「仲間とか、戦う意味がなけりゃ、生きてちゃダメなのか?」
【詳細】
幻獣「フェンリル」、生物「ハンミョウ」、物語「歌う骨」の要素が組み合わさった「デザストアルターライドブック」に封印されていた複合ジャンルの特殊なメギド。
ストリウスによって幻獣、生物、物語の3つのジャンルの力を組み合わせて作られた特殊な個体であり、メギドの魔人の中でもひときわ異彩を放つ存在。
グラッジデントという細身の愛刀を駆使した剣技、体術に優れ高い戦闘力を持ち、これまでも
ソードオブロゴスの剣士を幾人も屠っている強力なメギド。
両肩にオオカミの顔、甲冑のような身体は虫の羽や爪らしきものが見え、頭部はドクロとハンミョウを一体化させたような姿をしている。
モチーフの一つに昆虫が含まれているためか、跳躍時等で虫の羽音のような音が聞こえるのが特徴。
また猫背気味のゆらゆらした幽鬼のような立ち振舞も特徴である。
声自体は若いものの、高い戦闘力とメギド自体の特殊な不死性の影響で膨大な戦闘経験を持ち、それに裏打ちされた動きは歴戦の剣士達をも上回る。
作り出したストリウス曰く特に理由もなく「気まぐれ」で作り出したようだが、
ズオスや
レジエルに対しても謙らず、ズオスにはちゃん付けで呼んでいるなど他のメギドとは立場が違う模様。
ズオスからは敵意を持たれているのか、勝手気ままに動き回るデザストを牽制するためにやってきたり、後に似たような存在である複合ジャンルの
カリュブディスをストリウスが作り出した際には食って掛かっていた(ただカリュブディスが従順と知ると手のひらを返している)。
活動期間が長いため歴戦の勇士である仮面ライダーバスターとも顔見知りであり、実際にソードオブロゴスサーガでは先代の風と雷の剣士を15年前殺害している。
戦利品として倒した仮面ライダーの持っていた
ワンダーライドブックを所持し、第4章にて飛羽真らの前に姿を表したときはストームイーグルワンダーライドブックを所持していた。
ただ火属性のブックを風や雷の剣士が所持していたとも考えにくく、語られていないだけで上條大地以外の別の炎の剣士が存在しそれから奪ったのか、もしくは飛羽真のように違う属性のワンダーライドブックを組み合わせて戦うタイプの剣士がいたのかは定かではない。
15年前の戦いの後何らかの経緯で封印されていたが、第4章にて
仮面ライダーカリバーが封印を解いたことで復活した。
性格は好戦的ではあるものの、彼の場合は上述の特殊性の強いメギドであるためか、戦うことが好きというよりは「強さ」に己の価値を見出し、
戦うことで自分が強いことを相手に認めさせようとしている節がある。
強いことにこだわり、気に入った存在に対してもそれを認めさせようとしているが、「同類」と勝手に認定した緋道蓮に対してつきまとうようになったことで彼の物語には変化が生じ始めた。
劇中の初登場は上記の通り第4話。
サンショウウオメギド(ハンザキメギド)を倒しに
ワンダーワールドへと向かおうとする飛羽真達の前に現れ、戦利品として確保していたストームイーグルワンダーライドブックをちらつかせて挑発したが、
息子ら攫われた人々の救出を彼に任せた尾上が
仮面ライダーバスターに変身したため、旧知の彼と15年ぶりの戦闘を行う。
身軽な動きでバスターを圧倒し、加齢によって苦しい立ち回りを強いられるバスターだったが、
飛羽真から預かった「ジャッ君と土豆の木ワンダーライドブック」を使い、玄武ジャッ君に変身。
それに対して必殺のカラミティ・ストライクを使用するも、それを受けきったバスターの大旋断を受け痛み分けとなり、見せびらかしていたストームイーグルワンダーライドブックもバスターの元に渡ってしまう。
敵の戦力が増えることになったが、それでも戦いが激しくなるであろうことを喜びその場から立ち去った。
第5章では倫太郎と芽依の前に突如出現。
「俺達の目的はワンダーワールドを乗っ取って支配する」というメギドの目的を語るも、直後に
ズオスが出現し喋り過ぎだとして彼と共に姿を消した。
倫太郎の前に現れたものの戦闘意欲はなかったらしく、何故内部情報を暴露したのかは不明。
戦いをより激しくさせるため、だろうか。
ズオスに対しては「様」づけで呼んでいるものの、敬っているわけではないらしいことがこの場面で判明しし、第6章では彼がいないところで「ズオスちゃん」とちゃん付けで呼んでいることも明らかになった。
「楽しかったよ!ありがと~~~~~!!」
とまで言われてしまったデザストだったが、アルターライドブックが無事だったことで第7章で何事もなかったかのように再登場し、剣斬を驚かせた(ブックが無事なら何度でも復活する特性を蓮は知らなかったらしい)。
