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Cグループ第二話『航海』


今回予告

―巨大生物との戦いからおよそ十日。サニー村に残るヨハンたちの下に、単身アサギへと向かったサラサが戻って来た。
どうなったのかと尋ねるヨハンたちに対し、村人の安全は確保されたとしながらも、サラサは思わぬことを口にするのであった―

ハンドアウト

  • PC⑤用ハンドアウト
君はカイナの富豪の家で、その跡取り息子に仕えている。
その跡取り息子が(一方的に)愛するリアノがいなくなってしまった。
君は彼に命じられ、彼女の消息を探す羽目になってしまったのだ……
アシタ・ジュード

登場人物

PC


ブーストとその仲間たち

アサギ太守。その賢明な統治のおかげか、アサギ近郊ではハーテン教徒や族による反乱は起きていない。
カズネの提案を受け入れ、ホウエンから戻ってきたサラサにタンバ島の守備を命じる。

ブーストに仕える行政官。柔和な顔立ちで品の良い女性だが、その手腕は見事なものである。
増える一方の難民の居住区として、タンバ島の開拓を提案する。

アサギ近郊で牧場を営む男性。フライングバッファローすらも飼っているというその才を買われ、
ブースト軍にタンバ島での牧畜に関する意見を求められる。

  • バアム・クーヘン(ヒューリン、男性)
アサギの高位神官。40代くらいのナイスミドル。サニー村の人々を輸送すべく、サラサと共にサニー村へと向かう。
意外と好奇心があり、特に食にかける思いは強い。

その他

  • マリアンナ(エルダナーン、女性)
ヨハンの師匠。一応錬金術師としてニューキンセツで働いていたが、その実は魔術師か武道家であったとヨハンは語る。
酔った勢いで、多数の憲兵を一方的に倒したことがあるらしい。

  • パリス(ヴァーナ(アウリク)、女性、18歳)
サニー村の村長であったマイケルの娘。彼の死により、その後を継いで村長となった。
だが、まだ若い彼女を頼りないと思う村人も多く、グレンにその補佐を頼む。

  • オクタヴィウス・グラディアル(ヒューリン(ハーフドラゴネット、アンスロック)、男性)
カイナの富豪の跡継ぎ息子。リアノに一途な思いを抱いており、突如として姿を消したリアノを探すべく
お気に入りの部下、アシタに彼女を探すよう命じる。

  • ゲイム・ウォッチ(ヒューリン、男性)
謎の老人。突如としてヨハンの前に現れ、自らの手駒となるよう求めた。
切られたり魔術を受けて首が取れたりしても、平然と話し続ける不気味な人物。

  • シャギア(ヒューリン、男性)
タンバ島南部に拠点を置く海賊「カテゴリーエフ」の親分。ヴァサーゴという名前のワイバーンを連れる。
ゲイムとの「取引」により部下たちを連れタンバ島北部のブーストたちの拠点を襲撃する。

  • オルバ(エルダナーン、男性)
シャギアの義兄弟で、彼を兄さんと慕う魔術師。「カテゴリーエフ」の参謀格。
シャギアと共にタンバ島北部のブーストたちの拠点を急襲する。

