければ……! 皆に、元あるままの感情を取り戻さなければ、きっと取り返しのつかない事が起こる……っ」

 使命感からか。はたまた贖罪の気持ちか。
 此度のアクシデントはこころ本人に何ら非は無いが、ここで呑気に見ている訳にはとてもいかない。
 周囲を覆う『怒』の感情に当てられながらも、面霊気は竦む足へと強引に気合を入れた。その右足はつい先程、妹紅戦にて背後から切断されたばかり。河童の薬が驚異的な速度で治癒を施してはいるが、痛みは依然収まる気配がない。

 健気だった。
 涙をも誘うその勇姿にさとりは、一縷の希望を見出した気がした。

「……詰まる所、こころさん。あの人間たちは、自ら殺し合いに投じてるのではなく、他の外的要因によって無理矢理に『感情』を狂わされている、というのが貴方の意見でしょうか?」

 こくり、と首肯。
 そういう事であれば、あまりに不可解なこの現状にも筋が通る。
 そして、筋が通らない事柄もあった。

 では何故、自分は無事なのか?

 こころの話をそのまま信用すれば、元よりこの地で白蓮の帰還を待っていた自分たち両二名に、怒の感情が襲って来ない事には違和感が残る。

 秦こころに関しては、何となく予想が出来る。
 曰く彼女は感情のエキスパートであり、66の感情の面を操る究極の面霊気。以前までの不安定であった時期ならともかく、現在のこころに対して感情を操作するような攻撃など、無効化されて然るべきといった考えも出来るからだ。
 即ち『相性』であるのだが、じゃあさとりに対し効果が見えない理由が見当たらない。この謎さえ解ければ、もしかすれば事件解決への足掛かりになり得るかも知れないのに。

 考えても答えは出ない。前提すら間違っているのかもしれない。
 不毛な謎解きにお手上げ寸前でいたさとりの耳へと、管楽器を吹き鳴らした様な聞き慣れない音が二回、鳴り響いた。

「おい、アンタらこっち! 急いで乗って!」

 獰猛な暴れ牛を従える──バギーカーを操縦する因幡てゐが、クラクションを鳴らしながらさとり達を懸命に手招きしていた。

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
『因幡てゐ』
【夕方】C-5 魔法の森 南の小道


 「この世で最も強い力は何か」という議題における解答は『幸運』であると。
 心からそう信じていたし、理論上でも間違いはない。
 しかしながら最近は、『幸運』であることが即ち『幸福』に繋がるかと問われれば、答えに窮するというのもまた事実だった。

 どうも幸運=幸福と考えるのは間違いらしい。納得出来ないし、歯痒い気持ちもあるけど、そう考えざるを得ない出来事が最近、連続して多すぎる。
 幸運者には幸運者にしか理解出来ない悩みというものはある。まさに今、少女が幸運者であったからこそ、こうして慣れない車の運転に勤しみつつ、奔走しているのだから。

 幸運の白い兎、因幡てゐ。
 現段階の彼女には素知らぬ事実だが、あの場の全員の中で彼女だけが唯一、スタンド『サバイバー』の能力に接触していない。
 雨や雪などで濡れた地表を介し、対象者の闘争本能を刺激するその地雷スタンドは、最後までバギーカーを降りずに篭ったてゐにだけは届くことがなかった。

 そして今、助手席と後部座席に座る古明地さとりと秦こころ。
 二人はサバイバーへとモロに触れてしまった。その上で影響が垣間見られない原因の一つに、こころの『面霊気』という特性が齎す耐性がある。これは先程さとりが予想した推理がピタリ当たっていた。

 もう一方のさとり。彼女にとっても『幸運』な事に、少女の体内には『聖なるモノ』が宿っていた。
 聖人の遺体。この世の絶大なパワーの一部を宿す遺体が、少女を悪い気配から護ったのだった。

 この幸運な結果が、果たして幸福に繋がるのか。己の腹に宿る『正体』に検討もつかないさとりでは、答えを先延ばしにする事しか出来ずにいる。




「───ジョナサン・ジョースターがいつの間にか消えてる事に、気付いてた?」

 かなりの低身長ゆえ、相当苦しそうに足を伸ばしながらの運転。故に速度は控えめながら、小道を走るその車に乗り込んでいるのはてゐ、さとり、こころの三名だ。
 すぐ左手には魔法の森の木々が並んでおり、それなりに体積の広いバギーカーを走らせるにはギリギリ、といった程度の小道をてゐは探り探りに徐行運転を続けている。

