ニコチン依存症
ニコチン依存症とは、タバコに含まれるニコチンに対する依存が形成され、喫煙をやめたくてもやめられなくなる病気です。
これは身体的依存と心理的依存の両面を持つ疾患であり、喫煙を繰り返すことで悪循環が生じます。
概要
ニコチン依存症のメカニズム
- 1. ニコチンの作用
- 喫煙により肺から吸収されたニコチンは血流を通じて脳に到達し、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合します
- これによりドーパミン(快楽物質)が大量に放出され、喫煙者は一時的な快感やリラックス感を得ます
- 2. 依存の形成
- ニコチンはドーパミンだけでなく、ノルエピネフリン(覚醒)、セロトニン(気分調整)、アセチルコリン(認知機能向上)などの神経伝達物質にも影響を与えます
- 長期的な喫煙によって、これらの物質の調節がニコチンに依存するようになり、自力で分泌する能力が低下します
- 3. 離脱症状
- 喫煙を中断すると、イライラ、不安感、集中力低下、頭痛、倦怠感などの離脱症状が現れます
- l- これらの不快な症状を避けるために再び喫煙する「負の強化」が働き、依存が強化されます
主な症状
- 身体的症状
- 心理的症状
- 健康への影響
治療法
- 1. 禁煙補助薬
- バレニクリン(内服薬): ニコチン受容体に作用し、喫煙による満足感を抑えつつ離脱症状を軽減します
- ニコチンパッチ・ガム: 徐々に体内のニコチン量を減らしながら離脱症状を和らげます
- 2. 行動療法
- カウンセリングや認知行動療法で喫煙習慣を断ち切る支援を行います
- 喫煙欲求が高まる場面への対処法や新しい習慣づくりを学びます
- 3. 禁煙外来
- 専門医による診察と治療プログラム(通常12週間)で禁煙成功率を向上させます
- 保険適用には条件があります(例: ブリンクマン指数200以上など)
- 予防と注意点
- 喫煙開始年齢が低いほど依存形成リスクが高まります
- 禁煙には強い意志と周囲からのサポートが重要です
- 特に妊娠中や持病がある場合は早急な禁煙が推奨されます
ニコチン依存症は立派な病気であり、治療には専門的な支援が必要です。禁煙外来や補助薬を活用しながら、健康的な生活への第一歩を踏み出すことが重要です。
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最終更新:2025年01月05日 14:12