クー・シー
クー・シー(Cu Sith)は、スコットランドやアイルランドの伝承に登場する犬の
妖精です。その名はゲール語で「クー=犬」「シー=妖精」を意味し、「妖精犬」として知られています。
概要
クー・シーは
ケルト神話やスコットランド民話において重要な役割を果たす妖精犬です。
その巨大な姿や静かな移動、不吉な吠え声など、多くの要素が恐怖と畏敬を同時に感じさせます。一方で、人間との関わり方には多様性があり、その曖昧さがクー・シーという存在をさらに魅力的なものにしています。
特徴
- 1. 外見
- クー・シーは「牛ほどの大きさ」の巨大な犬とされ、全身が暗緑色の長い毛で覆われています
- 尾は長く、渦巻き状に背中に巻かれているか、平たく編まれて垂らされているとされています
- 足跡は人間の足ほど大きいですが、移動時には音を立てず、滑るように歩くと伝えられています
- 2. 性質
- 妖精たちの番犬として知られ、妖精丘(ノウまたはシーヘン)を守る役割を担っています
- 普段は妖精丘の内部につながれていますが、人間界に現れることもあります
- 人間に対して危険な存在とされる一方で、特定の条件下では人間を助けることもあります
- 3. 吠え声
- クー・シーは通常は吠えませんが、獲物を追う際には3回だけ大きなうなり声を上げるとされています
- この声は遠くまで響き渡り、旅人がその声を聞いた場合、3度目の吠え声が聞こえる前に安全な場所へ逃げ込む必要があるとされています
- 3度目の吠え声は「死の前兆」とされます (→死の予兆)
- 4. 役割
- 妖精たちに従い、人間の持つ牛を捜索したり搾乳したりするなど、家畜管理にも関与するとされています
- 時には妖精丘から出て彷徨い、人間に災厄をもたらす前兆として恐れられることもあります
- 伝承と物語
- クー・シーは特にスコットランド高地地方で語り継がれており、妖精丘への侵入者を追い払う存在として描かれます
- 一部の伝承では、人間界で単独行動するクー・シーが非常に危険視されています
- しかし、『サントライ島』という物語では、人間が飼っている犬によって撃退されたという逸話もあり、その恐ろしさにも限界があることが示唆されています
- 関連する他の妖精犬
- クー・シーはイングランドやアイルランドで語られる他の妖精犬(例:黒妖犬や赤耳白毛の猟犬)と共通点があります
- ただし、クー・シー特有の暗緑色の毛並みや静かな移動など、独自性も持っています
- 文化的影響
- クー・シーはその神秘的な特徴から、現代のファンタジー作品にも登場しています。例えば、ゲーム『女神転生』シリーズでは「カーシー」という名前で登場し、その外見や設定がアレンジされています
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最終更新:2025年01月08日 19:23