ストリウスら幹部らの作戦によって
大いなる本の
目次録出現した際には密かにカリバーやセイバーと共に異空間内に入り込んでおり、セイバーに破れ変身を解除した上條大地を背後からグラッジデントで貫いて殺害。
自身のアルターライドブックを取り返すと自由を得たとしてその場から撤退した。
その後第20章にて
イエティメギドを巡る戦いに乱入。
自由を得たことでメギドの幹部である
レジエルにすら牙を剥き、その戦闘で剣斬の変身者である蓮に対し「自分と同じ」であることを指摘。
飛羽真達と再び絆を深め合う剣士達の中で、余裕を失うあまり一般人である芽衣にすら聖剣を向けてしまった蓮は段々と立場を失い孤立し始めた。
一度は闇の剣士として復活した賢人についていこうとするも、世界の崩壊を防ぐため彼から風双剣翠風の一つを封印され突き放された彼を放ってはおけなかったのか、デザストはその後もふらふらと物語の本筋に噛みつこうとしては退けられる蓮につきまとうようになる。
イザク/仮面ライダーソロモンを始末し
オムニフォースワンダーライドブックを手にしたストリウスに対し、彼が導こうとする世界の終焉を止めようとファルシオンへと変身。
しかしストリウスが解放した
カリュブディスの不意打ちを受けて体の一部ごとデザストアルターライドブックを食われてしまいファルシオンから変身を解除してしまう。
核であるアルターライドブックが損傷したことで不死性に陰りが生じ、その場から撤退するものの、突然姿を消した自分を探していた蓮に見つかると「俺と戦え」と言い放ち剣斬と戦い始める。
第42章。
戦い続ける剣斬とデザストだったが、デザストの焦りを見抜いてかこれまで「強さ」にこだわり続けてきた蓮は彼の振るう剣の前で変身を解除し戦いを放棄する。
蓮を遠くに感じたのか”出口”へと歩いていく彼を慌てて追いかけていった。
その後公園のベンチでカップラーメンを食べていたが、蓮が残した紅生姜についてひと悶着。
「入れたほうが美味い」と主張するデザストに対し「ラーメンに入れる意味がわからない。紅生姜に存在価値はない。入れないほうが美味い。うんない方が美味い」とまで言い放つ蓮に対して激怒。
だからいつまでも強くなれないと煽るように口にするも、強さについての考えを改め始めた蓮には通用せず、他の剣士達が手に入れた強さについて思うものがある蓮からあることを言われてしまう。
「お前には分かんないか。死なないから。戦う目的とか生きる意味なんか考える必要ない。……仲間もいないしな」
それに対しての反論が上述のセリフだが、蓮は聞いておらず今のままではいけないとラーメンを食べ終えて立ち去っていく。
一人残されたデザストは彼を決定的に変えてしまったきっかけとなった飛羽真に対して激しい怒りを燃やし、
侵食を開始したワンダーワールドを止めるため出向いていた彼に対して襲いかかる。
そしてクロスセイバーに変身した彼と無銘剣虚無を武器に立ち回るも、何故かファルシオンに変身せずクロスセイバーの圧倒的な力に終始圧倒される。
そして現れたストリウスから「私の物語に不要」とされ倒してくれると有り難いとまで言われてしまう。
デザストはストリウスが気まぐれに生み出したメギドであり、彼にとって存在価値はない。
目的もなく、生まれた意味もないまま意味なく消える。どうでもいい存在。
その言葉に苛立ち虚無から斬撃を放つも
カラドボルグを呼び出したストリウスにたやすく弾かれ、さらにオムニフォースワンダーライドブックの力で抑え込まれてしまった。
ストリウスが立ち去った後再びクロスセイバーに向かっていき、飛羽真の存在という「蓮の考える強さとは別の強さの見本」がいるから蓮が迷うんだと叫ぶが、
その言葉を聞いた飛羽真から人間は迷って当たり前、けど蓮は答えをきっと見つけるから信じて待っていると言われ、さらにはデザストと蓮は似ているのかもしれないと言われる。
メギドである自分にも感情があり、今出来にかけてきた蓮とお互いに似ていると言われたことで、デザストの心は今まで色のついていなかった景色に色がついたのを感じ取った。
「清々しくて…イライラするぜ!」とカラミティストライクを使って突撃するも、土豪剣激土の力を引き出した激土クロス斬りを受け腹部を損傷。
アルターライドブックが破損している影響で負傷が治癒しきれず、シラけたとしてその場から立ち去るデザストだったが……
第43章。
「苦悩と決意に満ちた、甘くて苦々しい匂いがする…」
デザストと戦う決意を決めた蓮とデザストは廃工場にて戦いを繰り広げる。
始まりの5人の力をすべて手に入れたストリウスが現実世界とワンダーワールドの境界を破壊し始め、世界が滅びるのを飛羽真達が止めようとする話の、裏で。
