メリーさん
「メリーさんの電話」は、日本の代表的な
都市伝説の一つで、捨てられた人形「メリー」にまつわる怪談です。この話は1970年代後半から広まり、現代でも語り継がれています。
メリーさんの概要
- 物語の概要
- 物語は、ある少女が引っ越しの際に古い外国製の人形「メリー」を捨てたことから始まります。その夜、少女に電話がかかり、「あたしメリーさん。今ゴミ捨て場にいるの」と告げられます。以降、電話がかかるたびにメリーさんの居場所が次第に近づき、「今タバコ屋さんの角にいるの」「今あなたの家の前にいるの」と進展します。そして最終的には、「今あなたの後ろにいるの」という言葉で恐怖がピークに達します。
- この話は通常、最後の電話で終わり「余韻の恐怖」を演出する形が基本ですが、派生バージョンでは振り向いたら殺される、または少女が襲われるといったエンディングも存在します。
- 起源と背景
- 「メリーさんの電話」の起源にはいくつかの説があります:
- 捨てられた人形や物が持ち主を追いかけるという昔話や怪談。
- 公衆電話や固定電話を使った幽霊話。
- リカちゃん人形を題材とした噂話から派生したもの(商標権を避けるためリカちゃん人形が「メリー」に置き換えられた)
- また、この伝説は1970年代後半に広まり、当時普及し始めた電話や社会不安を背景として生まれたと考えられています。
- バリエーション
- この都市伝説には地域や時代によって多様な派生があります:
- メリーさんが電話で近づく代わりにメールやSNSを通じて接触する現代版
- ターゲットが振り向いても何も起こらない場合や、逆にメリーさんを撃退するユーモラスなパターン
- 他の怪談(例:リカちゃん人形)との融合
- 社会的影響
- 「メリーさんの電話」は学校や家庭で広く語られるだけでなく、小説や映画など多くの作品にも影響を与えています。例えば、2011年公開の映画『メリーさんの電話』や、同様のテーマを扱ったホラー映画『着信アリ』などがあります。
- さらに、この話は単なる怖い話以上に、人形や物への思いやりを忘れない教訓としても解釈されています。また、不審な電話への警戒心を高める役割も果たしています。
- 対処法(ユーモラスな提案含む)
- 都市伝説内では以下のような対処法も提案されています:
- 電話に出ない
- 壁を背にして背後を取らせない
- メリーさんにシュークリームを与える(ユーモア的な解釈)
- 神社でお祓いを受ける
作品例
『メリーさんの電話』
映画『メリーさんの電話』は、2011年2月12日に公開された日本の
ホラー映画で、怪談系都市伝説「メリーさんの電話」を
モチーフにしています。監督は三原光尋、主演は紗綾とAKB48の菊地あやかが務めました。この作品は、女子高生たちが山奥の合宿施設で遭遇する恐怖を描いています。
- あらすじ
- 物語は、女子高の空手部に所属する美奈子と真由子を中心に展開します。強化合宿のために山奥の施設を訪れた彼女たちですが、合宿中に部員が次々と行方不明になるという怪異が発生します。美奈子は原因を探るため、30年前にこの場所で起きた事件を調べ始めます。その事件では、「メリー」という転校生がいじめによって命を落とし、その後、復讐のような惨劇が起きていました。
- やがて、美奈子の携帯電話が圏外のはずなのに鳴り響きます。電話口から聞こえてくるのは、「もしもし、あたしメリー。今、向かってる」という少女の声でした。恐怖が高まる中、美奈子たちは次々と襲われることになります。
- 都市伝説との関連
- この映画は「メリーさんの電話」という都市伝説を基にしています
- 本来、この伝説では捨てられた人形「メリー」が電話を通じて持ち主に近づいていくという内容ですが、映画では設定をアレンジし、「メリー」という少女の怨念が恐怖の中心となっています
- 舞台設定
- 山奥の合宿施設という閉鎖的な環境が、恐怖を増幅させています
- この舞台設定は、逃げ場のない状況を作り出し、不安感を煽ります
- キャストと演技
- 主演の紗綾と菊地あやか(AKB48)は女子高生役として恐怖に立ち向かう姿を熱演しています
- また、他にも若手女優が多数出演し、集団でのパニックや恐怖感をリアルに表現しています
- メリーさんの過去
- 映画内では「メリー」という少女が転校先でいじめを受け、最終的には沼に沈められて命を落としたという背景が明かされます
- その後、この事件現場で不可解な出来事や惨劇が繰り返されるようになり、メリーの怨念が物語全体を支配します
- 結末
- 物語は、美奈子たちがメリーさんから逃れようと奮闘する中でクライマックスを迎えます
- 最終的には、美奈子を助けようとした宿の女性が犠牲となり、メリーさんと共に沼へ沈んでいきます
- しかし、その後も謎めいた現象は続き、美奈子たちは完全には解放されないまま物語は幕を閉じます
『メリーさんの電話』は「
都市伝説」をベースにしたホラーとして注目されました。上映時間は62分と短めですが、その中で緊張感ある展開や恐怖演出が凝縮されています。また、若手キャストによる演技や、日本特有の怪談文化を反映したストーリーも評価されています。
