解放軍はレダの古城に集結中だった。レダ地方の教国の主力軍を倒した今では、他の自由都市が独立するのは目に見えている。解放戦争はおわったのだ。
だがそう思ったのも束の間、地をも揺るがす振動が古城を襲った。解放軍が外に出た時、全ての者が死を感じた。レダの守護聖竜クラニオンが彼らに襲いかかろうとしていた。クラニオンはサリア・レダ戦争の際、不利になったレダ国王が娘のティータを聖竜クラニオンにさせ、サリア王国を滅亡させた。しかしその後もクラニオンは止まらず、レダ王国も滅ぼし緑豊かな地を魔獣の住む地へと変貌させてしまった。このことから魔竜クラニオンと呼ばれ恐れられていた。クラニオンのブレスには何人も対抗できず灰になっていた。グラムド・アーレスなどは全軍をレダ地方より撤退させ、クラニオンと対峙した。仲間を逃がすために残ったのはグラムド、アーレス、ロファール、テムジン、ヨーダ、ヴァルス、マイオス、ナリス、オクトバス、アンドレ、エーゼンバッハ、アフリードの12人だった。彼らの能力は常人を超えていたもののそれは魔竜の前では無力に等しかった。ゾーアの魔剣士と呼ばれたヨーダの飛竜の技でさえも聖竜のウロコにはかすり傷さえなかった。オクトバスやエーゼンバッハの魔法も全く効果をあげる事ができなかった。ただ彼らが時間を稼いだおかげで、全軍がレダの谷を離脱することに成功した。しかし彼らは逃げることが出来なかった。クラニオンを落ち着かせなければ、レダ地方に真の平和はないと思ったからである。彼らは決死の総攻撃を始めたグラムド・アーレスの連続攻撃、テムジン・ヨーダの連続の竜聖の技、ロファール・ヴァルスの力攻め、マイオスのスターライト、オクトバスのサンフレイム、エーゼンバッハのヴンダーガストと普通の軍隊なら一気に滅ぶ技をクラニオンに与えようとしてもほとんどダメージを与えることが出来なかった。ただクラニオンにもさすがに疲労の影が見えた。この機に更なる攻撃をしようとする12人にクラニオンの灼熱のブレスが炸裂した。この中でアフリードがその炎に巻き込まれ、瀕死の重症を負う。ワープを使い彼が離脱した直後、クラニオンの第二撃が11人を襲った。何とかかわしたところでグラムドとアーレスはクラニオンの口をめがけて突進した。そして二人はクラニオンの口の中でヨーダに習った飛竜の技を炸裂させた。口の中ではさすがにウロコに覆われていないため大ダメージを与えることが出来た。何とか弱点を見つけた11人はそこに総攻撃を仕掛けた。激痛に襲われる魔竜は体を地面に何度も打ち付け彼らを外に追い出した。そして怒りに燃える魔竜は今まで無かった大火球を11人に放った。11人は予想外の攻撃をまともに受け、ほぼ全員気絶した。唯一起きていたのはグラムドとア―レスだった。だがその体も火球を受け大火傷を負っていて立っているのもやっとだった。
「くっ!やはり魔竜だぜ。口の中を傷つけたってのにまだあんな火球吐いてるぜ。」
「いや、よく見ろ、首の辺りを。さっき俺らを追い出すために地面に叩きつけた部分のウロコが剥がれているんだ。あそこなら・・・」
「よし、わかったぜ」
二人は残る力を振り絞ってクラニオンに迫った。二人はクラニオンの首を軸にして対称の位置に立った。そしてこの戦争中に二人で作った連携技を放った。
『喰らえ魔竜クラニオン、天聖剣一閃』
天聖剣とは敵の生命力を奪い取る「天聖の技」を取り込んだ剣技である。グラムドとアーレスは二人とも天聖の技を持っていたのでこの合体技に挑んだのであった。そして二人の最強剣技を受けたクラニオンの首からはおびただしい量の血が出てきた。そしてクラニオンはその場から撤退していった。魔竜クラニオンは負けたのだ。二人は気絶した9人を介抱してからレダ地方から出て、リグリア砦に戻っていった。彼ら11人が戻ると砦は歓喜の嵐に襲われる。ここにようやくレダ解放戦争が終結したのであった。だがエーゼンバッハの息子であり魔竜クラニオンを止めようとしたアフリードの所在はつかめなかった。剣技の達人テムジンはエリアルの地へ、魔剣士ゾーアは故郷のイル島へ、火の神官家・オクトバスは傷心のエーゼンバッハと共にカナンの火の神殿へ、水の神官家マイオスとナリスはリーヴェのリムネー近郊にある水の神殿へ、ウエルト王子ロファールはリーザを連れてウエルトへ、そしてカナンの王子・アーレスは母国カナンへ、グラムドは親友のヴァルスと共にラゼリアまで帰っていった。後にこのクラニオンを倒した12人は十二英雄と呼ばれた。彼らの活躍は後の英雄たちに多大な影響を与えた。