一本だたら
一本だたらは、日本の奈良県や和歌山県を中心とした紀伊半島の山岳地帯に伝わる
妖怪です。
概要
特徴
- 身体的特徴
- 一本足で一つ目を持つ巨大な姿。電柱のような形状や、皿のような目を持つなど、地域によって描写が異なる場合があります
- 行動
- 主に旧暦12月20日(「果ての20日」)に現れるとされ、この日は厄日として外出が避けられていました
- この日に山中に入ると一本だたらに襲われると伝えられています
- ;由来と背景|
- 名前の「だたら」は、古代日本の製鉄技術「たたら製鉄」に由来するという説があります
- 過酷な労働環境で片目を失明し、片足を患った鍛冶師たちの姿が一本だたらのイメージにつながったと考えられています
- また、日本神話に登場する鍛冶の神「天目一箇神(あめのまひとつのかみ)」が零落した姿とも言われています
主な伝承
- 1. 奈良県十津川村
- ある猟師が玉置神社周辺で一本だたらに遭遇し、喚き声勝負を挑まれました
- 猟師は火縄銃を使って追い払ったという話があります
- 2. 上北山村(伯母峰)
- 猪笹王(いざさおう)という大猪が亡霊となり一本足の鬼になったという伝承があります
- この鬼は旅人を襲いましたが、丹誠上人によって地蔵に封じ込められました
- ただし、毎年12月20日だけは自由になる条件だったため、この日が「果ての20日」として恐れられるようになりました
- 3. 熊野地方
- 雪の日に幅約30cmほどの大きな足跡を残すことがあり、それを一本だたらの仕業とする伝承もあります
文化的意義
- 一本だたらは、自然災害や厳しい冬山での遭難への警告として機能していたとも考えられます
- 特に「果ての20日」に外出を控える戒めとして語り継がれてきました
- また、製鉄技術や山岳信仰との関連性から、地域文化や歴史的背景を反映した妖怪とも言えます
一本だたらは単なる恐怖の象徴ではなく、自然環境や人々の生活習慣、信仰心に根ざした存在として、多くの物語や教訓を残しています。
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最終更新:2024年12月19日 23:56