組織のなかで
概要
ブレイク・スナイダーのジャンル分類「組織のなかで」(Institutionalized)は、集団や組織、施設、またはファミリーをテーマにしたストーリータイプで、人間が組織の中で抱える葛藤や問題を描きます。
ジャンルの概要
- テーマ
- 主人公が所属する組織に誇りを感じる一方で、その一員として生きる中でアイデンティティや自分らしさを失うという葛藤が描かれます
- 物語は「個人 vs 集団」の対立が軸となり、集団への忠誠心と個人の価値観の衝突が物語を動かします
- 問題提起
- 組織や集団が持つ欺瞞や狂気、自滅的な性質が明らかになり、個人がその中でどのように行動するかが問われます
主要なキャラクタータイプ
- 1. 新米(Naif)
- 組織に新たに加わった人物で、観客と同じ視点から組織の掟やしきたりを学びます(例: 『9時から5時まで』のジェーン・フォンダ)
- 2. 反逆者(Brando)
- 組織に属しながらもその仕組みに疑問を抱くキャラクター(例: 『M*A*S*H』)
- 3. 現場主任(Company Man)
- 組織の価値観を完全に受け入れ、それに従うキャラクター
- 時にはその忠誠心が狂気や非人間的な行動につながります
ストーリー展開とメッセージ
- ストーリーは多くの場合、新米キャラクターの視点から始まり、観客もその目を通して組織の内部を知ることになります
- 組織内での掟や規範が明確になる一方、その裏に潜む問題点も暴かれていきます
- 「集団のために個人を犠牲にすることは正しいのか?」という問いが中心テーマです
- 例えば、『ゴッドファーザー』ではマフィア一族への忠誠心、『アメリカン・ビューティー』では郊外生活の欺瞞、『カッコーの巣の上で』では精神病院内での抑圧が描かれています
代表的な作品
- 『カッコーの巣の上で』: 精神病院という閉ざされた環境で、主人公が自由と抑圧について葛藤する物語
- 『ゴッドファーザー』: マフィア一族への忠誠心と自己犠牲
- 『M*A*S*H』: 軍隊内での戦争と群衆心理による狂気
- 『アメリカン・ビューティー』: 現代アメリカ社会における表面的な幸福とその裏側
ジャンルとしての魅力
このジャンルは、人間が集団生活を営む上で避けられない問題を扱い、多くの観客に共感されやすいテーマです。
さらに、新米キャラクターを通じて観客が物語に入り込みやすくなり、組織内外での選択や行動が観客自身を映し出す鏡として機能します。そのため、「わかりやすく人気の高いジャンル」とされています。
「組織のなかで」は、個人と集団との関係性を深く掘り下げ、観客に普遍的なメッセージを伝える強力なストーリータイプです。
関連ページ
最終更新:2025年02月07日 22:15