『着信アリ』
映画『着信アリ』は、日本の
都市伝説「メリーさんの電話」から大きな影響を受けたと考えられます。この都市伝説と映画には、いくつかの共通点が見られます。
- 1. 電話を媒介とした恐怖
- 「メリーさんの電話」では、人形の霊が電話を通じて持ち主に迫るストーリーが展開されます
- 一方、『着信アリ』では、携帯電話を通じて「死の宣告」が行われ、登場人物が次々に命を落とします
- どちらも、日常生活で身近なツールである電話が恐怖の発端となる点が共通しています
- 2. 徐々に迫る恐怖
- メリーさんは電話で「今○○にいる」と少しずつ距離を詰めていき、最終的には「今あなたの後ろにいる」と告げます
- 同様に『着信アリ』でも死の予告電話が未来を示し、その時刻に死が訪れるという構造で、恐怖が段階的に高まります
- 3. 不可避な運命
- 両者とも「逃れられない運命」というテーマが根底にあります
- メリーさんの電話も『着信アリ』の呪いも、どんな手段を講じても最終的には恐怖や死に直面するという点で似ています
- 物語構造やアイデア
- 「メリーさんの電話」のような都市伝説は、日本人の間で広く知られており、その普遍的な恐怖感が『着信アリ』にも活用されています
- 特に、携帯電話という現代的なツールを使ったことで、よりリアルで時代性のある恐怖を生み出しました
- 文化的背景
- メリーさんの話は1970年代から語り継がれており、日本人にとって「電話」を介した怪談は親しみやすい題材でした
- この土壌が、『着信アリ』の成功にも寄与したと考えられます
- 違いと独自性
- 『着信アリ』は、単なる都市伝説以上に「虐待や迫害による怨念」という社会問題を背景に持たせています
- また、ホラー映画として視覚的演出や複雑なストーリー展開を加えることで、「メリーさんの電話」よりも深みと現代性を持たせています
『着信アリ』は「メリーさんの電話」のような
都市伝説からインスピレーションを受けつつも、携帯電話という現代ツールを取り入れ、新たな形で恐怖を描いた作品です。その結果、この映画は日本国内外で高い評価を得ており、日本特有の怪談文化が現代ホラーとして進化した一例と言えるでしょう。
『あたしメリーさん。いま異世界にいるの……。』
『あたしメリーさん。いま異世界にいるの……。』は、
都市伝説「メリーさんの電話」を元にしたコメディタッチの
異世界転移作品です。原作は佐崎一路、漫画は佐保が手掛けており、竹書房の「WEBコミックガンマぷらす」で連載されています。また、小説版も「小説家になろう」で公開されており、書籍化もされています。
- あらすじ
- 物語は、都市伝説で知られる「メリーさん」が、手違いで異世界に転移してしまうところから始まります。異世界で孤立したメリーさんが頼れるのは、元々彼女の標的だった大学生・内原平和(ないばらひろかず)との電話だけ。スマートフォンを通じて繋がる二人は、異世界でのサバイバルや魔王討伐を目指します。
- メリーさんは怨念を持つ恐怖の存在でありながら、どこか抜けていてポンコツな性格。彼女の行動や発言に振り回されながらも、平和は適当な助言を送り続けます。この奇妙なコンビが織りなす物語は、ホラー要素を含みつつもコミカルで軽快な展開が特徴です。
- 1. 都市伝説×異世界転移のユニークな設定
- 都市伝説「メリーさんの電話」をベースにしつつ、異世界転移という人気ジャンルを融合させています
- この組み合わせが新鮮で、多くの読者を惹きつけています
- 2. コメディ要素
- メリーさんは一見恐ろしい存在ですが、その言動や行動がどこかズレており、笑いを誘います
- また、主人公・平和との掛け合いもユーモラスです
- 3. 魔王討伐という冒険要素
- 異世界では定番ともいえる魔王討伐がテーマですが、それを都市伝説キャラクターが挑むという斬新さがあります
- 4. 現代と異世界を繋ぐ電話
- メリーさんと平和を繋ぐスマートフォンという設定がユニークで、現代と異世界のギャップを楽しめます
- メリーさん
- 内原平和(ないばらひろかず)
- 埼玉で一人暮らしをする大学生。メリーさんから頻繁に電話がかかってくるものの、適当な助言で彼女をサポートします
- 評価と人気
- 『あたしメリーさん。いま異世界にいるの……。』は、その独特な設定とコミカルなストーリー展開から、多くの読者に支持されています
- 第1巻は発売直後に重版されるほど人気を博しており、第2巻も2023年11月7日に発売されました
- また、「WEBコミックガンマぷらす」では無料試し読みが提供され、多くの読者が気軽に作品に触れることができます
この作品は、「恐怖」と「笑い」を絶妙に融合させた新感覚の異世界転移コメディです。
都市伝説として知られる「メリーさん」が異世界で活躍するという意外性と、その中で繰り広げられるハチャメチャな展開が魅力的です。
ホラーやファンタジー好きだけでなく、コメディ要素を楽しみたい読者にもおすすめできる作品です。
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最終更新:2025年02月02日 19:11