** ダブルリバース ダブルリバースは[[キャラクター・チェンジ]]のより高度な技法で、物語の中で主人公と[[ライバル]](恋人や対立者)が互いに学び合い、自己発見を通じて成長する構造を指します。 この手法は特にラブストーリーや[[バディもの]]のジャンルにおいて効果的であり、観客に深い感動と納得感を与えることができます。 ---- #contents() ---- *** 概要 **** ダブルリバースの創作ステップ 以下のプロセスを通じて、物語を構築します: :1. 主人公と[[ライバル]]に弱点と欠陥を設定| - 両者が異なる欠陥を持っていても問題ありません - これにより、それぞれが乗り越えるべき課題が明確になります :2. [[ライバル]]に人格と変化の可能性を持たせる| - [[ライバル]]も学び成長するキャラクターである必要があります (→[[ポジティブなアーク]]) :3. [[クライマックス]]で両者が自己発見を経験する| - 主人公だけでなく[[ライバル]]も自己発見を通じて変化します :4. 相互学習の関連性を描く| - 主人公は[[ライバル]]から、[[ライバル]]は主人公から何かを学ぶような関係性を構築します :5. 物語の道徳的な頂点を明確化する| - 両者が学んだ内容が、物語全体のテーマや作者の道徳観と一致するようにします **** ダブルリバースのメリット :主人公の欠陥が自動的に決まる| - 「自己発見」を決めたらストーリーの冒頭までさかのぼる - 主人公の欠陥を見直し、自己発見をするための「本当の欠陥」を決める :明確な[[テーマ]]提示| - 主人公と[[ライバル]]の対比によって、正しい行動や生き方が観客に強く印象づけられます :視点の多様性| - 観客が主人公だけに集中しすぎることなく、俯瞰的にストーリーを楽しむことができます **** 具体例 :『クレイマー、クレイマー』| - 離婚した夫婦がそれぞれ親として成長し、最終的には子どもの幸福を最優先する選択をします :『カサブランカ』| - 主人公と[[ヒロイン]]が互いに愛と義務について学び合いながら、それぞれの道を選びます :『プリティ・ウーマン』| - 実業家と売春婦という異なる背景を持つ二人が、それぞれ自分自身や他者への理解を深めていきます **** ダブルリバースが適用できないケース :[[勧善懲悪]]のストーリー| - [[ライバル]]が主人公に倒されるためだけに存在する場合、ダブルリバースは適用できません :[[ライバル]]が成長しない[[悪役]]| - 生まれながらに[[邪悪]]で紛れもない悪役である - 自己発見を行わず破滅を迎える[[ライバル]] (→[[ネガティブなアーク]]) **** 物語構築のポイント ダブルリバースでは、自己発見([[キャラクターアーク]])から逆算してキャラクターの欠陥や初期設定を決めることが重要です。 これにより、一貫性のある物語展開が可能となります。また、主人公やライバルが抱える「誤った信念」を克服する過程こそが、観客への強いメッセージとなります。 ** 関連ページ #related()