インキュバス

インキュバス


インキュバス(Incubus)は、主に中世ヨーロッパの民間伝承やキリスト教の悪魔学に登場する男性型の夢魔(淫魔)です。


概要

インキュバスは、中世ヨーロッパから伝わる男性型夢魔であり、女性を誘惑し生命力を奪う存在として描かれています。
その起源には宗教的・文化的背景があり、不義密通や金縛りなどへの説明として用いられる一方、現代ではファンタジー作品で魅惑的で危険なキャラクターとして人気があります。
インキュバスの概要
起源
  • 「インキュバス」という名称はラテン語の「incubo」(上に横たわる)に由来します
  • 古代ローマ神話やキリスト教の伝承では、インキュバスは女性の夢の中に現れ、性的関係を持つ悪魔とされています
  • その目的は、女性を誘惑し、生命力を奪うことや悪魔の子を妊娠させることとされています
関連する存在
  • 女性型の夢魔である「サキュバス(Succubus)」と対をなす存在です
  • 一部の伝承では、サキュバスとインキュバスは同一の存在であり、性別を変えて活動するとされています

特徴
1. 外見
  • インキュバスは魅力的な男性として描かれることが多く、女性を誘惑するために理想的な外見を持つとされます
  • 一部の伝承では、悪魔的な特徴(角、コウモリの翼、尾など)を備えていますが、それらを隠して人間として現れることもあります
  • 文化や作品によっては、醜い怪物として描かれる場合もあります
2. 性質
・誘惑と性的関係
  • インキュバスは女性を誘惑し、夢や睡眠中に性的接触を行います
  • この行為によって女性から生命力やエネルギーを奪うとされています
・精神的影響
  • インキュバスとの接触後、女性は疲労感や衰弱感を覚えることが多いと伝えられています
3. 生殖能力
  • 一部の伝承では、インキュバスには直接的な生殖能力がないとされます
  • サキュバスが男性から精液を奪い、それをインキュバスが使用して女性に妊娠させるという説もあります
  • このようにして生まれた子供は「カンビオン(Cambion)」と呼ばれ、人間と悪魔の混血児として描かれます

文化的背景
1. 中世ヨーロッパでの役割
  • 中世では、不義密通や望まない妊娠などの言い訳として「インキュバスに襲われた」と主張されることがありました
  • また、「金縛り」もインキュバスやサキュバスによる仕業と考えられていました
2. 現代文化での描写
  • 現代ではファンタジー作品やゲームで頻繁に登場し、その魅惑的な性質が強調されます
  • 例えば、『真・女神転生』シリーズでは「夜魔」として登場し、誘惑や状態異常攻撃を得意とするキャラクターとして描かれています
インキュバスの象徴性
  • インキュバスは、人間の欲望や恐怖、不安定な心理状態を象徴する存在とも解釈されています
  • また、その魅惑的な性質から、「誘惑」や「堕落」の象徴としても扱われます

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最終更新:2025年01月11日 19:00