バフォメット
バフォメット(Baphomet)は、中世ヨーロッパの伝承やオカルト、神秘主義において象徴的な存在であり、
悪魔や異教の神として描かれることが多い存在です。
概要
バフォメットは中世ヨーロッパで異端審問によって悪魔視された存在ですが、その後オカルトや神秘主義において再解釈され、多様な意味を持つ象徴となりました。
山羊頭、人間の体、両性具有など、その外見には二元性や均衡を表す要素が込められています。現代では悪魔崇拝や反宗教的シンボルとしても広く知られていますが、その本質は単なる邪悪さだけでなく、人間社会や思想における調和と対立を表現する複雑な存在と言えます。
バフォメットの起源と歴史
- 1. 初出
- バフォメットという名前は、1307年にフランス王フィリップ4世がテンプル騎士団を異端として弾圧した際の裁判記録に初めて登場します
- 騎士団が「バフォメット」という異教の神を崇拝していたと告発されましたが、これには具体的な証拠はなく、冤罪とされています
- 2. 語源
- バフォメットの名前は、イスラム教の預言者ムハンマド(Mahomet)の古フランス語形「Mahomet」から派生した可能性が指摘されています
- 3. 象徴化
- 19世紀になると、フランスのオカルティストであるエリファス・レヴィが「メンデスのバフォメット」と呼ばれる山羊頭の悪魔像を描き、このイメージが現代に至るまで広く知られるバフォメット像となりました
- この図像は、人間と獣、善と悪、男性性と女性性など二元性の調和を象徴しています
外見と特徴
- 1. 外見
- 山羊の頭を持ち、人間の体を持つ姿で描かれることが多い
- 両性具有を象徴する乳房や、ヘルメスの杖(カドゥケウス)を持つこともあります
- 額には五芒星が刻まれ、角の間には燃える松明が置かれています
- 2. 象徴的な要素
- Solve et Coagula: 右腕には「溶解」、左腕には「凝固」を意味するラテン語が記されており、中世錬金術における変容と統一を象徴しています
- 山羊頭: キリスト教では山羊は邪悪さや反逆を象徴し、羊(善良さ)の対極として描かれます
- 両性具有: 男性性と女性性を併せ持つ姿は、調和や均衡を表すものとされています
宗教的・文化的背景
- 1. テンプル騎士団との関係
- テンプル騎士団への告発では、バフォメットは異教崇拝や悪魔崇拝の象徴として利用されました
- しかし、この告発は当時の政治的意図によるものであり、実際にはバフォメット崇拝の証拠はありません
- 2. オカルトと神秘主義
- 19世紀以降、バフォメットはオカルトや西洋神秘主義で「均衡」や「知識」の象徴として再解釈されました
- 一部では悪魔ではなく、中立的または啓蒙的な存在として扱われることもあります
- 3. 現代文化への影響
- バフォメットはポップカルチャーやファンタジー作品にも頻繁に登場し、「黒ミサ」や悪魔崇拝のシンボルとして描かれることがあります
- また、一部では反宗教的なアイコンとしても使用されています
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最終更新:2025年01月11日 18:53