ローンオフェンダー
ローンオフェンダー型の犯罪者は、組織に属さずに単独で
犯罪行為を行う個人を指します。
ローンオフェンダーの特徴
- 単独行動
- ローンオフェンダーは、組織的な支援や指示を受けずに単独で計画を立て、準備し、実行するため、事前に察知することが非常に難しいとされています
- 動機の多様性
- 彼らの動機は多岐にわたります
- 政治的思想による「テロリズム型」、差別的思想による「ヘイトクライム型」、個人的な恨みや感情からくる「自暴自棄型」などがあります
- 社会的孤立
- 多くのローンオフェンダーは社会から孤立しており、その孤立感が犯行の背景にあることが多いです
- 彼らはしばしば、自分が社会から疎外されていると感じ、それが過激な行動に結びつくことがあります
- 発見の困難さ
- 組織的な支援がないため、計画段階での情報漏洩が少なく、予防や発見が難しいです
- インターネット上で過激な思想に触発されることも多く、これも発見を難しくしています
- 社会への影響
- ローンオフェンダーによる犯罪は、社会全体に大きな不安や恐怖をもたらす可能性があります
- 特に無差別殺人やテロリズムなどは、人々の安全への信頼を揺るがすことがあります
これらの特徴から、ローンオフェンダーによる犯罪は現代社会において対策が難しい課題となっています。
現実におけるローンオフェンダーの例
テロリズム型 (政治的思想)
- オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件(1995年)
- ティモシー・マクベイが単独で計画し実行したこの事件は、168人の命を奪い、アメリカ史上最悪の国内テロ事件の一つとして知られています
- ノルウェー連続テロ事件(2011年)
- アンネシュ・ベーリング・ブレイビクがオスロとウトヤ島で爆破および銃撃を行い、77人を殺害しました
- この事件は、政治的動機に基づく単独犯のテロとして広く認識されています
ヘイトクライム型 (差別的思想)
- ウィスコンシン州シク寺院銃乱射事件(2012年)
- この事件は、白人至上主義者であるウェイド・マイケル・ペイジが、ウィスコンシン州のシク教寺院で銃撃を行い、6人を殺害した事件です
- 彼の行動は、宗教的および人種的偏見に基づいており、典型的なヘイトクライム型のローンオフェンダーによる犯行とされています
- クライストチャーチモスク銃乱射事件(2019年)
- ニュージーランドで発生したこの事件では、ブレントン・タラントが2つのモスクを標的にして銃撃を行い、51人を殺害しました
- 彼は白人至上主義に基づく思想を持ち、この動機が犯行に直接影響しています
自暴自棄型 (個人的な怨恨)
- 京都アニメーション放火殺人事件(2019年)
- 青葉真司が京都アニメーションのスタジオに放火し、36人が死亡、33人が重軽傷を負いました
- この事件もローンオフェンダーによる犯行とされています
- 青葉真司は、社会的に孤立し、生活が困窮する中で、自分の小説が盗用されたという妄想を抱き、京都アニメーションに対する強い恨みを募らせていたことが動機とされます
- 安倍晋三銃撃事件(2022年)
- 元首相である安倍晋三が選挙応援中に銃撃され死亡した事件で、山上徹也が単独で実行したとされています
- 山上は個人的な恨みを動機としており、政治的な背景よりも個人的な動機が強調されています
これらの事件は、ローンオフェンダーによる重大な犯罪例として取り上げられ、社会に大きな衝撃を与えました。各事件は異なる動機や背景を持ちますが、共通して組織的支援を受けずに個人で計画・実行された点が特徴です。
ローンオフェンダーが生まれる要因
家庭環境における要因
ローンオフェンダーが生まれる家庭環境として、以下の要因が影響を与える可能性はあります。
ただし、これらが直接的な原因となるわけではなく、複数の要因が絡み合いながら個人の心理や行動に影響を及ぼすと考えられます。
- 無関心な親の影響
- 無関心型の親は、子どもに十分な愛情や関心を示さず放置する傾向があります
- このような環境で育つと、子どもは愛情不足を感じ、自尊感情が低下することがあります
- 孤立感の助長
- 父親が無責任で家庭内での役割を果たさない場合、子どもは孤立感を強める可能性があります
- 孤立はローンオフェンダーの特徴的な背景要因の一つとされています
- 自己形成の阻害
- 過保護・過干渉な母親によって育てられると、子どもは自分で物事を決定する力や責任感を育む機会を失うことがあります
- その結果、自己確立が難しくなる可能性があります
- 他罰的または自罰的傾向
- 過干渉により、子どもが失敗や挫折を経験した際に、他者(特に親)を責める傾向や、自分を責める自罰的傾向が強まることがあります
- これらの感情が過激な行動につながる場合もあります
- 自立の妨げ
- 共依存関係では、親が子どもの自立を阻害し、子どもが親に依存し続ける状況が生まれます
- このような状況では、社会的スキルや自己効力感が育ちづらくなる可能性があります
- 心理的負担
- 共依存状態では、親の期待や要求が過剰に子どもに課されるため、心理的ストレスが蓄積され、それが不満や攻撃性として現れることもあります
これらの要因はいずれも極端に偏った場合に問題となり得ます。ローンオフェンダーは社会から孤立し、自暴自棄や他罰的な思考に陥りやすい特徴があります。そのため、家庭環境での愛情不足や過剰な干渉などが
孤立感や不満を助長し、それが過激化する一因となる可能性があります。ただし、一人ひとりのケースは複雑であり、家庭環境以外にも個人の性格や社会的要因(
いじめ、経済状況など)が影響することも重要です。
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最終更新:2024年12月15日 13:24