三日夜の餅
三日夜の餅(みかよのもち)は、平安時代の貴族社会における婚礼儀式の一環として行われた重要な儀式です。
この儀式は、いわゆる「婿取り婚」の形式で行われる結婚において、婚姻成立を象徴するものでした。
概要
- 背景と特徴
- 三日夜の餅は、結婚初夜から3日目の夜に行われる儀式です
- 男性が女性のもとへ3日間通う「妻問婚」の形式が前提となっており、3日目に餅を食べることで正式に婚姻が成立しました
- この儀式は「露顕(ところあらわし)」とともに行われ、婿が新婦の両親や親族と初めて対面する披露宴的な場でもありました
- 1. 呪術的・象徴的な意味
- 餅には古来より神聖な霊力があると信じられ、共に餅を食べることで夫婦が一体化し、子孫繁栄を願う意味が込められていました
- また「切らずに食べる」ことは縁を切らないという願掛けでもありました
- 2. 結婚成立の証
- 餅を共に食べることで、男性が女性側の一族に受け入れられ、正式な夫婦として認められる象徴的な行為でした
- 儀式の詳細
- 餅は小さく丸い形状で、銀盤に3つ盛られ、新郎新婦に供されました
- 新郎はこの餅を噛み切らずに食べることが作法とされ、新婦については特に決まりはなく、「男性の気持ち次第」とされていました
- 餅の色や種類には諸説ありますが、初期には白一色だったものが次第に紅白になり、縁起物として扱われました
- 三日夜の餅と現代
- 平安時代以降、この風習は鎌倉時代には「三三九度」の盃を交わす形式へと変化しましたが、その精神は現代の結婚式にも受け継がれています
- 皇室ではこの伝統が一部残されており、昭和天皇や上皇夫妻の婚礼でも「三日夜餅」が用いられました
三日夜の餅は、平安時代特有の結婚文化や儀礼を象徴する重要な要素であり、その背景には当時の社会構造や信仰が深く関わっています。
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最終更新:2025年01月22日 00:47