百々目鬼

百々目鬼

百々目鬼(どどめき)は、日本の妖怪で、腕に無数の目を持つ女性の姿をした存在として知られています。
その伝承や描写は多岐にわたり、江戸時代の妖怪画や地域伝説に登場します。


概要

特徴と外見
目の多さ
  • 名前の通り、百々目鬼は腕に無数の目が生えているのが特徴です
  • この目は、彼女が盗んだ金銭(銅銭)の精霊が変化したものとされています
  • 銅銭の中央の穴が鳥の目に似ていることから「鳥目」と呼ばれ、それが妖怪化した際に「百々目鬼」の名がついたと考えられます
人間から妖怪へ
  • もともとは盗癖を持つ人間の女性であり、盗みを繰り返した結果、体に異変が起きて妖怪化したという伝承があります
鳥山石燕の描写
  • 江戸時代の画家・鳥山石燕による『今昔画図続百鬼』で初めて具体的な姿が描かれました
  • 石燕は、百々目鬼を「手癖の悪い女性が金銭の精霊によって変化した妖怪」として記録しています
宇都宮の伝説
  • 栃木県宇都宮市には、藤原秀郷(俵藤太)が退治した「百目鬼(どうめき)」という伝説があります
  • この百目鬼は3メートルもの大きな鬼で、両手に百個の目を持つとされています
  • この伝説が百々目鬼と関連付けられることもあります
名前の由来
  • 名前には「足がつく(=犯行が露見する)」という洒落や、銅銭(鳥目)のイメージが含まれていると言われています
  • また、「どどめき」という地名や名字も日本各地に残っています
性質と行動
  • 百々目鬼は直接的な危害を加えることは少なく、その姿で人を驚かす程度とされます
  • ただし、その不気味な外見や背景から恐れられる存在です
  • 一方で、宇都宮伝説に登場する「百目鬼」は、人間を襲う凶暴な性質を持ち、英雄による退治譚として語り継がれています

文化的影響
郷土玩具
  • 栃木県では、「百々目鬼面」と呼ばれる魔除け用のお面や細工品が作られており、この妖怪が地域文化にも影響を与えています
現代作品
  • 漫画やアニメなどでもたびたび取り上げられ、そのインパクトある外見から人気があります
  • 水木しげる作品では「百目」など類似する妖怪キャラクターとして描かれることもあります

百々目鬼は、日本独特の妖怪文化を象徴する存在であり、その背景には人間社会への戒めや教訓的要素が含まれています。盗癖や金銭への執着といった人間的な弱点が妖怪化するという設定は、人々に恐怖だけでなく道徳的な示唆も与える存在として語り継がれてきました。

関連ページ

最終更新:2025年01月14日 10:56