武士ことば

武士ことば

武士ことばは、役割語の一種で歴史的な武士階級が用いたとされる特有の言葉遣いです。
主に時代劇や歴史小説、古典芸能などで見られます。

武士ことばの特徴

1. 漢語や漢字の多用
  • 武士ことばは漢語や漢字の音読みを多用し、仰々しく聞こえることが多いです
  • これは、武士が公文書を漢文に近い文語体で扱っていたため、漢籍の読み書きが必須の教養だったことに由来します
2. 独特の語彙と表現
  • 武士ことばには「かたじけない(ありがとう)」「ござる(ある・いるの尊敬語)」「お主(あなた)」など、独特の語彙があります
3. 格式と礼儀を重んじる
  • 武士は支配階級として規律ある行動を心がけていたため、その精神がいかめしい言葉遣いに表れています
  • これは、彼らが持つストイックな精神文化や高い教養に裏打ちされています
4. 役割語としての使用
  • 現代では、武士ことばはフィクションで役割語として使われ、キャラクターの背景や性格を強調するために用いられます
  • 例えば、「拙者(わたし)」「それがし(わたし)」など、自分をへりくだって表現する言葉もあります
5. 形式的な文体
  • 武士の手紙などには「候文(そうろうぶん)」と呼ばれる形式的な文体が使われ、「致間敷候(するべきではない)」など、難解な表現も多く見られます

主な武士ことばの二人称

おぬし
「おぬし」(御主)は、武士が同等の身分や目下の相手に対して使う最もポピュラーな二人称です。
そなた
「そなた」(其方)も武士言葉の二人称として使われますが、主に目上の人が目下の人に対して使う傾向があります。
その他の表現
  • 「きでん」(貴殿)
  • 「きこう」(貴公)
  • 「おんみ」(御身)
  • 「そこもと」(其許)
  • 「わぬし」(我主)

使用の注意点
  • 身分や状況によって適切な二人称が異なります
  • 「きさま」(貴様)は現代では侮蔑語ですが、元々は尊敬語でした
  • 幕府内では、相手のことを「自分」と呼び、自分のことは名前で呼ぶ習慣がありました

関連ページ

最終更新:2025年01月19日 01:39