ソロモンの小さな鍵(The Lesser Key of Solomon)
『ソロモンの小さな鍵』(The Lesser Key of Solomon)は、中世ヨーロッパにおける
魔導書(グリモワール)の一つで、悪魔召喚や使役に関する記述が中心となっています。(→
悪魔との契約)
この書物は「レメゲトン」(Lemegeton)とも呼ばれ、特に悪魔召喚のバイブルとして知られています。その内容は複数の部に分かれており、特に第一部である「ゲーティア」が有名です。
概要
概要と起源
- 成立時期
- 『ソロモンの小さな鍵』は17世紀頃に成立したと考えられていますが、その内容はさらに古い伝承や文献に基づいています
- 由来
- 古代イスラエルの賢王ソロモンが天使や悪魔を使役したという伝説をもとにしており、彼が書き残したとされる知識が記録されています
- ただし、実際には後世の魔術師たちによって編纂されたもので、ソロモン本人の著作ではありません
- 構成
- 全5部からなり、それぞれ異なるテーマを扱っています
構成と内容
『ソロモンの小さな鍵』は以下の5つの書から構成されています:
- 1. ゲーティア(Goetia)
- 最も有名な部分で、72柱の悪魔とその召喚方法について記載されています
- 各悪魔には固有の紋章(シジル)や階級があり、それぞれ特定の能力や知識を持つとされています
- 悪魔を召喚するための儀式、呪文、道具(魔法円や護符など)の詳細が含まれています
- 2. テウルギア・ゲーティア(Theurgia-Goetia)
- 天使的存在や霊的存在との交流について記載されています
- 召喚される霊は、第一部に登場する悪魔よりも高次で善良な存在とされます
- 3. アルス・パウリナ(Ars Paulina)
- 占星術的な内容が中心で、惑星や星座に関連する霊を召喚する方法が記されています
- 時間帯や天体運行を考慮した儀式が特徴です
- 4. アルス・アルマデル(Ars Almadel)
- 天使召喚について記述されており、特定の護符や道具を用いた儀式が説明されています
- 5. アルス・ノヴァ(Ars Notoria)
- 知識や記憶力を高めるための祈祷文や呪文が記載されています
- 他の部分と異なり、実用的な学問的能力向上を目的としています
特徴
- 1. 悪魔召喚
- 特に「ゲーティア」では、72柱の悪魔について詳細な情報が記載されており、それぞれの悪魔が持つ能力(富を得る、人間関係を改善する、未来予知など)が説明されています
- 悪魔を安全に召喚し使役するためには、正確な儀式手順や保護手段(魔法円など)が必要です
- 2. 魔術道具
- 儀式で使用される道具(剣、杖、護符など)の作成方法や浄化手順が詳しく説明されています
- 3. ペンタクル
- 魔術的な護符やシジル(紋章)の図版が豊富に収録されており、それぞれ特定の効果を持つとされます
- 4. 宗教的要素
- キリスト教的な祈祷文や神聖名(神や天使の名前)が頻繁に登場します。これらは悪魔を制御するために用いられる重要な要素です
歴史的背景と影響
- 『ソロモンの小さな鍵』は中世ヨーロッパで広く流布したグリモワール群の一つであり、多くの魔術師やオカルティストによって参照されました
- 特に19世紀末から20世紀初頭にかけて、西洋秘教思想(例: 黄金の夜明け団)にも影響を与えました
- 現代ではオカルト研究者やフィクション作品にも多大な影響を与えています
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最終更新:2025年01月12日 18:55