セッション内容

サニー村へと続く道を進みながら、アシタはどうしてこんなことになってしまったのだろうと思い返していた。思えば数日前、オクタヴィウス坊ちゃまに呼び出されたことが全ての元凶であった。坊ちゃまはリアノという一人のヴァーナの名前を上げると、彼女がいかに愛らしいかを語り、その婚約者たる自分の許可なしにリアノがカイナからいなくなったことを告げた。アシタは婚約してるのはお前の頭の中だけだろう、と思っていたが、彼に取り入ることはすなわち出世につながることも理解していたので、とりあえずおだてることにした。それが不味かった。おだてに乗った坊ちゃまはアシタにリアノ探索を命じたのである。心の底から面倒だとアシタは思ったのだが、そんなことを言ってしまっては自分の首がどうなるか分からない。しかたなくアシタはリアノを探索すべく乗り出したのであった。
一方その頃、サラサに頼まれサニー村に残っていたグレンは頭を抱えていた。いくら彼がヨハンとリアノよりは話が通じる人間とは言え、彼は旅のからくり士である。ゼンマイガーをいじりながら日々を暮らすのが彼の幸せである。その彼が、ここ数日間、ゼンマイガーの調整もろくに行えない様な状況に陥っていたのである。理由は簡単なことであった。新たに村長となったパリスは、前村長のマイケルと違って武芸に覚えがない。にもかかわらず、このサニー村はつい先日キンバリーが作ったであろう巨大生物と、ハーテン教徒たちに襲われたばかりだ。多くの村人はまたハーテン教が襲ってくるという不安に駆られている。そんな中、巨大生物を倒した四人のうち三人がこの村に残ってくれている。パリスとしてはその三人の中で最も頼りになりそうなグレンに協力を仰いだのだ。幸か不幸か、グレンはそんなパリスの気持ちを痛いほど理解してしまった。確かに、俺しかいないな。グレンはため息をつくとパリスに協力を約束し、結果として村中を奔走することになってしまったのであった。
そんなグレンからゼンマイガーを頼まれたのはヨハンであった。村では何かと白眼視されがちなヨハンは、日中は村から離れ、キンバリーの研究所があったあたりでゼンマイガーと共に行動していることが多かった。そんなヨハンがゼンマイガーを磨いていると、背後に人の気配が現れた。その人物は、ゲイムと名乗ると、取引を持ちかけてきた。ヨハンの師匠、マリアンナに彼を会わせる代わりにその身を自由に操らせてもらえないか、と。ヨハンは鼻で笑うと、愛用の赤き斜陽の剣でゲイムに切りかかった。ゲイムは切られるも、全く異に解することなく、更に告げた。断ると、この村人たちに悲劇が起こるかもしれない、だが君を自由に操らせてもらえるなら、それを防ぐように努力しようと。ヨハンは切られながらも平然と話すゲイムに内心動揺しながらも、それも一笑に付した。ゲイムはなら仕方ない、と述べると思いのほかあっさり引き下がった。もし気が変わったらいつでも言ってくれ、と。ヨハンはそのまま去ろうとするゲイムを呼びとめると、不意を突いてウォータースピアをゲイムに撃ちつけた。直撃を受けたゲイムの首が取れ、吹っ飛ばされるのをヨハンは見たが、ヨハンの不安はとれなかった。
ヨハンがゲイムと邂逅している最中、リアノは村人から不審な人物が村の近くにいるとの連絡を受けた。その場に急行したリアノは、どこかで見たようなアウリルが一人、村の様子をぼーっと眺めているのを発見してしまった。なぜ、あのストーカー坊ちゃんの手下が。そう思いながら、とりあえずアシタを村から追い払おうと、鞭で攻撃を仕掛けるが、その攻撃を何となく察知していたアシタに、辛うじてかわされてしまう。ちっとどす黒い殺意を向けるリアノに対し、アシタは胡散臭い大仰な身振りで自らの潔白を主張すると、坊ちゃまからの要件を告げた。リアノはとりつく島もない様子であったが、ここですぐ帰ってしまっては昇給に響くと考えたアシタはまた次の日にでも説得しようと思うのであった。
一方、単身アサギに戻ったサラサは、ブーストに事の次第を告げていた。ブーストはサラサらしい行いに苦笑しながらも、巨大生物の話をすぐに伝えてもらえたのは大きいとしてサニー村の人たちのことは何とかしようとサラサに告げる。胸をなでおろすサラサに、ブーストと、先ほどまでブーストと話し込んでいた行政官、カズネは代わりの頼みごとをするのであった。カズネによれば、このまま増え続ける難民たちをどうにかしないとアサギの財政は破綻してしまうとのことであり、その対策としてアサギにほど近いタンバ島への入植を行うとのことであった。既に先遣隊は向かっており、まもなく入植が開始される。そこで、その守備隊を率いてほしいというのがブーストたちの頼みであった。サラサは同意すると、アサギの高位神官であるバアムを連れてサニー村へと戻って行った。
サラサがサニー村に到着すると、そこでは二人の人物が言い争っていた。片方は胡散臭い話し方をするアウリル。もう一人はあのヨハンであった。アウリルも胡散臭いが、ヨハンも同じくらい疑わしい。そう考えたサラサが強引に仲裁に入ろうとした時、事態をさらにややこしくさせる人物が現れた、リアノだ。リアノはアシタがストーカーの仲間だと告げ、どうにかして欲しいとサラサに告げる。どす黒い殺気を再び感じたアシタが懸命に釈明を試みるが、サラサには通じず、結局横にいたバアムと慌ててやってきたグレンやパリスの仲裁により、どうにか収まったのであった。
サニー村のことはこれで一件落着か、と思った一行であったが、代わりにカズネから提案を受ける。タンバ周辺には海賊が何組かいるらしく、その掃討を行いながら船でタンバへの安全な海路を見つける手伝いをして欲しいとのことであった。お人好しのグレンと友情に厚いリアノがあっさり同意をしてしまったので、ヨハンとアシタも引きずられる形となり、一行はタンバへの航海に乗り出すこととなった。