蓮は第42章でクロスセイバーとの戦いで受けた負傷を無理やり塞いだものの、アルターブックの破損はむしろ広がってしまったことで自分の最期を知っていた。
「何も残せなかった」と自嘲するデザストを見ていた蓮は、これまでの彼とのやり取りが脳裏に浮かびその望みを叶えることを決意したのだ。
デザストは
無銘剣虚無を手に蓮が変身した剣斬との戦いを繰り広げていく。
限界が近いとはいえ迷いのある蓮と、既に覚悟の決まったデザストではその優劣は決定的であり、追い詰められた蓮はとっさに倫太郎の得意とする突き技を繰り出す。
他者の技を真似るというこの期に及んでの「借り物の強さ」に失望したデザストはそのまま攻撃を食らって吹き飛ぶも、立ち上がって蓮を無銘剣虚無で切り裂いて変身を解除させる。
そのまま終わらせてやると剣を構えるデザストに蓮は取り乱しながら逃げようとするも追い詰められ、「お前に存在意義はない」と告げて剣を振り下ろそうとした。
しかし蓮は自分の命が終わりそうな状況でも、デザストから目を離さなかった。
そして彼からかつて、告げられた言葉が蘇る。
「強さの果て」、それを見てみたいから、このままじゃ終われない。
蓮とデザストはお互い名乗りあった。今の今までお互いに名前を名乗らず、呼び合わなかった二人が面と向かって名乗りあう。
「俺は、緋道蓮だ!」
「俺は…デザストだ!」
その戦闘は熾烈を極めた。
そして蓮は「俺の全存在を賭けてお前を倒す」と宣言する。
存在意義がわからない、だから他人にそれを求める。
創造主にすら不要と言われた、デザスト。
強さは正義と師匠の教えにこだわるあまり、自分には理解できない強さを得ていく周りから孤立する。
仲間達から置いてきぼりにされどうにかしようともがきながらも、どうしようもなく一人だけ取り残されていた緋道蓮。
お互いにお互いの存在を認め合い賭けた戦いは、デザストという個人をしっかりと見据えたもので、そこで彼は笑った。
泣いているようで、嬉しそうで、でも苦しそうで、そんな「苦悩と決意に満ちた、甘くて苦々しい匂い」に満ちた戦いの中、二人は語り合う。
「ったく、お前になんて声をかけるんじゃなかったぜ」
「お前となんて出会わなければよかった」
「もう会わねえよ…!」
突き放すようだが、お互いが出会ったことで今があるのだと、出会いには意味があったのだと、その戦いは一瞬の迷いを得つつも剣斬が振り下ろした風双剣翠風に切り裂かれたデザストが倒れ伏す形で決着がついた。
限界を迎えた、あるいは限界を超えたデザストは消えていく。
蓮が否定した紅生姜を食えよと、告げて無銘剣虚無と破損したデザストアルターライドブックを残し、漆黒のメギドは消滅した。
「マジ…ないわ。――――楽しかったよ。ありがとう」
そして公園で一人蓮はラーメンを啜る。
紅生姜を入れた、とんこつラーメン。その味の感想はただ一言、「しょっぺえ」。
彼が見上げた先には、彩りに溢れた道が伸びていた。
【仮面ライダーアウトサイダーズ】
逃げ出した先でたまたま蓮と再会を果たす。
そして戦闘になるが、そこにゼインの協力者になる可能性のある蓮を排除するため
仮面ライダーアークゼロが襲来する。
そこで蓮を倒すのは自分だと言う強い意志に反応してか
デザストアルターライドブックが骸骨忍者伝ワンダーライドブックへ、そしてグラッジデントが黒嵐剣漆黒へと変化。
聖剣ソードライバーを使うことでデザストは仮面ライダーデザストへと変身を果たす。
自身の想定を大きく超える事態に対処できないアークゼロを圧倒し、ハッキングを解除して
滅/仮面ライダー滅へと戻した。
その後
アウトサイダーズ最終話であるEp.7にて仮面ライダーゼインとの決戦に参戦した。
【余談】
当初は「キマイラメギド」表記だったが、実際に登場した際には現在の項目名に改められている。
モチーフとされるフェンリル、ハンミョウ、歌う骨だがテレビ朝日の公式サイトでは明かされておらず、これら要素は東映公式サイトのエピソード紹介にて明かされることとなった。
フェンリルとは北欧神話に登場する狼の魔獣。
フェンリルをモチーフとしたライダー怪人は平成ライダーでは見られず、昭和ライダー、他特撮作品を含めてもハンミョウモチーフの怪人もまた珍しい。
ハンミョウとは大きく発達した顎が特徴的な昆虫で、「道教え」とも呼ばれる。
物語のモチーフである歌う骨だが、元はグリム童話に収録された話の一つであり、
日本やアフリカにも類似した逸話が確認されている。
話を簡単に言えば「殺された男が骨になりながらも自分を利用するために殺害した男に復讐する話」。
実際はもう少し複雑な流れだが。
名前の由来は災害を意味するデザストルから。
ディザスター、のほうが聞いたことのある人も多いのでは?