「そういえば……あの乱闘に泡を食うばかりで、気付きませんでした。……あ、そこ右に曲がってます」

 体格上、仕方ない事であるが、何とかアクセルを踏み込めている体勢のてゐの視線では、運転席から前方下半部は殆ど目視できてない。従ってナビゲーターを助手席のさとりに委任し、自分は辿々しい運転に全神経を集中させていた。

「右……右ね、了解。って、この先竹林だぞオイオイ。夢遊病にしたって散歩コースは選んで欲しかったなあ」
「……では、あの乱闘はジョースターさんのDISCが原因と考えても?」
「ジョジョ曰くね。更に言えば、そのDISCを暴走させた張本人もジョジョが原因らしいんだけど」

 結局の所、今こうしててゐが無免許運転を渋々強制させられているのも、全ては我が相棒の尻拭いという事になる。まだあの場でファイトクラブに勤しみ、奴めの顔面をボコスカ殴っていた方が幸福だったのではないかと、てゐは己の幸運力に疑問を挟まずにはいられない。

 しかし、頼まれてしまった。
 あの時、ジョセフは託したのだ。
 この地獄を終わらせる。そしてこれ以上の波紋を拡げない為。
 唯一の相棒へと、事態の収束……その手段を伝えて。

(あームカつく! 考えてみれば妖狐の時だって助けてやったのは私の方からじゃんよ! 何であんな奴を『相棒』に選んじゃったんだ私は!?)

 白兎の心中に湧き上がる怒りは、決してサバイバーの影響ではない。ここで少女が無責任なる相棒へ苛立つのは、当然の権利と言えた。
 図らずも理不尽な試練に立たされたてゐ。運転する盗難車でこのまま何もかも放棄し逃亡するというのも、ひとつの選択ではあった。少なくとも以前のてゐであれば、そうする。
 それをやらない理由など、考えるまでもない。
 我が身可愛さの選択が、自分の中で既に有り得ない事柄となっている自覚。

 何にも増して最も苛立つ相手とは、己の危うく、不合理な指針。それだけの事だ。

「兎に角! 今はあのジョナサンをとっ捕まえるよ! サトリ妖怪、次どっち!」
「あ、ハイ。彼の足跡はそのままで……」

 理不尽な苛立ちをぶつけられるのは、さとりも同じである。
 消失したジョナサンを追うのに、この白銀の環境は不幸中の幸いと言うべきか。あの身長195cmの体躯から生み出される雪上の足跡は、うっかり雪山で目撃すればビッグフットか何かだと勘違いすること請け合いである。
 追う側である我々にとっては都合が良い。四苦八苦しながらハンドルを操るてゐを横目に、さとりは膨れたお腹を無意識にさすった。

(私やこころさんがあの能力の影響から逃れたのは……何か、意味があるのかしら)

 万物の起こりには必ず意味が存在する。
 家族を喪ったばかりのさとりにとって、今や自分の保身だけでも精一杯というのが現状であり、正直言って「あの巫女達を救わなければ」という気持ちはそれ程大きくない。

 だが、ジョナサン・ジョースターは例外だ。
 彼には大きな借りがあり、知らず命を救われていたさとりは、まだ彼に対し感謝の言葉も掛けられていない。
 錆に塗れ、血に濡れたこの世界において『優しさ』を忘れることは即ち、敵を増やすことに他ならない。旧地獄に逃げ、地底の溜まり場で最低限の処世術を学んださとりは、それを体験している。
 見返りを期待してでもいい。『敵』を増やすよりは『味方』を増やす事の方が遥かに建設的で、自分が傷付かない方法なのだから。

(何より……白蓮さんと約束しましたから)

 聖白蓮は決死の覚悟で紅魔館に向かった。
 ジョナサンのDISCを取り返し、傷だらけで帰還を遂げた其の場所に肝心のジョナサン本人が居なかったとあれば、留守を任された自分らは何をやっていたんだという話になる。
 無論、あの慈悲深い尼はそんな事でさとりを批難したりはしないだろう。どころか自責に苦しむさとりを至極丁寧に慰め、負傷体のまま即座にジョナサン捜索へ飛び出すくらいはやるかもしれない。

