ノルゼリアでの両国の代表であったグラムドとアーレスの死により戦争を止めるものがいなくなり、カナン・リーヴェ戦争は再び激しくなっていった。戦争にはあまり関係の無くなった神官家ではノルゼリアの出来事がガーゼル教国の引き金では無いかと、疑っていた。そこで火の神官家・オクトバスと風の神官家・エーゼンバッハは悲劇の地ノルゼリアへ訪れた。二人は何かグラムドとアーレスの残したものはないかと探っていた。その時、日の光に反射した一筋の光が彼らのもとへ差してきた。それは紛れもなくグラムドとアーレスの剣であった。そこには『メーヴェ』と血でつづられていた。二人もまたマイオスよりメーヴェのことを知っていたので、やはりグエンカオスが彼女を操っていたことがわかった。二人はカナンの神殿に戻り、メーヴェと聖竜にするリングオブリーヴェを取り戻すべく作戦を立てた。しかしどう考えようにもいい作戦が思いつかなかった。それはグエンカオスの持つ暗黒魔法ザッハークの凶暴性にあった。ザッハークは今まで封印されていたものの大賢者モースの弟子であったグエンカオスが教えに逆らい自分のものにしたのだった。そしてその魔法は威力こそ無いものの喰らったが最後、体が全く動けなくなるという。これに対抗するにはユトナの聖剣か光魔法プレリュードしかなかった。そんなグエンカオスのもとからメーヴェとリングオブリーヴェを取り戻さなければならない。だが二人には時間が無かった。このままにしておけば再びミュースが破壊を繰り返してしまう。
二人は決死の覚悟で暗黒神殿へと向かった。そこは数々のモンスターが徘徊して、毒の沼地が広がる、まさに地獄であった。二人は必死に奥へと向かった。奥まで行くと、青髪の少女が泣きながら牢屋の中で座っていた。それはまさにメーヴェであった。
「メーヴェ殿!」
その少女はオクトバスの問いに反応して顔を上げた。
「誰?」
「火の神官家のオクトバスと申します。今は時間がない。事情はここを脱出する間に話す。いまはここを脱出するんだ。」
「ハイ!」
オクトバスの火魔法により牢屋の一部が解け、そこを伝ってメーヴェは牢屋から抜け出た。
「ククク、老人たちのお出ましですか。」
そういいながらグエンカオスが現れた。
「グエンカオス!!ク、もう出てきたか?」
「フ、四賢者の時代などもう終わっておる。これからはガーゼルの時代じゃ。さぁ死ね。」
暗黒魔法ザッハークがオクトバスを襲った。
「エーゼン、今のうちに行け。お前が彼女を助けるのだ。」
そう伝えたオクトバスは時間を稼ごうとグエンの前に立ちはだかる。意を決したエーゼンはメーヴェを連れて、急いで暗黒神殿を出た。だがグエンの手先である暗黒騎士団がその出口で待っていた。もう最後かと思った時、強力な風魔法が彼らを襲った。その魔法の軌跡を読んだエーゼンバッハは
「まさかアフリードか?」
と感じた。だが姿は見えない。やむを得ずそのままガーゼル神殿から脱出したエーゼンバッハはその後も逃げつづけ、ウエルトのマルス神殿に落ち着くようになった。温暖で落ち着いた国であったことがメーヴェを落ち着かせていた。だが彼女も覚醒してノルゼリアで起こったことを思い出すようになった。そのたびにエーゼンと彼の孫だったマルジュは彼女を守りつづけた。そしてある日、エーゼンが彼女を呼ぶ。
「老師様、なにか用でしょうか?」
「うむ、このごろそなたの様子が変なのが気になってな。」
「! ええ、やっぱりノルゼリアのことが・・・」
「やはりそうか。メーヴェ、いい考えがあるんだ。そなたのメーヴェという名前を変えて新しい名前を付けて新たな気分で生きてみないか?」
「え、でもメーヴェという名は・・・・」
「なにも捨てるわけではない。時が来れば、戻せばいいのだ。
「わかりました。」
しばらく考えた末にメーヴェは自分の名前をエンテと言う名前にした。
「私、『エンテ』にします。」
「うむ、良い名前だが、それはどこから来たのかね?」
「私にもわかりません。ただ何となくその言葉が頭に浮かんだので、この名前にしました。」
「まぁ仮の名前じゃからいいだろう。マルジュにもしっかり伝えておくのだぞ。」
「ハイ」

彼女のその時の笑顔はラゼリアの時となんら変わっていなかった。
こうしてメーヴェ改めエンテの人生が始まった。彼女はシスターとして多くの人々の命を救うようになった。そしてこれが運命の出会いを呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

最終更新:2011年07月07日 02:29