上條大地によって封印から解かれたデザストだったが、アルターライドブックを奪い取るために彼を刺殺した。
それ以後あまり本筋と絡まず、同じくフラフラと飛羽真等にちょこちょこと絡む蓮と共にいたデザストの本質が「意味なく生まれ、創造主からも役割なくただいらなくなったから消えることを望まれる」という”虚無”だったことで、
第38章にて残された無銘剣虚無を拾い以後その持ち主となったのはそういったつながりで、正しく虚無の存在が虚無という名前の聖剣を所持することになったわけである。
ちなみに無銘剣虚無を持った者は何らかの経緯で文字通りの「虚無」となったが散り際に何かを得て、虚無が消え満足気に消滅する最期を遂げている。
彼の存在が必要か不要かは視聴者からも意見が別れており、度々登場しては話を大きく引っ掻き回すでもなく少しの出番だけで退場し、
同じように飛羽真らの物語から置いてきぼりを食らう蓮とセットという扱いになった。
一方、Twitterでは「デザさんぽ」というハッシュタグつきでデザストが画面に写っていない時何をしているかが写真や動画で投稿されており、
それを読む限り、彼が強さを追い求めるのは自分自身の存在意義を見いだせず、何か代わりになるものを求める代償行動であると読み取れる。
ゴースト&セイバーでは作られた生命同士のシンパシーかCカノンにまとわり付いて「兄になってやる」と持ちかける等、なにか役割がほしいのではと思える行動もとっていたあたり、
彼の中身が空っぽでなにか変わりに埋めるものを探し求めていたのは当初から織り込み済みであると思われる。
ちなみに第42章で紅生姜の有無で揉めていたが、彼らが食べていたカップラーメンはとんこつ味であり、とんこつラーメンには紅生姜がつけられるのが定番である。
それが必要かそうでないかは食べる人によって違うだろう。ぶっちゃけそれは全て人の好みに過ぎない。
さらにいえば蓮は封を開けずにラーメンを食べている上、入れないほうが美味いと断言していた。食わず嫌いだった場合、「しょっぺえ」の意味がまた変わってきそうである。
登場させたはいいが作者であっても持て余してしまう劇中登場人物はいる。
そもそもデザストは複合ジャンルのメギドであり、幻獣でありハンミョウであり歌う骨でもある特殊な存在。
どっちづかずでどれでもない、登場したメギドと異なる性質はデザスト本人も苦悩するほど特殊なものだった。
彼に引導を渡すため登場させたキャラクターだがそこで退場せず、本筋とは関係のないTwitterなどでその存在を示す。
終いには生みの親にすら不要と断じられてしまったデザストが生まれた意味とは何だったのだろう。
さらにもっと言えば、別に上條大地を始末する役割は彼でなくとも良かった。
目次録の中には恐らく神代玲花も入り込んでいたと思われるため彼女が粛清したでもよく、初登場時ストームイーグルのワンダーライドブックを持っていたのもメギド陣営が持っていたが、ソードオブロゴスが奪還したでも話は作れる。
これはデザストに限った話ではないことを断っておくが、デザストが存在せずとも彼が行った役割は別の誰かで代用できるし、ストーリーから存在を削っても仮面ライダーセイバーの物語は成立してしまうのだ。
ぶっちゃけ物語というのは主人公が話を引っ張っていくのであって、他の登場人物はその道を彩る役割である。主役級のキャラもいるが、あくまで主役級であって主人公ではない。
そのキャラが主人公ならばそれは最早外伝、二次創作である。
彼がラーメンに必要と言った紅生姜、生姜には花言葉がある。それは「無駄なこと」、そして……「豊かな心」。
彼の構成要素であるハンミョウは別名「道教え」とも呼ばれる。
デザストは残された命を使って蓮に道を示し、蓮はそれを受け止めデザストに生きた証を、意味を与えた。
メギドはアルターライドブックがある限り復活する。破損したとはいえ、デザストアルターライドブックは消え去らなかった。
もしかすると……
最終更新:2025年01月08日 03:39