 それが、さとりには堪らなく嫌で。
 因幡てゐに協力する、自分なりの理由だった。


 前方に竹林が見えてきた。
 足跡は、林内に伸びている。このまま何事もなく事を成し遂げるという期待は、果たして楽観的であろうか。

 言い知れぬ不安が、さとりの胸中を過っていった。

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

【C-5 魔法の森 南/夕方】

【因幡てゐ@東方永夜抄】
[状態]:黄金の精神
[装備]:閃光手榴弾×1、焼夷手榴弾×1、スタンドDISC「ドラゴンズ・ドリーム」、マント
[道具]:ジャンクスタンドDISCセット1、基本支給品×2(てゐ、霖之助)、コンビニで手に入る物品少量、マジックペン、トランプセット、赤チケット
[思考・状況]
基本行動方針:相棒と共に異変を解決する。
1:何で私がアイツの尻拭いを!
2:柱の男は素直にジョジョに任せよう、私には無理だ。
[備考]
※参戦時期は少なくとも星蓮船終了以降です(バイクの件はあくまで噂)
※制限の度合いは後の書き手さんにお任せします。
※蓬莱の薬には永琳がつけた目盛りがあります。
※真昼の時間帯における全参加者の現在地を把握しました。


【古明地さとり@東方地霊殿】
[状態]:脊椎損傷(大方回復)、体力消費(中)
[装備]:草刈り鎌、聖人の遺体(頭部)
[道具]:基本支給品(ポルナレフの物)、御柱、十六夜咲夜のナイフセット、止血剤
[思考・状況]
基本行動方針:地霊殿の皆を探し、会場から脱出。
1:ジョナサンを保護。
2:ジョースター邸にお燐が居る……?
3:お腹に宿った遺体については保留。
[備考]
※会場の大広間で、火炎猫燐、霊烏路空古明地こいしと、その他何人かのside東方projectの参加者の姿を確認しています。
※参戦時期は少なくとも地霊殿本編終了以降です。
※読心能力に制限を受けています。東方地霊殿原作などでは画面目測で10m以上離れた相手の心を読むことができる描写がありますが、
 このバトル・ロワイアルでは完全に心を読むことのできる距離が1m以内に制限されています。
 それより離れた相手の心は近眼に罹ったようにピントがボケ、断片的にしか読むことができません。
 精神を統一するなどの方法で読心の射程を伸ばすことはできるかも知れません。
※主催者から、イエローカード一枚の宣告を受けました。
 もう一枚もらったら『頭バーン』とのことですが、主催者が彼らな訳ですし、意外と何ともないかもしれません。
 そもそもイエローカードの発言自体、ノリで口に出しただけかも知れません。
※両腕のから伸びるコードで、木の上などを移動する術を身につけました。
※ジョナサンが香霖堂から持って来た食糧が少しだけ喉を通りました。
※落ちていたポルナレフの荷を拾いました。
※遺体の力によりサバイバーの影響はありません。


【秦こころ@東方心綺楼】
[状態]:体力消耗(小)、霊力消費(小)、右足切断(治療中)
[装備]:様々な仮面
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らない。
1:ジョナサンを保護。
2:感情の喪失『死』をもたらす者を倒す。
3:感情の進化。石仮面の影響かもしれない。
4:怪物「藤原妹紅」への恐怖。
[備考]
※少なくとも東方心綺楼本編終了後からです。
※石仮面を研究したことでその力をある程度引き出すことが出来るようになりました。
 力を引き出すことで身体能力及び霊力が普段より上昇しますが、同時に凶暴性が増し体力の消耗も早まります。
※石仮面が盗まれたことにまだ気付いてません。
※面霊気の性質によりサバイバーの影響はありません。