この航海は一行、特にアシタにとっては苦難のものとなった。一行が出港してからさほど経たないうちに、海があれ始めたのである。船になれない一行は軒並み船酔いになってしまう。中でもサラサとアシタはひどく、この航海の大半を船室で過ごすことになったのであった。ヨハンとグレンも軽度の船酔いに苦しむ中、一人リアノは船の揺れを意に介すことなく、皆がダウンして暇だということもあって船員たちから船の技術を学び始める。意外にもリアノは船乗りとしての才能があったらしく、見るみる技術を習得していった。その才覚が船長の目にとまり、最終的には船の操作までも任され始める様になるのはそう遠くない未来のことである。
さておき、どうにか船のあれが収まったことで船酔いから立ち直ったヨハンは、海の上で一人の少女が泣いているよくわからない光景を目撃してしまう。えっと思いながら、とりあえず少女を攻撃したヨハンは、その少女、すなわちバンシーの怒りを買ってしまう。しばらくの間船の上に泣きわめく怪しい少女がでることとなったのはすべてこの男のせいだが、本人が名乗り出なかったためその真実は永久に闇へと葬り去られることとなった。さておき、一行の受難は続く。バンシーが飽きてようやくその姿を消すと、再び海があれ始めた。どうにかそれをかいくぐり、島へと到着した一行はそこに上陸。船酔いと縁のないリアノを除いた一行は固い地面の上で軒並み胸をなでおろすのであった。だが、そんな一行の前に野生の大猿が襲いかかってくる。これをいなした一行は再び船に乗り―即座にサラサとアシタはダウンした―タンバを目指す。次に一行に襲いかかったのは大雨であった。リアノを除きヘろへろになった一行はタンバの島が近付いてきたとの情報に歓喜するのであった。一方、この三日間の船旅ですっかり船員側の人間になってしまったリアノは、船長と船の操縦について語り合っていた。船に乗って三日ではあるが、あまりにも板についた操縦技術もあって、冗談めかせて彼女をキャプテンと呼ぶ船員も現れるほど、リアノの操船技術は見事なものになっていた。そんな二人は、タンバ、ブーストたちが入植を進めているあたりに小型船が何艘も向かっているのを目撃する。更に、ワイバーンが上空を飛んでいるのを目撃したことにより、彼らはこの小型船がどこの船だか理解した。タンバ島周辺をあらしている海賊、カテゴリーエフである。
ちょうどサラサたちが船に乗り始めたころ、カテゴリーエフの拠点にゲイムが訪れていた。ゲイムは例の「取引」によってシャギアとオルバを操り、ちょうど彼女たちの到着を待ってタンバ島北部、ブーストたちが街を作っているあたりを強襲させたのである。
二艘の船が反転してサラサたちに襲いかかるが、どうにかこれをいなし、街の入り口近くでシャギアとオルバに追いつくことに成功する。
アシタは持ち前の勘の良さでオルバの危険性を即座に見抜くが、オルバの前には海賊たちが多く、近寄るのが骨であった。だが、なんとかしないとと考えたアシタはヨハン、サラサとリアノの三人に海賊たちを蹴散らし、オルバをすぐにでも倒すよう頼む。三人は見事に海賊を蹴散らし、オルバに肉薄することに成功する。その間、飛んできたシャギアとワイバーンの攻撃はゼンマイガーが身を呈して守り、オルバの放ったヨルムンガンドはヨハンの指輪が作りだした壁が受け止めていた。さらにオルバがヨルムンガンドを放とうとした際はリアノの放つ鞭がそれを止めることに成功したが、彼らは徐々に消耗してきており、ワイバーンの攻撃を受けアシタがついに倒れてしまう。オルバを先に倒してくれ。そう言いながらアシタは倒れた。アシタにまだ息があることを確認したサラサは心の中で安堵しながら、オルバに刀を向ける。胡散臭い奴ではあるが、悪い奴ではない。共に船室で倒れていたこともあってか、この二人は思いのほか仲良くなっていたのである。アシタが倒れた直後にヨハンとオルバが魔法をぶつけ合う。ヨハンが受けたヨルムンガンドの一撃は、本来ならとても耐えきれるようなものではなかったが、面白いからとゼンマイガーに取り付けた呪符機能により投射された一枚の呪壁符の力で、奇跡的に彼はたっていた。オルバはよくもヨハンもと勘違いしたサラサの怒りの一撃で倒れ、生き残ったものの毒で死にかけたヨハンは大急ぎでグレンから投げつけられた万能薬により一命を取り留める。オルバとワイバーンが倒れ、一人残されたシャギアはヨハンとリアノをどうにか倒しはしたものの、やはりサラサの一撃の前に沈むのであった。
カテゴリーエフの襲撃から数日後、本格的にタンバ島への入植がはじまった。同時にこれは、彼ら五人にとって別れともなった。サラサは島と同じ名前をつけられた入植地、タンバの守備隊長となることが決まっている。行政官として赴任するカズネと共に、当分は忙しい日々が続くだろう。奇跡的に生き残ったアシタは坊ちゃまに報告を告げるべく、カイナにひとまず戻ることにした。もし万一のときは、リアノはセキエイにいる、そう告げてくれと頼まれている。命の恩人の頼みならしょうがないな、とアシタは笑いながら同意した。ヨハンとグレンはマリアンナとキンバリーの足取りを追うべく、共に行動する道を選んだ。最初の目的地は、グレンとキンバリーがかつて共に所属していた、タマムシ大学だ。教授に聞けば、放校処分後のキンバリーの足取りが追えるかもしれない。そう思いながら。そして二月後、年明け早々のころリアノはカズネからの依頼を受けタンバ島南部、ちょうどカテゴリーエフが拠点としていた港にやってきた。今回の航海により船長に才を認められたリアノはこの二カ月船乗りとして修業を積み、大きくはないが、船を一つ任されることになったのだ。いずれは海賊王になるのも面白いかな。そう冗談めかせたことを思いながら、リアノは海に乗り出すのであった。
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