ゲーム依存症
ゲーム依存症(ゲーム障害)は、ゲームの過剰な使用によって生活や健康、
人間関係に深刻な支障をきたす状態を指します。2019年、世界保健機関(WHO)は「ゲーム障害」を正式な病気として国際疾病分類(ICD-11)に登録しました。
概要
特徴と症状
ゲーム依存症の主な症状は以下の通りです:
- 1. コントロール不能
- ゲームの開始・終了を自分で制御できない
- 「あと少しだけ」と言いながら長時間続けてしまう。
- 2. 優先順位の逆転
- 学校や仕事、家族との時間よりもゲームを優先
- 他の日常活動への関心が薄れる
- 3. 問題があっても継続
- ゲームが原因で遅刻、不登校、成績低下、昼夜逆転などの問題が生じてもやめられない
- 4. 耐性と離脱症状
- 満足感を得るためにプレイ時間が増加
- ゲームができないとイライラ、不安、暴力的行動が現れる
- 5. 身体的・心理的症状
- 睡眠不足、食欲低下、頭痛、腰痛などの身体的影響
- 気分の落ち込みやストレス回避のためにゲームに没頭する
原因
ゲーム依存症は複数の要因が絡み合って発症します:
- 1. 脳内メカニズム
- ゲーム中に分泌されるドーパミン(快楽物質)が依存形成を助長します
- ドーパミンの枯渇による不快感からさらにゲームに没頭する悪循環が生じます
- 2. 心理的要因
- ストレス、不安、孤独感から逃れるためにゲームを利用することがあります(自己治療仮説)
- 3. 環境要因
- スマホやPCなどへの容易なアクセス
- 家庭内でのルール不足や親からの管理不足
- 4. ゲームデザインの影響
- コレクション要素や対人対戦モード、チームプレイなど依存性を高める設計が多く含まれています
影響
- 個人への影響: 健康問題(睡眠障害、体力低下)、学業や仕事のパフォーマンス低下
- 家族への影響: 家族との関係悪化やコミュニケーション不足
- 社会への影響: 社会的孤立や経済的負担(課金による借金など)
治療法
治療は専門医療機関で行われ、多角的なアプローチが取られます:
- 1. 認知行動療法(CBT)
- ゲーム使用のトリガーとなる状況を特定し、新しい対処法を学ぶ
- 2. 生活リズム改善
- 規則正しい生活習慣を取り戻し、運動や趣味など他の活動を増やす
- 3. 薬物療法
- 合併症(うつ、不安障害など)がある場合は投薬治療も行われます
- 4. 家族療法・サポートグループ
- 家族全体でルールを設定し、一貫した対応を取る
- 自助グループへの参加も推奨されます
- 5. 入院治療(重度の場合)
- 外来治療で改善しない場合には入院治療が検討されます
- 予防策
- 子どもの場合は家庭内で明確なルールを設定する
- ゲーム以外の趣味や活動に積極的に取り組む環境を整える
- ゲーム時間を記録し、自身で管理する習慣をつける
ゲーム依存症は現代社会特有の問題として注目されています。適切な診断と治療によって回復可能ですが、早期発見と予防が重要です。家族や専門家と連携しながら、健全な生活習慣を取り戻すことが目指されます。
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最終更新:2025年01月05日 14:53