【ジョナサン・ジョースター@第1部 ファントムブラッド】
[状態]:???、背と足への火傷
[装備]:スタンドDISC「サバイバー」、シーザーの手袋(右手部分は焼け落ちて使用不能)、ワイングラス
[道具]:命蓮寺や香霖堂で回収した食糧品や物資、基本支給品×2(水少量消費)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木と太田を撃破し、殺し合いを止める。ディオは必ず倒す。
1:???
2:レミリア、ブチャラティと再会の約束。
3:レミリアの知り合いを捜す。
4:打倒主催の為、信頼出来る人物と協力したい。無力な者、弱者は護る。
5:名簿に疑問。死んだはずのツェペリさん、ブラフォードタルカスの名が何故記載されている?
 『ジョースター』や『ツェペリ』の姓を持つ人物は何者なのか?
6:スピードワゴン、ウィル・A・ツェペリ虹村億泰、三人の仇をとる。
[備考]
※参戦時期はタルカス撃破後、ウィンドナイツ・ロットへ向かっている途中です。
※今のところシャボン玉を使って出来ることは「波紋を流し込んで飛ばすこと」のみです。
 コツを覚えればシーザーのように多彩に活用することが出来るかもしれません。
※幻想郷、異変や妖怪についてより詳しく知りました。
※ジョセフ・ジョースター、空条承太郎東方仗助について大まかに知りました。4部の時間軸での人物情報です。それ以外に億泰が情報を話したかは不明です。


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
『ジョセフ・ジョースター』
【夕方】B-5 果樹園小屋 跡地


「───これで、良いんだろ。徐倫ちゃんよ」
「ええ。上出来よ、ジョセフ」


 さとりとこころを拾ったバギーカーの姿はジョセフの視界からどんどん小さくなり、やがて消えた。
 満身創痍の状態でそれを見送ったジョセフは、ゆっくりと徐倫へと向き直し、再びファイティングポーズを構える。

「じゃあもういいだろ。オレに女を殴る趣味はねーし、この辺でお開きにしとこーぜ」
「……同意見、よッ!」

 言葉とは裏腹に、雪を滑走路にして徐倫は踏み込んだ。鋭い前蹴りがジョセフの鼻先1cmを掠め、思わずスリップしそうになる。
 縺れる足を組み直し、ジョセフは闘志に燃える徐倫からすぐに距離をとる。彼女の瞳からは、未だに戦意の炎は途絶えていなかった。

 頭でもおかしくなりそうなこの状況、その原因。
 ジョナサンの額に吸い込まれたDISCの回収が、異変を収める手段。
 突発的な闘気に支配されながらも、徐倫はそれらの説明をジョセフへと伝えた。無論、拳を飛ばしながらだ。
 因幡てゐに全てを託すジョセフの行動は、徐倫を端としていた。どうやらサバイバーの影響下であっても、完全に正気を失うわけではないらしい。
 つまり徐倫は、残ったなけなしの理性でサバイバー攻略に打って出たのだ。後はてゐ達次第。自分に出来ることはこれ以上ない。

「じゃあもういいだろうがッ! こっち来んじゃねーよ、アブねー女だな!?」
「アタシもずっとイラついてたのよね。悪いけど、ストレス発散に付き合ってくれる?」

 徐倫の言う『ストレス』が、父・承太郎の死亡と博麗霊夢の存在にある事は、ジョセフの知るところでは無い。
 暴れ回るナイフの刃と化した徐倫を鎮める手段は、ジョセフにもある。

 波紋だ。
 マトモな生物がこれを喰らえば、大抵一発で幕引きとなる。ジョセフは格闘の合間合間に、相手へこれを流す好機を窺っていた。


 これも当然、ジョセフの知るところでは無い事実だが。
 人を強制的に闘争状態へ落とし込むサバイバー。ジョセフにその影響が比較的薄いのは、その『波紋』がプラスに作用していたからである。
 柱の男との決戦の為、師から尻を叩かれながら完遂した波紋の修行は、常時波紋の呼吸を習慣付ける癖を修得させた。
 全く偶然の産物である。雪を通じて体内に流れんとするサバイバーの電気信号は、修練を積んだ波紋使いの『無意識の波紋呼吸』によって阻害されていた。
 微弱に流れる波紋が、ジョセフに忍び寄る信号を僅かにだがカットさせている。この効能によって、ジョセフの正気は完全ではないにしろ、それなりに保てていた。

 本来ならてゐに付いて行く役割は自分なのだろう。しかしこのサバイバーの魔力は相当に厄介で、ひとたび体内へ侵入を許したなら、時間経過以外による方法での自力復帰は不可能に思える。
 少量とはいえ影響を受けてしまったジョセフが、てゐ達の傍に居座る状況はあまり適切な判断とも言えなかった。

(もどかしいぜチクショー! DISC回収して早く帰って来てくれよ……てゐちん!)


