送り犬

送り犬


送り犬(おくりいぬ)は、日本の妖怪の一種で、主に夜間に山道を歩く人の後をついてくる犬や狼のような存在として知られています。
その名前は「送り」という言葉から連想されるように、旅人を見守る役割を持つ一方、状況次第では危険をもたらすこともあるとされています。


概要

後をついてくる存在
  • 送り犬は、夜道や山道で人の後ろを静かに追いかけてきます
  • 転んだりすると襲われるという伝承が多くありますが、転んだ際に「どっこいしょ」と座ったふりをしたり、「少し休憩する」と装えば攻撃されないとも言われています
地域ごとの違い
  • 地域によっては送り犬が突進して転ばせようとする、群れで襲うなど異なる行動が語られています
  • また、山道を無事に抜けた後には「ありがとう」や「さよなら」と声をかけることで追ってこなくなるという話もあります
守護者としての側面
  • 長野県の伝承では、送り犬が狼から旅人を守ったり、助けを呼び寄せたりする話もあり、単なる恐怖の対象ではなく守護的な役割も担う存在として描かれることがあります

関連する妖怪

送り狼(おくりおおかみ)
  • 送り犬と似た存在で、人を襲うこともあれば守ることもあるとされています
  • 火縄の匂いを嫌うため、旅人は火縄を携行する習慣があったとも言われます
送り鼬(おくりいたち)
  • 伊豆半島や埼玉県などに伝わる妖怪で、人を追いかけますが、草履を投げつけるとそれを咥えて去ると言われています

現代文化への影響

送り犬は日本の妖怪文化の中でも特異な存在であり、その伝承は地域によって多様性があります。この妖怪は、人間の脆弱性や自然への畏敬、また危険な環境での知恵や礼儀作法の重要性を象徴しているとも解釈されています。

送り犬は恐怖だけでなく、正しい態度や行動次第で守護者にもなり得る二面性を持つ妖怪として、日本の民間伝承に深く根付いています。

関連ページ

最終更新:2024年12月07日 11:08