** スカンダ スカンダ(Skanda)は、[[ヒンドゥー教]]の軍神であり、戦闘や勝利を司る神として崇拝されています。 南インドでは特に「ムルガン(Murugan)」という名前で広く信仰されており、タミル文化において非常に重要な存在です。 ---- #contents() ---- *** 概要 スカンダは[[ヒンドゥー教]]における軍神として、戦いや勝利を象徴する存在です。 その複雑な誕生譚や英雄的な活躍は、多くの人々に愛されてきました。特に南インドでは文化的・宗教的な象徴として深く根付いており、その影響は東南アジアや仏教にも広がっています。 **** スカンダの特徴 :家族関係| - 父: [[シヴァ]](破壊と再生の神) - 母: [[パールヴァティー]]([[シヴァ]]の妃)もしくは[[ガンガー]](ガンジス川の女神)とされる場合もある - 兄弟: [[ガネーシャ]](知恵と障害除去の神) :外見| - 六つの顔と十二本の腕を持つ姿が一般的で、「シャンムガ(六つの顔を持つ者)」という異名を持つ - 騎獣(ヴァーハナ)は孔雀で、[[悪魔]]や邪悪を踏みつける象徴とされる :異名| - 「カルティケーヤ」: 六すばる星(クリティカ星)の息子 - 「クマーラ」: 若い王子を意味する - 「スブラフマニヤ」: 南インドで特に呼ばれる名前 **** スカンダの誕生と神話 :1. 誕生| - スカンダは悪魔ターラカを倒すために神々によって生み出されました - 彼は[[シヴァ]]と[[パールヴァティー]]のエネルギーから生まれたとも、火神アグニと聖なるガンジス川が関与しているとも伝えられます - 神話によれば、火神アグニが聖仙たちの妻に恋心を抱いた際、そのエネルギーが黄金の山に注がれ、そこからスカンダが誕生したとされています :2. 六面十二臂の理由| - スカンダは6人兄弟として生まれましたが、母[[パールヴァティー]]が彼らを強く抱きしめたことで一体化し、六つの顔と十二本の腕を持つ姿になったという伝説があります :3. 軍神としての活躍| - スカンダは幼少期から非常に強力で、生後4日で悪魔ターラカを討伐しました - その後、[[インドラ]]に代わり神々の軍勢の最高指揮官となりました - また、[[インドラ]]との競争や確執も描かれており、互いに力を競い合うエピソードもあります :4. 孔雀との関係| - スカンダは孔雀を騎獣としており、この孔雀は悪魔スーラパドマとの戦いで得たものです - 孔雀は勝利と美しさの象徴です **** 信仰と現代 :南インドでの信仰| - スカンダ(ムルガン)はタミル文化圏で特に重要視され、多くの寺院が彼に捧げられています - 代表的な寺院として「パランガニ・ムルガン寺院」や「ティルチラーパッリ近郊のパランマライ」が挙げられます :祭り| - 毎年行われる「タイプースム」という祭りでは、多くの信者がスカンダへの献身を示し、苦行や祈りを捧げます :東南アジアへの広がり| - スリランカやマレーシア、シンガポールなどタミル人移民が多い地域でも盛んに信仰されています **** [[仏教]]との関連 - [[仏教]]にも取り入れられ、「韋駄天」や「鳩摩羅天」として知られています - 韋駄天は仏法守護の神として、日本でも寺院で祀られることがあります ** 関連ページ #related()