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

【B-5 果樹園小屋 跡地/夕方】

【ジョセフ・ジョースター@第2部 戦闘潮流】
[状態]:半闘争状態、顔面流血、胸部と背中の銃創箇所に火傷(完全止血&手当済み)、てゐの幸運
[装備]:アリスの魔法人形×3、金属バット、焼夷手榴弾×1、マント
[道具]:基本支給品×3(ジョセフ、橙、シュトロハイム)、毛糸玉、綿、植物油、果物ナイフ(人形に装備)、小麦粉、香霖堂の銭×12、賽子×3、青チケット
[思考・状況]
基本行動方針:相棒と共に異変を解決する。
1:取り敢えずは徐倫らの沈静化。
2:カーズから爆弾解除の手段を探る。
3:こいしもチルノも救えなかった……俺に出来るのは、DIOとプッチもブッ飛ばすしかねぇッ!
4:シーザーの仇も取りたい。そいつもブッ飛ばすッ!
[備考]
※参戦時期はカーズを溶岩に突っ込んだ所です。
※東方家から毛糸玉、綿、植物油、果物ナイフなど、様々な日用品を調達しました。この他にもまだ色々くすねているかもしれません。
※因幡てゐから最大限の祝福を受けました。
※真昼の時間帯における全参加者の現在地を把握しました。


【空条徐倫@ジョジョ第6部 ストーンオーシャン】
[状態]:闘争状態、顔面流血、体力消耗(中)、全身火傷(軽量)、右腕に『JOLYNE』の切り傷、脇腹を少し欠損(縫合済み)
[装備]:ダブルデリンジャー(0/2)
[道具]:基本支給品(水を少量消費)、軽トラック(燃料70%、荷台の幌はボロボロ)
[思考・状況]
基本行動方針:プッチ神父とDIOを倒し、主催者も打倒する。
1:アタシが最強だァァーーーッ!!
2:FFと会いたい。だが、敵であった時や記憶を取り戻した後だったら……。
3:しかし、どうしてスタンドDISCが支給品になっているんだ…?
[備考]
※参戦時期はプッチ神父を追ってケープ・カナベラルに向かう車中で居眠りしている時です。
※霧雨魔理沙と情報を交換し、彼女の知り合いや幻想郷について知りました。どこまで情報を得たかは後の書き手さんにお任せします。
※ウェス・ブルーマリンを完全に敵と認識しましたが、生命を奪おうとまでは思ってません。
※人間の里の電子掲示板ではたての新聞記事第四誌までを読みました。


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
『博麗霊夢』
【夕方】B-5 果樹園小屋 跡地


(てゐ達は……行ったわね。後は私自身、だけども)

 静かに。
 流れる水のように自然体で立つ霊夢。
 冷静でいられる自分と、衝動に身を任せたい自分。
 相反する二人の己の境界で、彼女は自分に起こる異変へと冷静な分析を終えていた。
 そして、あくまで心の内のみで冷静であった部分も。

「どうしたのよ、魔理沙。私が気に入らないのでしょう?」

 次の瞬間には、激情を拳に乗せて目前の友人へと打ち込んだ。魔理沙は頬を打ち抜かれ、そのまま紙屑のように雪の上を転がる。
 かなりの力を込めなければ、今の魔理沙の様に吹き飛んだりしない。負傷状態であるにもかかわらず、霊夢は少女の身で人間一人を思い切りに殴り飛ばしたのだ。
 痛みはない。疲労も、この状態ではまるで感じない。羽が生えたみたいだと、皮肉気味に霊夢は笑った。

 喧嘩なんかしている場合ではない。先程、霊夢自身が魔理沙へ放った台詞だ。

「ク、ソ……っ! 畜生、やりやがった、な……!」

 それでも、仕方ないではないか。
 魔理沙の方から立ち上がり、しつこく向かって来るのだから。

 だから〝仕方ない〟。
 霊夢が友へと手を出すのは、それだけの理由であり。
 それだけで十分だとも、思えた。

「アンタ、勘違いも甚だしいわよ。私は別に、死んだジョジョを今更どうこう思ったりしてない」
「ハァ……ハァ……。私には、そうは思えんけど、な……っ」
「しつこいわね。それって、嫉妬?」
「うる、さいッ!」
「見苦しいわね」


