アルクメネ
アルクメネ(Alkmene)は、
ギリシア神話に登場する女性で、英雄
ヘラクレスの母として知られています。
彼女はその美しさと貞節さで有名であり、
ゼウスとの関係やその後の運命が多くの神話に語られています。
概要
アルクメネの家系と背景
- 父親: ミュケナイ王エレクトリュオン
- 母親: アナクソー(またはリュシディケ)
- 血筋: ペルセウスの孫娘にあたり、英雄ペルセウスの家系に属します。
- 夫: アムピトリュオン(伯父にあたる)
- 子供: ゼウスとの間に生まれたヘラクレス(ギリシア神話屈指の英雄)。アムピトリュオンとの間に生まれたイピクレス
- 1. ゼウスの策略
- ゼウスはアルクメネの美しさに惹かれますが、彼女は夫アムピトリュオンへの貞節を守り、ゼウスを拒みます
- そこでゼウスはアムピトリュオンに変身し、遠征から戻ったふりをしてアルクメネと一夜を共にします
- この夜はゼウスによって通常よりも3倍長くされたと言われています
- 2. 双子の誕生
- 翌日、本物のアムピトリュオンが帰還し、アルクメネは彼とも関係を持ちます
- その結果、アルクメネはゼウスの子ヘラクレスとアムピトリュオンの子イピクレスという双子を身ごもります
- 3. 出産時の妨害
- ゼウスは「ペルセウスの血を引く最初に生まれる子が全アルゴスを支配する」と宣言します
- これを聞いたヘラは嫉妬し、出産の女神エイレイテュイアを送り込み、アルクメネの出産を妨害しました
- しかし侍女ガランティスの機転により妨害が解かれ、アルクメネは無事に双子を出産しました
- ヘラによる迫害
- ヘラはヘラクレスを憎み、生後間もない彼を殺そうと2匹の毒蛇をゆりかごに放ちます
- しかし赤ん坊のヘラクレスは素手で蛇を絞め殺しました
- 一説では、アルクメネがヘラからの迫害を恐れて一度ヘラクレスを捨てたとも言われていますが、その後アテナによって保護され、再び彼女の元へ戻されました
アルクメネのその後
- 1. アムピトリュオンとの別れ
- テーバイがオルコメノスとの戦争で勝利した際、アムピトリュオンは戦死します
- 2. 再婚と晩年
- アルクメネはその後、冥界の判官ラダマンテュス(ゼウスの息子)と結婚し、ボイオティア地方で暮らしました
- 3. 復讐心と死後
- ヘラクレスの死後、彼女はエウリュステウス(ヘラクレスを迫害した王)の首を見ると、その目をえぐり取ったという逸話があります
- アルクメネ自身の死については諸説あり、「石に変えられた」や「至福の島へ運ばれた」などがあります
アルクメネを巡る主なテーマ
- 1. 貞節と誘惑
- アルクメネは夫への忠誠心が強い女性として描かれる一方で、ゼウスによる策略によって運命が大きく変わります
- 2. 母としての役割
- 英雄ヘラクレスを育てる母親として重要な役割を果たします
- 彼女自身も多くの苦難や迫害に直面しますが、それらを乗り越える姿が描かれています
- 3. 神々と人間との関係性
- アルクメネとゼウス、そしてヘラとの関係は、人間が神々によって翻弄されるギリシア神話特有のテーマを象徴しています
文化的影響
- アルクメネはギリシア神話における「人間と神々との交わり」に関連する重要なキャラクターです
- 彼女の物語は文学や芸術作品で繰り返し取り上げられており、その美しさや悲劇性が強調されています
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最終更新:2025年01月12日 20:18