一目入道

一目入道


一目入道(いちもくにゅうどう)または一つ目入道(ひとつめにゅうどう)は、日本の妖怪の一種で、主に目が一つしかない大入道の姿をした存在として知られています。
地域によって異なる伝承や特徴があります。


概要

特徴
一目入道は、日本各地の民話や伝説に登場する妖怪で、その姿は大きな体に一つ目を持つ僧侶(入道)のような姿として描かれることが多いです。地域によっては、背丈が伸び縮みする能力を持つとされることもあります。
主な伝承
1. 佐渡島・加茂湖の一目入道
新潟県佐渡島の加茂湖には、一目入道が湖の主として住むという伝承があります。この妖怪は頭頂部に一つ目を持ち、以下のような物語が伝えられています:
  • 一目入道が湖から上がり、湖畔につながれていた馬に興味を持ち、遊び始めたところを馬主に捕まえられました
  • 陸上では無力だったため、「瑠璃の鉤」を使って毎晩魚を献上することを条件に許しを請いました
  • 馬主が約束を破り鉤を返さなかったことで、一目入道は毎年正月15日に馬主の家を襲撃するようになります
  • 最終的に観音堂が建立され、鉤が仏像の白毫(びゃくごう)にはめ込まれたことで祟りが収まったとされています。
2. 和歌山県・日高郡の伝説
和歌山県日高郡では、一つ目入道が立派な行列と共に現れる話があります。
  • 若者が木の上から行列を見物していると、大きな駕籠から身長約3メートルの一つ目の大男(一つ目入道)が現れ、若者を襲おうとしました
  • 若者が刀で頭を斬りつけると、一つ目入道は行列ごと消え去ったという話です

起源と関連妖怪
一つ目入道や一目小僧など、一つ目の妖怪たちは比叡山に伝わる「一眼一足法師」に由来するとされています。この妖怪は修行僧を戒める存在であり、修行怠け者への警告として登場したと言われています
創作での扱い
近代では、水木しげるによる『ゲゲゲの鬼太郎』などでも描かれています。ここでは河童的な要素も取り入れられ、頭頂部の皿に目玉を持つ妖怪として登場します
文化的影響
佐渡島では、一目入道に関連する「目一つ行事」という正月行事も行われていた記録があります。この行事は村人たちが妖怪から観音堂を守るための儀式として行われていました

一目入道は地域ごとの特色ある伝承や物語を通じて、日本文化や民間信仰に深く根付いている妖怪です。その姿や物語は、人々への戒めや教訓としても機能していたと言えるでしょう。

関連ページ

最終更新:2024年12月19日 23:51