 尚も土を蹴り、駆け出してくる魔理沙へと。

 霊夢はあくまで、静かに。

 精神の内では、激情に身を任せて。

 理由の無い暴力に縋り、浸り。

 傷付いた心を、ひたすらに慰めていた。


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

【B-5 果樹園小屋 跡地/夕方】

【博麗霊夢@東方 その他】
[状態]:闘争状態、体力消費(大)、胴体裂傷(傷痕のみ)、左目下に裂傷
[装備]:いつもの巫女装束(裂け目あり)、モップの柄、妖器「お祓い棒」
[道具]:基本支給品、自作のお札(現地調達)×たくさん(半分消費)、アヌビス神の鞘、缶ビール×8、不明支給品(現実に存在する物品、確認済み)、廃洋館及びジョースター邸で役立ちそうなものを回収している可能性があります。
[思考・状況]
基本行動方針:この異変を、殺し合いゲームの破壊によって解決する。
0:
1:有力な対主催者たちと合流して、協力を得る。
2:1の後、殲滅すべし、DIO一味!!
3:フー・ファイターズを創造主から解放させてやりたい。
4:『聖なる遺体』とハンカチを回収し、大統領に届ける。今のところ、大統領は一応信用する。
5:出来ればレミリアに会いたい。
6:徐倫がジョジョの意志を本当に受け継いだというなら、私は……
[備考]
※参戦時期は東方神霊廟以降です。
※太田順也が幻想郷の創造者であることに気付いています。
※空条承太郎の仲間についての情報を得ました。また、第2部以前の人物の情報も得ましたが、どの程度の情報を得たかは不明です。
※白いネグリジェとまな板は、廃洋館の一室に放置しました。
※フー・ファイターズから『スタンドDISC』、『ホワイトスネイク』、6部キャラクターの情報を得ました。
ファニー・ヴァレンタインから、ジョニィ、ジャイロ、リンゴォ、ディエゴの情報を得ました。
※自分は普通なんだという自覚を得ました。


【霧雨魔理沙@東方 その他】
[状態]:闘争状態、右手骨折、体力消耗(小)、全身に裂傷と軽度の火傷
[装備]:スタンドDISC「ハーヴェスト」、ダイナマイト(6/12)、一夜のクシナダ(60cc/180cc)、竹ボウキ、ゾンビ馬(残り10%)
[道具]:基本支給品×8(水を少量消費、2つだけ別の紙に入っています)、双眼鏡、500S&Wマグナム弾(9発)、催涙スプレー、音響爆弾(残1/3)、スタンドDISC『キャッチ・ザ・レインボー』、不明支給品@現代×1(洩矢諏訪子に支給されたもの)、ミニ八卦炉 (付喪神化、エネルギー切れ)
[思考・状況]
基本行動方針:異変解決。会場から脱出し主催者をぶっ倒す。
1:博麗霊夢が気に食わない。
2:何故か解らないけど、太田順也に奇妙な懐かしさを感じる。
[備考]
※参戦時期は神霊廟以降です。
※徐倫と情報交換をし、彼女の知り合いやスタンドの概念について知りました。どこまで情報を得たかは後の書き手さんにお任せします。
※アリスの家の「竹ボウキ@現実」を回収しました。愛用の箒ほどではありませんがタンデム程度なら可能。やっぱり魔理沙の箒ではないことに気付いていません。
※人間の里の電子掲示板ではたての新聞記事第四誌までを読みました。
※二人は参加者と主催者の能力に関して、以下の仮説を立てました。
荒木と太田は世界を自在に行き来し、時間を自由に操作できる何らかの力を持っているのではないか
参加者たちは全く別の世界、時間軸から拉致されているのではないか
自分の知っている人物が自分の知る人物ではないかもしれない
自分を知っているはずの人物が自分を知らないかもしれない
過去に敵対していて後に和解した人物が居たとして、その人物が和解した後じゃないかもしれない


196:COUNT DOWN “ONE” 投下順 198:Run,Araki,Run!
193:黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』── 時系列順 199:紅の土竜
190:Who・Fighters 博麗霊夢 201:Яessentimənt
190:Who・Fighters 霧雨魔理沙 201:Яessentimənt
190:Who・Fighters 空条徐倫 201:Яessentimənt
190:Who・Fighters ジョセフ・ジョースター 201:Яessentimənt
190:Who・Fighters 因幡てゐ :[[]]
190:Who・Fighters 古明地さとり :[[]]
190:Who・Fighters 秦こころ :[[]]
190:Who・Fighters ジョナサン・ジョースター :[[]]

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最終更新:2020年08月16日 01:50