シャレード
「シャレード」とは、映画やドラマの脚本における間接表現技法を指します。
この技法では、セリフや直接的な説明を避け、映像や動作、小道具を用いて意味や感情を伝えます。これにより、観客に説明臭さを感じさせず、物語への没入感を高める効果があります。
概要
シャレードの特徴
- 1. 間接表現
- 言葉ではなく映像で語る手法です
- たとえば、几帳面な性格を「綺麗に畳まれたハンカチ」で表現するなど、象徴的な描写が用いられます
- 2. 象徴性
- 映像に映る「何か」を象徴として示し、その背景や状況を観客に想像させます
- 3. 多様な応用
- 人物の性格、場所の雰囲気、状況の変化、人間関係など、さまざまな要素を描写する際に使われます
- シャレードの意義
- この技法は、新井一氏が日本の脚本理論に取り入れ普及させたものであり、『シナリオの基礎技術』で詳細に解説されています
- 新井氏は、「映像芸術では映像が主役であり、セリフは補助的なもの」と述べており、視覚的な表現が観客の想像力と感情移入を促進すると強調しています
シャレードの分類
新井一氏の『シナリオの基礎技術』では、シャレードを以下の3つに分類しています。
- 人物に対するシャレード
- キャラクターの性格や感情を動作で示す
- 例: 髪型を頻繁に直す仕草でナルシスト的性格を表現
- 場所に対するシャレード
- 場所の特性や雰囲気を映像で伝える
- 例: 客が少ないラーメン屋を新聞を読む店主や干された洗濯物で描写
- 状況に対するシャレード
- 現在の状況や人間関係を象徴的な描写で示す
- 例: ガラスがひび割れた時計で夫婦喧嘩を暗示
具体例
- 映画『七人の侍』では、麦の成長によって時間経過が表現されています
- 『お熱いのがお好き』では禁酒法時代を棺桶に隠された酒瓶で描写しています
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最終更新:2025年01月30日 20:03