プールで泳ぐローマ教皇
「プールで泳ぐローマ教皇」は、脚本家ブレイク・スナイダーが著書『
SAVE THE CATの法則』で紹介した
シナリオ技法です。
この法則は、映画や物語における退屈になりがちな状況説明(エクスポジション)を観客に楽しく伝えるための工夫です。
概要
この手法の名前は、ジョージ・イングランド監督のスリラー映画『The Plot to Kill the Pope』の脚本に由来しています。
この映画では、ローマ教皇がバチカンのプールで水着姿で泳ぎながら、代表団から重要な情報を聞くというシーンが描かれています。
「プールで泳ぐローマ教皇」の目的と効果
- 目的
- 長い説明や背景情報を伝える際に、観客を退屈させず、むしろ楽しませながら必要な情報を提供する
- 効果
- 観客は「教皇が泳いでいる」という意外性やユーモラスなシーンに気を取られるため、説明部分が目立たず自然に受け入れられる
具体例
- 1. 『The Plot to Kill the Pope』
- 教皇がプールで泳ぐという非日常的な状況で、観客は「バチカンにプールがあるのか?」や「教皇が水着姿?」と驚きつつも、重要なプロット情報を受け取る
- 2. 『Drips』(ブレイク・スナイダーの脚本)
- ビバリーヒルズ地下の石油を盗む悪党たちの計画を説明するシーンでは、配管工たちがアイスティーを飲みすぎてトイレを我慢するというコミカルな状況を挿入
- 退屈になりそうな説明シーンに笑いを加えた
- 3. 『オースティン・パワーズ』
- 背景説明時に「バジル・エクスポジション」というキャラクターを登場させ、説明シーンであることを観客に意識させる
- 4. 『パイレーツ・オブ・カリビアン』
- ジャック・スパロウの秘密を明かす際、お間抜けな見張り役が観客の関心を引く
- 5. 『今そこにある危機』
- バッティング場という動きのある場所で状況説明を行う
応用とポイント
- この手法は視覚的または感情的に観客の興味を引く要素(ユーモアや意外性)を活用しながら、物語の進行に必要な情報を提供するものです
- 重要なのは「観客が飽きない」ことと、「情報が自然に伝わる」こと
- 視覚的なインパクトやユーモラスな演出が鍵となります
「プールで泳ぐローマ教皇」のような手法は、映画だけでなく小説やその他の物語形式でも活用可能です。
退屈になりそうな場面に創造的な工夫を加えることで、観客や読者の興味を引きつけながら必要な情報を伝えることができます。
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最終更新:2025年01月30日 07:48