客観的相関物
「客観的相関物」(Objective Correlative)は、詩人であり批評家でもあるT.S. Eliotが提唱した文学理論の概念です。
この概念は、特定の感情を表現するために、外部の具体的な物事や状況を用いる方法を指します。
概要
「客観的相関物」(Objective Correlative)の特徴は、文学や芸術において感情を効果的に表現するための具体的な手法や要素にあります。
- 1. 感情を具体的な要素で表現
- 「客観的相関物」は、抽象的な感情や心理状態を直接説明するのではなく、それを象徴する具体的な物事、状況、出来事を通じて表現します
- たとえば、「悲しみ」を直接言葉で説明する代わりに、「雨が降り続く窓辺」や「散った花びら」などのイメージを用いることで、その感情が自然に伝わるようにします
- 2. 感情と外部要素の結びつき
- 特定の感情を喚起するためには、適切な外部要素(物事や状況)が必要です
- この要素は、感情と密接に結びついており、それを見るだけで読者や観客が自然とその感情を感じ取れるようになっています
- Eliotは、この結びつきを「感情の公式」とも呼び、外部要素が感情の鍵となる役割を果たすと考えました
- 3. 説得力と普遍性
- 客観的相関物は、個人的な感情表現ではなく、普遍的に誰もが理解しやすい形で感情を伝えることが目指されています
- これにより、作品がより説得力を持ち、多くの人々に共感される可能性が高まります
- 4. 感情の間接的な伝達
- この概念では、感情そのものは直接描かれません
- むしろ、読者や観客が状況やイメージからその感情を感じ取ることが重要です
- たとえば、不安や緊張感を表現するために「時計の針がカチカチと音を立てる静かな部屋」という描写を用いることで、その場面全体から感情が浮かび上がります
- 5. 文学だけでなく他分野にも応用可能
- 客観的相関物は詩や小説だけでなく、映画、演劇、美術などさまざまな芸術分野で活用されています
- たとえば、映画では暗い照明や特定の音楽が登場人物の心理状態を暗示することがあります
- 6. 技法としての意識的な使用
- 作家や芸術家は、この手法を意図的に使用して作品内で感情を構築します
- これには、高度な観察力と表現力が必要です
例:特徴の具体化
以下は「客観的相関物」の特徴を示す例です:
- 孤独
- 不安
- 希望
これらの具体的な描写によって、抽象的な感情が読者や観客に強く伝わります。
関連ページ
最終更新:2025年03月10日 10:29